【女装男児】女装家且来素子闊歩歩いて候:其の拾之弐

アルメルダ騎士団の動きが変わった。
セルグがポリヌソワレに渡したcrabbomberの顔写真を元に其の顔の持ち主を探す。
それまでも爆弾魔が騎士団をねらって居るとは知られていたが最近は別のコミニティをでも
事件が起きるように成りもう自分達は狙われていないと油断もしていた。
更に最近起きが爆破現場を騎士団とは関係ない場所で在るとも思われてもいた。
然しどの事件現場ににも数名もしくは十人程度の騎士団員が餌食と成っている。
一件繋がりのないと観えた事件現場でもそれは騎士団員の勤め先だったり
活動資金の出資者が経営するBARであったりと必ず騎士団とつながりがあった。
騎士団幹部でさえ良くと把握出来ない事であっても新参者で在るはずのセルグは
正確に指摘し警告をも発する。

「それにしても直ぐ見つけられるはずじゃなかったのか?
あの若いセルグと言う奴が持ち込んだ写真は偽物じゃないのか?」
ほとんど全裸で黄色いソファに身を投げ出した総裁はポリヌソワレに問いかける
「あの子の情報は確かだと思います。私達が見つけられなかった情報を持っています。
写真に関しては手こずっていますがそれ程長くはかからないでしょう」
セルグには大きな乳房も丸い尻も喜んで魅せる癖にまるでそれが嫌だと言うように
頑なに肌を覆いつくした服で総裁の前に立つポリヌソワレが丁寧に答える。
「それより今週はどうなさりますか?もしかしたらもありますが」
「予定通りだ。予定通りに・・・。女も二人だ」ソファに持たれたまま若い総裁は吐き出す。
「解りました。総帥。警備は増やします」今度も又丁寧にポリヌソワレは頭を下げる。

「俺が支配者だ。俺に逆らう奴は皆殴って殺してやる」
「ジーク・アルデニュンタ」
「俺がお前等を支配するんだ。女を犯して漢も犯す。少女も犯して少年も犯す」
「ジーク・アルデニュンタ」
「異教徒は土穴に埋める。移民は木に吊るす。肌が黒いのは銃殺だ
「ジーク・アルデニュンタ」
「俺とお前等が最高なんだ。他の奴らが劣等種なんだ。穴に頭をうめて突き出した尻を犯してやる」
「ジーク・アルデニュンタ」
「俺がお前等の救世主なんだ。肌が汚い奴らは串刺しだ。油を掛けて火あぶりだ
俺が支配者で俺が救世主だ。お前等を支配する、肌が汚れた奴らを燃やし尽くせ」
「ジーク・アルデニュンタ。ジーク・アルデニュンタ。ジーク・アルデニュンタ」

指して広くもなくそれでもアルメルダ騎士団員が十分に30人程が床を踏み鳴らすBAR。
そのステージでマイクを握り声を張り上げるアルメルダ騎士団総帥メイケル・サブレヌ。
若くして騎士団の総帥となったメイケルは鍔を飛ばしある種のトランス状態の中で叫び恐る。
彼の声に答え胸を叩き自分を鼓舞してまた騒ぐ騎士団員達。
狂気とも言える宴はいつまでも続くと思われる。そして随便と長いあいだそれは繰り返される。

喉が枯れて吠えるのに疲れるとメイケルは胸を弐度強く叩きステージ上で息を整えると
その日もガッチリと肌を隠したポリヌソワレが丁寧に差し出した水のボトルを受け取る。
最初の一本を半裸と晒した体に頭から被り二本目をポリヌソワレの手から奪い取ると
喉を鳴らして呑み込むと再びステージの団員達に目を向ける。
その目に記憶の何処かにある奴の顔が浮かぶ。
中肉中背寧ろほっそりとした体付きに黒いフード。そいつはゆっくりと顔を上げると
メイケルの表情が一変する。あの顔写真の漢だ。鷲鼻が目立つが印象が薄い。
どんなに探しても指からすり抜けていくが。又直ぐに見つけたと噂に登る。
訳も解らぬがそいつが今と目の前に居る。
「御前っ。御前っ。御前っ。御前っ。彼奴だ。奴。捕まえろ」
突然に声を荒らげて総帥がさげぶ。団員が当たりを見渡しても仲間の顔しかない。
「御前だ。御前。爆弾野郎だ。早く捕まえろ」マイクを握り半狂乱に叫ぶと
フードの奴は右手をヌゥっと上げる。よく見るといつの間にかその体に爆弾らしい物が巻き付けられている。
「このやろう。自爆しようってのか?上等だ。かかってこい」強がりにも似た声をメイケルは叫ぶ。
フードの輩は一度上げた手を更に高くあげにたりと嘲笑うと握った起爆装置のボタンを押す。

ぱんっ。どこかで誰かが手を慌てて音を鳴らす。
大きく乾いた音がBARの中に響き渡り皆が首をすくめ体を縮める。
だが然し。ステージ上のメイケルは体を丸め頭を抱え戦々恐々と体を丸めガクガクと震えていた。
「随分と一人よがりに身を捩って喘いで居ると思ったが、今度は一人でかくれんぼか?
草場の影に曾祖父の霊も見つけたか?アルメルダ騎士団総帥とやら」
野太くも重みのある声がBARの客席に響く。いつの間にか巨躯を誇る熊の如きがそこに立っていた。
「誰だ?御前。誰だ。彼奴は何処だ?何処に行った?」
マイクを握りしめたままメイケルは先ず巨躯の漢に怒鳴りすぐに当たりを見渡す。
そこには確かにあの爆弾野郎が体にTNTを巻き付け確かにそのスイッチを押した。
「儂は御前の独りよがりの自慰が余りにも稚技に観えたのでな。
皆に見えない物が見えると言うなら臆病者との噂もむべるなるかな。うなずける」
「何を言ってる。観えただろ?お前等も。そこにいたんだ。彼奴が。絶対に居た」
そうは言われても誰の事だか団員達には分からない。
若しに見えると言うのならステージに向かってゆらりと歩き出した熊の如き漢の姿だけである。
「てめぇ。何者だ。今日は貸し切りだぞ。関係者意外はいれないんだ。」
「儂は倭之御國帝国陸軍且来素子准尉である。
日々に夜な夜な敵兵を殺して千切捨てるのが仕事である。
御前の様に自分は強い自分は偉いと虚勢を張って弱い者を虐めばかり居る餓鬼共とは違う。
「なっ。何を言って居る。俺は魔女アルメルダの正統な後継者だぞ。
御前みたいな野郎に何が出来る。でかいだけの取り柄の・・・」
且来は無造作に適当に目の前の漢の頭を大きな手で掴むとそのまま軽々と持ち上げて魅せる。
「言ったであろう。軍に身を置く兵士であると。
日々に敵兵を殺す鍛錬を積み重ねておるのだ。それも怠った事はない。
互いに命を削る戦さ場であれば少々度が過ぎてもお互い様だ。
されど戦さ場を一歩でれば。儂の手が握れば人頭を潰す等造作無い。
そんなに人が観たいならお前等の仲間の頭で見せてやるぞ」
事実容赦なく握りしめた漢の頭に遠慮も容赦もなく且来は潰しに掛かる。
団員の中には確かに人の頭が潰れるのを観てみたいと興奮を隠せない者も確かに居る。
だがそれも他人事であるからこそ股間の猛りをもぞもぞと隆起させるだけで。
熊の如きの漢が一人で満足しなければどうなる。一つの頭を潰しても飽き足らず
次の頭を握るなら、それは自分の頭かも知れない。
「銃だ。銃を持って来い。銃で殺せ。殺すんだ」壇上でメイケルが叫ぶ。
なるほど。それなら容易くもいかに巨躯の漢でも殺せるだろう。
総裁の叫びに答えてそれなりに若くも年嵩でもない漢が用心の為に持って来た拳銃を
背中から抜いて且来に向ける。
「構わぬぞ。存分に引き金を引くが良い。
ちゃんと狙えよ?頭か?心の蔵か?腹は止めておけ。何せ此の腹は弾も弾くからな。
お主。人を殺した事は在るのか?そもそも其のちっちゃい拳銃は玩具か?
到底。儂を一撃で仕留められるとは思わんが。良いのか?次は御前が儂の的だぞ」
みしりみしりと音がして頭蓋骨にひびが入る漢が且来の拳の中で聞こえる。
楽しそうに口を歪め頭を潰す感触を楽しむ殺人鬼がそこに居た。
これが終われば次は御前だと宣告をうけた漢は素直に諦める
且来の言う事は正しい。個の國で一般市民が所持出来る護身用の拳銃は
弾の口径が尤も小さい。飽く迄も護身用であり本気で人を殺すなら急所を確実に撃つ必要がある。
そして若しそれを外せば且来の手で頭が潰される。
幾ら自分が騎士団員と言ってもそれ以前に人と成れば自分の身に何が起きるか位は判断出来る。
漢は銃をステージの向こう側に投げ捨て両手を上げて敵意がないと且来に示し壁際まで下がる。
ふん。それではつまらぬがせっかくだからこいつの頭くらいは潰してやろうと更に力を込めれば
最初こそジタバタと手足を振り回して抵抗して居た漢がだらりと手を下ろし動かなくなる。
口から泡と涎を垂らし抵抗するところか気を失ったと言う所であろうが
既に頭蓋骨にはひびが入れば命も危ない。つまらん。次はどいつにするかと握った手を開き
じろりじろりと回りを見渡せば小波が引くように且来の回りに空間が出来る。
「何をしている。全員で掛かれ。全員で。俺は支配者だぞ。俺の言うことを聞きやがれ」
尚も一層に声を張り上げメイケルがマイクを握って喚き散らす。
何人かは威勢よく前出ようとすると他の騎士団が腕を掴み胸を圧して制止する。
「お前馬鹿か?勝てると思うか?一歩でも前にでて拳を上げて見ろ
相手は兵士だぞ?戦争屋だぞ?幾らお前が鍛えていてもだ。
あの腹を見ろっ。あれは人を殺す為の腹肉だ。あっという間に壁に押し付けられて
潰されるぞ。彼奴は漢の腹に潰されて壁の滲みに成ったってわらわれるんだぞ。
それにお前一人で済むと思うのか?全員だ。全員壁に肉の滲みを作るぞ。
皆殺しだ。彼奴はそんな事なんとも思わない。人殺しを仕事にして奴に慈悲があるかよ」
仲間を必死で止めようと言い過ぎたかと気まずさを感じ且来を見ると
全くその通りである言うばかりに自慢の腹を撫でわして不気味に嘲笑う。
自分が口にした事が嘘ではなく。あの漢は実際にやった事があると知ると
それでも前に出ようとする仲間を思わず殴って黙らせる。

「頼みの紐も切れそうであるが。さて。どうするのだ?
アルメルダ騎士団・総帥坊ちゃま。実は此処に来る前に美味そうな屋台を見つけてな。
儂としては手早く仕事を済まして食べたいのだ。仕事って何かと言えばだな。
アルメルダ騎士団とやらの解散だ。壊滅の方が儂の好みではあるのだが」
「なっなんだぉぉ。そんな事させる物か。騎士団は俺の者だ。俺が支配者だ。
俺が貴様等を支配するんだ。跪け。豚野郎。俺が騎士団の正統な後継者なんだ」
体を震わせてマイクを握り声だけは大きくメイケルは虚勢を張る。

「貴方はアルメルダ・アルデニュンタの後継者なんかじゃない。
もっと言えば此処にいる騎士団の連中誰一人とその資格はないわ」
凜々と鋭く尖る声がホールに響く。何ごとか誰が来たとばかりに入り口に視線を奔らせれる。
黒いレザージャケットに同じくタイトスカート。手に握るは先を平たく潰した皮の鞭。
派手なメイクは独特でこれでもかと長くのばしたまつげをパタリパタリと伏せれば
漢達の体を視姦する。真っ赤に塗った唇を舌で舐め回しては漢を物色する。
否然し決して今風とは言えなくも何処か古風な印象を受ける女性姿である。
つかりつかりとヒールの先で床と叩いて歩くと誘うように若者の前で腰を折り曲げ顔を覗く。
妖艶に微笑み顔前で唇を舐められばたまらない。
若い漢は鼻下を伸ばして思わず体を前に乗り出してしまう。

ぴしりと一閃閃光が奔り革鞭が唸れば若い漢の顔が跳ねて体もそれを追ってドサリと倒れ込む。
「アレはやばい。あの鞭には良くしなるが中に鉄の板が仕込んである。
彼の魔女アルメルダ様は二番目の夫を毒殺。参番目の夫を鉄を仕込んだ鞭で打ち殺してるんだ。
あの女性こそ。魔女アルメルダその人だ」
何事にも非常に強い好奇心と先ずに全部を調べ尽くさないと気が済まない団員が言葉を吐き出す。
涙を流し泡を吹いて倒れる若い漢を足元に身をろし自分の名前を呼ばれたかと
声のした方をに頭を巡らし其れが私の名前だとばかりににっこりと微笑む。
「その女は誰だ?何を言っているんだ?俺が正統な後継者だんだぞ」
「馬鹿じゃないの?後継者って言葉の意味知ってるの?
大抵の場合は血縁を指すのよ?貴方の名前違うじゃない。もっとも改名もしてるし。
メイケルなんて良く名乗れるものだわ。スッタ・モンダ・トンコイショの癖に。」
メイケルとは此の國の神話にも出てくる英雄譚の主人公の物であるが
後述の名前は学校の教師でも読み上げるのを憚り気を使う物である。
両親には罪はないだろう。子の幸せと昔からの習わしに従って子に送った物であるが
現代昨今には綴違いでは在るが聞こえる音は随分と情けなく汚物のスラングに聞こえてしまう。
当然。其れを聞かされた意味を知る団員は思わずに吹き出し笑ってしまう。
「何を云う?其れは俺の名前じゃない。俺はメイケルだ。それに俺は正統な・・・」
ぴしりと鞭が成って漢が倒れる。むかついた女が平皮の鞭を振るう。
「何時まで言ってるの?
それなら特定遺伝子継承による排他的民族主義と其れが何たるか言ってみなさいよ。
彼のアルメルダ曽御婆婆様が提唱なさった物よ。
後継者を名乗って拳を上げるなら知って当然よね?あんたじゃないの。
ちょっと可愛いけどあんたじゃないの。私はスッタ・モンダに聞いてるのっ」
自分は言えると胸上まで手を上げた漢はエリーヌに怒られしゅんと下を向く。
「それは・・・えっと・・・俺は・・・」
「特定遺伝子継承による排他的民族主義。その根本たる主要素は
特定遺伝子継承。つまり蒼い瞳と脚の小指の成長不良を促す遺伝子を示すわ。
蒼い瞳と大人に成っても子供みたいな脚の小指を持つ者。
それが後ろに続く排他的民族主義を唱える権利を持ち世界を支配する。
そう唱える思想主義だわ。今と成っては随分と馬鹿らしいと思うけど
当時は確かに蒼い瞳と脚の疾患を持つ人々は大勢いたの。
近親婚の影響とも言われているわね。その習慣も今はなくなったから
この二つの遺伝子を持つのは私と家族位かもだわ。きっと。
不名誉と言うのも気がひけるけど。
若し誰か私に魔女アルメルダの血を引いているかと聞くのなら
喜んで頷くわ。だって私の曽御婆婆様だもの」
エリーヌ・アルデニュンタ。
眼の前に真にアルメルダ・アルデニュンタの血を引く女性が目の前にいる。
否然し騎士団の全員が騎士団員としての資格がないと断言される。
互いの顔を見合わせても青でなく蒼い瞳を持つ者は少なく。
靴を脱ぎ靴下を引き脱ぎ自分の趾を確かめてもそれはちゃんと成長した物である。
つまりは騎士団として其の寄り心の排他的民族主義を理由に他者に拳を上げる
正統な根拠を彼等は取り上げられた事になる。
「道理で可愛い脚指だと思ってたが・・・つい愛でてしまったのもむべなるかなであるな」
「ちょっと何言ってるの変態。あんなことされれば誰だって喘ぐでしょ。変態」
のそりと歩きステージに上る且来の背中にエリーヌが声を投げつける。
「あんな事ってどんな事ですか?そこ詳しく。・・・ぐはっ」
空気を読まない若い漢が思わず聞いた途端にエリーヌの鞭が飛ぶ。
「もっとっ・・・」床に転がり変な声を出して呻く漢の背に又鞭が飛ぶ。

「詰まるところ。御前は総裁とか言う立場でも器でもない。
誰れでも良かったのだ。少し見栄えが良ければな。御前を持ち上げた輩に聞けば良い。
さて・・・。そろそろ腹が減った。終わりにしよう」
のそりとステージの階段を上がり切ると元総裁メイケルを見下ろし立つ。
多少なりとも体を鍛えるメイケルである。見栄えの良いだけの筋肉であるが
人を殺す為のものではない。精々女の前でポーズと取って撫で回して貰うためのものだ。
「俺は・・・俺は・・・騎士団の・・・」
「もう良い。御前が何者であるか。教えてやる・・・」
ばんっ。張り手一閃。音が弾ければメイケルは壇下に吹っ飛び意識が飛ぶ。
床に転がるメイケルの脚を引きずり持ち上げ腕をブンっと振って壇上に再び投げけると
小道具やハリボテの壁ががらがらと崩れて壊れる。
どずどすと遠慮なく階段を登るとメイケルの金髪を掴むを床に引きずり
そのまま体を持ち上げ邪魔だとばかりに擦り切れたジーンズを引きずり剥いで床に転がす。
勢い余ってブチブチと自慢の金髪が丸く抜けたのは愛嬌だろう。
事の成り行きを最初から舞台の袖奥ではらはらと盗み観ていたMis.ポリヌソワレに
且来は顔を向けそこに在るものもって来いと無言で言いつける。
怖さと恐怖で体が震えるが何をするのかと興味を唆る。
ポリヌソワレは言葉なく言われた通りに軽食変わりにと用意してあったサンドイッチを乗せた
紙皿を支えてステージに歩み寄るがそれをどうしたら良いかと解らずに
ついついに特別な趣向を持つ漢達を観てきたエリーヌに助け舟を求める。
はぁ~~~とため息を付いて細い指でつんつんとステージの床を指差してくれるエリーヌに
合点が言ったとばかりに目を光らせると細やかな性格も在るのだろうか。
床を手で履き埃と飛ばし其の上に紙皿からサンドイッチを直に置く。
別にその場に紙皿を床に置けば事足りるのであるが其の方がこれから起こる事の
見栄えが良くなるとでも思ったのだろう。丁寧に且来の顔を見つめてから
床に這いつくばるメイケルに向かって手の平を返し、どうぞお食べになってと示すと
成るべく目立たないようにと袖裏へと引き下がる。

「俺は・・俺は・・・そんな・・・」
眼の目の床の上に置かれたサンドイッチの意味をメイケルは理解出来ないでいた。
それ以前に顔を張られ頬は腫れ頭がよく回らない。
「さっさと喰え。雄犬。御前の本当の姿を観て貰え」
頭毛を強く引かれたと思えは引きずられ縮こまった性器を曝け出し
ぐちゃりと床のサンドイッチの上に顔が押し付けられる。
嫌だ嫌だと夢中で叫ぶが頭後の手重しが動くわけがない。
少しくらいは意地もある。仮にも自分は騎士団の。
主人に無理矢理と頭を押さえつけられる犬姿等演じて溜まるかと堪えると
前歯が砕け欠けて鼻が潰れる。丸めて耐える背中にビシっと鞭が走る。
ツカツカと壇上に上がった魔女アルメルダ・アルデニュンタが雄犬の背中を鞭で撃つ。
「御前のせいで何人死んだと思うんだよ。
お前等が買った恨みのせいでお前等がBARで騒いで射精する度に
巻き添えを喰らう人がいるんだよ。人殺し。この人殺し。
是非はともかく曽御婆婆様の名前の傘に来て自分は偉いって勘違いする馬鹿野郎。
良く見るんだよ。お前たち。こいつの姿がお前等だ。お前等は全員こうなるんだよ。
因果応報。お前等が蔑んできた人々がお前等を裁くんだ。
呪ってやる。曽御婆婆様の名において魔女アルメルダ・アルデニュンタが呪ってやる。
お前等意外のその家族を。母を父を子を兄を妹を従兄弟を叔母を皆々を
一生迫害蔑み惨めに野垂れ死ぬように此の私が呪ってやる」
そこがcrabの壇上であり役者が揃えば芝居見物にも観て取れよう。
違ったのは〆とばかりの高く撓って板鞭が雄犬の背中を打った時
呼吸合わせてこちらも〆とばかりに拳が頭をゴツンと打った事であろう。
どことなく芝居でも観てるかと陶酔しかけた漢達は目を覆い顔をそむける。
其れが現実と知らされたと同時にエリーヌが誓ってはいた言葉が胸に刺さる。
自分等の行為を過去の故人の思想に押し付け好きに勝手に他人を殴り虐げて来た。
自分達が憂さを晴らしにBARに繰り出し騒げば爆弾魔が餌としゃぶり付く。
騎士団の名を語り人を迫害してきたなら自業自得と観てとれよう。
然しそこに人集まれば犠牲も出る。それに気がついていても知らぬ振りを通しても
自分達はやっぱり人殺しに違いない。
魔女アルメルダ・アルデニュンタの直系の新たな魔女は呪ってやると口を開けた。
それも自分達ではなく愛しい家族を呪うと言う。
自分はのうのうと人生を満喫出来たとしても家族が迫害され野垂れ死ぬとなれば
はなしが違う。どんなに懇願しても罰から逃れられないだろう。
自分達は人殺してである。因果応報。それは返ってくるだろう。
魔女アルメルダ・アルデニュンタの呪いは解かれる事ないだろう。

「どうした?小童坊主共。
今日の出し物は終わったぞ。観ていただろう?なんとか騎士団とやらは終いだ。
早く家に帰らないと家族が呪われるかもしれんぞ?
もっともお前等自身の身を先に心配したほうが良い。騎士団は狩られるだろうからな」
ドズドスと靴音をならし壇上から降りて開ける且来の後ろを
未だ振りたりぬとばかりにエリーヌは手当たり次第に漢の顔に鞭を振っては
助けの手を伸ばし素直に握ろうと上体を起こすと其の顔に張り手を飛ばす。
エリーヌが歩いた後には痛みと快楽に悶絶し悶える漢達が床に転がる。

「は~~~い。皆さ~~~ん。順番に手を上げて出て来て下さ~~~い。
こちらはF.A.M.F.K.A(欧州アルメルダ魔法連邦犯罪捜査機関)の協力要請に応じて
編成された国際人道救援特別捜査課ですぅ。
貴方達は、こんな夜中に漢同士で乳首摘んで騒いでご近所さんが怒っちゃったの罪の
疑いで全員もれなく逮捕しま~~~す。
そこっ。手を上げるんですよ?パンツ降ろさなくて良いです。それは変態です。
公然猥褻ちょっと見せちゃったのね罪も追加しましすよぉ~~~。
そこっ。割り込みは行けません。何?逃げたい?殴って良いです。係の方。
三回位殴って気絶させて下さい。運搬楽になりますから。どうぞ遠慮なくぅ~~~」
何処までが真面目なのか随分と間延びした轟の声がハンドマイクから流れでる。
芝居掛かった一連の騒動の中且来とエリーヌがクラブを出ると
幕が終り自分等の夢の宴は終わったと団員達が肩を落とし帰路につこうとすれば
店の回りを國の執行機関がぐるりと囲む。
文字通り狩られると成るが整然と列に並んでバスに詰め込まれるのは遠足にも見える。
「もう少し後の出番でよかったのではないか?エリーヌ殿。
ちとばかり。儂の魅せ場が少ないようでな」
「我慢出来なかったの。この衣装来ちゃうと火照るのよ。体も胸中も。
それより殺したの?本当に。あのお馬鹿野郎」
「加減したと思うがどうであろう?
顔骨は砕けたと思うが脳汁は出ておらんかったな。旅先で殺めると後が面倒だと
小童が煩くてな。黙して川底に落とせば魚の餌と言ったのだが國事情も在るからな」
随分と物騒な噺を店しまいする屋台の主人を脅し態々に新しく焼かせた串肉を頬張り且来が嘲笑う。
「其れより本当に解散なんかできるの?潰したって言ってもまだのこってるわ」
「案ずるな。今の世の中噺は早い。後はもう一人の魔女がやってくれよう。
それで今宵はどうする?」最後の串肉の塊を口に放り込んで且来が尋ねる。
「勿論、三周するわ。あの雄犬の様に這いつくばってね。
好きでしょ。下着姿の雌犬の首輪を引くの。変態野郎。
こっちの変態は手がつけられないほど変態なのよ。だから好き」
やたらと塗りたくった口紅を且来の頬に押し付け腕を絡めてエリーヌが誘う。

「編集頑張ったの。ねっねっ。地味って言わないで。私の仕事は地味なの。
地味にコツコツ頑張って・・・頑張ってるのよ。もう。ピザ飽きたのよ」
何かと人でが居るように成りいつまでもcafeの軒先で顔を合わせるのが
面倒になると轟はまた予算とぶんどって来たとばかりに胸を張り
大きくはないが4階建てのビルを用意する。
一階はガレージ扱いで黒肌の運送掛かりのサイドカー。と且来が乗るバイク。
軍用車が数台とトラックが止まる。弐階は作戦室とたまり場であれば
三階四階が且来とその他の寝床となる。
此処に勿論Almelda409は姿を見せずであれば喰心坊の且来が取り寄せる
國の名物美味いもの試食会はお預けになる。
それでも地味な仕事といいながらもAlmelda409はしっかりと仕事を熟す。

アルメルダの解散模様はライブとまでは行かなかったがその日の内にインターネットに公開される。
勿論。あのBARには予め幾つかのカメラが設置されていたし騎士団の団長がステージ上から観てていた
爆弾魔の姿も確認出来る。もっとそれはAlmelda409が合成した拡張現実のひとつで
その場に実像はないのではあるがいかにも在るようにみせる一種のホログラムと言ってもよい。
確かにステージ上から見れば爆弾魔の姿が見えるが其れ意外の方向から覗き込んでも視えない。
幾ら壇上でメイケルが叫んでも他の団員には見えるはずもなく道化を演じるだけで在る。
其れ意外にもいろいろと編集が行われていた後から入ってきたエリーヌが女性であれば
メイクやウィックで幾らでも姿を変えられるが且来は違う。
もとから目立つ体躯であるし髪の毛も剃っている。街で見かけたら一目で分かるだろう。
それ故に且来の顔が映る場面は別の作り物の顔にすり替えられてもいるし
出来るだけ顔が映らないかめらアングルで動画が公開された。
その再生回数は直ぐに千を超え万を超え奥に届くところまで上り詰める。
國中の者がそれを観た。アルメルダ騎士団総帥の怒声から始まり爆弾魔に怯え
巨体を誇る漢が頭を抑え床の上にサンドイッチに押し付ける。
犬の様に這いつくばり背には魔女が鞭を打ち下ろす。
一種異様で有り一部の者には娯楽と刺激をもたらすかも知れないが
魔女が呪いの言葉を吐くとそれが嘘ではないと雄犬の顔が拳で潰される。
流石にモザイクが入り良くは解らなくても雄犬は生きてても自分で歩けないだろう。
何方にしても何があったにしてもアルメルダ騎士団は終焉を迎えた。
その日その場に脚を運ばなかった者も魔女の言う通り執行機関に指名手配される
か若しくは逮捕と成る。尤も人種差別とかを罰する法律も未だにない。
然しそれでも例えばこんな夜中に漢同士で乳首摘んで騒いでご近所さんが怒っちゃったの罪で
当局に逮捕された者達はその勾留機関の72時間の内に徹底的に素性と過去を調べ上げられる。
騎士団なんかの粗暴は集団に入って活動していれば大抵法律を何度かと犯していて
当たり前であり見つかった犯罪の罪で正式に起訴される。二十三十の罪が重なれば
一つ一つは小さな罪でも結局は刑務所暮らしが長く成る。
自分達が総帥と崇めた漢の偶像は崩れ爆弾魔の影に怯え最後には自分より強い漢の
前に抵抗出来ずに床に顔を付けて食べ物を漁る雄犬で叱ったなかった。
自分の立場を優位に持ち上げ他人を責めて虐待してもかまわないと言う根拠も
結局は魔女アルメルダ・アルデニュンタの子孫により自分達はそれに値しないと
はっきり明言されればアルメルダ騎士団は幻想でしかなく事実上壊滅と成る。
幾ら自分達はお前等より偉いと言ってもお前の総帥とやらは雄犬であろうと
返されてしまえば多少の小競り合いは合っても結局前と同じ様には行かない。
お前等がBARで屯していたからcrabbomberが爆弾を仕掛け
お前の仲間が死ぬのは良いが巻き添えで死んだ人々への贖罪はどうするんだど責められる。
時間が経てば確実にアルメルダ騎士団は忘れられて行く。

「あのぉ~~~。お邪魔しま~~~す。御免くださ~~~い」
轟が予算を上からぶんどってくる度に人と機材が勝手に増えて行く且来のアジトを
気弱そうな女性が訪ねてくる。今時の若い格好であるがどことなくもじもじと
恥ずかしそうに監視カメラの前に立つ。
「貴方?誰?此処秘密基地なんだけど。勝手に入って来ないでくれる?」
偶々管理デスクの近くを通ったエリーヌが無愛想に来訪者に言い捨てる。
ちょっと個人的に誰かと喧嘩でもしたのだろう。少々機嫌が悪いらしい。
「えっと・・・その・・・私・・・・Almelda409」
人見知りも極度なのだろう自分のハンドルネームも上手く言えない。
「はっ。ちょっと待ちなさい。貴方がAlmelda409。超可愛いじゃん。
何してるのよ。早く開けなさい。ドア。ウスラトンカチ
ちょっと皆ぁ~~~。Almelda409よ。うちの天才ハッカーの御出座しよ」
管理担当の漢の頭を手の平で殴り張り訳ドアを開けろと半ば脅す。
それからが一つ騒ぎとなった。
「ずるいの皆で美味しい物食べて。カメラの向こうでボッチで観てるのよ?
悲しいの。悲しいの。太っても良いの。いいえ太りたいのよ。
ちょっとその春巻きよこしてよ。私のよ。その餃子とお寿司も私のなの」
「仲間が増えたのは良いが儂の食い扶持がへっていくぞ。
Almelda409事セリーシャ・アルデニュランとやら、もうちょっとゆっくり」
「厭駄目。食べるの。太ってやるの。らーめんお替りよ。坊や。ぼさっとしないで。
さっさと持って来なさいよ。私のワークステーション何処?
それよりおにぎりと苺ショート。丸ごと持ってきなさいよ。切って分けたら殴るから」
「個の國のハッカーとやらは皆こうなので在るか?指をうごかすより口が早く動く。
なんとも凄まじい光景であるな、あっ。それ儂のだから。儂の鰊だから」
自分の分、その鰊の塩焼きだけは譲るまいと抵抗しながら且来が呟く。

食えるだけくって女性の癖に膨らむ腹を且来と同じように撫で回しながら
轟が用意した新品のワークステーションを我が城とばかりにその日の仕事をこなした
セリーシャ・アルデニュランは其の夜、意味ありげな表情を顔に貼り付け且来の私室を尋ねる。
尤も且来一人が籠もる分けではなく当然エリーヌもそこ屯する。
二人の前で少し時間くれと頭を下げシャワーも借りたいと強請るので
小顔で可愛い癖に三人絡みを好むとは玄人好みの趣味をお持ちでと顔を合わせる
且来とエリーヌの前に現れたセリーシャの瞳は蒼色である。
「コ・・・コンタクトレンズなの。いつもは。
その蒼い瞳にコンプレックスあって。回りにだれもいないし・・・
それから・・・この・・・趾・・・もしかして・・・」
蒼い瞳もコンプレックスなら余り大きくない乳房もそうなのだろう。
白いバスタオルを巻いた胸元を手で抑えながら頭を方向け足元を見つめる。
そうと言われてみれば思い付くこともあるエリーヌが隣に近寄り足を並べる。
「私と同じ位の大きさだわ。これって小指症。劣勢遺伝子病
蒼い瞳と子供もみたいな可愛い小指。セリーシャ・アルデニュラン。
名字は違うけどよく似てる。貴方も魔女の一族なのね?」
「よっ。よくわからないの。でもお婆ちゃんが魔法使いの家系だって・・・。
でもそうなの?私も魔女の子孫かも?」可愛い小指の脚を並べ嬉しそうに二人が嘲笑う。
「確かに可愛い指であるが・・・。儂は可愛い胸良くと調べてみたい。
直系ではないにしろ。親類親族には変わりないだろう。それでも儂が胸が気になる」
「このスケベ。変態。肉達磨。でも其れが好き」
悪戯っぽくエリーヌが笑いセリーシャのバスタオルを引っ張り背を圧して且来に預ける。
「厭。ちょっと。それは期待してても心の準備が・・・待って待って。お姉様」
待って待ってと声を上げても直ぐにエリーヌが唇を塞ぎ且来の手が体を弄れば
二人目の魔女の呪詛が喘ぎに濡れる。

「本日私達F.A.M.F.K.A.I.H.R.S.I.Dは兼ねてより世間を騒がしてきた
アルメルダ騎士団の解散の経緯。その後の状況に付いて国民の皆様に説明します。
又同時にこの國に多大なる悪影響を与えるcrabbomberに付いて
目撃情報を元に制作された推測人物画像とプロファイルリングの結果もお知らせします。
何方も精度がとても高く犯人像に近い物と成っているものです
これらに付いて皆様の情報協力も勿論受け付けます」
突然その日公開された動画に現れた人物は此の國の民を熱狂の渦に巻き込む。
先ず第一に皆が知りたかった騎士団の事。その経緯と影響。
総帥が写った動画に付いて顔の潰れた彼のその後。幸い顔が潰れ頭の骨が砕けても
まだ生存していると報告もされる。騎士団に付いてはすでに公開されている物が多かった。
後半の2つ目はcrabbomberの案件と成るが、これはかなり精度の高い物である。
ある人物の目撃情報を元に確固たる証拠の積み重ねの結果として
公開された推測人物画像は恐らくと何度も注意を重ねるものの犯人の顔であるとも見える。
続くプロファイルリングの結果とやらも精度が高く。
犯人は病的とも言える癖や性癖を持っているだろうが同時に我慢強く耐える事も
良くと知っている自分であると結論付けている。
後は皆様の情報をお待ちしておりますとにこやかにその漢は締めくくる。

確かに國民に取って騎士団もcrabbomberの件も有意義な物であった。
否然し。老若男女と國民が注目したのはそれまで聞いた事もない執行機関に所属する。
マイケル・ソワーヌ・ビレヌと言う捜査官その人である。
撮影場所は高層ビルの一室。恐らくは彼の一室であろうが。
そのデスクやセンスの良い絵画の配置から見れば身長凡そ180~185cm位。
体重は分からないが細身の筋肉であろうから所謂細マッチョ系であろう。
この國民の中でも好まれる淡い金髪を七と三に綺麗に流して分けるが
後頭部はツートップに短く刈り上げる。私服の時は分けもせずに流すのだろう。
少し太い眉毛もきちんと手入れをすれば瞳も鼻も口もいずれも形よく
適切な比率の適切な位置に整えて並ぶ。
画面に横顔が写った時に見える耳の先が少し尖り崩れたバランスを与えるのも
完全さを崩し人間味を醸し出す。
勿論髭は剃ってあるが実は結構濃いのかもしれない。
二週間の休暇でも過ごせば野性味溢れる漢前になるだろう。
はきはきと声を出せば清潔感が空気に交じる。
時折背広の袖を気にして直しながら顔を伏せ上目使いと成れば
画面のこちらで悲鳴をあげて卒倒する少女が後を絶たない。
彼の声を聞きたいが為に何度も何度も再生を繰り返す人も多すぎる。
世界最大の動画サービスにアップロードされたからこそサーバーは落ちなかったが
それでも負担は大きく管理会社は慌てて対処を余儀なくされる。

crabbomberの情報を求めたのが良いが其れよりも。
F.A.M.F.K.A.I.H.R.S.I.Dは何処にある?住所は?
所属部署は?何処に行けば会える?
独身?既婚?恋人はいるの?
ストレート?ゲイ?どっちも行けるの?
何処のジムに通ってるの?どんなトレーニングしてる?
SNSのアドレスは?速攻フォローしたい。
トイレは行く?行かないよね。そこ大事。
彼氏はいる?どんなタイプが好き?
鞭は使う?使うならどんな奴?
好きな女性の下着の色はなに?
愛してるの結婚して。
真っ直ぐ?曲がってる?それなら右?左?
どんなペットが好き?犬?猫?牛?
上げたら切理が無いのは本当である。それを受ける担当が悲鳴を上げる。
寄せられる情報の9割はマイケル関連と成ればとても対応出来やしない。
中には確かに有益な物も有るがマイケルのお陰で身内からの捜査妨害の騒ぎと成る。

「もっとこうアンニュイな感じで色っぽくワンちゃん見つめて・・・」
「アンニュイな感じで犬ころをと見つめ会うって何だ?
大体、儂は倭の軍人である。なのにこんな布切れピチピチパンツでポーズ取らないとならんのだ?」
「しょうが無いでしょ?今の技術で人を動かすにはボーンがいるの。
つまりはナチュラルに動きをコンピュータヒューマンに付けるには誰がが中身を演じるの。
誰もでぶでぶおでぶのお尻があんな可愛いキュンとしたお尻になるなんて気づかないわ」
「全部コンピュータで作ればよいだろ?儂の顔と体を差し替えるなら最初からそうすれば良い」
「つべこべ言わないの。変態おでぶ。最初にやっちゃったんだから今更ひけないの。
ノリノリでポーズとってた癖に。あんな尻突き出してる写真が一番人気って信じられないわ。
次。新妻の秘密兵器ピンクのTバックと裸エプロン。プライパンで悪党殴るシーンよ」
言わずもがなマイケル・ソワーヌ・ビレヌの正体は且来素子である。
crabbomberの件とその詳細を世間に公開するに当たって問題があった。
やはり相手が世情浮世に潜る犯罪者となれば相手をするにも危険がある。
うっかりとどっかの執行機関の実在する人物に会見でも開かせたものなら
当然にと爆弾の的になるやもしれん。其の人物だけならまだましで。
情報がもれて会場に仕掛けられたら関係者も報道記者も犠牲になるだろう。
制御もできない附則の事態にもなりえた。
それなら発表する人物も場所も仮想世界で作れば良い。
どんなにあがいても仮想世界の人物を爆破出来ないはずである。
誤算があったのならマイケル捜査官の人気が高すぎる事であり。
国民が熱狂的に騒ぎだしついにSNSを始めてみれば圧倒的に注目の的になり
飢えた野獣の如くに押し寄せるファンのために且来はTバックでカメラの前に今日も立つ。

F.A.M.F.K.A.I.H.R.S.I.D成る組織が本当に有るのかどうかも分からない。
大体名称が長すぎるしなんて読んで良いのかもわからない。
それでもマイケル・ソワーヌ・ビレヌ捜査官が公開したcrabbomberの写真と
プロファイルはJ.Jに面倒な手間を掛けさせるには十分であった。
特に推測人物画像はJ.Jの雰囲気に良く似ていた。
直ぐに対応する。公開された画像の衣服は本当に良くいていたから
それを全部捨てる。頭から靴までの一式全部だ。
それまで行った事もない美容サロンに出向いて髪を染めカットし
スタイストと熱心に話しをして今時の自分と同年代の若者がどんな服を来て
どんな髪を好みどんな趣味をもっているか等を聞き、最後に自分でもで手軽に
出来るスタイルのアレンジ方法を教わる。J.Jには珍しく親しみを込めて握手をし
勿論チップを多く弾む事も忘れない。その後は直ぐに塒に戻るとネットを使って
かなりの量の服を買い込む。それだけは未だ不安を感じ髭も伸ばし始め
コンタクトレンズを嵌め瞳の色も変える。外見だけもそのスタイルを変えなければ
いずれは追い詰められると思ったからだ。
一般にはその連絡先や所在地が公開されていないF.A.M.F.K.A.I.H.R.S.I.Dと言う組織と
言うよりマイケル捜査官は侮れない。捜査能力と言うより彼のすざましい人気は
J.Jに取って驚異である。マイケルに会いたいと成れば現在はネット上の動画と
SNSの写真しかないが何方もcrabbomberに付いて言及していたり
その話がメインと表示される。マイケルを見れば同時にcrabbomberが目に入る。
人々は自然とcrabbomberの容姿が目に焼き付き街ですれ違えば容易に指させるだろう。
J.Jはかなり大胆にスタイルを変えたつもりではあるが。
対するマイケル捜査官も過去の事件を徹底的に分析し新たに確認された
目撃情報を公開したり推測の域は出ないと断っても衣服を変えたり髪型をかえた
想像画像を次々と公開してくる。一度大きくスタイルを変えたJ.Jには追いついてないが
それでも追いかけて来る捜査の手はプレッシャーになる。
アルメルダ騎士団の解散もJ.Jには痛手だった。
約弐週間に一度仕事として爆破テロを行って来たがその標的がなくなり掛けている。
予想外ではあった。元々J.Jは有る筋から標的と成る騎士団のグループの情報と動向を
入手していた。その更新がとまった。騎士団が壊滅したので有るから当たり前ではある。
今思えば随分とお手軽に標的の情報が手に入ってとJ.Jは思う。
何せ定期的に騎士団の幹部が所有するタブレッドと携帯にアクセスすれば
その日誰と誰が何処のクラブに行く等の予定が手に入っていたのだ。
これほど簡単な事はないだろう。だからと行ってJ.Jは諦めない。
確かに二週間に一度のテロ行為の実行は出来なく成ってしまったが
それは後で帳尻を合わせれば良い。此処は性根を据えて構え本当の意味で
アルメルダ騎士団を自分の手で終わらせる事に決めている。

アルメルダ騎士団の終焉となる最後の標的は勿論にあの人物。
魔女アルメルダ・アルデニュンタの直系の子孫エリーヌ・アルデニュンタである。
人種差別主義者の最高峰とも言える人物の直系の孫である彼女を自分の爆弾で
殺す事がJ.Jにとって最大の目標でありcrabbomberとして成し遂げれば人生の誉と成るだろう。
所が意気込んで観ても思うどおりに行かない。

「大丈夫なんですか?顔も容姿もネット上がっているですよ?
そんなにポンポン出歩いて良いんです?見つかったら爆殺されますよ」
「気にしてないわ。あの時はあんまり考えてなかったけど
ウィック被ってたし。今はお客取ってないからあの服もタンスの肥やしなのよ。
運転免許も持ってないから。どうやって私を見つけると言うの?
それより今日の視察予定は何処なのよ?食べ物関係よね。違うなら付いて行かないけど」
忙しくもカメラの前でマイケル捜査官を演じる且来であるが
軍務は軍務である。基本これをきちんとこなさないと次の予算が取れないと
轟が煩く騒げばそこが食べ物関係であるなら身の危険はあってもエリーヌは
必ず付いてい行き腹を膨らませ戦利品の紙袋をしこたま抱きしめて帰ってくるのが通例であった。

それゆえにJ.Jが標的となるエリーヌ・アルデニュンタを見つけるには随分と手間が掛かる。
暫く四方八方と手を尽くしても標的を見つける事は出来なく苛立ちも隠せなかったが
意外な所から彼女の情報が入ってくる。
マイケル・ソワーヌ・ビレヌ捜査官が公開する動画チャンネルであった。
此処ぞとばかりにJ.Jはそのライブ動画番組に釘付けになる。

「本日は忙しい中。僕の番組に出演して頂いて有難う御座います。
エリーヌ・アルデニュンタさん。それにしても御美しいですね」
「クスクス。お世辞でも嬉しいです。マイケル捜査官
今日はお手柔らかに御願いしますね」
爽やかこの上ない仕草と声でマイケルがエリーヌを褒めれば
嬉しそうに彼女も答えを返す。
その日の動画は何時もと違い何処かラフな感じで話せるプライベートルームであろう。
マイケルも嫌味のない柔らかい印象の服で有るが長い袖をまく腕の毛がセクシーさを隠さない。
対するエリーヌは曽御婆婆アルメルダの時代までは遡るまではないにしろ古風ない服を
着こなし何処となく魔女の雰囲気を醸し出している。
その番組は過去の物とは傾向が違いかつてアルメルダが語った特定遺伝子継承による排他的民族主義と
その解説。是非はともかくそう言う物がかつては存在し現代は其れがそぐわなくなって居る事
其れに付いて個人的にはどう考え受け止めて居るかなどもエリーヌは述べる。
又昨今においてアルメルダ騎士団成る物が存在し彼等が何をしたか
どんな影響を世間に及ぼしたか。それでもエリーヌは現代の騎士団と自分は一切の関係はなく。
若し責任を取るべき人物がいるなら総帥を自称するメイケルと言う人物で有ると断念する。

暫しの休息にはマイケルが進める冷たい飲み物をにこりと微笑み
丁寧に断ると温かい紅茶を所望する。これは曽御婆婆アルメルダが良くと好んだ銘柄でもある。
ゆったりとした時間を雑談を交わして過ごすと最後にエリーヌは視聴者からの質問に答える。
リアルタイムで視聴者から送られて来るテキストメッセージをマイケルが読み上げ
少し緊張しながらも時にははっきりと又小首をかしげながらも丁寧に答えて行く。
リアルタイムで有るからこそ中には際どい問を遠慮なく投げつけて来る輩も居るが
それの一つに対しカメラをじっと見つめると
「呪われたいのかしら?名前憶えたので。気をつけてくださいね」
一瞬に魔女の顔でにたりと嘲笑うと優しげに髪を指ですいて二度目に微笑む。
視聴者は此の瞬間現代にも魔女が居ると皆が信じる事になる。
其れ以降はマイケルが気を使ったのか視聴者が怖くなったのかわからずであるが
下品極まりない問いかけは無く成る。
印象的な質問と答えのやり取りがあった。

「自分はアルメルダ騎士団に所属していたんだ。
あまり積極的に活動はしていなかった。
それでも特定遺伝子継承による排他的民族主義は心の拠り所だったんだ。
例え自分にその権利がなかったとしても。自分は何を信じて生きて行けば良いんだろう?」
「騎士団に入っていたなら多少でも他人を蔑んでていたのでしょう?
拳をかがげて殴りもしたのでしょう。拠り所がなくなったと言うのなら
人を信じてみたらどうかしら?慈善事業をしろとは言わないわ。
ただ。困ってる人や弱者を見かけたら黙って手を差し出せば良いのではないかしら?
振り上げた拳を下ろして手を差し出す事くらい出来るでしょ?
それでも上手くいかないなら。又御話致しましょう。私に出来る事は其れくらいなの」
エリーヌが落ち着いた言葉を投げかける。
相談してきた若者は一言メッセージを投げて返す
「有難う。魔女エリーヌ・アルデニュンタ様」
消して短くもなく長くもないやり取りであろうとも此の会話は後々を含め
元アルメルダ騎士団の者に大きな影響をもたらす。
運悪く刑務所で数年の時間を過ごす者。運良く起訴はされなかった物の
世間世情からは疎まれ行き場を失った者。誰かの支えを必要としてる彼等によろどころを示す事になる。

「アタシ。あんなに美人だった?頑張ったわよ。無理に微笑んだもの。
でももうちょっと胸大きくしてくれても良かったんじゃない?
ねっ?聞いてるの且来?なにいじけてるのよ。変態おたんこなすのおでぶ」
「儂の出番が少なかった・・・。質問読んでるだけだっだ。
もうちょっと活躍したいのだ。時間は筋肉もりもりでフィットネス講座とか
汗と飛ばしてアイスを舐めわし世の主婦の熱い視線を・・・」
「でぶの癖に。でぶのくせに。ぷにぷにの腹で何を言う。
どんだけ太ったらきが気むのよ。変態駄肉達磨の癖に。そこが可愛いんだど・・・」
世に出る時にはすり替えるとはいえ撮影時にはぱっつんぱっつんの衣装を
我慢して着込む且来の姿は毎回スタッフの間でも笑いが絶えない物でもある。

J.Jが目をつけたのはエリーヌ当人ではない。
勿論その姿をきちんと観たのは初めて出し此の女を必ず殺すと
改めて誓うのには代わりはない。顔もはっきりと認識出来たのは良い事である。
だがそれを認識してもまだ足りない。詰まるところ彼女自身を見つけたわけではないのだ。
否然し。J.Jはみのがさなかった。勿論何度も何度も動画を見直した結果に見つけたのである。
マイケル捜査官が大きな手で清涼飲料をゴクリと喉を鳴らし飲む横で
紅茶を所望し画面の横から入ってくるアシスタンの女性の大きな尻と
細い指先に光る指輪。あの尻には身憶えがある。あの女だ。
PCを弄り回して一部分を拡大し画像処理を施せば浮かび上がるアルメルダ騎士団の紋章が
刻まれた指輪。間違いはない。騎士団の秘書とも言えるポリヌソワレである。
あの女生きていたのか。それがJ.Jの最初の感想だった。
意外な事ではある。騎士団とエリーヌは関係ないと断言して起きながらも
エリーヌは騎士団とつながっている。その証拠がポリヌソワレである。
ポリヌソワレは騎士団の内部活動の一切を仕切り記録している秘書役である。
何処でどうやって繫がっているのかは分からない。だが糸口には成る。
ポリヌソワレは尻軽女だった。性欲も強く貪欲でもある。
気に入った騎士団員がを見つけると当たり憚らず誘い進んで脚を開く。
それを知ったJ.Jは一度だけポリヌソワレを口説きその時に彼女の携帯に
細工をしクローンの携帯を作っていた。それも暫く反応もなく放置していたが
これはもしかしてとばかりにクローンを引っ張り出し慎重に手間を掛けて確認すると
確かに弐回ほどの通話記録が残っていた。一度はポリヌソワレが相手に掛け
二度目は相手からポリヌソワレに掛かって来てる。
其れがエリーヌ・アルデニュンタであろうことは間違いがないだろう。
其れ以降ポリヌソワレの携帯は又沈黙を続けるがそれどうでも良い。
変わりにエリーヌの番号を調べると彼女は相当の電話魔であると知れる。
現代社会において携帯電話の番号一つ判ってしまえば朝起きて夜寝るまでの
生活様式習慣・交友関係有りとあらゆる物が手に入る。

J.Jはすぐさま行動を開始する。
先ず電話番号は手元にある。これを起点としてエリーヌを探す。
そして生活習慣や仕事場。良く行く場所やお気に入りのBARやパブ
それらを調べ上げて爆殺の計画を練る。同時に使用する爆弾の基礎部分も作り始める必要がある。
犯罪を犯すと行ってもやはりその工程は何かを成し遂げるべく突き進むスリルと楽しさがある。
J.Jも久しぶりにその間隔を肌に感じ高揚感あじわい身震いが止まらない。
行動を開始して三日もしない内にエリーヌ・アルデニュンタは見つかった。
実際に其の姿を目にすると想像より背が高かったりボリュームのある四肢をしてるのに驚く。
恐らくはあの動画でしか観た事がなかったから先入観があったのだろう。
それに動画ではカメラが固定だったしエリーヌはずっと座っていた。
体は動いてはいたがずっと椅子に座ってもいた。後で見返して見ると若干の違和感もあったが
実際の人物をみてしまうと其の違和感も消えていく。
暫くの間実際にエリーヌの背後に張り付き尾行する。必要だからだ。
携帯の番号が判っても通話記録しか残らない。実際に彼女の動向を探るには
その携帯のクローンを作る必要がある。危険ではあるが一度のリスクを犯せば
後は黙っていても欲しい情報が手に入る。
エリーヌは確かに電話魔である。
長い髪を垂らし何時も携帯を耳に当て時に楽しそうに時に困り顔で早口に喋りまくり
会話が終わったかと思えば横断歩道の先の屋台でおやつ代わりにクレープを買い込み
可愛らしい仕草でもぐもぐと口を動かしながらまた電話する。
現実世界の友達も多いらしい。特に肩を並べ歩くのは特徴的なやつだ。
黒い肌となれば大陸南部山岳地帯の出身なのだろう。
四六時中一人勝手に身振り手振りを交えて喋りまくる。それはエリーヌが誰かにメールを
送ってる時も止まらず又電話してる時も手も口も止まらない。
それでも二人の間に会話を友情は成り立つのかにこやかに笑いあいハグを交わすと
やたら爆音を鳴らして横付けされるサイドバイクの助手席に腹を詰め込み手を振る。
エリーヌはバイクを運転する女性とキスと抱擁を交わせば黒肌の漢が拳を丸めて中指を立てる。
印象的な奴等と付き合っているだなと思えば翌日はまた違う奴の為に時間を取る。
午後に成って携帯の電波を追いかけ現場に迎えば静かな公共施設の中であり
図書館で有りながらも多目的ホールを兼ね備えた場所の一角で陣を構え
椅子に座りエリーヌをぐるりと囲むいかつい漢達と談義する。
男達のむき出しの腕にはアルメルダ騎士団に忠誠を使った入れ墨が刻まれている。
終始重い雰囲気が伸し掛かるならば元騎士団員とのグループセラピーで有ろう。
動画でも行っていた通りに本当に彼等との話しあいをエリーヌはしているようだ。
偽善者とも受け取れるが実際にそうしているなら彼等に取っては救いでもあるかもしれない。
先ずエリーヌの携帯のクローンをつくる。出来れば自宅に盗聴機器やカメラも設置したい。
時に犯罪行為の其れも意外に地味な活動を強いられるがそれもまた仕事である。

エリーヌのアパートは少し変わっていた。
少なからずも図らずともあの動画の影響で時の人の其れと成りつつ有るからだろうか
厳重なセキュリテイを売り物にする所謂警護が必要な人々が済むアパートであり
此の界隈では珍しい場所である。住民が出入りする玄関にはガードマンが二人立つ。
彼等の前で住人はパネルに手を当て生体認証でドアを開ける。
其の先のホールにはセキュリティロボットらしいが床を歩き回っているのが見える。
正面から入るのが無理であれば裏口からと追えばこちらはもっと酷い。
中からは開くのだろうが外からは開かず鍵穴もパネルの一つもないから
ピッキングもハッキングも出来ない。その割には監視カメラが二個もついている。
定番である業者になりすまして侵入するのが壱番であるが。
さて其れはどうだろうと先ずは下調べとPCを叩くと嫌な話が浮かんでくる。
つい二週間前。あのアパートに住むセレブのふしだらなパーティの秘密を暴こうと
あるジャーナリストが業者に扮装して業者口から潜り込んだ。
勿論IDから制服。小物にいたるまで全部丸ごと用意してだ。
所が業者用の受け付けて最初に止められる。
「何時もの人じゃないね?」受付窓のむこうから太ったオバサンが声を荒げる
「彼奴は腹痛で俺が代理です」定番の嘘をジャーナリストが返す
「ふ~~~ん。そりゃ大変だ。IDよこして」カレーパンの袋を開けながらオバサンが言う
素直にIDを渡す。ついでに入室時間と名前。作業内容を書類に欠いて差し出す。
「此のIDスキャン通らないわね。それに此の書類に今日のワードは何だい?」
「えっ?スキャン。もう一回やってくださいよ。ははっ。ワードって何です?」
「うちのアパートは住民に最高のセキュリティを提供すると約束してるんだよ。
私は此の席に座って五年。一度も侵入者と通した事がないんだよ。
先ずIDが通らない。二重認証なんだね。磁気テープが二枚ないと認証されない。
このIDは一本しかテープがないから認証されない。よく出来てると思うけど詰めが甘い。
それから業者に電話して確認したよ。今日は内にくる用事はないってさ
最後にワードてのはセーフワードでね。毎日変わるんだよ。
作業員は必ず内のウェブサイトにログインしてその日のワード確認してから
口頭でアタシに伝えるんだね。あんたはどのひとつも出来てない。
つまりは馬鹿な侵入者だね。逃げようにもドアは開かないよ。
スイッチは私の手の横にあるからね。彼処にでかいお兄さんがいるだろ。
彼処へ行って身体検査受けとくれ。警察には連絡しておくけど
弁護士を呼びたいなら電話は彼処。有料だけどね」
話してる間にもカレーパンを噛じり言うだけ言うと手をふって追い払うと
2つめのカレーパンの袋を開ける。
悪事がバレたジャーナリストは渋々とやたらにこにこと愛想の良い警備員に
丸裸にされ羞恥を晒している所に警官が到着し責めての情けとパンツ一枚を頼んで返して
貰うが警察署で取られるマグショットはパンツ姿で情けなくもその日の逮捕者として
サイトと新聞に公開され裁判には至らなかった物の罰金刑と社会奉仕を命じられ
結局ガールフレンドから三行半を突きつけられる。
嘘にしては出来すぎてるし其の真実を突き止めるには爆弾テロを企むJ.Jは
実際に確かめるのはリスクが高すぎる。
そうなってしまうとエリーヌの自宅に忍び込むのは無理であり
どうしても携帯のクローンを作る必要が出てくる。それにはエリーヌに近寄らなければならない。

エリーヌ・アルデニュンタの携帯のクローンを作るには当然彼女に近づかなければならない
凡そ三メートル以内に。
これは意外と簡単で気づかれる事も意外にすくない。
対象となる人物の携帯電話が電源が入ってる状態で背後から近づき
クローンアプリの効果範囲に入ったら起動ボタンを押す。
それから約二十秒くらいの時間を掛けて対象の携帯をクローン化する。
後はゆっくりと素知らぬ顔で歩き続け追い抜いてしまえば良い。
J.Jは此の方法で過去に何回か成功してるし今回も上手く行くだろうと考える。
思いたったら吉日とは行かず。つまりはその日彼女の携帯は余りにも遠くの位置から
信号を送って来た為にその時間から動いても追いつけないと思ったし
事実彼女は近くに帰って来ても真っ直ぐセキュリティの高い自宅アパートに
籠もってしまったからでも有る。動きようがなかったと言う事になる。
さらに翌日は運がよかった。ある程度固定され予測出来る行動様式であり
エリーヌはあのバイク乗りの小太り野郎と散歩を楽しむらしい。
もしかして此のやろうと付き合って居るのか?厭バイクを運転する女を狙って居るのか?
とも錯覚するほど仲が良くcafeで御茶を楽しんだか思うと屋台のクレープのクリームを
口に付けながら談笑して過ごす。それも意外に短い時間であり小太りの漢が公園の向こうを
中指で指すとエリーヌが頷き歩きだず。それはチャンスである。
cafeや屋台付近では人が多く例え怪しい行動でなくても誰かが気がつくかもしれない。
犯罪行為となれば大きさと激しさに関わらず出来るだけ人目のない方が好ましい。
横断歩道を手を軽く上げて渡る後ろに駆け足て近寄ればそれ程不自然には思われまい。
大げさに手を振って愛想を振りまく小太りの漢と女性がとめた車列にJ.Jも頭を下げて歩道を渡る。
小太りと言えばでぶの小型番であるから体重は思いはずだ。
隣に女性がついてるなら尚更気を使ってと脚が遅くなると思えば的が外れる。
小型のでぶの癖に回る脚の速度は思ったよりも早くエリーヌもそれに合わせて大股で歩く。
二人の速度に合わせて歩く前に追いつかないと鳴らずJ.Jは少し早くと脚を動かす。
次第に距離が近く成ればいよいよであり予め確認して置いた指先の位置を携帯に近づける。
「crabbomberってさ。狙ってると思う?
今度の講演会もあるしさ。心配なんだよね。どうしても」
「大丈夫っす。俺がついてるっす。爆弾野郎なんて小物でしょ?
ちっちゃい爆弾作ってちょっと人が死んだからって大物気取りになってる馬鹿でしょ」
「そうかなぁ~~~。騎士団なくなちゃったでしょ?
狙ってた人達いなくなったからさ。次は私のような気がする。」
携帯のクローン化が出来るまでの距離に近づくと二人の会話が聞こえる。
偶然だろうか?二人はcrabbomberを話題にあげている。
否。偶然だろう。J.Jは黙って携帯のボタンを押す。
クローン化が開始された事を携帯がブルブルと震え教えてくる。
「大丈夫っすよ。講演会も上手くいくっすよ。
警備会社だって言ってたでしょ。奴は小物だって」
二回目の振動はクローン化の半分が終わると教えてくれる。
「そうね。郵便物の悪魔だっけ?彼の方が持っとすごいんでしょ?
その人が爆弾魔では此の國一番って聞いたわ。
ねっ。彼処の焼き芋パフェ食べようよ。すっごく美味しいの」
「又、パフェっすか?姉さん。甘い物好きすぎっす。断る理由は俺の腹にはないっす」
最後に弐度J.Jの手の中で振動が唸る。
クローン化が終わる。J.Jは安堵し顔を伏せ二人を追い抜こうと脚を回す。

「てめぇ。さっきから何してる?俺の肌に文句あるのかっ?」
とっさに顔を伏せた物の襟元を捕まれそのまま後ろの岩壁に押し付けられる。
「僕は何もしてません。何も・・・」J.J自身も驚いた。
「嘘だろ?こんなに早く歩いてるのに追い抜こうなんて可笑しいだろ?
それにお前。今笑ったな。俺の顔観て笑ったな。
そら見ろ。騎士団じゃねぇか?差別主義者じゃないか」
黒肌の小太りの漢は素早くJ.Jの袖を捲りあげ騎士団の証を確認する。
握る携帯の画面にはエリーヌの携帯をクローン化出来たとアプリが点滅する。
「ID見せろ。ID。何者だてめぇ。もしかしてストーカーか?」
「いや。僕はエリーヌさんに話し聞いて貰いたくて・・・」
何とか顔を隠したいと目を合わせない様に顔を避けるが
小太りの漢は指のかけた拳を握りJ.Jの襟首を離さない。
「もう止めて。携帯落としちゃったの。壊れたわ。どうしてくれるのよ。
気に入ってたのに。もういらつく。用事が有るなら事務所通してっ」
襟首を掴まれたまま横目で探れば顔を覆い半泣きで道路脇にエリーヌが立ちすくむ。
ドッドッドッドッと爆音よりもアイドリングに近い大型のバイクとサイドバイクが
泣き立ち尽くすエリーヌの側に止まる。
バイク乗り手の漢に首を回し慰めを求めれば腹の出た漢が優しく腕を乗せる。
どうやらやたら派手な柄のTシャツをピチピチにきた漢がエリーヌの彼氏らしい。
化粧を涙でぐちゃぐちゃにしたエリーヌがしっかりと後ろに乗ったのを確認すると
漢はただ真っ直ぐに顔を向けアクセルを開けてバイクを疾走らせる。
「てめぇ。これで済むと思うなよ。今度会ったら殴り倒すからな。
ちっ。俺が携帯弁償するのかよ。今月厳しいんだよ。俺の財布」
エリーヌが去ってから半分は脅し半分は愚痴をこぼし壊れた携帯を拾い上げ
ポケットにしまい込むとJ.Jに歪に拳を丸め中指を立てサイドバイクに尻を納める。
これも又一度アクセルと開けてから運転手の女がクィと顎を上げJ.Jを観てから
一気にブレーキを離しアクセルを開け放ち煙を上げて真っ直ぐに道を去っていく。

運が悪かった。
手順にミスはなかった。だが甘く見ていた。
騎士団がなくなったと成ればcrabbomberが次に狙うのは
今の時代の魔女エリーヌ・アルデニュンタだ。
そんなの誰だって予想が付く。その当事者が警戒して当たり前である。
楽しそうに談笑しながらも彼等はちゃんと警戒していた。
早脚で歩く二人を後ろから追い抜くとなれば相当に脚を早く回さないと成らない。
自分が犯罪を犯している瞬間であれば緊張する。
始めに起てた計画通りと熟すと成れば体が自然と動いてしまった。
はじめから警戒していた黒肌の小太りの漢が気づいて当たり前だろう。
クローン化は出来たであろうがオリジナルの携帯が壊れては意味がない。
「だいじょぶうか?絡まれていたようだが?」
それまで連中に成るべく顔を見られないようにと気を使っていたが
考え事の間に割り込んで来た太い声に反応して顔が上がる。
いかつくも何処か馴染みのある顔と雰囲気の答えは直ぐ分かる。同胞だった。
「すいません。僕。彼女に話しを聞いてほしくて。そのいろいろ上手く行かなくて」
「騎士団か?嫌な時代になったからな。俺には何も出来ないが。
彼女だって人だ。誠意の一つも見せれば機嫌も治るさ。
ほら。ちゃんと起て。良いか。負けるなよ。じゃあな」
左手首に騎士団の三本紋章とその上には絶対的な忠誠を使う入れ墨が入った腕で
J.Jの手がっしりと掴み体を起こしてくれると励ましの言葉を掛け
漢はぶらぶらと手をふりながらJ.Jの顔を一度も見ずに去っていく。

「眼鏡率高くなかった?皆眼鏡かけてなかった?大丈夫かな。気づかれてないかな?」
「儂はゴーグルだった。緊張して奴の顔も余り見れなかった」
「私のおでぶちゃんはガチガチだったわね。ギア間違えてエンストする所だったもの」
「ちゃんと直してからスタートしたではないか。彼処でエンストは格好がつかぬ。
それでAlmelda409の方はどうだ?上手くいきそうか?」
「其の名前で呼ばなくても良いでしょ。もう。当たり前ですよ?
私を誰だと思ってるのよ。Almelda409なのよ。尤も且来の軍が提供してる軍用品のお陰だけど。
顔はさっき見せた通りね。陰気な顔だわね。当局執行機関に該当はなし。
犯罪者だけど捕まってないってだけわね。それでも騎士団の登録書類に名前があったわ。
意外よね。適当なボンクラの集まりかと思ったら結構厳しいの」
「ボンクラなのは総帥だけで御座います。そう言えば何とか喋れるように成ったとか
許可を頂ければ見舞いにでも行きたいと存じます。
騎士団の入団には御國発行の出生証明書の提出が義務付けられていました。
これを偽造するのは大馬鹿で御座いますね。ばれれば獄中猪で引き回し三周の刑で御座います。
それによるとジャック・ジャックマン。23歳。独身。やっぱり陰気な漢で御座います。
普段は余り話す事を許可されてない人物が発言する。
且来に睨まえると目を伏せて会釈し持って来た大きめのマグカップを卓の上に置くと
歩く音も静かに去って行く。肌を覆う黒皮のスカートの下の細い脚首には電子枷が填まる。
詳細は又の話となるが元アルメルダ騎士団会計秘書のポリヌソワレである。
「兎に角。それで名前が判明したの。ドライバーズライセンスから住居も判明。
奴の携帯のクローンも制作済み4台ともよ。遠隔でクローン出来るっでどんだけよ?
倭之御國の諜報って怖すぎるわ。
指紋は今採取中。丁寧お願いね。痛いけど我慢するのよ。梟の鬼さんがんばって。
あれって指紋の採取は簡単だけど下地薬を剥がすのは痛いのよね。
それでどうするの?おでぶのボス様」皆が且来の次の言葉を待つ。
「予定通りだ。罠にかける。奴は策士だ。策におぼれて貰う。
オイ。小童明日の視察予定は酒蔵だったか?それとも裁縫工場だったか?」
「皆が待ってた酒蔵ですが・・・いい加減全員で行くの止めません?。
それか当番制にしましょうよ。三回に弐回は僕だけ留守番は納得出来ません」
「若いおこちゃまはそれがちょうどいいのよ。奥様にお土産買ってきてあげるから
それで我慢しなさいな。新婚って羨ましいわぁ~~~」
わざとらしい嫌味が飛んできて新婚の轟はプクリと頬を膨らます。

エリーヌの携帯のクローン化は結果的には失敗した。
それに小太り野郎には確実に顔を観られた。それは不味い。
予定を変えて先に小太り野郎を始末した方が良いかもしれない。
自慢げに乗り回すサイドバイク丸ごと爆殺するのも面白いだろう。
J.Jは暫くその計画を真剣に考えるが結局後回しすることに決める。
あの時二人が話していた講演会と言うのが気になった。
ネットで調べてみると確かに近々にエリーヌは曽御婆婆アルメルダの件と
騎士団について大規模な公演会を行うらしい。
不特定多数の人が集まるこの機会を逃す訳には行かない。
先にエリーヌが話した先人の爆弾魔郵便の悪魔を超えたいと言う意地もある。
エリーヌの動向は探れないがほぼ確実に其の時其の場所に現れるのが
分かっているならこれほど狙い安い物はないだろう。
J.Jはエリーヌが行う公演会に的を絞る事にする

 

天鼠蛭姫

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