HitonoHitonoid・權田の偏屈爺が生み出す人形達・初の御噺・【リライト版】


「寒いっ。寒いぞっ。なんでこんな日に軍局に出頭しなかればならないのだ!」
權田壱壱。軍初属の学術員なので有るから軍研計算局の勤務場所なのだから当たり前の事なのに
冬厚のコートの襟を首に立て肩をすくめてブツブツと軍研計算局の階段を踏みしめる。
噺の出番も多いのなら。まぁそれとして結構長く続く家系の既に親も逝去しているから
何代目かの家長長男でもある。実弟とは仲が悪く壱十年弐十年となり疎遠でも有る。
壮年の域にはいれば五壱十の後半であるが何事にも文句を言わないと気が済まない性格極まり
眉間の眉を寄せて潜めているから表情が厳つい。目に付く物全てに文句を欠かさないのは曲だろう。
祖父も親父も薄毛に悩ませられていたが当人は結構な毛量を蓄え、七と三に分けて居るが拘りもあり
塩海渡り大陸の向國から態々取り寄せた艶油でガチガチにかためて流す。
以外にも背も高いのではあるがそれ以上に小太りのであるから腹もでっぷりとしてる。
つまりはっきりと言えば腹肉のでたおでぶである。
起こり曲もあるしぶっとい眉が眉間の間も狭いから一本眉に見えるし、若い頃に柔術の試合で畳に
顔面から堕ちて右に曲がる鷲鼻でもある。結構大きな鼻であるし曲がれば不格好だ。
厚ぼったい唇も女性であれば艶もあると見初められても漢児であれば只の蛭唇であれば不格好の極みである。
それな壱壱でも運巡り伴侶を得た事も有る。人並みに幸せを感じるとは言えないかもしれないが
美形麗しい豊満な四肢を持つ妻と父譲りと成る物を全て拒み母似の美貌と特性を受け次ぐ娘にも恵まれるが
夫婦の仲絆も時が貯まれ流れば小さな争いもいちいち大きくなる。
あとは祭りと何れ破綻と離縁となって娘絆も切れて顔も観れずと壱十年・壱十五年と成る。
其の頃からだろうか壱壱自身の性格も螺子曲がる暴食に奔りおでぶ街道真っしぐらとなったのは。

「さっ・・・寒い。こんな日は自宅で炬燵に籠もって・・・・」
「權田壱壱弐等研鑽員ですね。
貴方は今日から精錬人形研究所に強制配属となりますの。車が待っておりますので。あちらですの」
「なっ!。これは又彼の霊峰富士の御山にも勝ればけしからん乳肉である。いや・・けしからん。
あっ、御免なさい。余りに御美しくもご立派なお胸をお持ちで・・・ハイ。小生助平な爺です」
言葉は耳に届いてはいたが視界のほとんどを埋める女性の乳房から視線を離さず言い訳に勤しむ。
「あちらです。お迎えの車が待っています」
軍務連絡事項を伝えるべきにと結構長い時間軍局の階段上で待っていた女性将官は初対面にいきなり
自分の四肢を視姦され褒め言葉とは言え漢の欲望のあつかましさに呆れ眉を潜めて向うを指差す。
「あっ。御免なさい。塩対応ありがとう。・・・てか・・・小さいくない?
あの車ちゃんと動くのか?儂って結構恰幅だけど・・あっ。おでぶです・・・只のでぶです」
ぎりぎりと眉を潜め腕を真っ直ぐ持ち上げ權田壱壱が乗り込むには小さい軍用車を女性将官が示す。
「これから精錬人形精錬人形研究所に移動願います。勿論に場所も其の情報も厳密に秘匿されていますの
・・・詰めて頂けますか?私奴乳房もそうですけど・・お尻も大きいので・・・」
「おおっ。なるほど胸乳も尻も大きとは・・・。伴侶がいらっしゃるなら羨ましい。
乳尻の大きい女性とでっぶり腹の凸凸コンビですな・・・・あっはっは!・・・・あっ御免なさい」
「夫がいますの・・・・」自分は誰かのものであると不作法に視線を指してくる壱壱を諌める。
「おうぅ・・・これは失礼。夫持ちのは知らず。ふむっ。羨ましいでございますな。これ又失礼」
夫持ちと言えば縁を合わせ契を交わすことでも有り単に言えば結婚していると言う事である。
世の習わしであれば相手に伴侶が居ると知れれば疚しい考えは引けるべきでは有るが
一応は小咳を払い襟を正す物の權田壱壱と言う漢はそれも又一興とでも言うのだろう。
腹を突き出して前を直視するが横目でちらちらと盗み舐め回すのは辞めようともしない。
櫻宴廻里と名乗る女将官の軍位は大尉であり只の研鑽員である權田壱壱よりも遥かに位が高い。
幾ら美人で豊満な四肢を誉としていてもいつまでも欲望にまみれても居られない。
其れが秘匿されていると教えられる精錬人形研究所は場所も状況も全てが本当に秘密にされて居るらしい。
狭い軍用車の中で凸凹の道に悩まされつつも説明を求めた壱壱であるが。
「秘匿事項ですの。貴方の腹回りと一緒に人前で公言するべき物では有りませんの」
じっとりとした視姦紛いの視線に嫌悪感を隠さずに言い捨てる。
「そうは言われてもあまりに急な移動であるし。
何より儂は一介の研鑽員であり精錬人形等触った事もなければ一つの知識もないのだ。
そんなので何ができると言うのだ・・・。大体にして軍は何を考えて居ると言うのだ?」
日昇る倭ノ帝國。遥か昔からも数多くの戦を経験してきた國の一つであるから軍も当然にある。
否然し、得にその陸軍は曲が強く一介の漫才師を無理やり軍属にしたかと聞けば
数々の難題を投げつけ今となっては塩海の向うまで鶏竜で大陸飛びを敢行させたと思えば
英雄狩りとか無碍な問題を片付けようと奮闘させているらしい。
随分と酔狂な難題を軍命で有ると言い切る曲は特に帝國陸軍の十八番らしい。
その日まで余り覚えてなくてもけれども壱壱自身もその帝国陸軍に所属していると思い出し笑うしかないだろう。

日昇る倭ノ帝國・陸軍所属精錬人形制作研究所。
そこに至るまでに櫻宴廻里大尉と權田壱壱研鑽員は随分と大変な思いをすることになった。
昨日までの權田壱壱の勤め先は軍研究所と言う訂はあっても軍の兵器技術を民間に下ろす為の簡略した研究が主だ。
既にある技術を平にならし軍事的要素を平たく叩いて差し支えのない程度にするのが仕事でもある。
其れこそ戦兵器としての精錬人形の制作研究所等に詰め込まれても役にたつはずもない。
大体にして豊かな四肢を持つ人妻上官と狭いく軍用車に壱刻と半分詰め込まれ気まずい雰囲気を耐え
やっと到着したのが飛行場であれば快適さ等全く持って考慮されていない軍用機に詰め込まれる。
「わっ、儂は空に昇るのは人生でも初めてある、その初めての空旅がこんなに激しいとは・・・」
大体にして大型の輸送機であるから図体がでかいのは良いとしても元より乗員の事は軽く観てるのが常である。
数時間もの間広くて寒い飛行機の硬い椅子に縛り付けられガタガタと揺れる状態で参刻余りも我慢の極みでもある。
せめても救いは対面の席に黙して座る櫻宴廻里大尉の四肢を視姦する位しかもないのであろうが
余りしっかりと視線を投げつけてばかりだと文句どころか拳が跳ねて飛ぶに違いない。
不摂生な生活と肥満を体現する權田壱壱であっても研究所に隣接する滑走路に降り立った途端に色々縮む。
「秘匿研究所と言うのはわかる!だがこんな寒い所に作る必要があるのか?
脂肪は着込んで居ても寒いのだ・・・寒くて腹の脂肪は役立たずである・・股間も縮む・・・」
「軍属漢の曲にこれくらいの事で息を上げるとか情けない。まだ距離はありますよ」
散々に自分の四肢をずっと視姦してきた權田が前かがみに体を丸めガクガクと膝を鳴らし寒さに必死に
耐える姿は滑稽すぎる。尤も最初から寒い地域に基地が有ると知っている櫻宴廻里であれば
あらかじめ厚めの軍用コートを用意している。平気と言ってしまえば確かにそうであっても
息を凍らせガチガチと歯を鳴らして後ろを付いてくる權田も少しは可哀想に思える。少しだけではあるが。
生まれて始めて空を翔んだ權田がやっとの思いで地面に足をつけたが今度は驚嘆な寒さが観を包む。
一介の研鑽員の權田になんの用事が有ると言うのだろうか。まぁそれほど重要な件でもないのだろう。
それなりにも重要な軍務関連であれば相当の対応がなされるはずであるがどうやら其れもない。
仕方がないから着陸した飛行機から勤務する研究練まで厚手のコートを着込んだ櫻宴廻里の後ろを
必死に足を動かして付いてくがその姿はやっぱり滑稽である。
「さっ、さっ、さっ、さっ、寒い。すっごく寒い・・・」
「しょうが有りません・・・今日だけは気を使って上げますの。はい。御茶ですの」
「あっ。ありがとう。申し訳ない・・・ぷはぁ~~。苦いっ。ものすごく苦っ・・・・」
やっとの事で研究練の玄関にたどり着き寒さ地獄から抜け出た待合室に櫻宴廻里が温かい御茶を持ってきてくれる。
「あったまるっあったぅまるのは良いが苦い。苦いのだ。苦すぎるがあったまるっ」
「苦いのは当たり前ですの・・・・その御茶は苦いので黄砂糖を加えて頂くのが作法ですの
慌てん坊でがめついとは本当に腹の突き出たおでぶさんです事」
その日に出会ったばかりであっても權田の漢欲のお陰で印象は悪い。軍務絡みでは関わりたくないとも思ってる。
自分の四肢を公然と視姦するふしだらな漢であっても又、漢でもあり世間的にも夫や漢に仕えるのが世の常であれば
気は乗らなくても一杯の御茶を届けるのはさほど苦にもならなかった。
それでも目の前で届けた湯呑み丸っこい指で急いでつかみ厚ぼったい唇を大きく開け一気に飲み込む姿は滑稽で
更には苦い御茶と知っても寒さに耐えられず煽る姿は滑稽すぎて呆れてしまう。
「さっ、砂糖いれるのか?其れは知らなんだが・・・・とにかくも旨い御茶を有難う」
砂糖を入れて味わう御茶の其れを入れるのを忘れてしまったとしても寒さには耐えられずも
恵んでくれたとも言える一杯の御茶と心遣いに素直に感謝を述べるのは捻くれても人としての礼儀は有るのだろう。
「只の御茶一杯でそこまで感激出来るのも不思議で御座いますわね。
其の感謝を働いて下さい。稼ず者。腹と財布を満すに至らずで御座いますの」
二杯目からちゃんと砂糖を加えて飲み干す御茶に満足そうに頷く權田に容赦なく命令が下される。

その日いつもと同じ様に勤務先に付いたと思えば顔知らずに乳と尻がやたら立派な女性士官に軍用車に投げ込まれ
今度は凍空をやたら煩い軍用にに詰め込まれ着いた地面が雪氷が吹雪く土地である。
なんとか体を温め其れらしくにと体裁を整えた權田壱壱が櫻宴廻里大尉が案内した場所。
「なっ、何なんだ。此処は・・・・・?
わっ、儂は一介の研鑽員だぞっ。役にたつはずないだろ?何が出来るって言うのだっ」
真っ直ぐに伸びた研究練の廊下をそこそこ歩き扉を開けた其の先を覗き開口一番、權田は声を荒げる。
其処は只に広いというのではない。広さを示す坪で示すなら五百坪を超えているだろう。
天井は高くも雑多な梁もなく吹き抜けの構造でもある。広い床には權田には理解しがたい機械が狭しと並べ等ている。
幾つもの区切られ、有る場所ではと特殊な器具が据え付けられているかと思えば
其の横では観た事もない工具を握る工員。作業台を弐人参人、五人と顔を寄せ額を合わせて討論する者も居る。
壮大とも言える何かの研究施設なのはなんとなくも理解出来ても、肝心の何を作っているのかまではぴんとも来ない。
「權田壱壱特別主任殿の持ち場はこちらになりますの」
漢共を気遣う妻と女と言うよりは軍務を務める将校としての気迫を込め櫻宴廻里がきつめに言葉を発して歩き出す。
あれやこれやと雑多に積み上げられた鋼材と部品。其れを扱う軍属の工員。
權田壱壱は確かに愚才であっても飛び交う声と交じる言葉に違和感が有るくらいは感じ取られる。
これだけの広さと人が働いて居るのにもかかわらずも、何か不安と違和感を拭えない。
物事が上手に回ってない焦燥感が研究工場全体に広がっている。
「精錬・・・・人形。精錬人形制作工場なのか。
否然し。否然しだっ。どの人形もか作りかけではないか?
一体・・否っ。一人とも完成して居ないのはどう言う事だ?何故に皆未完成なのだ?」
「御明察で御座いますの。
確かに此処は精錬人形兵の研究制作研究所及び工場ですの。
察しの通り制作されて居る精錬人形兵は全て未完成ですわ。そして其の原因はおでぶの貴方が関係しているのです」
自分が担当するべき作業場に案内された權田の後ろで巨峰なる乳房を腕を組んで支えながら櫻宴廻里大尉が言ってくる。
精錬人形と其の人形兵。
大陸規模で古から繰り返される戦闘と戦争。
人々が一人いれば我儘ですむが二人集えば揉め事を生み争いが怒る。
一つの地域であればたわいもないだろうが大きくなれば國どうしの争いにも戦にもなる。
刻。一刻と戦争の中で生まれる技術は精査され民間にも還元されて行くものである。
進歩していく技術は新しい兵器を生む。其れを極めれば兵器も兵士も進歩していく。
いつの日か目指す先が命かけて戦う兵士も人工的に作られる人の形をした人形が兵の代わりに戦を行う。
最初の世代の戦人形兵は戦場に送られ劇的な成果も上げている。
「何だというのだ。儂は一介の技術者でしかないんだぞ?
頭に浮かぶ回路図を紙に線を引くのが仕事の只の設計者なんだぞ。其れが人形とどういう関係が有るというのだ?」
憤慨する權田の背後でじっと成り行きを見つめる櫻宴廻里でもある。未だ言いたい事があるとでも言うのだろう。
「權田壱壱上級主任殿ですね。助手を務める都筑と申します。
早速ですが壱壱式基幹回路の調整をお願いします。なにせ壱壱式回路は曲が強すぎて他の回路と相性が悪くって」
「いっ、壱壱式?。壱壱式基幹回路?
其れが何だと言うのだ?確かに儂の名前にも聞こえるが。そんなもの書いた記憶も覚えもないぞ?
ここ数年の仕事って暖房冷房可能な冷蔵庫の制作だぞっ。基幹回路なんて書いた事も・・・」
周りを囲む研究員に気圧され理由もわからずに今度は自分の名前とも聞き取れる基幹回路がどうのこうのと
言われても納得もいかずにやはり理由もわからない。
「精錬人形壱壱式基幹回路・・・・。
随分と昔。名も知れぬ機械設計大学の院生が卒業課題の一端として生み出し教授に提出した基幹回路設計図を指します。
その回路設計図は当時にしては余りに斬新な理論に基づいて立案された回路であり
技術的にも理論的にも実現等出来るはずもない卓上の推論と揶揄される程度の物でした。
否然し。刻は巡り現実として精錬人形兵が生み出され実際に戦場へと投入される昨今の時代。
尚に兵器としてさらなる進化を求められる刻。我が帝国陸軍情報部が掘り出した壱枚の設計図。
それは確かに精錬人形の基幹回路の為に考案された精密基幹設計回路ですの・
その設計を書き込んだ設計紙の裏に日付と一緒に確かに權田壱壱と記載れて居るのです。
設計図は見事極まりと知っても。字が汚くて制作者の割り出しに参年かかったと情報将官が豪語してましたの」
昨日まで暖房可能な冷蔵庫と意味わからずの電化製品をつくるのが仕事であった權田の後ろで
重そうな乳房を腕で支えながら櫻宴廻里が凛とした姿勢で言い告げる。
「・・・・ああ・・・。
たっ確かに学生時代は回路設計を志していたぞ。随分と心ざしも高くも若気の至りである。
随分と苦労した挙げ句やっと提出した回路図の裏になぐり書きで名前も刻んだが・・・・。
遂にも教授は認めなかった。・・・・・お陰で卒業補修の憂き目を喰らい。
卒業が半年も遅れて弟にも馬鹿にされたのだ・・・苦い思い出である・・・帰りたくなってきた・・・」
告げられた櫻宴廻里の言葉に記憶を弄ってみれば結構辛い記憶が蘇る。
情けなくも腹を凹ませ息消沈する權田の視線をその日から助手を務める都筑という女性が作業台を示す。
促され覗き覗きこむ作業台の上には古ぼけカビ臭い設計回路が壱枚乗っていた。
感慨深くも懐かしく確かに若気のいたりと勢いで書き殴った帰還回路の設計図である。
何気なくも丸っこい指で紙隅を裏返してみれば確かに自分の名前が書いてもある。
日付と署名、そして以下に苦労してこの回路図を書いた気持ちと言うか自画自賛の文章も刻んだままになっている。
「ふっ、ふむ・・・。
たっ確かに若い頃に儂が書いた愚作であるが・・・若気の至りと言うか理論より推論と言うか。
其れを今更精錬人形に使おうなんて無理がるのではないか?元から想定などしていないし
他の回路とか仕様とかに合わせてるわけでもない。・・・・それに儂は人形の知識などもってはいないぞ」
若気のいたりと言えども自分が書いた回路が軍の兵器に使われている。
思いがけずの誉であっても、其れがうまく言ってないと断言されれば悔しさもある。
「若気の居たりといわれても・・・想定されていないとしても
次世代の精錬人形兵の基幹回路には壱壱式しかないのです。其れが全てなのですの。
知識がないと言うなら学んでくだいませですの。頑張ってくださいませな」
散々に視姦された腹いせとでもいうのだろうか權田の書いた設計図に被らないようにと気を使いながらも
ドスンと音を立てて精錬人形に関する資料と教本が霊峰如くとうず高く積んで山と成る。

「何だと言うのだ!儂の基幹回路が原因で人形が動かないとでも言うのか?
儂の基幹回路では構造組織と相性が悪いと言うのか?儂が悪いと言い切るのか?」
「そうでは有りません。その・・・何と言うか・・・相性が悪いと言うか・・・その・・つまり
壱壱式基幹回路は性能が特殊な程に性能が良すぎるのです。他の構造機器との相性が良い悪いではなく
本来の性能を発揮する以前に動作しないと言うか・・・・とにかくなんとかして下さい」
「何をどうしろと言うのだ?弐十年も前の事なんだぞ?
そんな昔に勢いで思いついた絵空事に近い物なんだぞ?其れを他の構造装置と繋げろと言うのか?
無理に決まって居るだろうがっ。無理無理・・そんなの絶対に無理であろうがっ」
豊満な四肢を誇る櫻宴廻里大尉に精錬人形研究所とやらに無理やり詰め込まれて早三日となれど
權田が担当する第壱研究班の作業場では主任足る權田と助手の都筑。
それだけでは足りず常に数名の研究員と人形工房人が喧々諤々と額を突き合わせ喧嘩の如く意見を戦論する。
「大体にして基幹回路もそうであっても構造自体が脆すぎるのだ。其れを何とかするほうが」
「戦ですよ。更にゆくゆくは民間にも供与されるかもしれず人種人類とも共存も有り得る人形達です。
命を削る兵士でもあれば愛でて欲される愛玩されるべき人形です。繊細さと美麗は必要です。
もっと構成物への負担を考えていただないとっ」
同じ研究員であっても上司となる權田に奥面もなく意見と要望がぶつけられる。
「どうしろというのだ。壱壱式の性能について来れない構造物。
それらに合わせれば基幹回路の性能が落ちる。回路に合わせれば今度は構造物の耐久度に影響する。
回路の性能を落とせば言葉一つ発せない人形の如く。構造に合わせれば指一本も動かずである。
美麗で有るが故にも四肢の一寸も動かず話せずとは・・・・不憫でならない・・・・うむ・・・・」
作業台の回路図と参考資料の山々と黑頭の人だかり。
その視線の向うに斜めと据え付けられた作業台の上に一体の精錬人形が括り付けられ横たわる。
日昇る倭ノ帝國精錬人形兵・第弐世代・壱壱式基幹回路搭載雌型・試験弐ⅱ之壱号。
通称弐ⅱ壱。
權田壱壱が改て担当する事になり一応の由縁を加味して命名した正式型式名である。
既に実践と戦に送り込まれている第一世代の其れが壱壱というものであれば權田が考案した基幹回路を
搭載する次世代精錬人形は弐ⅱの型番が振られる事に成るだろう。その最初の機体が弐ⅱ壱である。
確かに戦兵として投入される可能性が有るとは言え未だ少女と言える壱十と禄か七の年齢の四肢を模しても居る。
人種人類で言えば幼さの残る少女の姿をしているが固定作業の上に縛られる精錬人形・弐ⅱ壱。
その姿は当然に未完成である。幼くも可愛い顔の作りではるが多少にもその造形に權田は苦言を漏らす。
所詮は人形であっても余りに人形すぎる無表情なのは気に食わぬと權田は言い放つのだ。
基幹回路の設計者であり上級主任の要望であればとなれば少々古風に思えても変更が加えられる。
權田の趣味極まりといっても四肢の大半は未だまだ未完成であ上半身は整えられていても
腹下は構造物がむき出しであったり脚は別の作業台の上で組み立てと試験が繰り返されていたりと
權田自身も苦労の末に少々体重が堕ちたとぼやく今日このごろであっても
やはり自身が考案し理想とする性能と構成部品との隔たりが余りに多すぎて
精錬人形・弐ⅱ壱は日を跨ぎ週を超え月を巡ってもその瞳を開く事も
仮に接続された腕の指一本動かすことは出来ないでいた。
「何故だっ?
基幹回路の性能に構造物が合わない全く持って融通が聞かぬ。
どうしたものかと思案に明け暮れても一行に動かぬどころか目に光も宿らずで有る
どうやら儂は無能らしい。若気の至りとはいえ描いた夢は夢想に過ぎずと絵空事なのか・・・」
髪輝油で撫でつけた七と参の髪も最近は乱れ少痩せたとぼやくのは食事をする間もないに等しいからだ。
「気落ちするのはおでぶの貴方らしくもないですの。
まぁこればかりは才能の限界とでも言うのでしょうか?」
何処か何かと嫌味混じりに櫻宴廻里が言い捨てはするが多少は心配もしてると言うか
荒みつつある生活を気にして小鉢に菓子と砂糖を抜いた渋茶を作業卓の上にトンと置く。
緩やかにもほのかに屯する渋茶の湯気に權田は思いを巡らせる。
良く観れば縁起物と言われる茶柱が湯面に浮かんでいるのは偶然だろう。
「あの頃も良く茶を飲んでいたな。儂っ。コーヒーとか紅茶とか嫌いで。
寧ろ飲めなくな・・・。倭の漢であればやはり酒と御茶・其れに限る・・・。
論文を書いていた時も飲んでいたな・・・・確か・・・越後大丸屋の・・・弐番出汁茶の・・・
弐番出汁茶・・・・弐番出汁・・・あっ!弐枚目。・・・・弐枚目だ!
おいっ。貧乳妻の助手の都筑!弐枚目はどうした?此の基幹回路の弐枚だっ。
この基幹回路図は弐枚で一組だ。弐枚目どこやった?
あの二枚目こそ此の人形を動かす鍵だぞ。
壱枚目が基幹回路であれば弐枚目こそが其れを実際に運用する為の統合構造を示しているんだぞ。
壱壱式統合基本構造システム・・・。其れこそが要なんだぞっ」
「ひっ貧乳妻ってなんですか?え?設計図って弐枚有るんですか?
壱壱式統合基本構造システム・・・ってなんですか?
今ですか?なんで今思い出すんですか?そんなのどこに有るかわかりませんよ?」
深夜の丑三つ刻も近くと其の日もねばり家に寝台にもたどり着けず椅子の上でうとうとと眠かきに
落ちると權田が肩を掴み激しく掴み激しく揺する
「頼む。櫻宴廻里殿。
儂の設計回路図は弐枚有るのだ。失念していたのは年と食欲に駆られた怠惰な生活のせいだろう。
思い出そうにも細部までは今直ぐには無理である。呆けたのは食と色の性とも認めよう。
それでもどうかあの弐枚目を探してくれ。頼む」
未だ眠たそうな助手の四肢を揺らしながら首を回し櫻宴廻里に權田は懇願する。
「弐枚目?あの設計図に弐枚目が有るとは初耳ですの。
成る程合点が行きますわ。いくら腹が出てるおでぶちゃんでも弐枚目の総合構造がなければ動かないと!
ちょっと情報部の野郎共叩き起こしてきますの」
「宜しくたのむ。櫻宴廻里殿・・・
こら、寝るな。貧乳妻奴。其れで終わりではないのだぞ。
紙をもって来い。大き奴だ。其れに鉛筆の芯を磨いでくれ。
基幹回路と総合統合システム。
其れを精錬人形に再統合せねばならないだぞ。寝てる暇なんか有るかっ。此の貧乳妻奴」
「ひっ貧乳でも需要あるもん。私奴の夫様大好きだもん。
えっと紙と鉛筆ですね。持っていますよ。はいはいっ」
貧乳貧乳と連呼されるのが気にくわないのか。いじけつつもよくわかってもないのか
とりあえずは備品管理購買部へと貧乳妻の都筑がよたよたと歩いていく。

權田壱壱が若かりし頃に夢想と精魂込めて勢いで書き上げた壱壱式基幹回路。
飽く迄も何かを動かすと言うよりは其れ単体でこそ性能を極限で発揮する回路であり
その計算能力は比類なきものでもある。幾ら若気の居たりと勢いであってもそれだけでは意味もないと
若かりし權田も辛うじて理解して居たのだろう。苦労して生み出した基幹回路の性能をそのままに
何とは言わずとも他の構成回路との接続を統合する回路システムを構築もしていた。
尤も若かりし權田自身もこれが実際に制作されるとは思っても信じても居なかったので飽く迄も机上の理論である。
それでも考えられる限り現実的な手法を用いて制作された物は壱壱式基幹回路と他の構造をつなぐ
一種の統合システムでもある。例え主たる基幹回路を記載した壱枚目と其れを拡張した構成統合システムを
記載した二枚目の構成模式図。大学院の卒業理論文として教授に提出されたものは弐枚一組であったが
目に留まる基幹回路図に比べれば弐枚目は軽視される。
教授は確かに弐枚一組で受け取ったし、審査も其れで行われた。その上でも余りにぶっ飛んでると言う評価の為
結局、權田は半年間の卒業補修を受ける事になる。想像するにはその時までは弐枚一組であったと思われるが
何しろ今刻に至るまで弐十幾年の月年が流れている。
何時どの時に居たり陸軍情報部の食指に絡まった時には古びた黄色くも脆い設計紙壱枚であった。
丑三つの頃に弐枚目の存在をやっと思い出した權田。
嫌いであっても一応は気を使ってと眠気覚ましの御茶を届けたタイミングで騒ぎ出した權田。
噺に上がった弐枚目の構成模式図を探せと陸軍情報部に怒涛の連絡をいれる。
帝国であるから深夜問わずに詰め所に誰かかしらと待機してはいたが、生憎と一兵卒の坊主でもあり
主要主任に連絡がついたのは良く朝でもあった。
昨夜は久しぶりに妻との営みに腰を振って壊れかけさする主任の元に設計図の他に構成図があると知らされる。
とは言え。だからと言え弐枚目の手がかりは全くと言うほどかった。
「何だとっ?權田氏の設計図は弐枚目が有るだと?聞いてないぞ。
大体にしてあの設計図の入手だって放とんぞ偶然と幸運の賜物なんだぞ。
其れに大学から買い取るのにどれだけの予算を投入したと思ってるんだ?
えっ、その時は弐枚一組で買い上げたと記録にあるって?では軍の管轄にあるはずなのか?
書庫を漁れっ。全部だ。全部の書庫を漁るんだ。予算?知るか?人員を全部突っ込んでも探し出せ」
妻のねっとりとした責めと誘惑にまけた自分を呪うしかなかった。
陣頭指揮を取るべきであっても腰が傷んで満足に動くのも億劫である。
机の上の古い使い込まれた黒電話の受話器を握りしめ各所部署に怒り腰痛と焦りを隠さずに連絡を入れまくる。

權田壱壱が絶対有ると言い切るに枚目の設計図。
壱枚目を手に入れてたのが軍であっても弐枚は軍が紛失したとでも言うのだろう。
そこそこに大きな紙であっても所詮は壱枚の紙である。軍の倉庫や書記庫を漁れと言われても無理が有る。
素人が見ても其れが何だとわかるはずもなければ手がかりは紙面裏の權田の署名一文のみである。
該当の書類を探すとなれば上官に言われ書庫の書類を一枚弐枚と捲り紙裏の署名を確認する。
機械や道具を使う事は出来ないから人の手で一枚一枚と書類の裏を捲り確認していくのはやはり人海戦術しかない。
二十年前の棚に頭を突っ込み手袋をして其れらしい書類を出しては捲る。大抵は違うから又棚に戻す。
恐らくは陸軍の倉庫書庫に有ると思われて居たがどうやらそれも怪しいかもしれないとなれば今度は海軍だ。
陸軍大将と海軍の関係者との間で要請と話し合いが持たれ海軍でも書庫荒らしが始まりつつもある。
ちなみに陸軍と空軍は仲が悪すぎるから交渉は難航するために空軍は我関せずの立場をもしばらくは取るだろう。
三髪惣助二等兵・・・・。
極めて怠惰な性格でだらしなくも出来るだけ仕事をさぼろうとする癖もある。
その割にちょっと背が高く学生時代に拳闘部に所属して居たためにシュッとした体躯と見た目も悪くはない。
「ぬ~~~ん。大体にして權田なんちゃらって誰です?
時代遅れの小父様さんでしょ?そんな人が若い頃に書いたって言う書類なんてあるはずないでしょ?
頑張ってそんなの見つけたって給料上がるわけでもないでしょ?」鼻にかかった噺かたで喋るし訛もある。
ましてや軍属先が海軍の隅っこである。
帝国海軍・北東観測支部。
倭之御國帝国軍のその領地。その最北端に位置する観測基地でもある。
此の支部基地は極寒の土地に位置している。軍務絡みで基地から出なければならない時は兵は暖房防具が欠かせない。
観測車両から降りて作業をすれば二十分経過すると極寒手当が必ず支給もされる。
極地とも言えるその基地において暖房設備は命綱に等しい。とてもとても大事な事である。
「おい!三髪二等兵。
参号暖房機の調子が悪いらしいぞ?お前言って直してこい。」
その日は当番でもないのに自分をこき使う上官がいらない命令を投げてくる。
「ええっ。僕っ。今日は当番じゃないですよ。一番楽な五号機の担当ですし
参号機って一番面倒な奴でしょ?確か壱壱式薪ストーブ權田君参号ですよね?
あれって性能は良いけど一度拗ねると調整が難しくて・・・・」
「お前何言ってるんだ?五番機なんてまともに動かないだろ?
参号暖房機權田君参号機が有るから我等は凍え死なないんだぞ。参号機のおかけじゃないか?
其れに調子が悪いって言うときこそ指示書があるだろに。詳しい手順指示書が有るからこそだな」
「あれ?壱壱式・・・・・權壱壱式薪ストーブ權田君参号?
あれ?どっかで聞いた名前のような?どっかで聞いた・・・単語ぽいぞ?
あっ。權田壱壱殿。・・・・あの手順指示書の裏側に權田壱壱って名前が・・・うぉ!っ」
何を言っているんだと怒声を上げる上官の怒鳴り声を無視して三髪二等兵は唸りを上げつつも
調子が悪いと言う山号暖房機施設に走り込む。
「どいてくれ。退いてくれ。
そうだっ。これっ。これだ。壱壱式薪ストーブ權田君参号。
これの手順指示書のその元は別な紙であり何かの設計図だったんだ。覚えてるぞ。
權田壱壱氏が書いた設計図。難解で有るも革新的な構造図。
極寒の此の地に基地が設置された時に苦難の末に新しい暖房器が開発されたんだ。
その礎こそになったのが・・・此の基本構成設計図だ。
有難う御座います。權田壱壱殿。貴方のお陰で僕達は今日も御飯を食べられるのです」
極寒にて勤務する三髪達に取って確かに暖房機器は命を繋ぐ大事な物であり
その設備を作り上げた職人達が礎とした權田が書いた二枚目の構造図。
感謝せずに居られぬ感謝を込めて三髪が敬礼を捧げたその先に權田壱壱の構造図が硝子額に収められていた。

「帝国海軍・北東観測支部・三髪惣助二等兵っ。
同じく陸軍大将の要請により壱壱式薪ストーブ權田君参号の仕様書の写し及び
權田壱壱式統合構成図第一版原盤お届けに参りましたっ。」
三髪にしてみれば自分の勤務地に比べれば春も麗らかな風がまったり舞う程度であっても
本土僻地にしてみれはやっぱり寒い工房基地の滑走路にてビシッと敬礼する。
「でかしたっ!でかしたぞ。どこの誰か走らずとも良くぞ探し出してくれたぞ。
壱壱式薪ストーブ權田君参号と言うのはよく知らんぞ?そんな仕様書書いた覚えもないが
ともかくでかしたぞっ。三髪の惣菜二等兵とや感謝の印を示してやろう。
儂が直々にキッスをしてやろう。必殺でっ張ら剛腕サバ折りに抱きしめ連続キッスをお見舞いしてやるっ」
貨物機から降ろされる貨物を待つ間。ドカドカと地面を踏み鳴らし福達磨の如く突進してきた權田が
若き二等兵を鷲掴みに抱きしめ分厚い唇を滑稽に突き出しキッスと迫る。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってぇ~~~。落ち着いてぇ~~
おっさんの分厚いタラコ唇でおしつけないでぇ~~~。めっ目覚めちゃうから目覚めちゃぅ~~~
御姉さんの・・・綺麗な御姉さんの抱擁を希望しまっすっ」
男妾趣味でもなければ油臭いおっさんに太い腕でサバ折りに掴まれ顔面に何度も分厚い鱈子唇が押し付けられる。
壮年の癖に力強くも突き出た脂肪腹と太腕でガッチリ四肢を抱きしめれ身動きなど出来るはずもない。
「御姉様のっ・・・御姉様の豊満な乳房で圧迫して下さい。お願いします。」
「馬鹿者っ。御名子の乳肉も儂の腹肉も同じ脂肪である。
この基地の御名子共は情に薄いからな。儂の愛の抱擁で逝ってしまえっ。ぶちゅ~~~」
「むぐぅ~~。うぐっ。許してぇ~~。娼館通いが娼夫館通いになっちゃうから止めて下さい~~い。
御姉様。其処の綺麗な御姉様ぁ~~~~。観てないで助けて下さい。
目覚めちゃっうぅ~~。目覚めちゃうからぁ~~~~。僕めざめちゃう~~~」
うっすらと記憶の彼方にあった弐枚目の構造図が確かにあったと言う事と其れを運んで来た若造に
どれほどの感謝してもまだ足りずと渾身の力で抱きしめ唇を押し付ける權田。
「はいっ。確かに受け取りましたの。御苦労様ですわ」周りの茶番をなかったようにと冷静に櫻宴が対応を進める。
感謝の抱擁と言うよりはなにか違う方向で稚技とおふざけの戯れを横目に櫻宴廻里が受取所に署名を済ませる。
櫻宴が確認すると工房基地の作業員が荷物を受取り作業所へと運び込む。
その間も地につかない脚をばたばたと揺らすも權田の感謝は衰えず愛の抱擁を三髪は抵抗出来ず受け入れるしかなかった。

極寒の僻地の基地から權田が求めた弐枚目の構造書を態々運んできた帝国海軍将兵は受け渡しが行われる。
その間熱烈な權田の感謝の漢抱擁に締め上げられ何度も意識を失いそうになりつつも海軍魂でなんとか意識を保ち
「もう弐度とくるものかっ!極寒の僻地に籠もって、もう二度と出てくるもんかっ。小父様さんの感謝は怖すぎる」
やっと權田の抱擁から抜け出した少年海軍将兵は事実上の上司の權田に冒険を履くも腰が砕けで満足に歩けなかった。
「弐どきてやらないからなぁ~~でも。でも壱壱式薪ストーブ權田君参号作ってくれて有難う!
お陰で今日も御飯を美味しくいただけますぅ~~~」
四肢の力が抜けきり腰を砕いてしまえば立つ瀬もない。
仕方なくも自分の上司に支えられ負け惜しみと感謝を述べて去っていく。
なんとも滑稽で有りふざけた茶にも櫻宴廻里大尉も同様もずに軍事務をこなした。

「ここが こうだから。其れを其処に線を引いて・・・
そっちが其処へ繋がるのだから・・・あっ。御茶取って・・砂糖弐匙いれてくれる?
だから其の部品は駄目だろ?センスないぞ!お前。寺子屋行って来い。寺子屋」
学生の頃に勢いで書いた基幹回路と其れを他のシステムへと繋ぐ構成図。
ふたつの設計図を組み合わせ壱壱式基幹回路として他の構成機関とも連携が取れる。
尤もそれだけが全てではない。いわば基幹回路と構成回路。
確かに構成能の基幹回路を他の構成部品と組み合わせる事に格段に性能が向上する。
その発明制作者としての權田としても後の世代の今の軍兵器としての精錬人形兵に基幹回路を組み込むのは
結構大変でもある。何かの製品を生み出すとなれば其れの苦労は痛みが伴う。
古ぼけた紙に書き込まれた基幹回路と伝達機構。そして実際の人形兵の構成部品。
やはり一筋縄でいかないとばかりに精錬人形兵の誕生は今しばらくも時間を要する。





天鼠 蛭姫ノ壱

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