人造双子姉妹メイドの傍若無人


ごきっと音がして脚に激痛が走る。
(あっ駄目だな。これは駄目だ、小餓鬼族如きにやれるとは情けない)
血縊桶團蔵は脚に奔る激痛に耐えかねるも漢の意地で歯を食い縛り声を殺す。
小餓鬼族にしては結構大柄に見えるから大戦士級だろう。
さっき切り倒したやつよりもふた回り程に大きい。
彼奴がアイゼンホルプの脛めがけて鐵金槌を振り下ろした。激痛が奔って当然だろう。
鐵金槌に殴られるのは弐回目だ。比較的小柄の小餓鬼族を切り倒した途端に
天と地が転がった。目の前の小柄な小餓鬼族を切り倒しすのに気と取られ斜め横から
飛んでくる鐵金槌を避けられない。ごきっと音がして脛骨が砕けたも知る。
恐らくは粉砕骨折で済めば戦女神が慈悲を恵んでくれたとばかりに手を合わせて感謝するべきだろう。
もっとその前に小柄な奴とやり合っている時に打ち下ろした鐵剣を探検一本でいなして返され
手練れ技宜しく疾風真似事一閃に指を二本持っていかれてる。
(これでは小餓鬼族と同じ参本指ではないかっ)当然に痛みと血飛沫が飛び散るが
悪鬼大熊の如くと体躯をぶつけ蹌踉めく小餓鬼族の頭にぐさりと鐵剣を突き刺して葬る。
だが、巣溢れを起こした小餓鬼族の手勢手数は衰えも知らずに増えるばかりだ。
息をすれば血霧が肺に潜り込む程に朱と蒼の血飛沫が肺に潜り込む。
「うぉ~~~~。死にやがれぇ~~。化け物奴っ」
同族の兵が鬼形相で吠え剣を突き刺して小餓鬼族一匹を屠れば
「ギャンっギャン」と声が響いて背中から弐匹参匹と小餓鬼族が跨り短剣を振り下ろす。
歴史が初まる其の時から相手を蔑み嫌い殺し戦に興じてきた人類が己を良く知る以上に
巣溢れを起こした小餓鬼族は自分達の体躯を生かした戦い方をも熟知していた。
おおよそに人より背丈の低い小餓鬼族であるからこそ群れで戦う。
決して自身一匹では戦いを挑まず群れとなって挑む。
獲物の脚を狙って足止めしバランスを崩すと背中にまとわりつき頭を割れれば其れでで良し。
そうでなければ頭の一匹を退けようと気を取られる好きに脇から短剣で斬りつける。
小餓鬼族は頭も良くずる賢いと思えば滑稽でもあり匠に人も騙す。
己の食欲と性欲にも忠実で有るのもこの上ない。尚更戦にも長けているのだから手のつけようもない。
(これで終わりか。思えば、随分と怠惰な人生であった。
もうちょっと御名子と愛を営む・・・ああ・・・御稲荷さん食べたい・・・葡萄苺が入っている奴)
望んでも居なくても事の成り行きで戦へと駆り出され鐵剣一本と丸小盾一個を胸に圧しつけられ
血霧吸い込む戦さ場に背を圧され転がされた途端にこれである。
持ち前の体躯の良さは人一倍寧ろ人一倍食辛房である血縊桶團蔵。
その辞世の句こそが人生を振り返る所かおなごより食い気が先だと言わんばかりの走馬灯である。
「撤退すべきか?そう言いたいのだな」
少しばかり離れた高観塔の陣地で図らずも今回の戦の司令管を押し付けられた漢が吐き捨てる。
図らずとは言ってもそうなるはと予想はついていたし状況は理解してた。
運悪く其の街に居を構えていたし例の蒼肌濁る小餓鬼族が街に居たのも運が悪かった。
蒼肌濁る小餓鬼族。
やたらと性格が螺子曲がった奴では有るし変わり者でもあった。
元々信仰心も薄い自分であっても胡散く思える精霊協会とやらの教母を妻ともすれば
尚且つに同族であるはずの小餓鬼族の奴らが根城の巣から溢れ出て来るらしい。
当然に餌と女を求めるから付近の人が住む街を襲うと知らせて騒ぐ。
其れも当惑しかりと一匹の小餓鬼族には変わらなければ間に受ける輩も少ない。
確かに蒼肌濁る小餓鬼族自身はかなりと早い時期から警告を発していたし
その過程で人の身の教母を嫁に取るなど想定外の縁に恵まれても受け入れてもいたらしい。
其れだけ事が大きい事であり鼻で笑って一蹴して良い事でも確かになかった。
今となってはである。
だが然し、人は多種を蔑み嫌う。信じる事もしない。馬鹿に見下して馬鹿にする。
それが祟ればこの様だ。
何千と何万と溢れて迫る白腹膨らむ小餓鬼族の副王の軍勢は留まる所か
未だに巣から溢れてる。
此処が最後の防衛戦と知っていてもあまり出来る事はない。
自分が指揮する軍勢の兵は一千にも多分は満たない。それでも正規の教育を受けた者でもない。
雑兵烏合の衆であり寄せ集めでもある。
冒険者を気取る輩さえ対した装備も持ってない。剣一本に丸盾。鉄鎧があれば幸せ者である。
「てっ、撤退を進言します。司令管殿。今すぐ撤退を」
「ならん。此処を破られれば街が咽まれる。それで終わりだ。
死してもなお、滅びても尚。守らねばならんのだ。玉砕覚悟である」
自分で言った言葉の意味を噛みしめるが最後は自分が全然に起たねばと覚悟をも決める。


「どひゃっ!どひゃ~~~~~、寒っ!寒い!寒いぞ!やっぱり寒いぞっ!」
ふっと意識が戻ったと思うと猛雪の嵐の中に裸で放りさだれたかと言うように寒気が遅い
身を震わせ血縊桶團蔵はがばりと跳ね起きる。
「さっ寒っ!寒い!寒いぞ!やっぱり寒いってばっ」ガクガクぶるぶると四肢が震えて止まらない。
太くも逞しい腕を自分の胸に回して身を固め体温の温存を試みる。
「御寒う御座いますか?御客様」
「御寒うございますのね?御客様」
未だぶるぶると四肢が震え状況等に気を配る余裕がない耳に高めの女性の声が届く。
「寒い、寒い、儂は死んだはずだぞ?其れよりも寒いぞっ。なんとかしてくれ」
唇が青くそまり奥歯がガチガチと成れば寒くてしょうがない。我慢出来ずに誰かに助けを求める。
「お寒う御座いますはお気に召さないので御座いますか?御客様」
「寒すぎるのでしょうか?寒いのがお嫌いなら其れはいけませんの。御客様」
「なっ、なっ、なっ、寒くて堪らんのだ。なんとかしてくれ。頼申す」
対面も奥面も構わずに震える四肢で頭を垂れる。
パチンと誰かが手を叩く。
恐らくは耳に聞こえた声の女性二人の内何方かが発したものであろう。
時と場所に寄っては手を打ち鳴らす音はいろいろな意味を持つ。
何かの騒ぎを収める時には手を打って注意を引く。何かを初める時にも合図としても使うだろう。
震え凍える自分の脇に寄り添う女性が手を打ち鳴らした途端に部屋の雰囲気が変わる。
縊犂桶團蔵は其処でやっと回りの状況を理解する。
「儂は死んだはずだが・・・たっ確か小餓鬼族の金槌が頭に・・・」
太くて丸っこい指で瞼を擦っても視るが何故か左目は右瞳は旨く開いてはくれなかった。
体中が凍え寒いのに左瞳の場所だけ熱く熱を持ってる。
何となく其処は腫れ上がっているんだなと頭の何処かで認識も出来た。
反対の右瞳を大丈夫だろうか?ある意味恐怖と不安を押さえつけながら右目を開ける。
其処に映る光景は多少なりとも、寧ろ多いに畏怖を覚える光景である。
まず、目に飛び込むのは氷塊だ。意外とすぐ其処の近くに氷塊があった。
寧ろに柱にも観える。言い直せば氷で作った柱。氷柱である。
團蔵自身は結構に大きなベッドの上に身を沈め半身を起こしている。
おぼろげな視界の向こうに有るれば氷柱であるが、良くと観れば其の氷柱の下部には金属の器が有るとも判る。
氷柱の下部に器、氷であれば時間と共に空気に溶けていくはずだ。
氷が解ければ水と成る。水が解ければ床が汚れてしまう。其れを防ぐ為に器が有るのだろう。
氷柱が視界の中で動く。誰かが氷柱を手で圧してるとも解る。
動くと言う事は台車でもついているのだろう。
つまりは滑車がついた台の上に目上げるばかりにとと高い氷柱が乗せられており
気温差に温められて冷気を放つ。放つ冷気は更に外気を冷やしあたりを凍えさせる。
結構広い寝室であろう場所の室内にそれが4本5本と氷柱が台車の上に乗っている。
それは寒くてしょうがなくも当たり前である。
従者の長とも言う女性が合図すれば極められた動作で氷柱を手で圧して部屋の外へと運び出す。
冷たくはないのだろうか?そもそもあれだけ大きな氷柱を素手で触り尚且つ圧して運ぶなど
常人に出来る事ではないようにも思える。それが充当な考えだろう。






























