ヒトム:The.first contact of MY.

ヒトム・Z・ジャックマン。
その朝は早い。
多くの場合。予めセットした時間の弐分四十三秒前に眠りから目覚め
目覚ましのアラームがうなり始めてからきっちり2秒後にそれを叩いて止める。
彼がこのアパートに住むようになって日は浅いから加減がうまく出来ず
すでに三つの目覚ましが大きな手の餌食になっている。
もし目ざまし時計が喋れるのであれば一台目の彼は蹄の脚で殴るのをやめてくれと悲鳴を上げ
二代目の目覚ましは毛むくじゃらの職種で巻き取って壁にぶつけられるのは嫌だと泣き
三代目の目覚ましは銀色の棍棒で何回も叩き潰されるのは屈辱だと愛玩するだろう。
とにかく加減が出来ないからついに4つ目の目覚ましを六本の指で穿りこわすと
ヒトム・Z・ジャックマンは大抵の人間がするように洗面台の前に立つ。
人間が朝一番に心配するのが寝癖であると言うのと同じようにヒトムもそれを気にするが
その頭と言えば目玉が横に擦れているとか鼻が曲がって額の辺りにく付いてるとか
寝心地の良いベッドに顔をこすりつける事を覚えてしまった為に口が変な所に歪んでるとかである
未だ馬蹄の手をブルブルと振るって人間のそれに模すと起用に指をつかって目を押し込み
顔前に持ってきたり鼻を摘んで歪みを直したり口の中に指を入れて元の位置に戻す。
つまりはヒトムに取っての寝癖は髪の毛の乱れではなく顔のパーツの位置のズレで有る。
予め設定した有るべき位置にそれらのパーツが整い落ち着くともぐもぐと口の中で舌を
動かしたり目をパチクリと瞬きもしてふんっと鼻を鳴らして空気を通す。
外面と中身の具合が丁度良く噛み合った所で確かめるように満面の笑みを鏡に見せつける。
後は人間のそれと一緒だ。歯ブラシで刃を磨き櫛で七三に髪をわけて整う。
後ろはかきっちりと刈り上げているか所謂ツートップセブンと言う髪型と成る。
顔の調子をばっちりと決めるといよいよ朝食だ。
人の習慣通りにTVをつけNEWSを観ながらオレンジジュースを飲み
自分で拵えたベーコンエックとソーセージとこんがり焼いたブレッドを意に堕とす。
最後に弐状ほどの薬剤をジュースで流し込む。
ヒトムにとってはこの薬剤が食事であり一回分の必要カロリーを接種している。
その前に食べたのは前菜と言えば形が付くがヒトムの体には全くもって無用の品である。

天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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