月額幼妻。

「チャンジだっ!チャンジ・・・」
「チャンジって何ですか?妻をチェンジ出来るはずないでしょ!」
「何が妻だ。契約違反だ。写真詐欺だ。キャンセルだ」
「約款は読んだんでしょ?支払いが澄んだ後は商品の変更は出来ませんって
明言されてますよ。写真詐欺だなんて失礼なっ」
「そんな事言ったって・・・どうせ下の方にちっちゃく書いてある奴だろ」
「ちっちゃく書いてあっても約款は約款です。
それを認識してポチっなら返納は出来ませんの」
そこそこきちんとしたマンションの部屋で口論が勃発する。

喧々諤々と鍔を飛ばし喚き散らす騒乱喧嘩の風情を誰かの三人目の誰かの眼を借りて
その情景を語るのならば・・・
少々に背の高く細めでは有るが逞しくも張りの有る漢と
それと真逆の立ち姿の女性が喚く。
誰が観ても小柄で少しばかり肉付きも良い。
ぽっちゃりと言ってしまうにはそうとも言えずかと言って細身のモデル姿とも言えず。
それでも眼は細めで切れ長で鼻筋も通れば
少し丸顔でも有るが良く観れば三角顎できりりと印象を残す。
ボブカットと言えば今風の若い女性の流れであろうが御国事情風情で言えば御河童髪。
それを茶色に染めればやっぱり流行り好きの若妻であろう。
漢好みの眼から観れば肝心の胸は何処が膨らんでいるかと態々探さなれけばならないし
その真逆にも尻の肉付きはとても良くと成り。胸がどうこうと言うよりは
やはり尻好きの趣味趣向がある輩には眼福至福極まりないだろう。
傍から観れば女遊びの延長。
性欲に塗れた漢が風俗遊びの中で店から来た女性の容姿に気に食わないところで
憤慨し文句の一つも言ってそうな喧嘩場面に見えるが多少なりとも雰囲気はそれとも違う。
「大体、発注と言うか注文したのは巨乳だぞ?
ボン!キュ!ど~~~んの若妻だぞ。ぺったんぺったん!キュ!ど~~~んじゃないぞ」
「漢は皆。ボンキュど~~~んばかり好きなんですね。
ぺったんぺったんきゅど~~~んでも需要あるもん。
ペッタンペッタンって二度も言う事ないでしょ?このおっぱい星人の変態夫様」
「ぺったんぺったんって云うのは俗に貧乳って言うんだぞ。
ひ・ん・にゅう・妻。貧乳のちびっこ幼妻め」
割りと背の高く筋の通った腕を大きく振りかざし大げさな身振りで夫らしい漢が声を上げる
「ひっ・・・貧乳ですって?
小ぶりでもちゃんと出っ張ってます。極貧乳じゃないもん。
探さなくもお手軽サイズだもん・・・。お手々に収まるくらいはちゃんと有るもん。
そんな事言うと御夕飯の蟹クリームコロッケに梅干しと赤味噌入れますからね」
夫らしい漢に比べるとかなり小柄で有るし傍から観れば確かに貧乳の部類であるが
その代わり見事な尻と肉を持つ幼妻の女性が夫よりも激しくも鍔を飛ばして言い返す。
「コロッケなのか?御夕飯。僕の好物じゃないか?
ウググ?・・・卑怯だぞ?それは卑怯だぞ。好物のコロッケに梅干し入れるだと?
ついでに赤味噌だとぉ~~。すっぱしょっぱいカニクリームコロッケだとぉぉ~
貧乳の尻でかの幼妻の癖に僕の大好きな・・・」
「もう確定ですからね。意地悪な夫にはお仕置きが必要です。
妻の特権ですからね。絶対に許して上げませんからね。変態おっぱい星人夫様の癖に。
あっ。お風呂沸かして下さいよ。夫様。家事は折半が約束ですからね。
契約事項記載されていますからね」
「うぐぐのぐ・・・。僕の蟹クリームコロッケ
ぐぐぐ・・・お風呂沸かしてくるよ。貧乳の幼妻君」

良くに鍛えられた筋の通った筋肉を誇る長身の夫。
斎玉子弐蔵・・・。
其の体躯には訳がある。其の職業が特殊で有るのだからしょうがないとも言える。
尤も弐蔵自身としては未々に鍛え方が足りないとも思ってもいる。
倭之御国。其ノ海軍の深海潜水艦の水兵を職業とはするが実際の勤務は通信士と成れば
魚雷を抱える輩に比べればやはり未だ未だと認めざる負えないだろう。
倭御国の潜水艦乗りとも成れば壱年や弐年は海の中にいるのが常であり正しい。
一度潜れば陸に上がるのは年を超す。
長くも間に海に潜り寝台一つも魚雷の隙間下となれば個室もなく
男色の気がなければ体の疼きも悶々と・・・。
尤もたまりずぎて追々に何かの間違いに奔る輩も少なくはないとも知れるが
幸いな事に斎玉子弐蔵は健全な趣味趣向でもあった。
それが故に陸に上がり地上勤務や休暇の刻には三十路過ぎでも欲には勝てやしない。
しかも又。数ヶ月陽だまりの下で過ごせばその先は深海へと潜る事に成る。
もし人の云う縁に恵まれぬくもりと肌を温めてくれる女性と出会う事があったとしても
御国事情が戦渦と成ればこそ帰らぬ兵士の夫と知れば適齢期の女性は敬遠しがちでも確かにある。

それが故に斎玉子はある意味に特殊なサービスを利用する事が度々あった。
少々と上手く説明するにはやはり少々に面倒で煩雑であるが。
一種の人材派遣では有る。其の支払いは主に月払いであるから
今の若い世代の輩には馴染みも高い月学払いで商品を買うサービスと成る。
その手の商品類は多々と多岐にと渡るが斎玉子が使うのはその中でも更に特殊である。
人材派遣に類する物の要するには妻代わり夫代わりのサービスである。
これなら必要な時に必要に応じて人生のパートナーと一緒に過ごせる。
いずれは直ぐに海に潜ると成る斎玉子はうってつけの商品である。
商品の支払いが月額払いと言っても音楽や映像提供とは違い少々と
高くなるのは致したかないとしてもである。

「ほっ・・・本当に梅干しが入ってるぞ。貧乳幼妻君!」
「私奴に二言はありませんの。有言実行で御座いますの。
細身の癖に筋張った筋肉自慢の棒切れ夫様。・・・ちゃんと神州の赤味噌も入ってますの」
「ぬは。本当だ。クリームコロッケなのに酸っぱしょっぱいぞ。ものすごく。
君は食べられるのか?否。美味しそうに食べてるではないか?
さては拉麺に押すをだばだば打ち込んでついで唐辛子も一瓶打ち込んで
平然と麺を啜る邪道悪童の悪食野郎だな」
「しっ。失敬な。お酢はだばだば掛けても唐辛子は一瓶も使いません。
せめて半分くらいですの。邪道と言えばそちらこそです。
牛丼の上に納豆ぶちまけて其の上沖縄州のゴーヤの輪切り乗せるなんて
邪道極まりないでございますの。この悪食潜水艦乗りの夫様
ちょっと御醤油取って下さいませな」
「なんだとお~~~。潜水艦のりなんだぞ。筋肉は大事だろ?
伝統なんだ。牛丼の納豆ゴーヤ乗せは。倭之御国潜水艦乗りの。
毎日深海に潜れば曜日も忘れる。それを防ぐ為に毎週狸寝入りの蛇の日は牛丼と決まってるんだ。
納豆もゴーヤも自動的に乗ってくるんだ。厨房係が沖縄州の出身なんだよ。
仕方ないだろ。醤油だけで良いのか?辣韮つけはいらないのか?」
自分の妻を貧乳と呼んだばかりにお仕置きとして食卓に上がったのは
確かに好物のコロッケでは有るが梅干しととてもしょっぱい赤味噌が入ってる。
梅干し一つがごろりとはいっているなら未だマシだろう。
退ければいいのだがそうもいかない。
自分は平気でパクパクと口中に運ぶ幼妻の料理の腕は逸品であり
ましてやひと手間掛ける事も厭わない。
蟹クリームコロッケの中に梅干し一個をごろりと放り込むだけで済まさずに
態々と梅干しの果肉を裏ごしもし混ぜ込み、ここぞとばかりにしょっぱすぎる事で
有名な神州の赤味噌をも練り込んでる。
ぶちぶちと鍔と文句を飛ばしながらもなんとか口中に
梅干しごろり一個と果肉に裏ごし入り・隠し味はしょっぱさ格別悪魔の如しと
名を関する神州赤味噌の蟹クリームコロッケをなんとか苦労して口中にぶち込み
咀嚼しつつも結局は麦茶で胃中に流し込む弐蔵。
渋い顔を崩さすも文句も鍔も飛ばしならがも我慢しても幼妻が作ってくれた夕飯となれば
無理やりにでも食べようとするのはやはり食べ物は活力と筋肉の材料と也けりと
厳しい躾を施す義父の影響も有るのだろう。

多少なりともふるふると震える指で醤油の瓶を取ってくれる夫弐蔵。
蒼白顔の夫を見上げてしてやったりと心げに満足を隠さない幼妻。
本名の名字と今は違うとなればこそ。
斎玉子結衣香となるのだろうか。まだちょっと馴染みはないけれども。
結衣香・・・。
至極厳密にビジネス的に言えばこそに。
夫様と呼ぶ斎玉子弐蔵は顧客であり雇用主とも成る。
結衣香にとって夫と言えども其の弐蔵が会社に連絡を入れ
数多の妻候補の中から写真と情報を鑑みてこれぞと決めてくれたこそ
仕事奉仕の代償に月学で金銭を得る。それが結衣香が営む仕事である。
又に本来であればこそ顧客の要望に先んじて良き妻と演じるべきで有るにしろ
玄関先での出会い頭こそに。
やれ。チャンジだ。貧乳だと罵りも罵倒もされれば腹も収まらない。
確かに月替りの妻を演じれば刻に外れまがいの夫漢もいるのではあるが
弐蔵が少々・・・否に好みのタイプとなればこそに
又これも自分の胸を貧乳とな。罵られれば恨みつらみも高ぶり重なると言うものだろう。
「御馳走様でしたの。我ながらにも美味しゅうございましたですの。
お風呂に入浴剤入れておきますね。
でもお一人で入って下さいませな・・・。あと食器洗いはよろしくで御座いますの。
何せ家事は半分こする約束ですから。棒切れ夫様」
「うぐ。入浴剤は嬉しいけど。後片付けは僕の役目なのか?うぐぐのぐ」
寡婦暮らしがそれなりとなれば食事の始末等確かに容易いのではあるが
金銭を払いも妻と向かい入れればそれくらい任されたと胸を叩いてほしいと思いつつにも
(ああ・・・叩く胸も小さいんだっけ・・・)
心の中で恨みに思えば大きな尻を触りつつ自室へを消える結衣香が
鬼の顔面でギラリと睨んで来る。

[su_spoiler title=”倭之御国数え歳・其の蛇兎の月、祖国を離れる事暫しと海深くに・・・。”]
狭い風呂桶の中には何故かに白く濁る。
海水の中を進む潜水艦の中の湯桶であるがそこに身を沈める弐蔵の顔は思案げでもある。
何かを思いだし巡る思いとなればこそに。
いつの間にか習慣となってしまった熱い湯に何故か大量の塩を打ち込むと言う癖が
身についてもいる。
尤もそれが既に月額払いの契約が終わった貧乳であっても形よくも大きい御尻を持つ
幼妻結衣香の意地悪の塩風呂となってもいる。
事ある事に口論と喧嘩が耐えなかったし諸々に問題もあったかもしれないが
それでも結局に弐ヶ月参ヶ月と共に夫婦の絆と縁を結んだとなれば
海に深く潜っても想いの一つも未練も残るのだろう。
ふと想い寂しさを感じる刻に思い出すのはあの貧乳の胸とやたらと大きな尻でもる。

実は一度だけに其の幼妻から手紙が艦の中の弐蔵宛に届いた。
内容であればとても簡素で情の一つも見受けられずのそれは一行弐行のみであり

【愛しくも意地悪な棒切れ筋肉の夫様
今月の支払いが滞っておりますので実家に帰ります】
との短いものであり同時に振込用紙が添えられているだけだった。

「こちらが情を積み上げても結局は月額払いの仮妻ってことなんだろうなぁ」
もうすでに慣れたとは言えにピリピリと肌に刺激が伝わる塩風呂の中で
弐蔵は配管行き交う天井を見つめ上げ呆然として想いに拭ける。
[/su_spoiler]

(なっ。何と言う事なの?棒切れ夫様の癖に・・・。
あん・・・気持ちいい・・・そんなこんな・・・筋肉棒切の癖にテクニシャンなの。
そこは駄目・・・気持ち良いの・・・こ・・・こんなの素敵・・・
これで寝てるとか・・・無意識とか・・・どんだけなのよ。)
入浴剤と称してどばどばと湯船に打ち込まれた塩。
つまりは塩風呂と成るが・・・当然の如くも貧乳幼妻は一人で勝手に先に入って
しまえば其の後に塩風呂に变化したのだろう。人為的にでは有るが。
白く濁る湯面であれば確かに入浴剤と思い体を沈めたが後で気がつけば
それが塩だと気づいても既に遅し。
むかついたのは変わらずも風呂上がりにシャワーを時間を掛けて浴びる事でなんとか済ます。
さすがにそれが意地悪であったと気がついてしまえばその後は互いに火花を散らし
睨み合う事暫しであったが口をへの字に曲げてだんまりを通す。

事態はその後に悪く成る。
弐蔵のマンション幾つかの部屋が有ったがベッドを置いた寝室は一つしかない。
先日までに寡婦暮らしを繰り返していた弐蔵は癖もあり適当に夜食代わりの
ポテトチップスを抱えて先足に寝室に入ってしまった。
一日の疲れを癒やす大好きな風呂が塩風呂に变化したのに未だ怒りが収まらない。
「一人でお眠りに成るのですか?
私に一人寂しくソファで眠れと仰るのですか?意地悪棒切の夫様」
はっと。気がつけばそりゃそうだ。
月額支払いの仮の妻であっても人様である。
ましてや女性であり妻と成れば本来なら漢一人の弐蔵がソファの上で寝るべきで有る。
かと言っても月額幾らの代金を払えばこそに夫であるならここはドンと構えていたい。
「いや。そんな事はしなくていいよ。塩入りの風呂はともかくに。
夫婦は夫婦だしな。二人で眠るには狭いかも知れないが一緒に・・・」
言うべき言葉の最後を飲み込んだのは幼妻の姿に息を呑んだからである。

確かに出会い頭の玄関先で期待し想像していた容姿ではなかったために
喧嘩の一つもやらかしたが・・・女心と姿は化けると云うのは本当であろう。
既に寝室の明かりを暗めに落としてあればこそ寝巻き姿に白綿の枕を抱え込む。
御河童の髪も湯上がりでしっとりと濡れて輝くも其の姿が妖艶すぎる。
薄桃色のネグレジェ一枚を羽織る。
紐一本で胸元に繋がる生地は厚いが肩肌の露出は大きくも色艶が乗る。
貧乳であればそこを視線が下に流れてしまうがきゅっと締まる腰の更にした
大きな尻に魅力も欲ふつふつと湧き上がる。
「そう言うならちょっとそっちへ退けて下さい。棒切夫様」
「御前・・・。その・・・」後に続く欲に見えれた言葉を飲み込むと
しっしとばかりに細くも小さな手を翻し弐蔵の体を退けさせる。
空いた隙間にぽすんと音を立てて大きな尻を沈め落とせば
否応がなしても隣に座りこみ肩と腕が触れる。
「棒切夫様のくせに一人で夜食を食べようなんてやっぱり意地悪で御座います事」
可愛い顔でふんと鼻を鳴らしスルリと手を動かし弐蔵が抱えるぽポテチの袋に突っ込む。
「こら。御前。僕のポテチだぞ。夜中にこんな物食べると太るんだぞ。
・・・あっ。そっちに隠してるのはなんだ・・・アイスじゃないか?
しかもダブルサイズのチョコチップ味だ。ちょっとよこせ。僕も食べたい」
「ダメですの。これは私奴のアイスなのです。こら止めなさい。
棒切夫様の癖に。夫様こそ太るとお仕事に支障が出ますでしょ。
こら。お止めなさいな。私のアイスですの」
あまり広くのないベッドの上で月額払いで夫に仕える幼妻
働いた金銭を仮の妻に支払い生活を営む潜水艦乗りの夫
「こら。アイスなんてずるいだろ。ちょっとよこせ。一口よこせ」
「嫌ですぅ。御風呂上がりのアイスは至極の楽しみなのですぅ~~。
でもちょっとポテチもたべたいのですぅ~~~」
互いの食べ物を守りながら隙きあらばこそ相手の食べ物を横取りしようと手が伸びる。
「夜中のアイスは太るぞ。太っちゃうんだぞぉ~~~」
「ポテチだって太るもん。油で上げてるから太っちゃうもん。
そんなのばかり食べててたら上船した時に怒られますよん。筋肉達磨の夫様」
「何おぉぉぉ~~~。其の言い方ははずるいだろ。
御前の方が脂肪多いんだぞ。僕の体脂肪は・・・」
「隙きありィィ~~~。てへへ。ポテチ美味しいのですの。ぽりぽり」
「あっ。この野郎。僕だって楽しみにしてるだぞ。ちょっとよこせ。一口よこせ」
自分の体脂肪率を思い出そうと頭の中を回転させるとポテチの袋を抑える手が緩む。
その隙をここぞとばかりに細く白い手が伸びて袋の中のポテチが奪われる。
慌てて腕を振り上げるも既に遅し。
月額払いの仮妻は体を丸め自分のアイスを守りつつも奪い取ったポテチを口の中に詰め込む。
「うぐぐ・・・。やるな。彼奴め・・・」
湯で火照り色艶眩い女体を丸めつつもこっそりと
又と弐蔵のポテチ袋が守りが薄く成るのも待っている。
「うぐぐ・・・アイスが食べたい・・・」
悔しそうに唸って見ても妻(仮)とは言え相手は淑女で有る。
倭御国男児がおいそれと縁と契を交わす前の淑女にアイス食べたさに襲いかかったと
成れば立つ瀬もなくなる。厳密には若しくは確かに形式上は夫婦であるとしてもである。
「うぐぐ・・・。卑怯は月額幼妻め・・・」悔しそうに唸って見ても部が悪いのは弐蔵の方だ。
「つるつるぺったんお胸とか言うからですの。
海軍潜水艦乗りの変態おっぱい星人の夫様の癖に」
勝ち誇ったように可愛い顔顎をくぃっと少し上にあげかちほこって魅せる。
それでも又、自分の夜食のアイスを木箆で掬って口に運ぶ。
「うぐぐ・・・。確かにぺったんぺったんのきゅど~~~ンと入ったし
貧乳とも言ったけどさ。罰は受けたじゃん。
ちゃんと酸っぱしょっぱいコロッケ食べたじゃん・・・。それなのに。御前はっ」
どうせアイスにもありつけないのならもう一度言ってやろうと口を開けた所に
「隙ありぃぃぃ~~~」嬉しそうな声が大きく上がり油断して緩めたポテチの袋が
取り上げられると同時に口の中に冷たくも甘いアイスの塊が放り込まれる。
「あっ。冷たくて美味しい・・・」
口の中に広がる極冬のように冷たくもそして甘い味が舌の上に広がる。
「これ以上食べると太ってしまいますの。実は二個目ですの。
だからポテチと交換ですの。ぷぷ」
「なんだとアイス2つ目だとぉぉぉ。太るぞ。絶対太るぞ。
でも結構優しいんだな。御前。云々・・・」
正直弐個目のアイスだとは知らなかったが、それでも分けてくれたのは弐蔵は嬉しさを覚える。
それがカップの中に半分しか残っていなかったとしてもである。

昨夜のアイス争奪戦の後はといえば。
貧乳の幼妻は夫から取り上げた戦利品のポテチ袋をこれでもかと首を高く上げ
掲げた袋からこぼれ堕ちるポテチの破片の一つ残らずも口の中に納めると
もぐもぐと味わえばそのままこてんと枕に音を立てて寝入ってしまう。
当然の如くに弐蔵には背を向けてである。
結局も弐蔵自身も幼妻に背を向けて寝るしかなかった。
朝叫鳥が日の明けを叫んで暫しの時。つまりは朝食時で有る。
「今日は何時頃のおかえりになるのですか?ポテチばかり食べてる夫様」
「今は艦の修繕回収中だから一般待機期間なんだ。
前回の戦で少々派手に暴れたからさ。そうは言っても基地には出頭しなければならない。
つまりは定時には帰って来れると思うぞ。夜食にアイスばかり食べてる月額の幼妻君」
何処なくも棘のある言葉を交わすが食卓に上る食材は極めて普通の倭御国の物である。
白米・春鮭の塩焼き。夫が好むひき割りの納豆と東北州原産の甘塩海苔。
春鮭の塩焼きにはきちんと大根下ろしさえも添えられている。
仮嫁結衣香の料理の腕は逸品である。
月額払いの嫁として長く腕を振るって来たのだろ。
若しくは何時か本当に誰かの元へと妻として嫁ぐ為の花嫁修業を怠らずと言う所か。
つまりは弐蔵が気持ちを抑え余計な事を口にしなかれば旨い飯にありつけると言う事だ。

「それじゃ~~~。行ってくるから」
機嫌を損なわなければ旨い飯が振る舞われるし食後に出てくる茶も又と旨い。
海軍軍服の袖に手を通し、いざに出かけると成れば声を掛ける。
弐蔵は一日の内でこの瞬間が一番気恥ずかしく感じてしまう。
「行ってらっしゃいませ。私の旦那様」
背丈の差がありすぎるから世に云う新婚夫婦の送りの儀とも言える
口付け等をするには弐蔵が腰を折るしかない。
真の夫婦でもないし事情が有るのも確かであれば弐蔵はそれをしなかった。
出会ってから数日経ってもずっとそうである。
出掛け様の見送りに何もないと成ればそうもいかないのだろう。
せめてほっぺに接吻でも思ってみても夫・弐蔵は棒立ちのままである。
すっと色香風を纏い結衣香は前に出ると夫・弐蔵の体に腕を回し抱きつく。
背丈の差は大きいからちょっと奇妙なのは否めなくても
この時ばかりは意地悪な幼妻は愛情を込めて仁蔵の腰上に抱きつき
「行ってらっしゃいませな。旦那様」もう一度軽く呟く。
「云々。行ってきます・・・」
弐蔵が短く頷くとするりと結衣香の腕から力が抜ける。
下からまっすぐに見つめるくりくりとした視線に余計に気恥ずかしさを感じ
弐蔵はサラリと見を翻し玄関を出て職場へと向かう。
なんとも気恥ずかしい思いを胸に黙してである。

潜水艦乗りにとって地上勤務のいち日は長くも感じる。
「狭い船の方が気持ちよく過ごせるなんて・・・僕も生粋の潜水艦乗りなんだな。
それにしても一日が長いのは疲れる。早く帰って・・・・あれ?」
気疲れした体を引きずって駅前を出るとよく知る立ち姿が目に入る。
雑踏行き交う人々の中で特別ちっちゃいからよく目立つ。
ちょっと肉付きが良いと言えばそうでもあってもぽっちゃり体型でもない。
倭言葉で言えば御河童であるが今時風に言えばボブカットと成る。
一緒に暮らすようになって約半月と見間違うはずもない自分の幼妻で有る。
「御前。なんでこんな所に・・・」
「今日は狸寝入りの蛇の日ですからね。忘れちゃいけない夫様の給料日でもありますの。
だから今日は奮発してお鍋にでもしようかと。
それにたまには一緒に買い物とか良いじゃないですか?事実上の新婚だし」
「奮発してお鍋は良いな。春先と言っても未だ冷えるし。
言い方に棘を感じるが新婚では有るのも確かだしな」
幼妻・結衣香のちょっとした心使いを素直に喜び歩幅を合わせて歩きだす弐蔵。
やたら背の高い漢と背が低いが肉付きの良い女性が肩を並べて歩けば。
傍目には確かに仲睦まじい新婚夫婦にも見えよう。
「待て待て。鍋だろう?牛肉より豚じゃないか?
牛の肉は高いし煮過ぎると固くなるぞ。しゃぶしゃぶにするのか?」
「鍋は鍋でもすき焼きにしたいのです。すき焼きならお肉は牛肉です」
「いつからすき焼きになったんだよ。鍋って言うからてっきり僕は大湾國のキムチ鍋だと」
「大湾國のキムチ鍋は辛過ぎますの。今日は私の故郷真州の大甘汁のすき焼きで御座いますの」
「なんだと。真州の甘鍋すき焼きは甘すぎる。鍋と言えばキムチ鍋だぞ」
馴染み近所のスーパーに肩を並べて入った途端に互いの意見が食い違う。
買い物カートを押して歩く後ろの弐蔵を振り向きもせずに結衣香は甘鍋の材料を投げ入れていく。
「待て。待て。それは待て。細白茸は嫌いなんだ。見た目が駄目なんだ」
「好き嫌いはいけませんの。甘鍋には細白椎茸は欠かせないのです。
「意地悪するな。夫の嫌いな物を食べさせるのか?」
思いかけずも夫の弱点・嫌いなものを知ったと口元を歪めつつも結衣香はもう一袋
カートの中に投げ入れる。
「態とだな。態とだろ?この性悪幼妻め。僕の嫌いな物ばかり買い込むなよ」
せっかくの鍋であるが自分が苦手な食材ばかりカートの中に詰め込まれ
少々とばかりに機嫌が悪くなっていく弐蔵。
それでも日頃の労をねぎらうつもりなのか夫の好きなポテトチップも多めに買い込むのも
幼妻・結衣香は忘れない。

朝に夫を見送ると暫しの間寛ぎ癒しの時間を楽しむ事も出来るが
時計の針が有る特定の日付と時間に成ると途端に憂鬱な気分に襲われる。
それと同時に期待に四肢が火照りぞわぞわと体が疼く。
今でこの日こそ倭之帝国海軍潜水艦乗りの夫の妻を演じるが
其の幼妻には裏の顔があった。
比較的早い年齢を女性の適齢とする習慣が根強い倭之御国で
幼妻・結衣香の年齢で独身と云うのは世間世情から色々と言われる事も有る。
尤も今はこうして背の高い夫の側にいるけれども。
それはある意味仕事であり金銭を稼ぐ就労の形態の一つである。
つまり結衣香は理由と事情と問題を抱えていた。
しかもそれは自分とその体では抵う事など出来ないほどに強烈な物であった。
「ああ・・・。駄目。気持ちいい・・・入ってくる・・・入ってきちゃう・・・」
月額払いの夫には魅せる事も聞かせる事もないような声で隠語をで喘ぐ結衣香。
ソファの上に座る漢の腰に自ら跨がり大きく開いた股ぐらに漢の一物を喰らいこむ。
「あん・・・あん・・・もっと。もっとついて・・・突き上げて・・・
犯して・・・私を犯して・・・何でもするから・・・私を犯して・・・」
とめどなくも口から漏れる隠語は結衣香の四肢を火照らせる。
あまり腰を振らない其の漢の上で代わりに結衣香自身が一物の上に股ぐらを打ち付ける。
いわゆる月額払いで妻を演じる場所。軍属らしくもそれなりに広いマンションであるが
一心不乱に腰を振り漢の一物を結衣香が貪るそのマンションはもっと広くも豪勢だ。
政治家か其の愛人が住まうのが当たり前と言うような高級マンションである。
「いやん。それは駄目。乳首嬲っちゃ駄目。気持ちいい。・・・逝っちゃう・・・」
嫌と言うほど自分の体の事を知る漢に敏感な所をなぶられびくんと体がのけぞり
体が痙攣して結衣香は絶頂へと上り詰める。
「駄目駄目。逝っちゃったの。許して・・・許してください。ああ・・・もっと」
自ら腰を振り尽くし乳房を嬲られ登りつめたと言うのに今度は漢が激しくも突き上げてくる。
「ああ・・・意地悪・・・もっと・・・ああ・・・気持ちいい・・・」
日がな一々。許される時間の中の其の大半を結衣香は漢の為に脚を開き
漢の一物を口でも女陰で加え唾液と愛液で汚し快楽を貪る。
もう素手に其の日は到底もう一度勃てる事など出来ないとまで精を吐き出すと
ずるりと一物を抜き雌の尻をバチンと叩き捨てる。
「ああ・・・。有り難う御座います。私の愛しい旦那様」
爛々と高揚した喘ぎを漏らすも床を這いつくばり漢の四肢にしがみつくと
紅い舌を突き出して愛欲に塗れ汚れた漢の一物をベチャベチャと舐め回す。

結衣香は其の漢に躾られていた。
其の漢は結衣香を躾けていた。もう何年も・・・。
性の目覚めを迎えたばかりの結衣香に其の味と快楽を教え刻み
知識と快楽を貪る結衣香を導き教え自分の好みの雌女に其の漢は躾けていた。
情事の後でさえにも躾けされた通りに一物をしゃぶり回す女雌の頭を抑えつけながらも
其の漢は別の事柄を無双する。
其の漢は異様である。
まず眼にはっきりと焼き付くのは全身を覆う倭彫りの入れ墨だろう。
それは首から下。手首と足首以外のほとんど全てに施されている。
つまりは普段の衣服を着て隠せる部分の全てに入れ墨が有る。
文様図柄と言えば倭之御国に伝わる数々の魑魅魍魎妖怪が跋扈して集う物である。
あ行で言えば垢舐めからわ行でいえば、んとこどっこいしょまで。
気味悪がらずに良くと近寄り数えて見れば其の数は参百と五匹を数える。
ただ単に伝承逸話の妖怪達が描かれているだけでなくそれぞれに逸話になぞった姿と
物語の一場面をも描かれているの成ればそれは絵画にも等しく。
少々奇妙な話では有るが人の体に刻まれた倭絵画として十分に鑑賞に耐えゆるものである。
結衣香が金で妻として寄り添う軍隊水兵の弐蔵よりも少しばかり背が低いが
それでも一般の倭男児としては高い背丈と逞しい体躯を持つ。
少しばかり弐蔵を小さくしたといっても良いだろう。
細身でも筋の通る筋肉を有するが何よりもその顔付きは鋭い。
体を覆う参百と五匹の魑魅魍魎妖怪共の姿のほうが可愛げがあると思えるほどに
冷酷で残忍な印象を与える顔つきと姿。
其の漢は四ツ貝と名乗る。
職業と聞いてもまともな答え掛かって来やしない。
それじゃシノギは何だと聞き返せば。
「悪党共の欲しい物をくれてやる事だ。今は未だ始めたばかりだが・・・」
欲言えばハスキーな声質でぼそりと返す。
悪党共に欲しい物をくれてやる。理解しがたい事では有るだろ。
御前は悪党じゃないのか?と聞けば確かに自分も悪党だと平然と答える。
四ツ貝は放蕩者である。陰口で言えばやくざとなる。
実際に徒党を好むやくざ者共と同じ様に勢いの有る組に身を置き
親と呼ぶ組の長と盃をも交わしているし組の中でもそれなりの地位と力をも持っている。
それでもそれが気に食わないのだろう。もうかれこれ壱年近くも組には顔を出していない。
未だ若く野心を胸に燃やす四ツ貝にとって放蕩者の世界は狭く性に合わなかった。
何かやろうとすると妬み持つ上司が横槍を入れてくる。
何度もそれが続くと嫌気が指してくる。
それならば自分でやってやると決心を起こすと行動は早かった。
自分の力と責任でやると成れば誰も文句は言わないだろう。
最初は定番の売春から始めた。
数多を巡らせ組にも迷惑がかからないようにと態々に敵対する組の縄張りに出向き
女共を掻き集め商売を始める。
当然の如くと敵対する組輩と揉めるが気合と腕っぷしと持ち前の残酷さで乗り切る。
意気揚々と乗り込んできた刺客を半殺しでは済まさず一生起き上がれない体にしてやると
相手もおいそれと手出し出来なくなる。
これで良しと店を大きくして行けば客も人も集まる。
思う以上に仕事がはかどると色々と面白い事が起きる。
中年輩の漢が金に困り銀行強盗をやりたいと言い出し手伝ってくれと告げてくる。
リスクが大きすぎると四ツ貝が突っぱねれば、それなら手を貸してくれるだけで良いと言う。
仕方なくも四ツ貝は適当に人を紹介してやったり下準備と手筈を整えてやる。
今思えば随分と穴の有る計画であったともおもえるのだがこれが上手くいく。
四ツ貝の取り分も大きかった。これは以外だとばかりに喜び。
それが今のシノギへと繋がる。
銀行強盗自体其の成功率は低い。単純な事である。
銀行自体も身構えてるしもた付けば憲兵隊が突撃してくる。
否然し四ツ貝の仕切りと下準備はきちんとしていた。
その指示に逐一従った強盗犯の輩の成果は思う以上に大きくも大成功であった。
倭之御国の憲兵隊を見事にやり込めたとなれば評判も高くなる。
俺も我もと次つ次としのぎ仕事が舞い込んでくれば後は組に顔等出さずにも一人でやって行ける。
四ツ貝自身が思うよりも早くと事が回っていくと同時にやならなけばならない事も増えてしまう。
自分ひとりで熟しきれなくなる前に仲間を集める。
最も四ツ貝は其奴らを仲間とは思ってもいない。
良く働く駒でありいずれは使い捨ててやるつもりだった。
それでも当分こそは彼等の力が必要であり其の数四ツ貝を含めて全部で四人。
いざとなれば現場で手を汚す者。あれこれ探してはみたがこれぞというのものは見つからずも
結局一人の女を選ぶ。その辺の放蕩者よりもこの女は約に立つ。
現場に出向く女のサポートと運転役に一人。それから雑用兼物資の調達係が一人。
この四人が集い会い、後に倭之御国最悪の犯罪集団・悪童会の基礎を四ツ貝が作る事になる。
そして今も四ツ貝は次に起こすべきしのぎと言う犯罪を夢想している。
雌女に体を舐めさせながら・・・。

倭之御国帝国海軍潜水艦乗り斎玉子弐蔵
帝国軍人であればこそ日常茶飯事に体を鍛え込んでいる。それが常である。
それでもお多福風邪には勝てなかった。
「うぐぐ~~。う~~~ん。げほげほのげほっ」
「三十路すぎるまでお多福風邪を取っておくなんて危篤な夫様です事」
朝起きた途端にゲホゲホと喉を枯らし咳き込む弐蔵を由衣香は献身的に看病する。
まずに当たり前の事を言えば自分の夫でも有る。
月額払いの就労契約で尽くしているとも言っても夫には代わりにない。
毎日と顔をあわせ寝所を共にしてるのもあれば情も映る。
「只の風邪ならともかくも。お多福風邪とは・・・。
倭男児の天敵で御座いますよ。齢食ってからのお多福風邪は熱が高くもなるのです。
大事なお稲荷様が熱を持って精巣があっちちでお焦げになっちゃうのです。
私奴はともかくに・・・。将来の奥方様が悲しむので御座います」
「御前は構わないのか?ゲホゲホ・・・」
冗談交じりにも取れる妻の小言になんとか切り返そうと又、喉を枯らす。
「月払いの仮妻の身で御座いますからね。
お多福風邪で漢巣が焦げたら寧ろやりたい放題の万々歳で御座います」
ふざけ半分の冗談でもあろう。
高熱を生むお多福風邪が弐蔵の漢巣を焦がし種が不能となればこそ
確かに子は出来ぬとなるが性交自体出来る。
子ができぬとなればこそにある全くもって余計な心配もなくいたせると言うもの。
それでも何処までが本気かどうか等も熱で唸る弐蔵にしてみれば
それこそ何処までが本当かどうかなど咳き込む肺の痛みと朦朧とする
意識の間ではその真意がわからない。
何処か楽しげに濡らしたタオルで黙々と仁蔵の体を拭く結衣香のみ知る想いで有る。

天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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