百貫鋼鉄の乙女

ジャージ姿は正義である。
濃朱色の生地袖に真っ白な二本線が入ったジャージは正義である。
ちなみに私の勝負服でもある。いつも毎日殆ど着ているけど。
百貫でぶも正義である。
乙女の私が言うには至極至極と語弊があってもとにかく百貫でぶは正義である。
御免なさい・・・。言い過ぎでした。
故郷・倭之御國でも重さを示す最小単位の1匁が3.75グラムである。
10匁が1両そして100両が1貫となっているから其れが百貫と成ればわかりやすくキロに直せば375キログラム
これを正義と言い切ってしまうには勇気がいるだろう。
だいたいにしてこの体重であればベッドから起き上がれないし日常生活もままならない。
四呪院彩瑠璃。帝国数え好みで弐拾と一。うら若き乙女である。
嘘は付いていない・・・多分。
背丈は人並みよりも高いけど体重も重い。確かに学生時代は百貫でぶのおでぶちゃんと言われていたけど
実際に百貫も有るわけないしそれを半分にしてそれを又半分にしてそこから10キロ位減らした感じ。
乙女に体重の事を訊くのは失礼だと言うけどまだ大台の壁に乗ってるわけでもないし・・・。
その辺はあまり来にしてないのかも。喰心坊だし御飯美味しいし。
巨乳は正義である。
おでぶの癖に巨乳の私。だってそうじゃん。乳房だって脂肪だもの。
でぶだけど巨乳なの。あと小顔で可愛い。
若しダイエットできたらアイドル級の可愛さに違いない。
きっと多分・・・。

ガヤガヤと当たりで騒乱の音が響く。
視界が暗いと成れば瞳を閉じて居ることに気づきゆっくりと恐る恐るにと瞼を開ける。
そこは耳に届く騒乱さながらに人々が行き来し活気溢れる場所であった。
右と左にと頭を巡らせばどこかで観たような市場屋台がずらりと並ぶ。
何かの動物を串に灼いて売って居るかと思えば鍋の中に具材をぶち込み湯気たむろする汁を
大声を出し客に売りつけようとする屋台人。肩に長い棒を担ぎその先端の籠には魚らしい物を詰め込み
ないやら聞いた事のない声と口調で売り口上を上げる行商人。
比較的大きな通りであればそこはおそらく市場通りとでも言うのだろうか?
その真中に朱いジャージ姿の四呪院彩瑠璃は一人ただズンで居た。
「個々は何処?私は誰・・・?」
当たり前の事で有るがついさっき迄自分が歩いて居た場所ではない。
夕方近くであり夕飯の大盛り牛丼を買って帰る小道で一瞬世界が暗転したかと思うと
その瞳を開けてみると此処に居る。幻覚か幻聴かと思った途端に誰かと肩が打つかる。
尤も語弊が有っても百貫を誇る体躯の彩瑠璃にぶつかって地面に転がるのは相手の方だ。
「御免なさい・・・」
素直に謝るが尻持ちを付き彩瑠璃を見つめる漢は目を見開きポカンと大口を開けたままだ。
其の姿に違和感を覚えるし気まずさも感じて彩瑠璃はそそくさと歩き小道へを逃げる。

置字

天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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