【月額彼氏】My boyfriend is subscribed.

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Picon…携帯の見慣れた画面に嫌な文字が浮かぶ
[じゃ。そういう事で・・・]
Pochipochi…感情の儘に打った文字が画面に刻まれる。
[なんで別れないと行けないのよ・・・]
Picon…
[今は仕事が大事な時期だし・・・お前。病んでるから・・・]
Pochipochi…
[あたしの何処か病んでいるって言うのよ!]
Picon…
[全部・・・]
【友樹さんは貴方をブロックしました】
否でも応でも全てが終わったと知らされ握りしめた携帯を壁に投げつけてしまう。

「鰹出汁弓鶏・・・さんですね。珍しいお名前です事。
えっと・・・ご質問がなければ個々と個々にサインをお願いしますね・・・」
自分より遥かに乳の大きい携帯電話販売自部員が胸をた揺らせながら机の向こうから書類を差し出す。
特になにも考えずに突き出された紙切れに人にとっては読みにくい名前を書き込んでいく。

「使い難いかも?・・・前までカラゲーだったしなぁ~~~。
スマートフォンしか売ってないってなんなのよぉ~~~。」
極々一般的なアパートの二階。
親に送られた名前を半分だけ嫌いで半分だけ好きな弓鶏は買ったばかりの携帯を弄る。
好きな部分は名字である。母の作る味噌汁はいつも鰹節で出しを取っていた。
その味が都会に一人で過ごす娘には家族との繋がりだった。
嫌いなのは自分の名前で大酒のみで全うな人生を送らない父がこの子は飢えにに困らないようにと
鶏を穿つ弓が飢えを遠ざけてくれるようにと送った名前が弓鶏である。
「女子に付ける名前じゃないもの。バカ親父め」それが弓鶏の口癖でもある。

「ああ・・・もう。イライラする。我慢できないじゃん」
弓鶏は依存症だった。SEX依存症である。三日もあけて漢の体を貪らないと頭が変に成る。
それは度を越している。以前。半年も事に及ばな買った時にはひどい目にあった。
我を失い混濁する意識を持て余し澁谷の立体横断歩道の真ん中で半裸で狂乱騒ぎを起こしたこともある。
事件性はないと判明するまで三日。其の後二週間の観察期間を得て病院から開放される。
今でも月に二度は病院に脚を運ぶ。薬に頼るのは好きではないが頼らなければ自分が壊れる。

「全くぅ。嫌になる・・・」
大学生の女子にしては陀羅しない上下ジャージのままで弓鶏は外に出る。
薬を飲まないと行けないが。それを呑むには酒が入る。好みは倭酒の熱燗だがそれもない。
部屋の冷蔵庫になければ買いに行かなかればならない。
いらいらと募る焦燥感に攻めたれながら遠くもないはずのコンビニまで歩みを止めない。
運良く倭酒があれば熱燗で。この時期は胃に答えるが最悪ビールでも構わない。
とにかく。薬と酒で苛立ちを抑えなければ状況は悪くなる。
「友樹の馬鹿っ。オタンコナス。こんな可愛い女子を投げ出すなんて。大馬鹿だわ」
夜露交じる寒風の中。2つ目の路地を曲がる。

ピタリと・・・弓鶏の脚が止まる。
一度止まった脚。次に前に出すはずの軸脚が動かない。
弓鶏の顔の前には夜闇が降りる街裏。何もない空間の其のはずなのに・・・。
もぞもぞと動く脚がある。大きくはないとも言える。
否。それは一般的な益虫としても蜘蛛にしてはかなり大きい。
「ひゃっ」女子らしく声を上げ後ろ身に下がろうとしても地面に脚がくっついたままだ。
動かせたのは一度後ろに下げた状態を元に戻すくらいである。
なぜ。引いた体を元に戻すか。それは顔の前でもぞもぞと動く他脚昆虫の益虫蜘蛛で有る。
それでもズイと身を乗り出すのは蜘蛛の体が大きいからでじゃない。
「一本・・・二本・・・三と四。五・六・七と八九十・・・。
あれ?貴方。脚多くね?蜘蛛って脚八本よ?なんで貴方十本もあるの?それになんで空中に浮いてるの?」
蜘蛛と言う昆虫は多脚昆虫の代表格だ。然しその脚は八本と弓鶏は記憶してるしおそらく間違いないだろう。
弓鶏の顔の前でもぞもぞと脚を動かす十脚大蜘蛛。体も大きれれば脚も多い。
不思議なのは顔の前でクルクルと体を廻す。次に疑問となるのは何もない空間に浮いていられるか?
一瞬こそ頭を撚るがすぐに答えも分かる。
静かに照らす月夜の光が十脚大蜘蛛の尻先の雫貯まる糸にキラキラと反射する。
それを視線で追えば何もないはずの空の空間に電柱線が通る。
「あっ。なるほど。頭良いじゃん。蜘蛛の癖に・・・・
え?脚が十本もあれは頭も良くって当たり前?蜘蛛の癖には余計だって?
手頃な大きさのDカップの乳娘ですって?生意気だわ。蜘蛛の癖に。手頃って何よ?手頃って。
B以下は論外?Cでは物足りずEは眼福成れど其の感度に疑問を感じる?
程よく大きく程よい眼福成ればやはりDカップだって?失礼な蜘蛛だわ。
世のCカップ以下の女子に誤りなさいよ。この助平爺蜘蛛」
当たり通る人もいないのに一人。蜘蛛に語る弓鶏。蜘蛛との会話が成立してる事を疑いもしない。
「そんなことより。そこ危ないから。こっち来なさいよ。自動車でも来たら窓にごっつんよ」
一般に蜘蛛を嫌がる女性も多いだろうが弓鶏は動じもしない。
白く細長い指を翁蜘蛛の尻先の少し上に掲げ糸を絡める。大蜘蛛と言っても体は軽い。
弓鶏の指に繋がる糸に導かれ体を揺らして翁蜘蛛は木塀の縁に垂れる緑葉の上に着地する。
「良いのよ。これくらい。年寄りは大事にしろって躾けられてるのよ。母親に。
え?心得のある立派な母親ですって?有難う。母親褒めるならアタシを褒めてよ。
なになに?所望してるのは熱燗だろうって?云々そうだけど。
良い屋台があるって?そんなの何処にあるって言うの?あら。あったし」
緑の葉っぱの上で翁蜘蛛が起用に脚を動かし向かうコンビニとは逆を脚指すゆびさす
「あっち?あっちに美味しい熱燗があるの?え?絶品すぎるから二杯迄しろって?
私って酒豪じゃないし。薬飲みたいだけだら。でも有難う爺蜘蛛」
大蜘蛛に爺を付けたのは心の中にごモゴもと響く声が高齢に聞こえ説教臭い印象だったからだ。
何より蜘蛛類がどれだけ長く生きるとか知ってもいない。

でっかい蜘蛛が顔の前に突然現れたり女の胸に付いて談義を交わしたとか
まぁ一般的にはありえない事に驚愕したせいで色欲の疼きをしばし忘れる。
それでも一時にしか過ぎない。再び火照る体を持て余す前に薬に頼らなければいだろう。
ひたひたとサンダルを鳴らして裏路地に歩けば目当ての屋台は意外とすぐに見つかる。
「親父さん。熱燗。それとおでんお好みで。お汁少なめでね。しょっぱいの苦手だし」
結構使い込まれた木枠椅子を手で引き座ると親父が屋台の横の地面を指差す。
「ここでは昔乍らのやり方ですのよ。熱燗ならそこの火鍋から自分で取って頂くのが作法ですよ」
目の前に突き出された細く白い指が示した先にはたしかに火鍋が拵えてある。
公共の道路の上に勝手にブロックを積み重ね土間づくりを拵え其の上にこれも又使い込まれ
あちこちと歪む銅鍋に湯が張られる。薪火に煽られボコンボコンと湯泡立つ中のその縁に
同製の熱燗コップが掛けられている。
「やをなさらない様にしなさんせ。何ろ火鍋の湯は大層お熱く御座います」
どことなく棘の有る特有の言い回しをする女性に言われ細い取ってに気をつけて手を伸ばす。
今際は昔昭善時代の勤め人が鬼嫁に帰る前に僅かな安らぎを求めた一杯屋台とはこの事だろう。
「お気を使って頂き有難うです・・・あら。なんとまぁ~~~御美しい」
「あらあら。あれこれもう三十路の角を曲がる放蕩者の女で御座います。
そちらこそ御肌もお肉もピチピチ。使い盛の張肌でございます。」
言いたい事。浮かぶことを辛辣にはっきり告げても許してしまう。そんな女性に見えるのが不思議である。
放蕩者の女といえば浮世世情に良くしれぬだろう。和装を好む女性は帝都にも多いが着付けを出来る者も限られる。
普段使いの着流しの上に鯉紺生地の羽織をさらりと乗せる。
傾奇者と言うのを初めてしるならば。なるほどそれが傾くとよく知れる出で立ちである。
今風に言えばボブカット。和名のままならおかっぱにキリリと整え後ろは長く風に戦がせ任せる。
二つの卵を乗せた白麺饂飩をずるずると音を鳴らして啜る厚ぼったい唇は色香が滴る。
やはり目立つのはその羽織。暗くもある紺生地に真っ赤な出目金魚が二匹と跳ねる。
番の二匹に見えるが絡みはなく互いにあらぬ方向に身体を向けるのもきっと深く意味も有るのだろう。

熱燗の倭酒を一口含み中を濡らし忌々しい薬を二粒を舌の上に乗せぬっとそれを収め
ゴクリゴクリと喉を鳴らして倭酒を飲む干す。
「ぷはぁ~~~。寒冬は熱燗に限るのよ。やっぱりこれが最高なのよ」
年若いはずの弓鶏が親父其の物の言い草で立ち上がり二杯目と成る熱燗欲しさに火鍋に向かい歩く。
「熱っ。熱いって。親父さん。これ」思ったより熱かったのだろう。
さして冷たいくもない自分の耳を指で摘んで熱を飛ばし、やっとの事で銅杯を握り席に戻る。
「懶怠者に使え漢に抱かれ。斬れた縁は一歳と昔。
以来。其の命首欲しさに帝都の影闇と彷徨う女一人・・・し之ふと申します」
懶怠者の女と自分で言い捨てるし之ふが饂飩を啜る手を止め軽くと会釈する。
自分の素性を偽らずきちんと名乗るし之ふであればやはりこちらも伏せるわけにも行かぬだろう
「えっと・・・。
刻が戻りて半年前・・・。漢肌欲しくて堪らずと。心と体を持て余し常識の箍外れ
半裸で柔肌晒し癇癪起こして肉叩棒を振り回しす。彼の女。澁谷立体横断歩道の狂乱女。
そ、それが私で御座います。鰹出汁弓鶏です。お恥ずかしい。」バツの悪さに更の上の大根を弓鶏は突く。
「あら。そうでしたのね。空蝉の如くしか覚えてないですが
一刻の恥などどうにでもなるで御座います。それより饂飩でもどうですか?奢りますよ。
ただし乗せる蛇卵は弐までですよ」にっこりと微笑むし之ふになんとなく勇気付けられる。
「有難う。親父さん。鰊饂飩一杯。卵弐個乗せで。
あとし之ふさんにお好もおでん一皿。こっちは私が奢ります」
それぞれ曰く事を抱える女同士だからだろうか。意気投合すると噺も積もる。
「その壱兵衛って最悪ぅ~~~。そんなに女抱えてるくせに。ちょっと浮気したら姿消すなんて」
「でしょでしょ?懶怠者の癖に小心者でしょ?ちょっと他の漢に縛られ我を忘れたってだけなのに。
でも・・・好きなの。愛してるのぉ~~~。壱兵衛様のがほしいの~~~うっぷ。」
懶怠者の女と半狂乱女の前には一升瓶が五本と八本と並びおでんの鉄鍋もほぼ殻だ。
「友樹のばかぁ~~~。ちょっとアタシの性欲が強いからってぇ~~~。
一日二回。時には五回。腰振らないと気が狂っていってんだろぉ~~~。
何が普通の女が良いっていうのよ。あたしの方が絶対可愛いってばぁ~~。ヒック。」
二人の女客に仕入れた食材を食い荒らされ三日分の酒をもみ干された屋台店主。
それでもこの店の売りは店主が寡黙であるという事なのだろう。
片眉一本も動かずにももくとおでん窯を菜箸でかき回し最後の蛸脚を皿の上に乗せ弓鶏の前に差し出す。

「うぐぐ・・・うぷぷ・・・呑みすぎ・・・たの・・・」
何処をどうやって自分の部屋に帰って来たかもわからない。
なんとなくではあるが懶怠者女のし之ふの肩を借りたような記憶もあるが
そのし之ふも相当足元がふらついていたはずだ。
「あっ。やっぱだめ・・・漏れちゃう」バタバタと床に脚を取られながらもバスルームに駆け込む。
ゲェゲェと喉と鳴らし胸を上下させ絡まる異物を吐き出す。何度がえづくとやっと落ち着く。
「こういう時。彼氏がいれば優しく介抱してくれるのに。友樹の馬鹿っ」
壁に手を付き腹を擦ると冷蔵庫の中から無炭酸水のボトルを取り出し熊のイラストの書かれたクッションに身を沈める。
一昔も二つ昔も前に人種共を駄目にすると謳われたあのクッションだ。
「こういうふうに成るんだったら。
パパ活とかちゃんとやっておくんだった。変態だったけど・・・とっても変態だったけど」
余りに疼く体を持て余し一時嵌った戯言の薄影に少しの間心が映る。
「やだ。相当たまってるわ。薬があるうちはなんとかなるけど。あとが辛くなるのよね」
今時の若い者となれば暇を持てますと携帯を弄る。持て余さなくても勝手に手が携帯に伸びる。

ほとんど初めての其のはずなのに若ければ覚えも早い。
細い指が画面の上をスラスラとなぞる指がピタリと止まる・・・。
「ちょっと。何これ?良さそうじゃん。
【B・L・D・S+】bromance・Lovers・Dispatch・Service・・・どっ直球すぎるし。
でもなんかおもしろそう。胡散臭いのが又、よしっと!」
画面に映るアイコンの文字を声にだして読んで見る。単なる暇つぶしには変わりない。
ブロマンス。余り聞き慣れない言葉で有るがセクシャルな意味を含むのはすぐに知れる。
頭の隅にある知識を持ってくればそれは男性同士の淡い恋愛関係と言うところだろう。
ボーイズラブよりは先天的でそれほど有名なものもなくそれでいて人前で堂々と話が出来る位には恥ずかしくない。
多分・・・。

最初こそ暇つぶしだったし誂事ひやかしだった。
所が掲載れている漢性のプロフィールの写真を観ていると何となくきにいってしまう。
「この子なんてちょっと好みぽい。蠱惑こわくな感じがイイかも」
ピタリと止まった写真の下のボタンをふと押してしまう。
「観るだけならいいじゃんね・・・可愛い子に見て貰えるならいいじゃんね」
ブロマンスのサイトで有るから当人の趣向相手は漢性だろう。
まぁ当人が目の前に居るわけでもないし好きに勝手にしても文句も出ないだろう。




天鼠蛭姫

天鼠蛭姫

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