因石使いヒトム:Ⅳ

トピピ・J・オドロ
この辺の輩にはその発音が難しいらしいがその意味も酷い。
飼い猫の耳垢をほじくる匙と言う意味であるから何とも微妙な名前で有る。
名は体をしめすとも言うがトピピも体躯もそれに習い微妙である。
中肉中背であるがろくに運動もしないからぽっこり腹が出てる。
戦場で剣を振るう腕力も度胸もないし雄弁な言葉使いもまともにできないから
政治家には向かないしむしろ詐欺師と言えば周りも納得するだろう。
顔つきも極々普通であるし気をつかっていると言えるのは髪型くらいだ。
お洒落と言うほどでもなくむしろ営み仕事の影響が強い。
日課に成っているが朝目覚めて顔を洗う時に剃刀で頭を剃る。
本当は石鹸を使いたいが結構効果だから髭剃り用の粗末な泡石で誤魔化す。
傷つかない様に頭の左右をきれいに剃り上げるが真ん中は残して鬣頭[efn_note]現代で言えばモヒカン[/efn_note]にする。
手でなでつけた鬣を後ろ側で括り紐で纏めて自分のスタイルとしている。
鬣頭にする奴も珍しいがそれを後頭で結い上げているのはもっと珍しい。
商売の為に変な髪型にしてるがあまり目立つのも良くはない。
それでも鬣尻尾頭のトピピと言えばその筋ではある程度に顔が通る。
トピピは因石売りだ。
もっとも所謂真っ当な因石売りじゃない。お天道様の下で商売ができれば嬉しいが
そんな真っ当な仕事は偽宝石商に任せて於けば良い。
詰まるところトピピは悪党紛いの露天因石売りだ。
尤も好きでそんな裏稼業に脚を踏み入れたわけでもないし自分に才能が有るとも思わない。
この商売は縁で有る。
質の良い因石を仕入れる事が出来るかそうでないかが全てである。
因石と成れば偽人ホムンクルスの事であり人聞き悪く言えば人身売買のそれにも似てる。
上手に言えば従者を求める貴族。どっかの工場の労働力としての働き手を求める商売人
戦さ場に兵士として駆り出す将校。愛玩具としての奴隸と娼婦と情婦。
礼を上げれば切りもないから需要は高い。
それでもトピピの財布がいつも軽いのは縁がないからだ。
正直に言えばトピピが仕入れる因石偽人ホムンクルスは曰く付きの物が多い
トピピ自身が手を下す事はなくても悪行野盗の輩が因石を持つ商隊を襲う。
当然相手を皆殺しにと始末する。そうやって集められた因石をトピピが買い漁る。
商隊で運ばれる因石は未だ主人を持たないわけだからトピピには都合がいい。
出処がよくわからずとも因石を欲しがる輩は多い。
そうは言っても錬金工場から買い付けたものではないし悪党どもから手に入れるのだから
トピピの手元に届く頃には散々弄ばれて嬲られ雄にしても雌にしても
あまり良い状態とは言えないだろう。結局は精々闇市場か露天で安く売るしかない。

その日トピピは一大決心を腹に決める。
取り巻く状況が悪い。悪すぎた。
手元に有る因石はそれなりの数だが此処数日市場に流そうともうまく行かず
自分で露天を開こうにも場所の代金が満足に払えなかった。つまりは金欠で有る。
後に残された手段は物々交換しかない。
手持ちの因石の数はそれなりにあるからう無く行けば数日はしのげるかもしれない。
尤も状況が好転しなければ同じ結果でもある。

偽宝石娼館に何とも言えない風体の漢が脚を踏み入れて来る。
鬣頭を後ろで馬の尾っぽの様に括って居るのはやはり目立つ。
入り口で配られる甘受水を断ったのはお登りの仕来り知らずか
それと知ってもわけありで目立ちたくないのだろう。
華々しくも絢爛に回転台の上で乳房を晒し尻を降る娼婦偽人には目をくれずも
おどおどキョロキョロと辺りを見渡し自分なりとも目利きでもしているだろうか。
落ち着きがないのは変わりない。
店の弐番番頭を預かるサラリンはその漢を観察し悪党崩れではあるが同業で有ると睨む。
肩口から掛けた布鞄は露天で石を地面に並べるのに便利な折りたたみできるののだ。
市場によっては違法な因石の販売は禁止されているから役人が巡回にきたら
直ぐに袋鞄をバサリと畳んで逃げるのに丁度良い大きさだからだ。
それなりに場数を踏んで居るのであろう。いかにもお登りか一見さんを装っているが
鞄紐も後ろに仕込んだ短剣の鞘に直く届くようにと手の位置を調整してる。
遠目に観察していたがその気配をも悟るとは中々の手練なのかもしれない。
「番頭さん・・・だろ?背が散っしゃいけど・・・番頭さんだろ?
云々・・やっぱりそうだな。俺の名は鬣尻尾頭のトピピ。あんまり有名でもないだけど。
その・・・すまないが因石を見せて貰わないか?」
少し離れた石像の影から覗いていたのだが目ざとくサラリンを見つけると
其処に来るまでに手を旅外套に擦りつけ一応きれいにしてから手を差し出し握手を求めてくる。
「こんにちは・・・。お客様。
本日はどの様な因石をお求めですか?尤も本日は客入りも良くいい商品は出ていくばかりですが」
まともな因石を出さないぞと遠回しに釘を刺してはみるが仕方なく握手に応じた手の中に
何やら堅い感触が伝わる。こいつ出来るなとでも思わせるように合わせた手をさっと引く。
残ったサラインの手の平中には金貨が残ってる。
賄賂ではあろうが恐らくはなけなしの虎の子だろう。
「こほん・・・。
まぁ~~~まぁそれでも観るだけでならお客様の勝手で御座います。
席へのご案内の道筋にお客様のご要望等を・・・」
店の上役にバレると厄介ではあるが上手くこなせば貯金が増える。
ここは声を少し張りあげまっとうな客であろうと周りに魅せておく。
「うぬん・・・。なるたけ質の良い物が欲しい。
貧乏人も金持ちも一目みれば惚れた好いたでしゃぶりつきたく成るような。
そいつの為なら悦んで金を惜しまず出してくれるような。
美人可愛く慎ましくにと更に妖艶で雄も漢も雌も女も惑わし尽くす
乳房も尻も形よくも大きな奴が良い。尚且つ従順に主人を慈しみ愛して仕える者がいい」
ありきたりの割には随分と欲張りな注文でもある。
「それから・・・此方の支払いは因石で行いたい。
見合う因石は有るかどうかとわからないが数は多いからなんとかなるだろう。
それでも足りなければ月賦払いでお願いしたい」
なんとまぁ~~~。トピピの物言いは随分と強気で言い放ったが
詰まるところ現金がないから手持ちの因石と物物交換で
当然そちらの因石は高いだろうが残りの金額は月賦払いで後から払うと宣言してるのである。
行き着く所・・・。
サラリンの店で買い付ける因石・偽人ホムクルスを自分の為ではなく
何処ぞの誰かに転売すると宣言しているのである。
この店で買うなら当然に質も良いし必ずや客が求める以上の商品をその手に出来る。
必死でかき集めたであろう自分の肝いりの商品を物物交換して別の因石を手に入れる。
それを上手く何処ぞの貴族とやらに打って捌けば残りの金額以上に儲けも出るだろう。
「お客様。当店ではその様な・・・あっ。失礼しました。此方がお席で御座います」
してやらたとサラリンは苦く心に思う。先程、無理に握手を求め賄賂を握らせたのはこの為だ。
此方も商人であればこそ向こうも計算づくの商売人と言う訳である。
何方が商人として悪どいかと比べるのは茶番であるが一杯食わされたとなれば此方もやり返す。
ともあれ案内された寝椅子の感触は心地よくドサリと腰を下ろすトピピは
自分のしている事がわかっているのだろう。
飲み物を待たずに早速とばかりに卓の上に自分の布鞄を置いて開き
慣れた手付きで手のひらを掲げご覧あれと自慢であろう因石を見聞改めてくれと指し示す。

露天で因石を売り捌く悪党野盗もどきの漢にしてはその石の品揃えは悪くなかった。
むしろ珍しい特製をもつ因石が有るのにもサラリンは驚く。
揃えた手の指に因石の中に眠る偽人ホムンクルスの容姿や特製を確かめる見極布を添え
それで中身を照らして此方側から点眼鏡を押し当て因石の中に眠るホムンクルスを見極める。
実際に石から呼び出して確認する事で出来るが其れは商売が成立した後の楽しみでもある。
因石商売に身を投じる商売人で有れば石殻を開けて商品を見定めるなど具の骨頂と言うわけだ。
「ふむ・・・。大口を叩いただけな事はありますな。
中々良い因石をお持ちですね。ふむ。此方もいいし。あっ此れもいい感じですね」
サラリンは一つ一つと因石を手の中で見極めながらも機嫌よく自分の布敷箱に移していく。
ひょいひょいと自分の因石が取り上げられ店の箱に収められる度にトポポの顔は青ざめていく。
どれもこれもそれもあれも結構に苦労して集めた物ばかりである。
何度もそれは勘弁と口の中でモゴモゴと呟くがサラリンの手は動きを止めない。
切羽詰まった自分の身の上都合に追い詰められ最低限袋から取り出し隠して置くのも忘れていた。
これでは商談が纏まっても手にするはずの因石がどんな物かもわからずに
尚且つそいつが売れなければ借金が重なるところか飯も食えないかもしれない。
「ふむ・・・。
中々良い品を持ち込んで頂きましたな。此方としては大満足で御座います。
さて今度は私のばんでございますね」五十近くはあったはずの因石であるが
この時点でトポポの袋鞄は空っぽに近い。トポポ自身も後は売っても売れない屑石だろう。
選んだ店がわるかったのか。握手を交わした相手が自分より上手だったとでも言うのだろう。
パンパンと手を鳴らし番頭が従者に袋盆を持って来させるまでトポポの腸はキリキリと痛む。
「どうでしょう?これが私が扱える最高級品で御座いますね。
お客様のご要望に出来るだけ沿った物で尚且つ変わり種を用意させていただきました」
少々大げさに一礼を成して従者が卓の上に置いた布盆の上には一つだけではなく
他にもいくつかと載せられている。其れ全部が商談の種というわけでもないのだろう。
いくつかの選択肢とやはり持ち込んだ因石の数の多さな其れに見合うように数と質を揃えてある。
露天因石商人の割にはサラリンの目にもトポポの腕は確かと知れた。
流行る気持ちをぐっと抑えゴクリと鍔を飲んだ物の。一つため息を付いて気もちを整える。
懐から透板を取り出し此れも又外套に擦りつけ汚れを拭き取ってから握る。
サラリンが使った見極布と同等かそれ以上に輝き因石の中を見通せる透板を持つと言うのなら
やはりこの漢はやり手であろう。商品の見極めはきちんと気を使う輩と言う事だ。
「これは・・・」一言つぶやいてトピピはゴクリと唾を飲み込む。
トピピが最初に手に取り吟味し始めた因石は二番目に大きいものだ。
布盆が目の前に置かれてた瞬間にこれしかないと言うような輝きを持ってそれと観えた。
尤も光眩しく輝く宝石というのではない。さらりとした肌触りが心地良く
いつまでも触れていたいと思えばほんのりと温かい。
透板の向こう側の灯りに照らされた因石の中では此れもまた絶品であろうと言う四肢を持つ
雌のホムンクルスが膝を抱えてひっそりと眠る。
自分抱きしめるその腕の隙間から一際におおきな乳房がたわわに揺れるかと思えば
引き締まった腰の下のにはもっちりと大きくも形の良い尻が見える。
背まで垂らして流した髪も美しくも艶めかしい。
自身が借金等抱えてなければ自分の物として飼って首輪に括りたいくらいでもある。
「その石は番いでございますよ」これこそ醍醐味とばかりにサラリンが告げてくる。
「何だって?番い。番い石って事は夫石もあるのか?
ああ。これだな。然しちょっと変だな・・・?」
「さすが玄人仕込で御座いますな。お客様。
その雌石の番い。つまり夫石の中身は雄豚族型の奴で御座います」
「えっ。何だと?この妻石の番いが雄豚の石だと・・・なんて悪趣味な」
「私が作ったわけではありませんが中々通好みの商品で御座いましょう。
番いに成ってそれなりに長いらしく随分と深く夫に愛情を注ぎ絆と結んで居るようでも御座います
そろそろ受胎も可能な様子で御座いますがお客様の楽しみもますかと・・・」
サラリンが最後まで言わずともトポポの表情を見れば葛藤が分かる。
これほどに美しい雌の偽人も珍しいが作った職人の悪趣味意地悪は極まりないものだろう。
どういう経緯か今となってば知らないがとにかくも因石偽人として生れ堕ちた時から
番い石として絆を定められたのだろう。時に同族人型であれば気がらくかもしれないが
何より相手が雄豚族の者となれば厄介だ。
元来雄豚族型と言うのは生殖が強い。一日の内の食事が五度となればそれをうわまり
七回八回は雌の尻を太い腕で抱えて腰を振り続ける。
それと夫婦の絆を結んでなどいれば妻の方も相当に淫猥に違いない。
尤もヒトムの口の中で唾が溜まり口元が歪む理由はこれも又悪趣味で有る。
この雌因石は雄豚族の夫と絆を結ぶ。サラリンは長い時間を一緒に過ごしているとも
偉く深い愛情を注いで居るとも言い放った。
それを因石の持ち主・主人として縛り躾けたならどうなるだろう。
頭の中と心では夫の雄豚族に愛を誓い絆を結ぶが体だけは因石の持ち主が弄ぶ。
愛しい雄夫の眼の前で愛情薄くも躾絆で縛られた主人に脚を開き尻を突き出して快楽を貪る。
夫の方も別の雌を与えてやっても良いだろう。
もとより強欲な種族で有ればこそ雌と女であれば誰でも良いはずだ。
夫を契約で縛り自分の妻だけは犯せない。それでも他の雌は好きに抱けるのから
喜んで妻の目の前で雌の尻を抱えて腰を振るだろう。
妻の方はどんなに愛情を夫に注いでも契約縛られ夫は自分を抱いてはくれない。
眼の前で夫が他の雌の尻を抱え込むのを魅せつけられながらも
自分も因石の持ち主に命令されて脚を広げ尻を突き出して一物を咥え込む。
裏切られ切なさに胸を引き裂かれながらも与えられる快楽を貪り涎を垂れ流す。
それもこれも因石の持ち主の気分次第でもあろう。
「う~~~ん。なるほど。これは悪趣味だな」
思いついた戯言を自分の中で反芻しながらトピピは顎をさすって唸って魅せる。
「おや・・・?お気に召さいませんでしたか?粋な遊び事かと思いますが・・・」
「否。そうじゃない。貴殿の言う遊びは確かに粋だよ。
それを好む輩も多いだろう。立場が立場なら間違いなく僕も飛びつくさ。
つまりは値段の問題だよ・・・幾らになるかな?」確かに商談ではあれば避けて通れない
「そうで御座いますねぇ~~~。
お客様の因石は当店のしなぞらえを豊かにしてくれるでしょう。
それでも精々三百前後ということでしょう。
此方の番因石は二つで金貨八百枚となります故に差し引き月賦が五百枚となりますね」
冷酷な宣告である。トピピの因石を全部足しても金貨三百枚。
サラリン側の商品番因石はそれを遥かに上回る。
月賦の後払いと言っても残り金貨五百枚は負担が大きい。
最初から転売を目論ではいても直ぐの直ぐに新たな買い手が見つかるとはかぎらないのだ。
捏ねを目一杯つかっても因石を勝手くれる輩が見つからずその期間が長くなればその程に
トピピ自身の負担は大きくなるだけだ。
ましてやその間トピピは雌石に手を付ける訳には行かないのだ。
あれだけ美人でしゃぶりつきたく成るほどの四肢を持つ雌を横目に一人で慰めるしかない。
「金貨五百枚の月賦かぁ~~~」月賦払いと言っても要は謝金だ。
「これほどの商品をお出ししたのですから是非に・・・」
先の賄賂の仕返しとしてやったりとサラリンが口元を歪ませニヤリと嘲笑う。
「此方の袋鞄からそちらの盆に因石が動いてしまった後だから引っ込めるのは仕来りに反する。
かと言って金貨五百枚は僕にはきつい。因石五〇に対してそちらが二つ。
ここは慈悲でも恵んでくれないだろうか?サラリン殿」
大口を叩いた割には此処でおねだりとはやっぱり露天商売がお似合いだと思うが顔には出さないが
それでもトポポの言う通り石の数では少々数が吊り合わないのは納得できた。
「ふむふむ。後で難癖つけられるとは驚きですが
それでも少々不釣り合いではありますな。お客様が仰ったとおりほとんど全部を頂きましたので
此方も盆の上の全部の石と交換しましょう。残り五百枚のお支払いはお早めに御願いしますよ」
「恩に切るよ。番頭さん。有難う・・・」
格下の商売人とは言え良く粘ったと言うべきだろう。
どっと疲れが出たと言う様にトピピは息を吐き出し寝椅子の背に体を預ける。

直接に金貨が動いたわけではなないが偽宝石娼館のサラリンは
良い商売が出来たと満足顔でトピピを見送る。
対するトピピは思惑通りに転売用の因石を手に入れたしその他にもいくつかの石を
納める事が出来たのは良かったと言えるだろう。
悪いと言うならば月賦払いの金貨五百枚の支払いが身に乗り買ったは辛いところだろう。
それでも文無しになったわけでもなかった。
袋鞄と布盆の上の因石を交換するという条件で商談が成立し自分が屑だと見立てた石も
サラリンが引き取ってくれたお陰でなんとか節約すればそこそこ暮らしていけるくらいの
現金をも手に入れた。しのげると言えば良いが我慢する必要は確かにある。
それでもその日だけと決めトピピは少しばかり自分に贅沢を許す。
要は定宿とは違う高めの宿に部屋を取り湯と桶を用意してもらう。
買い求めた因石の世話は持ち主主人の努めでも有る。
転売するにしても一時的にでも自分の持ち主となった因石の事はやはり熟知する必要がある。
それ言えに一度くらい因石をホムンクルスに戻してその姿くらいは観ておきたい。
少しばかり無理をして止まる宿の床に柔かい敷き布を敷き弐回ほど手の甲を返して
皺伸ばし誇りを払う。その上に妻因石を置いて自分はその前に胡座を欠いて腰を下ろす。
因石の中に眠るホムンクルスを起こす方法はいくつか有る。
基本的にそれと分かる合図を送ってやれば良い。
時にそれは因石を持つ主人の気まぐれや作法に影響されるが大抵の場合は
中に眠るホムンクルスの名を呼んでやるのが大抵だろう。
然しトピピはそれを知らない。仕方なく貴族風情宜しく少々大げさに手を弐回撃って合図とする
カタリと因石が身震いしたかと思うと表面に細い罅が入りその隙間から
白くと見える粒が空気に混ざる。すぐに其れは朦々と増えて粒煙となったかと思えば
ゆらりゆらりと周りの情景を確かめるように宙をだた良い。
自分の目の前に居るのがおそらくは主人と成る人物であると知ると
床に敷かれた敷き布から一歩後ろにずれて塊集まりやがて人の形を形成して留まる。
毎回見る度に仕組みはどうなって居るのかと関心してしまうが今回は驚愕にと目を奪われる。
舞い上がった粒煙が一瞬に固まったかと見えればしっとりと濡れるも艶やかな肌を示す。
背の後ろまで流して垂らした髪は艶の有る漆黒であり見惚れれば吸い込まれそうだ。
全体的に鋭い三角顎の顔貌は美人と言うにはあまりにも美しく切れて長い目尻と睫毛が瞬く。
きりりと真っ直ぐに通った鼻筋はもとより少し厚ぼったい唇は漢と雄を吸い付けるだろう。
程よい太さの首には今でこそ何もつけてはいないがこれはまた邪魔に成るくらいの
太くごつい側の首輪をくくればきっと良く似合うに違いない。
その情景を想像しトポポは思わず身を乗り出してもしまう。
少し肩幅がありむっちりとした腕と胸周りはその大きな乳房を支える為に必要だから。
端に大きい乳房を持つと言葉にするのは簡単では有るが
この雌の場合はそれでは言葉足らずであろう。
大きく張った乳房は乳肉の塊が前に突き出したとでも言うべきである。
子鬼どころか確かに夫の雄豚族の指が喰い込んでも尚且つ指の間から肉がはみ出て余る。
それだけではなく弾力も有るとも知れればその先端の乳輪は少し大きめで有るが
此処を吸って嬲ってくれとはっきりと分かるが色も鮮やかな桃色で有る。
一度弐度とそれを舐めれば直ぐに硬く勃起しそうな乳首も薄桃色で色欲を唆る。
しなやかな腕が腰に添えられると当然めが其処に張り付く。
乳房の大きさも形も自慢で有るのだろうが何よりも本人は細くしまった腰から続く
大きくもふくよかな尻に自信が有るのだろう。
態々とくるりくるりと身を飜えし大きくも張りの有る尻をとトポポに魅せつけてくる。
この雌は十分に心得ている。自分の主人の寵愛を受けたくて堪らず唆るその魅せ方もよくと知る
正面に向き直れば少しこんもりとした雌陰の上を指でサラリと撫でて魅せ
その上に黒く茂る剛毛の周りを指で二度回し嫌らしくも微笑むと体をくねらせ
腹と臍を擦ってこすり大きく揺れる乳房を自分で鷲掴みにし指を喰い込ませる。
痛いとばかりに顔を歪めるが其れが唆ると漢共が依ってくるのも知っている。
乳房を揉んでアピールした後は首の周りに両手を添えて
此処に貴方の首輪を括ってくれと卑しくも強請る。
上に流れた指は顔を覆うもゆっくりと厚ぼったい唇を割って舌を突き出し
主人の顔を舐めるかそれを咥えるかと言うかのように舐め回し最後に頭を軽く降って
やっと主人に挨拶をする。

「如何でしょうか?私奴の愛しい御主人様。お気に召して頂けたでしょうか?」
涼やかでもあるがすでに欲にほてった因石の雌はするりと四肢を折り
トポポの前に四つん這いに膝をつくとぐいと身を寄せて主人の顔を覗き込む。
「おっ。俺は主人と言うわけではない。
まぁ~~~。主人でもあるが世話人と言う方が正しいな。云々。
お前の名は何と言うのだ?」ほのかに香る雌の肌香に惑わされトポポもはっきりとは切り出せない
「お売りになるのでございますか?私奴を?
お売りになるのですか?まだ寵愛も頂いてないのに。唾もつけずに手放そうと成るとは
漢の雄の恥で御座います。何より因石商売の風上にも置けない転売野郎で御座いますわ
私奴。シモーヌと申します。どうせお売りになるのなら今から頂いても構いませんか?」
「シモーヌかぁ~~~。
妖鶏シモーヌと同じだとは中々粋であるな。
あっこら。世話人だと行ったばかりだぞ。帯紐を引きちぎるな。
駄目だって。転売する予定・・・。嫌。あくまでも予定だから。
ちょっと褌ひっぱちゃ駄目。見えちゃうから色々見えちゃうから。待ちなさい。シモーヌ君」
「嫌で御座いますぅ。
せっかくお買い求めて頂いたばかりなのに味見もさせて貰えず
売り飛ばすと宣言されてはたまりません。責めて一舐め一咥え。
ついでに汁もたんと絞り取って差し上げますの。覚悟なさいませ。私の御主人様」
シレーヌの気迫に押し流され尻もちを付くトポポの眼前には大きくも張りの有る
双房乳房が垂れて揺れ膝に当たればその重さがひしひしと伝わってくる。
態とやってるには違いないし転売すると言っても商談は成立してる。
此処でシレーヌに手をつけたとしても黙っていれば次の客にはわからない。
「待て待て。シモーヌ。否にシモーヌ君。
ふっ風呂に入ろう。お風呂だ。体を洗ってやろう。世話人としての仕事をさせてくれ。
あんな埃ぽい店棚に並んで居たんだ。先ずは身ぎれいにしなかればなっ」
「お風呂で御座いますか?
そういえば久しく湯編みはしておりませんの。ちゃんと洗ってくれますか?
勿論、お手てですよね。沢山泡の付いた手で洗ってくれますよね?」
手に布を巻いて体を洗うとばかり考えていたトポポはシモーヌのお強請りにあっさりと負ける。

自身の思惑と言うのは大抵外れるものだ。
トポポの頭の中ではシモーヌが裸で湯桶に入るのは当然としても
桶には入らず外から手で洗ってやるつもりだったし最初こそは其れだった。
「御主人様・・・?
私奴だけ湯を頂くと云うのは気が引けますの。この際ごっしょに・・・」
「まっ待て・・・俺は世話人で・・・」
ザッパ~~ンと大波が立って頭から湯おけに突っ込んだトポポはずぶ濡れに成る
「服を来たままではお風邪を召してしまいます。
せっかくですから私奴が直接お洗いしてあげます。
勿論手など使わずに乳房で・・・」
「あッこら。待て。引っ張るな。服を脱がすな勝手に。
あっ。あん気持ちいい。くっ。世話人としての立場が・・・理性が飛んで・・・」
否応なくもシモーヌの手がトポポの服を破り剥ぐ。
そそくさと楽しそうに自分の体に泡をこすりつけるとトポポの体に自分の体重を載せて
戦後に体を揺らしだす。直に触れる乳房の感触が堪らず上ずる声でシモーヌも喘ぐ。
「どうで御座います。愛しの御主人様。
私の乳房は思いでしょう?卑しくで気持ちいいでしょう?
ああっ。御主人様の肌に乳首が擦れてたまらない。此方の方にもご奉仕を」
「気持ちいい。シモーヌの重い乳房が辛抱たまらん。
駄目。其処は最後の砦だぞ。握るな。扱くな・・・。あんっ。駄目気持ちいい」
乳房の重さで上半身を抑えるも少し浮かした腰の間から手を伸ばしトポポの一物を握って離さない
「やんやん。御主人様。観念なさって下さいな
私の雌陰に黙って喰われちゃなさい。ほら。此処が入り口ですよ。ああ。もっと」
「待てっ。待てっ。シモーヌ。夫持ちだろ?不貞だぞ。
お前結婚してるだろ?夫が居るだろう。豚顔のっ」慌ててトポポが声を荒げる
「はっ。そう言えば私夫持ちでしたの
醜い顔とは言え勢力絶倫一度まぐわったら二日は寝かせて貰えない雄豚の夫がいましたの。
されど黙っていればわかりませんの。もう少し御主人様のを・・・」
傍と気が付き一瞬は真顔で考えた物の握った其れの感触に膨れ上がった欲望は止まらず
咥え込みはせずとも股を開いて襞を何度も押し付けトポポが果てるまでシモーヌは快楽を貪る。

情事紛いの戯言を互いに味わった後。
一つしかない寝台にどうしても一緒に寝るとシモーヌは効かない。
何度か一に戻れと叱っても嫌だと明言する所は強情なのだろう。
深夜遅くまでじゃれ合ってしまったためにトポポは他の石を確認する暇もなかった。
寝台に潜り込んでもシモーヌのちょっかいは止まず悶々としたおかげで眠れずも
朝方にシモーヌの眠りに堕ちたとわかって紋指を切って石に戻す。
やれやれ飛んだじゃじゃ馬雌偽人と思ったが妻石がそうならやっぱり夫石もそうであった。
「ふむ・・・。主殿。金貨を恵んでくれ。弐枚で良い」
やれやれひどい目にあったとばかりに頭を書き上げながらも残りの因石の中を確かめようと
夫石を起こして見れば背丈高く宿の天井に頭をぶつけそうに成りながらも
シモーヌの夫石。雄豚族の偽人は一番に口を開いて金貨を強請る。
「金貨だと?しかも弐枚。因石奴隸のお前がなんで金貨を欲しがる?」
無礼な奴だと思うが訳を聞くくらいは良いだろう。何より昨夜はこいつの妻を訳アリでもある。
「腹が減ったのだ。前の主人はケチンボでな。
儂と妻石を買ったは良いが食費が掛かると投げ出したのだ。当然である。儂は雄豚だからな。
先ずに食欲。次に性欲である。
つまりは飯をくってくるのだ。あと腰も振ってくる。だから金貨弐枚くれ」
なんとまぁ呆れた奴である。
因石で有るくせに奴隸でもあるはずなのに新しい主人と顔を合わせた途端に
飯代と娼婦を買う金をせがむとはなんとも言えぬ奴だとトポポも思う。
シモーヌという妻石がいるのに関わらず飯代は兎も角娼婦を買う為に小遣いをよこせとは
如何なものか?それでもトポポは少しだけ上乗せして部屋から夫石の雄豚族を追い出す。
こんな事になるならシモーヌに手をつけて於けばよかったとも苦く後悔もする。

「はぁはぁ・・・駄目だ・・・気持ちいいぞ・・・もっと」
椅子に座り股を開いたトポポの脚の間に身を屈め少女が一物を舐めていじる。
快楽の波に襲われながらも身を乗り出し隙間から少女の胸元に手を入れ乳房をつかむ。
程よい大きさと言えば其れまであり手の中にちゃんと収まると言えば貧乳とも言えよう。
手のひらで強引に乳房を撚ると、んんっと少し声を上げ唇から喘ぎが漏れる。
擦りつけた手の中で少女の乳首が勃起し固くなるのがわかる。
「感じやすいのか?弄られるのが好きか?レヌヌ」
「はい。御主人様に弄られるのが好きでございます」
名前を覚えて貰ったレヌヌはいじらしくも嬉しそうに呟きちゅるりとトポポの亀頭を飲み込む。
番石のシモーヌと名を聞き忘れた雄豚の雄。
あわよくば二つ纏めて売れれ借金以上の儲けを生むだろう。
問題はシモーヌの四肢の魅力にトポポ自身が我慢出来ないだろうと言う事であった。
其れと分かってしまったから四番目に開けた因石のレヌヌを襲ってしまう。
あのままでいればシモーヌの誘惑に耐えきれないだろうしすでに昨夜からずっと我慢もしている。
本来は世話人として主人に仕えるであろう小間使のレヌヌの服を力任せに剥がし襲いかかる。
頭を抑え動けぬようにしてからその顔に自分の一物をなんども押し付けなすりつけてから
口の中に一物を差し入れる。レヌヌの口中一杯にそれを差し込んで時間を掛けて味をおぼえさせる
それからやっと腰を激しく動かし苦しいそうに鼻から息を吐き出し唇から唾液と涎がこぼれ堕ちるまで責め続ける。レヌヌの瞳が憂いに濡れ味を覚えると竿を握らせ扱けと命じる。
未だ幼さが残るレヌヌの体は少々貧相である。特に成熟したシモーヌとは違う。
それでも自分の力で押し倒し征服する快楽は優るもの劣らずである。
「脚を開け。レヌヌ・・・」
「はい。仰せの通りに。御主人様」
うるうると快楽に溺れる瞳を揺らしおずおずとトポポの脚の上で姿勢を整えると
大きく脚を開け広げ股座を晒けだし雌陰をパックリと開く。
「自分で咥えるんだ。俺の一物を咥えろ。レヌヌ」
「はい。御主人様。
ご樹人様の一物を自分で脚を開いて咥えます・・・。あんっ。ああ・・・」
少し腰を浮かせ雌陰の入口にあてがうと体を前に動かし亀頭を飲み込む。
一度だけ喘ぎ腰の動きを止めるも入ってくる快楽に溺れると奥まで一気に一物を飲み込む
「ごっ御主人様。根本までズッポリと飲み込みました・・・ああぁん」
最後まで一物を咥え込むとぐいっとトポポが腰を突き出す。
「あっあっ・・・あん。駄目。駄目でございます。御主人様。気持ちいい」
レヌヌの腰に手を回し突き上げるトポポの腰は止まらずも快楽に溺れ
突き上げられ犯されるレヌヌは直ぐに絶頂で弓に体を反らせて喘ぐ。

「乳臭いのですわ・・・。
御主人様の股座から私以外の乳の香りがしますの。
未だ未熟で稚拙な技で誤魔化す子供の匂いがしますわっ」
「誰が未熟で稚拙な技で誤魔化す子供だって言うのです。
シモーヌさんだってそろそろ垂れて来そうなお歳の癖にぃ」
「誰が垂れるですって。未だまだこれからの三十路の頭で御座いますの。
御主人様だって熟れ始めの乳が好きに決まってますの」
シモーヌは石から目覚めると漂う気配を雌の感で嗅ぎ分けると
トピピの腰帯を掴みながら叫んで罵倒する。
「浮気だわ。浮気者の御主人様ですの。
私奴と言う愛人が折りながら稚拙紛いの子供に手をだすなんて。
お仕置きですわ。お・し・お・きしますの」
憤怒の鬼面で夫石譲りの腕力さながらトピピの服を脱がそうと襲いかかる。
「まてっ。こら待て。痴女紛いに服を引っ張るな。この変態。
大体お前には手を出さないっといっただろ。それでも観ろ。
誘惑に負けて一緒に風呂に入るところかあれこれ色々してるじゃないか?
世話人としての面目が立たないんだぞ」
「高いお金を出して買ってくださったのは御主人様で御座います。
手出して頂かないと私奴が困ります。
大体こんな小娘に先を越されるとは一生の不覚で御座いますの。
体の隅々まで乳押し付けて洗って上げますから覚悟しなさいな。御主人様」
「まって。待て。こら。其処は駄目だって。助けて。助けてレヌヌちゃん」
滑稽でもあるが悲壮感漂う光景を向こうにするも気がかりが耐えぬトポポでもある。
先に目覚めさせた雄豚の夫が小遣いせがんだ挙げ句に宿を飛び出した後は
一行に帰ってこない。妻をほったらかして何してるといえば娼館にでもこもっているのだろうか
毎夜の事と成りつつ風呂桶の奉仕はシモーヌとレヌヌの間で主人を取り合う始末と成れば
肝心の因石の売り手も又上手く見つかりはしない。
このままではいけないと焦るトピピであるがやはり運が色々悪いらしい。

置字

天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

0 0 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest

CAPTCHA


0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
テキストのコピーはできません。