小餓鬼族英雄譚外伝・少年騎士


【小餓鬼族討伐隊第弐十五番少年騎士隊!全員抜刀!突撃っ】
「うぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」普段は自分達を嬲って歓ぶ隊長が背中から叫ぶ。
小盾円盾と前に突き出しそこそこに長い鐵剣を頭上に高く高く掲げ視線向日に波打つ小餓鬼族に突っ込んで行く。
肺から息を搾りだし迫る小餓鬼族共の頭上めがげて振り下ろす。
ズシャと音が剣先より後に耳に届き最初の小餓鬼族の頭に剣斬が切り裂く。
斬り殺した小餓鬼族の胴体に足を構え踏み抜き剣を抜き剣斬突き凪ぐオルシヴァン・マッケンシュタイン。
弐匹、参匹と斬り倒して行くのが背一杯だし小餓鬼族は小賢しい。
盾と剣をう上手く使っていかないと隙を突かれ脚に鈎爪が絡みつく。
脚に鈎爪が喰い込む前に剣を凪ぎ切り払うとそのまま上段に構え六匹目の小餓鬼族を切り捨てる。
数えてはいなかったが5匹目か6匹目のそれは凪いで砕けた頭から脳髄を滴らせ事切れて倒れる。
傍と視界が開けたと思えば直ぐに塞がる。鐵鉾である。
本能的に小盾を掲げるとがちゃんと音が届く前に衝撃が奔り折って丸めて身構えた四肢に衝撃と重さがのしかかる。
それは、オルシヴァンが此の戦さ場に赴任してから一度も觀たこともない位に大きな体躯の小餓鬼族だった。
乱ぐい歯並ぶ汚い口からブフォッと臭い息を吐きだし、一度は耐えたれら鐵鉾を間髪入れずに振り上げ貶す。
ただでさえ一度目の振り下ろしは重く盾を構える腕がしびれて感覚が薄れる。
弐度目の打撃で学理と膝を大地におって膝を付け耐えるのが背一杯だった。
それでも相対する小餓鬼族を見上げると爛々と目を真っ赤に燃やし同胞を屠った小さな人種人類の頭を
砕いてやろうとばかりに参回目に鐵鉾を降る下ろす。
(あっ、此奴、上位個体ってやつだ。見た目は滑稽で馬鹿だけど腕力はやたらある奴だ)
個の語に及んで教官が座学で小餓鬼族のマネをするのを皆で笑った事を思い出し頬が緩む。
「南無三っ」
戦爺ともいわれた祖父が追い詰められた時に吐いたと聞いた気合の呪文を唱え大地を蹴って立ち上がる。
四度、五度と振り下ろされる行きさ鉾を小盾で弾きそのままの勢いで四肢を前に突き出し小餓鬼族の癖に
着込む鐵甲冑の喉隙間に剣を突き刺す。ぶゅっと緑血がほとばしり顔が返り値に染まる。
まさか外道が子供如きにとばかりに見開いた目玉に生気が溶けるとはぁ~~と息をも吐き出す。
「馬鹿野郎っ」聞き慣れた人種人類の怒声が届いたかと思えば頭に衝撃が奔り星が飛んで砕け意識が途切れる。

「どわっ。生きてる?ボクっ!生きてるっ?・・・どうも?」
胸に重さが掛り息苦しさに跳ねて起きれば女性看護師の顔が直ぐそこにあった。
「こ、コホン。目が冷めたようですね。体調はいかかですか?」
「あの?ボクっ!はどうなったのでしょうか?何匹か潰した後に意識が・・・」
「貴方は大物を片付けた後に小ぶりの小餓鬼族に脚をすくわれ地面に転がったところを
殴られてきざつしたのです。外傷はたんこぶだけですよ・・・」
「小餓鬼族に脚をすくわれ転んで気絶とか・・・・情けない」
自分がまだ生きていると言う事に安堵がもれるが同時になさけなくもある。
男所帯の部隊にはない華やかな色香に戸惑いながら頭をさわってみれば確かにぷっくりと頭が膨れてる。
「女医殿は巨乳であるべきだっ!」医療天幕で軽く診察を受けた後一人愚痴れば奥から怒声が飛んでくる。
「面倒をお掛けしました!女医殿っ」慌てて向き直り腰を九十度折って頭を下げ感謝を述べる。
ぷっくり膨らんだたんこぶをさすり状況確認と報告の為に指揮天幕に足を運ぶ。
略式であっても敬礼と踵と鳴らして天幕に入り指揮官が手漉きに成るのを待っていると違和感が虫唾に走る。
オルシヴァンは少年兵である。それなりにせが高くても青年にはまだ遠く成人の儀もまだ遠い。
軍務と雑用に忙しく指揮天幕の中を動き回る士官達。ふとした手間にオルシヴァンと視線が絡むと嗤う。
あからさまに嘲笑の時も有れば、意味ありげな視線であったり、顔を見合わせて同僚とくすくすと嗤う輩もいる。
「お前が少年兵ルシヴァン・マッケンシュタインか?
初陣久しいとはいえ、五体満足で小餓鬼族弐十匹狩りとは中々だな。
おまけに上位個体を仕留めたとなれば称賛ものだな。小隊を預けてやるぞ。精進を期待する」
部下の功績を称えるのも上官の努めと言えども早口なのは戦の状況が良くないからだろう。
「有難うございます。指揮官殿」唾を飛ばし今度は胸に拳を弐回打ち付け正式敬礼として後ろに下がる。
「それから・・・御前を助けたのはシルヌスシルキ少佐殿だ。礼を言っておけ」
「えっ?えっ?シルヌスシルキ少佐殿って・・・・なっ、鉛の処女の・・・・?」
シルヌスシルキという名を聞いて振り向き歩くと脚が絡みついてつんのめる。
鉛の処女と名高いシルヌスシルキと聞いてオルシヴァンの背筋がゾクリと縮む。


天鼠 蛭姫ノ壱

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