【不倫・人妻陵辱】紅いジャージの竿絵師


「本当に御前は鈍臭い奴だなっ。そんな事もこなせないのか?」
三つに成る娘を腕に抱えたままキッチン卓の角にあったコーヒカップを手を滑らせ取りそこねる。
タイムング悪く娘の優瑠音が身を捩りバランスを崩したのが原因である。
母親の性として腕に抱いた娘がむずがり暴れても床に腕から離す事は絶対にない。
例え自分が失敗してもである。
「そんな事言わなくても・・・」
無愛想に侮蔑を吐き捨てる夫と縁を結ぶ人妻・彩瑠璃は娘を抱きあやしながら口を尖らせる。
「ふん、いつの間にかぶくぶく下っ腹も膨らませて鈍臭い嫁の癖に」
多分、前から言ってみたかったのだろう。子を孕み生み落とせば体系も変わる。
元の其れに戻る戻らないは個人差もあるし運も時間も必要であるが大抵の場合は無理に近い。
なにせ専業主婦と言っても一日の内大半の時間は子育てに費やされる。
「ままぁ~~」両手を広げ精一杯の笑顔で奔りよてくる娘を拒める母親がいるわけもない。
彩瑠璃が娘に手を焼いてあたふたとしている側で夫は好きなTVドラマを観ながらビールを呑んでる。
「ちょっと、お願い。優瑠音観てて」少しの合間でも手伝って欲しいと頼むこんでも
「今て離せないから嫌だ」携帯の画面から目を離さずに、其れさえも面倒臭そうに言い放つ。

幾つからだろう?
結構前の交際の時も結婚してからも夫は彩瑠璃に優しくも激しく求めてられてきた。
大事にされてると感じていたし、時に激しくも強く力ずくで押し倒されるのも悪い気はしなかった。
娘を孕むまで其れを拒んだこともなかったが、子を宿したとなればそうも行かない。
腹をふくらませる妻を犯す事を趣味とする輩もいるのかも知れないが、それは飽く迄も趣向である。
医学的には良くないことであるし、子を宿しつわりに苦しめば嫌悪感をあわらにして当たり前である。
母となっても愛されたいと思うのは女の願いと性である。
良くも悪くも母となる女は変わるとも言うが、自分ではそう思わなくてももっと変わったのは夫だろう。
段々と彩瑠々を妻としても女としても観てくれていないような。夜伽さえも求めてくれもしない。
夫が彩瑠璃と距離を置くようにもなれば、空気も読むのだろうか。
娘・優瑠音もあまり懐いてるとは言えない気さえする。
声を掛けられれば答えるが自分に向けるようなひまわりのような笑顔で笑いかけはしない。
朝に夫送り出し娘をの相手でずっと時間を取られ一息付く間もなく夜まで動きっぱなしである。
自分の時間なんか取れないし楽しみもなければ肌の手入れも満足出来るはずもなく
かつてはモデルかと間違えられた容姿も今は影も薄くなってしまう。
今日も明日もずっと其れが続いて行くに違いなかった。


「ママァ~~・・・くまさんっ。大きいくまさんだよ?」
「えっ。こんなと所にくまなんているはずないわ。優瑠音ちゃん・・・・」
なにせ純粋な瞳で物事を視る子供心である。良い意味で想像力も逞しい。
「あら、本当にくまさんだわ・・・・あっ」
熊である。熊の如くの漢である。つまりは人で有るが熊にしかみえないのだけも人である。
失礼に当たるかと思い彩瑠璃は少し厚ぼったい唇を手で隠し言葉尻を呑み込む。

熊の如くとその姿の漢はまずに体躯が大きい。しかも横に広い体躯であれば前にも腹が出っ張る。
著しくは肥満と言わずとも熊の如くに大きな肩幅にでっぷりと出る腹。
突けばぽよぽよと駄肉が揺れるに違いない。
真丸の顔に黒い髪をひっつめに結い上げ余った髪は頭上でゴム輪で止めてる。
ちょんまげにも観えるがそこまで伸びてないから滑稽でもある。
丸い顔に細い瞳。眉間の眉は極太くも左右つながりの一本眉にも見えてしまう。
顔の中心の鼻はでかくも歪めば鷲鼻。普段は鼻と言う者はあまり目立たないはずであるが
其の熊の如くのそれは大きくも目立つ印象の強い鼻である。
唇も分厚く大きい。食べ物を食べると言うよりは吸い込むと言う食べ方だろう。
太っては居ても二重顎でないのは褒めるべきだろう。何かしらの運動をしてるのかも知れない。
顔つきが丸くもでかい鷲鼻が目に留まると言ってもまぁ、不細工でもある。
四肢も大きくも着込む衣服はおそらく特注の真っ赤なジャージとゴム製の草履。
あんな大きな草履ととか海外からの通販でしか手に入らないだろう。
しかもただでさえ大きな体躯の癖にまちがえたのか其れよりも大きなサイズであるから
余計にたぼたぼであるからやっぱり滑稽な熊の如きである。
右手に吊るすビニール袋は贔屓の牛丼屋の大盛り牛丼だろう。少なくも四つは入ってるに違いない。

突然に、暫くも向こうの何処かでドンっと大きな音が弾ける。
自動車同士の事故でもあろうか?
彩瑠璃と娘の優瑠音から見れば進行方向。
対する熊の如くの赤ジャージからすれば背中側となる。
事故の音がドンと弾ければびくりと結構な高い背の熊の漢は背を縮める。
油断してたのか手に吊るす牛丼に思いを巡らせて口中に涎でも貯めていたのだろうか?
大きな四肢の癖に意外と臆病なのかもしれない。
突然の大きな音でもあれば一瞬で消える。何事かと訝っても背後へ首をめぐらし
何事と多分事故であろうと思えば背後に回した首が前に戻る。
「あっ」母と娘の声が重なるとゴツンと鈍く熊の漢の頭と電柱柱が打ち合う。
勝った負けたと言う前に相手はコンクリートの柱であれば勝負は容易い。
「うがっ!痛い、痛っ」鈍い打撃音が痛みに変わると結構痛い。
大体にして予想してなかった事故の音で驚き身を縮めたと思えば振り返るも電柱柱に激突である。
「くぅ~~~」よほど痛いのだろう。巨躯に似合わずにも腰をおり熊の漢は其の場に屈み込む。

「あっ、こら。優瑠音ちゃん」何を思ったかとっとっと、と駆け出す娘を止める暇も無く。
とっ、とっ、とっとみっつ歳の娘の優瑠音が熊如くの漢に駆け寄る。
「熊の小父様さん大丈夫?痛い?痛い?痛いの痛いの飛んでちゃえ~~」
かがみ込んむとは言え熊如くの頭はまだ高い。
優瑠音は精一杯踵を伸ばし熊如くの漢の頭をなでて母に教わる痛み飛ばしの呪文を三度も唱える。
「おおぉ~~。御嬢。有難う。御嬢は優しいのだな。お陰で痛みが溶けて消えたぞ。有難う」
無垢でもあり人の痛みをもわかる幼子の気持ちに素直に感動したのだろう。
元々怖顔での一本眉を歪め破顔して笑って魅せる。
「す、すいません。当然に。娘が無礼を・・・」
「母上殿か?
嫌々、無礼なぞあるものか。この歳で他人の痛みを判るも労るとは素直で優しい御名子である。
さっきは驚いたが御嬢のお陰で痛みも解ければ心も晴れました。有難う。
御恩は忘れる事はしませぞ。良し、何かお礼もしなければだな」
少々にも堅苦しく昔言葉で役者じみた話し方は独特であるが
ズキズキと痛みを堪え目尻に涙貯めてもにこりと笑うのも漢の意地だろう。
「だいじょうぶですか?」娘に駆け寄り然りと手を握る彩瑠璃に無言で頷くと
大事そうに石湯の上においた白ビニール袋から割り箸を取り出しさっと引き抜き箸を口咥える。
手にするのは割り箸を汚さず包む箸鞘の袋紙である。
「御嬢、とっくりとご覧あれであるぞ」箸木を咥えていればモゴモゴもと聞き取りづらいが
大きくも丸い手を起用にも動かし、ひっぱり、たたみ、撫でて降り、幾度と繰り返すと
白い箸鞘の袋紙はそこそこに大きくもちょっと滑稽な熊の姿と成る。
「わぁ~~。熊の小父様さん。器用なのね。熊さんがくまさんおったのね」
熊如くの音漢が指しだれた箸鞘袋の熊紙人形を背伸びし小さな手で受け取ると嬉しそうに微笑む。
「云々、善行頂ければ感謝で返すの國漢の礼儀と筋で有る。
小生は熊縊犂團蔵と申す。縁巡れば礼をも尽くして御相手いたす」
「小次郎太彩瑠璃と申します。無礼と騒ぎとお許しを」
「コジロウタゆるねでっす。御園巡ればでっす」
「云々、古礼儀にも通じるとは、いやはや関心。関心然りである。がっはっは」
いつの間にか本当に痛みも消えたのだろう。
豪快に声を震わせて笑い飛ばし熊縊犂團蔵とと言う大柄な漢は深々と頭を下げて歩きさる。
「ままぁ~~。おっきな熊の小父様さんだったねぇ」
「云々、おっきな手だったわね」娘の頭を撫でながら彩瑠璃は別な事に思いを馳せる。


「あぁ・・・。主任。もっとぉぉ」
淫猥に喘ぐ同僚部下の乳房を弄りながら小次郎太勇は自分を馬鹿だと苦く思う。
居を構える自宅に変えれば美麗な妻が夕飯を作って待っている。可愛い盛りの娘も然りだ。
尤も子供の扱い方等良く分からず戸惑うばかりで旨くも行って無いかも知れない。
それにしてもだ、そうと解っていても遅めの残業と言い訳して社の倉庫で同僚の乳房を揉みしだく。
悪い事だと思えば裏切りだとも自覚もしてる。
何処から浮気と言えるのかと言えば最初からだろう。
担当する部署の打ち上げで無理に酔った振りをした部下明日香の乳房を弄ったのが始まりだった。
以前から好意を持たれてるとは知ってもいたし、機会があればとも浮ついたこともある。
妻の妊娠時期にも重なり時期も間も悪かった。労るべき時に我慢出来ず求めれば断られる。
後で知れば女性が腹を膨らませるのは個人差あれども辛くも体力的にもきついと知れる。
もとより子をやどす四肢で漢の性欲を満たしてやる道理も無くて当たり前だろう。
確かになにくそ、鈍臭い癖にと苦くも思ったがわれに帰って考えてみれば
容姿端麗に美しくも乳房も大きく閉まる腰と大きな尻と抜群のスタイルとは反対に
少々ドジな所もある彩瑠璃を足蹴に口説いて結婚を迫ったのは自分である。

夫であると言う威厳と意地と対面を保ちたくて傲慢で粗雑な態度でゴリ押しするが問題も有る。
どうしてだ。どうしたものだと勇の心中を悩ませるのが勃起不全である。完全なものではない。
再起不能というわけでもない。性欲も以前と変わらず旺盛でもある。
仕事中に回りと行き交う女性同僚の胸の大きさと谷間と横に揺れる尻を視姦ばかりしてる。
自身の家柄も容姿も良ければ人気も高い。事ある度に態とらしく目の前で四肢を見せつける同僚も多い。
「小次郎太主任って御堅いわよね。きっと彼処も・・・。やっぱり奥様が美人だとかなわないわ」
コピー器の回りで顔を突き合わせ噂する女性同僚の尻をも見つめながらため息が漏れるのも多い。
それでも一度堕ちれば底なしの沼だ。
喘ぎを漏らす明日香は勇の好みとはとことんに違う。勇の理想と好みはやはり妻の四肢である。
「ああん。気持ちいい」意外に大きくも上がる声を聞けばベッドの上で快楽に溺れ
絞り出すようにつまらせながらも喘ぐ妻・彩瑠璃の姿が脳裏に浮かぶ。
「も、もっと擦って下さい。それから捻って」強請ると言うよりは一々煩く指示してくるも気に食わない。
大体にして追々比べてしまうが妻・彩瑠璃よりも遥かに乳房は小さい。
ツンと勃つ敷くびは弄り甲斐があるが感度も色も大きさの好みも妻の方が良い。
だが然し、いつぞやに屹立と天に向い唆る漢竿は其れにあらずである。
心が疼き其の気になっても四肢の漢竿は熱を持ってもだらり地面に垂れたままである。
最初からそう言う物だとおもっているのか口に咥える明日香は嬉しそうでもある。
社内部署でも人気の小次郎太主任を奥方から寝取っているという心理的な快楽が有るのだろう。
肝心の竿が硬くならずとも雌壺の中で扱けば白濁もあふれるのであれば其れで良いのだろう。
愛液垂れる雌壺に熱く熱を持っても垂れる漢を竿を突っ込みながら自分は馬鹿だと
小次郎太勇は自分を罵倒して絶頂には至る。


人妻であり母である彩瑠璃は後悔する。結構に強く。
自分の手に負えないかも知れない。そして天の巡りも悪いらしい。相当にである。
「本当に鈍臭い奴だな。御前はっ」
深夜に遅く自分とは違う化粧の移り香を四肢から漂わせ、酒臭い息で夫が言い放つ。
「なっ、なんですってぇ!・・・浮気者の癖に。浮気してる癖に」
美人でもあり何処か童顔でもあり八重歯を覗かせ屈託も無く笑う笑顔が可愛い妻・彩瑠璃。
その眉が釣り上がり口元が歪めば八重歯は牙の鬼の面顔である。
「何だとっ、誰か浮気してるって?証拠でもあるのか?俺が浮気してるって証拠はあるのか?」
「これが証拠よ。浮気の証拠よ!」
普段は大人しくも冗談好きの彩瑠璃が脱兎に跳ねて勇の背広の内ポケットに手を入れて広げる。
靭やかで細い指を広げれば手平の上には弐枚の避妊具がのっている。
しかも片方は封が切られ中身がない。当然についさっき同僚相手に使ってしまったからだ。
「きっ!汚い!妻がいるのに他の女の尻に突っ込むなんて不潔!
これだけじゃないでしょ!ここにもあるわよ!これが証拠よ。言い逃れなんかさせないわっ」
彩瑠璃の細腕が反対の内ポケットに隠す弐台目の携帯をつかみ画面を勇の顔面にぐいっと突き出す。
浮気相手との連絡用の携帯は当然に彩瑠璃には秘密にしていたはずであるが
これもまた当然で勇が脱ぎ捨てる背広を受取り皺にならないようにと気を使いタンスに掛けるのも
当然に妻の役目としてるなら糸くずと領収書等を漁るのもまた妻の手癖然りである。
ぐいっと突き出した彩瑠璃の手に握られた携帯の画面。もう解っているのよっとばかりの証拠とは
画面に映る一枚の写真。彩瑠璃にしてみれば知らぬ顔の女性であっても明らかに
漢の下半身の股ぐらに顔を埋めて漢竿をしゃぶる女性の顔が写ってる。
画面に映る漢が果さて誰かと言っては観ても互いの四肢の味をよく知る夫婦で有るからこそ
上から見ろした画角に感染る下腹に少し大きめな痣が夫こそ勇で有ると明確に示してる。
「う、浮気して何が悪い。鈍臭い嫁の癖に。
浮気されるのが嫌なら出ていけ!出ていってしまえっ」
動かぬ証拠を捕まれ言い逃れ出来ないと知れると口八丁で勇が吠える。
「ええっ。出て行かせて貰いますわ。鈍臭い嫁で悪うございましたわね。
お世話に成りました。実家に帰らせて頂きます。この変態軟弱半勃立ち夫の癖に」
売り言葉に買い言葉。激情激しくも後には引けぬ罵倒恨み辛みの捨て台詞。
夫と間女の証拠と成る携帯を床に叩きつけると屹然として睨み吐き捨てる。
「あああ~~携帯壊したなっ、俺の大事な携帯壊したな。
この鈍臭嫁の癖にぃ~~。出ていけ!出ていけ!出ていってしまえっ」
「ええっ。そうさせていただきますわ。お世話に成りました」
怒髪天に頭に血が昇っても母である。おそらくは初めての両親の大喧嘩に怯えるも
目を丸くする娘優瑠音を抱きかかえると最低限の身支度で長くも住み込んだ我が家を飛び出る。


彩瑠璃は後悔する。恐らく自分の手には終えないかも知れない。
何時からか薄っすらと察していた夫の浮気。
自分の事を鈍臭いと言い始めた頃からか少しその前からだろう。
以前はそうではなかったが週に何日か帰りが遅くに帰宅する。
軽く問いただせば残業だからしょうが無いと返してくる。
顔は美形であっても何処か気弱な所がある夫・勇であるし重ねた四肢の数が嘘の癖も良くと知る。
自分で知っているともいないとも嘘をつく時はきまって目が床と見つめ鼻を指でぽりぽりと搔く。
今もさっきも勇はおぼろげな目つきで床を見つめポリポリと鼻頭を搔いていた。
自分より何処ぞと知れぬ間女の四肢に溺れ竿を突っ込んで腰を振る夫の姿は情けなくも悔しい。
激情然りに大声を上げて吠えては見たが喧嘩言葉につられ幼子娘を腕に抱き言えと出たのは良いが
行くべき場所が見つからない。実家に帰ると言っても距離がある。
今から列車に飛び乗ってもつくとすれば明後日にも張るだろう。
幼子もいれば寝床も必要である。長く外気に晒すのも忍びない。
「なっ、なんでこんな時に・・・・こんな事が・・・」
ザァ~~~っと轟音振り堕ちて来たと思えば頭から雨が振ってくる。
一瞬で頭から胸にぎゅっと抱いた娘の四肢の体温を奪い彩瑠璃の全身をも雨が濡らす。
「ご、御免ね。優瑠音。御免なさい・・・」
悔しさと後悔と懺悔と情けなさに雨で身を濡らし、トボトボと歩くのが精一杯で有る。
どうしようもなくどうにも出来ない状況であれば情けなくも惨めで有る。

ザァ~~~っと局地的な豪雨が天から堕ちれば体温も奪われる。
ブルブルと四肢が震えれれば道路を奔る車列が溜る水飛沫を滝と舞い上げるも
彩瑠璃の四肢を頭から濡らすして汚す。
「御免なさい。本当に・・・・御免なさい」
本能的にも守ろうと母の胸に顔と四肢を埋める幼子・優瑠音。
豪雨に晒され徐々に体温も奪われる。
浮気夫に裏切られ、我が家を飛び出すも行く宛も思いつかない。
豪雨の滝雨に身を撃たれ道を歩けば助けを求められる人も場所もない。
只、とぼとぼと全身を雨に撃たれ娘を抱きしめてトボトボと歩くことしか出来ぬ彩瑠璃。
助ける人も声を掛ける輩も回りにはいない。どうすることも出来ないはずである。

殻傘番傘妖怪奇々怪々、
豪雨地面を撃てば霧飛沫隣りて地面跳ねて霧雨の川海となるゆえに
傘妖怪の殻傘番傘、其の目に見えたら脱兎に後ろに奔れ

古くも御國の角の寒村山村に伝わる迷信紛いな言い伝えであるが
雨に撃たれ身をに濡らし頭垂れる長髪の向こうに妖怪殻傘番傘がうっすら影と観えた。
胸に抱く娘・優瑠音がもそりと動く。
雨霧の向こうにあまり見かけないほどに大きな傘の類、朱色の紅い傘といえば番傘が開く。
夕方も遅くも夜帳が堕ちれば開いた番傘が豪雨に滝を別けて割いている。
ふと、その番傘がこちらを向いたかと思うと弐度回り揺れている。
もっとも冷たさに観が震え目も霞む。
だが然し、妖怪空傘は見間違いでも幻想でもなくとまごうこと無く現実である。
その証拠に・・・・。
空傘番傘が揺れたと思えば一目散っ。怒涛の如くにまっしぐらっ。豪雨飛沫とかき分け大隈が奔るっ。
一本傘が傾けば前に進めと奔れば空気が邪魔ともなったのか?
空傘閉じて大熊が奔る。子を抱く母に大熊、壱頭が奔って迫る。
ばしゃりばしゃりと水飛沫を跳ね上げ母子に駆け寄る大熊こそに、いつか電柱に頭を打つ掛けた熊縊犂團蔵である。
「お、お、お、御嬢っ!どっ、どしたのだ!
こんな雨嵐の中で何をしてるのだ?かっ、風邪をめすぞ?どうしたというのだ」
水飛沫を弾き娘を抱き構える母の頭の上にバサリと番傘開き今更ながらと雨を避ける。
「くまのいじさんつ。パパが。浮気したの新しい雌女と・・・浮気ちたのっ」
「なっ、何だと。其の歳で父殿の浮気をしるかのか?ふ、ふ、不憫であるぞ。不憫すぎるぞ
しかし、ませてるな。其の歳で浮気となっ、ませがきであるなっ」
「お恥ずかしい事に・・・・事実ですの・・・・喧嘩の果に家を飛び出したものの
行き所もなく。娘に不憫にも辛い思いを・・・・・あれぇ~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
彩瑠璃が不憫にも理由を打ち明けるが最後まで言わせては貰えない。
皆まず言わずともとばかりに彩瑠璃の胸から娘・優瑠音を奪い抱き、ばさりっと番傘開いて
傘柄の棒を首を傾げて肩に乗せる。これで御嬢は雨飛沫から護れるとばかりに頷くき
「御無礼御免っ!」と一言唸り、濡れて揺れる乳房と尻の隙間の彩瑠璃の腰にぐいっと腕を回すと
背筋を真っ直ぐにドズドズっと奔って雨嵐の中を奔り出す。
「あれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ。御代官様。御無体なっ」
何処かでよく聞く古時代の決まり文句を叫ぶが容赦もない。
画して雨嵐の中に番傘一本。胸に幼子を抱けば太い腕で小脇に大きな尻の人妻の尻を抱えて大熊が奔る。


「着替えは此処に置いてておくぞ。
何せ一人寡婦の漢世帯であるからな。何だ?御嬢。一緒に入りたいと?
そ、そ、それは行かぬのだ。淑女はたやすく肌を魅せる理由にはいけないのだ?
あっ、奥さん御免なさい。若しわけない。漢者の服しか用意出来ぬのだ。
そ、それから事情も有るだろうが。こちらの都合を気にしなくて構わない。
好きなだけいるいてくれて構わない。部屋もあまってるしな。
こら、御嬢。バスタオル壱枚で走り回っちゃ行かぬ。こらっ、駄目だってば」
「有難うございます。こんな事までしてもらって・・・・ご迷惑を・・」
「何気にする事はない。あんな場所に母と子を放置治しておくのは國漢児の大恥である
何せ、御嬢には頭を撫でで貰った恩がある。漢児たる礼儀は当たり前である」
速く速くと毛深い手を幼子に引かれながらも大人の会話と礼を交わす。

熊縊犂團蔵と言う漢は観た目は良くないし正直醜男でもある。
醜男であるが恩義には準ずるのだろう。世話好きでも有るらしい。
豪雨の中で過ごしたは多分に小一時間にも満たなくも其れこそ一生暗闇に堕ちたとも思える。
番傘を首と肩の間に挟み込み胸に小娘、小脇に人妻を担いドスドスと雨飛沫を退けて
自宅であろうマンションにと急いで帰ってくる。
母も子も雨でずぶ濡れであるし四肢も冷えきってるとなれば廊下に雨雫と垂らしても構わず
風呂場の脱衣所に詰め込む。さっきの会話は窓越しでもある。
「熊の叔父ちゃん。すごいね。優しいね」
「御免ね。優瑠音ちゃん。大変な思いさせちゃって」
「ママのせいじゃないもの。間が指したパパが悪いのよ。
でも、小父様さん、ドスドスってかっこよかったね。熊さんだけど」
「云々、優しい熊さんだね。ちゃんと御礼言わないとだね」
夫と浮気間女との性で自分と娘が何故こんな事になったかと恨んでみても
不幸の谷に堕ちれば幸もやってくる。
熊縊犂團蔵言う漢はいい意味で人を騙すのが得意らしい。
「わぁ~~~ままっ、御子様ランチだよ!お山のご飯にお旗立ってるの
ハンバーグの上にチーズ乗ってるの。デザートにプリンが付いてるの。
熊の小父様さん。好き!好き!優瑠音。お嫁に行くぅ」
「嫁を取るなら胃袋をまず掴めっと言うのが家訓である。
何せ一人寡婦の営みが長いのでな。炊事洗濯家事は得意技なのだ。
こら、ピーマンを退けてはいかん。野菜は胃腸を整えてくれるんだぞ。
あ、奥さんも駄目だぞ?ピーマン嫌いは母親譲りか?
他に嫌いなものとかあるなら言ってくれ。遠慮なくだ」
熊縊犂桶とやらは結構にお喋りも好きらしい。
当然に女性を招くとなれば着替える衣服もないのだろう。
雨嵐に撃たれた四肢の汚れを落とし心中はどうであれ湯船に浸かれば人心地もやっとつく
ホカホカと一息ついて風呂場から上がると目を見張る。
熊縊犂團蔵自身も雨に撃たれていたはずであるがいるの間にか四肢の雨汚れを落とし
いつもと同じ柄でも赤いジャージがぬれてないないあならちゃんと着替えたに違いない。
滑稽なのは大きな体躯の赤ジャージの上に真っ白なエプロンをしてると思えば
片手に鐵のフライパンに卵を落とし日繰り返してオムレツを作ってる。
一人寡婦の成果それとも好きで極めたのか、自分でいように料理は得意らしい。
毎日の食卓で腕を磨く人妻彩瑠璃でさえも多少なりともその味には舌も唸る。

久しぶ入りの団らんであった。
尤も本来の姿ではないだろう。
「こら、御嬢。ピーマンを退けるなっ。人参と退けるな。
母上殿の様に美人になれないぞ。
儂のお肉を横取りするな。デブの儂には大事な栄養源なのだぞ。おませな御嬢奴」
「ピーマンさんは嫌いなのっ。人参さんは甘くないのっ。
お野菜さん食べなくても鶏肉君たくさん食べればママみたいに巨乳になれるの!
将来、巨乳になって熊の小父様さん誘惑するのっ」
一人寡婦の漢世帯であれば子供用の椅子などないに決まってる。
仕方がないかとでも言うように寧ろ当たり前であると言うように
自分で作った御子様ランチを卓の上に順に並べ少々行儀が悪くても椅子の上に胡座を描き
集めの座布団をのせ安定感をつくると預かる子・優瑠音をひょいと掲げで胡座の上に乗せる。
誰かの胡座の上に乗せられる体験等なかったのだろう。
少々驚くも大熊の漢の胡座に収まれば卓の上の御子様ランチが目の前にある。
喜々と勇んでスプーンを逆手に握り嬉しそうにケチャップ和え飯をパクリと喰らう。
「おっ、奥さん。偏食はいかぬぞ。偏食は。
野菜をどけちゃいかん。魚の身は箸で綺麗にほぐしてだな。
母親たるもの。常々幼子の手本としてだな・・・ピーマンをのけるなてば」
「お野菜食べなくも鶏肉食べれば胸はおっきくなりますの。
私の乳房は鶏肉と日々の鍛錬(夜伽)で出来てますのっ。お野菜残しちゃ駄目よ?優瑠音。
おっきな体躯の癖に小姑様いたいに小煩いですの。
大体にしてお腹周りでっぷり育てて何者ですか?」綺麗な箸使いでピーマンを退けて言い擦れる。
「儂の腹はチャームポイント何だぞ?
もっともモテることもないが・・・何せこのは腹だから!
儂の色恋沙汰はどうでも良いだろうか?だから儂のお肉を横取りしないでくれ。御嬢」

何処で覚えたのだろうと言うよりも、目の間にお手本がいると言うのが正しい。
母の手作りではないとは言え子供が好む御子様ランチをたらふく食べれば
大熊の漢が腹を叩くのを真似てポンポンと自分のお腹を叩いて優瑠音も真似をする。
互いに顔を見合わせ満足げに腹をさする姿は微笑ましいが人前でやらないで欲しいと
母・彩瑠璃は何となく思い苦くも笑う。
まだ小さい口を大きく開けて眠い眠いとばかりにアピールすれば
とりあえず整えた寝台へと大熊の漢の手を引いて寝かしつけろと言わんばかりである。

「さて、小次郎太彩瑠璃さん。
今日は色々あったろうから娘さんとゆっくり休むと良いだろう。
まぁ、件の一件をなかったことには出来ないだろうし目を瞑れともいわぬ。
勿論、儂も詳細は聞かぬ。只、事が落ち着くまでは個々にいてくれても構わない。
なぁにぃ~~。困ってる時はお互い様だ。御嬢には頭を撫でて痛みを消してもらった恩義もある。
責めてもの恩返しというわけだ。飽きるまで個々にいれば良い。儂で良ければ力にもなろう」
「有難う御座います。落ち着くまでの数日お世話になります」
この國の民は恩義と礼儀は大事にする。ともすれば忘れがちな事であろうが熊縊犂桶と言う大熊は
其れを大事にするのだろう。
大きな巨体に真っ白な割烹着姿の大漢の前で雨宿り所か壱宿一飯を与えてくれた漢に
心底感謝する彩瑠璃であるが、何氏とあまりに大きな体躯に熊の如きの顔
野太い声と一本つながりの極太眉毛に、真っ白な割烹着姿である。
神妙な顔つきで互いに顔を見合わせるが何とも滑稽な熊縊犂桶の姿でも有る。


「小次郎太優瑠音君っ」
「はいっ」
「今日も元気で何よりであるっ。只今より幼稚園出発前の最終点検の儀を行う」
「はいっ!おでぶの熊小父様隊長!」小さい手でびしっと敬礼が帰る
「ヘルメット確認!ちゃんっと被ってるかね?」
「はぃっ。ちゃんと被ってます」ポンポンっと頭を拳で叩いて確認して魅せる。
「次!最近は寒いからちょっと厚めの服をきてるかね?靴紐は大丈夫であるか?
膝当て、肘当て、手袋はちゃんとしてるか?それからオヤツとハンカチと
河童と大事なぬいぐるみと住所カードと緊急ブザーとお着替え用のおパンツもだぞ!」
「厚着の服おk!手袋膝当て肘当ておk!ブザーとパンツはリュックの中ですの!熊さん隊長!」
足元を指差し確認すると次も其の次もちゃんと手で触り指で示して確認する。
「よ~~しぃ!大丈夫だな。今日も元気で母上殿に挨拶だ!いってまいります!」
「ママァ~~行って来るですますっ!ちゃんとお留守番してるんですよ~~」
「はいっ。いってらっしゃいな。きをつえけなさいな。熊縊犂桶さんよろしくですの」
熊縊犂桶が居と構えるマンションの玄関広場で元気な声が響きわたる。

部下の同様の稚技な誘惑に惑わされ浮気した夫との喧嘩中であれども
お腹はすくし寝床も必要であるかと思えば娘も幼稚園に送り出さねばならない。
雨に撃たれて熊の如きに漢のマンションに転がり込んだ母子である。
そは言え次々に地面から湧き上がる問題や天から振ってくる戯言に対処するには
知恵と勇気を振り絞る必要があった。あと熊縊犂桶の体力もである。
「駄目だ。駄目、自転車買おう。で、出来れば蓄電アシストのくっついてるやつが良い。
儂、引きこもりだったっ。急に激しい運動したら膝が泣く、膝が笑って歩けなかった・・・」
彼の翌日の朝。
いざに幼稚園に娘を送ろうとしたら結構に遠い距離だと判明する。
それはそうである。彩瑠璃は自宅を購入する時に将来の事を見据えて吟味もしていたが
縊犂桶にはなんの用意もないのだ。しかも雨に打たれ慣れない生活が始まったばかりである。
油断したと言うわけでもなくが環境が変われば距離も変わるものだ。
「時間も無いだろう。儂が送ろう」
どれどれ自分の出番とずいと腹を突き出したが、幼稚園まで奔ると成ると結構な距離でもある。
普段、全く持って運動などしない四肢に鞭打ってなんとかたどり着いたが5分の遅刻となっただけでなく。
送り届けた後に喘息の発作が十と数年ぶりに勃発して偉く苦しみ顔面蒼白で彩瑠璃の所にたどり着いての
開口一番が先程のものであった。

どんなに丈夫な四肢であっても、自分は体力が有る方だと信じていても人の四肢と言うのは正直である。
「凝りた・・・。自転車を買おう。否、今から自転車屋に行ってくる!」
「そ、そこまでしなくても。私が早起きすれば・・・」
「嫌々、彩瑠璃さんにはやるべき事も有るだろう。これくらいの用事は儂がこなすべきである」
でっかい体躯を九〇度の折り膝に手をついて支えながらもぜぇぜぇと息を吐きながら言い捨てる。
思いついたら其の刻が吉事と自分のルールときめているのだろう。
一度は自宅に戻り息を整えると蝦蟇口財布を握りしめると止める彩瑠璃を置き去りに自転車屋に
どずどずっと奔って行く。

それから弐日三日とたつと熊の如く体躯の縊犂桶と夫と喧嘩中の彩瑠璃と優瑠音の生活リズムも
少しつづ形にもなってくる。
以前から朝寝坊気味の癖がある彩瑠璃の代わり割烹儀を着込む縊犂桶がキッチンに立つ。
寝ぼけ眼の母子を焚き付け幼稚園の支度を済ませるとマンションの小庭で声を張り上げ
どっこらしょっと自転車の座席に抱きかかえのせると電動アシストの力と運動不足の四肢を
動かし優瑠音をぽっちゃり体系ではあっても貧乳のおばさん先生に預ける。
帰りは下り坂で意外に楽だと胸を撫で下ろすも帰宅すれば、そのまま自室の隣に借りる
仕事部屋へと籠もり仕事を汗癖と手を動かす。
昼ごろになると今度はちゃんと人妻らしく手を掛けた昼食を彩瑠璃が仕事部屋の玄関まで届ける。
はっきりと其れが何かとは言わないが、縊犂桶は所謂絵師であるらしい。
随分と狭意の需要に答えるのが常であるも手間もかなり掛かるとも
絵の具で鼻頬を汚して笑う。割烹着を好むのも仕事用のエプロンと変わりないからだろう。
午後に成ると娘・優瑠音を電動自転車のペダルを踏んで縊犂桶が迎えに奔っていく。
帰りは下り坂の勢いに任せ、きゃきゃっとはしゃぐ優瑠音と一緒に笑う。
家にもどれば三人そろい、其の日にあった事を身振りで喋りまくる優瑠音の相手をこなす
夕方までは母・彩瑠璃が娘の面倒をみる。大体は添い寝して一緒に昼寝を貪る事も多い。
優瑠音が目を擦りあくび顔で起き上がると買い物籠を抱え二人で商店街へと買い出しへと奔る。
籠が一杯に成る頃には縊犂桶も仕事を片付け、丸っこい指にこびり付いた絵の具を落とし
割烹着を着込んで母子の帰りとキッチンで待つ、トントンとぐつぐつと買い込んできた食材を
料理して仕上げの味見を済ませば後は三人揃って団らんを楽しむ。
食後の食器をかたすのは責めて其れくらいはさせてほしいと譲らない彩瑠璃が担当し
その隙を狙ってきゃ~きゃ~~、こらそこは・・だめだと騒いで縊犂桶と優瑠音が風呂で遊ぶ。
遊び疲れて欠伸が出れば寝床に籠もる優瑠音が強請り、真っ白な紙を聞かせ絵本に見立て
頭の中で空想絵面で絵本噺を描いき噺聞かせて寝かしつける。
吐息が上がればそっとドアをしめ、あまり呑まない彩瑠璃と軽めの大人同士で晩酌を楽しむも
大抵はたわいのない会話と流れるが詰まる事もある。
当然にこの先の事である。
彩瑠璃と夫のこれからの事。
恩義も感じてもいるし心地よくもある最近の状況をそのままにして済ますわけにもいかない。
いつまでも此処にいる理由には当然に行かないし、当然に夫と関係を放置しておくわけには行かない。
最低限の荷物しか抱え持ってきてないし入り用な物も多々にある。
特に娘・優瑠音のお気に入りのウサギのぬいぐるみを持ってこなければならない。
「夫婦喧嘩も気持ち次第とも言う。
尤も一人寡婦暮らしの儂の噺などは他人事の絵空噺でもあろう。
だか然し。一度ほつれて切れかける縁は事の他に辛み事である。
此処は儂に当てがある。任せてはくれないか?態々嫌な思いをしなくても良いだろう」
「心使い有難うございます。思う所もありますが此処まで甘えさせてもらってます。
それでも最後まで甘えても宜しいでしょうか?」
「勿論である。任されたぞ。血縊桶の家名に連なる者。
御名子の顔が曇るは観てられん。放って置くのは家名の恥である」
随分と古い言い回しでぽんと膝を叩くと枡酒の杯を煽って熊の如くと縊犂桶は喉を焼く


「ああ~~。何て芳しくも麗しくも愛しい匂い・・・・。
もっと嗅いでいたいのに・・・でもお仕事しないとご褒美頂けないわ。
それどころか御仕置されちゃう。否っ。御仕置して頂きたいのよ。ああ~~堪らない。
はっ、御免遊ばせ。こんな所で悦に浸ってしまうとは。これも御支障様がいけないですの」
その日も又にあら雨振り堕ちる午前中である。
社畜とも愚民とも言われようとも必死で働くやっぱり社畜民が災害級の荒雨の中で
いつくるかとわからない列車を待つホーム。
理路整然とは行かずともとりあえず並ぶ列のど真ん中で其の人物は嗚咽とも歓喜とも取れる
淫猥な声を上げる。もっともその容姿出で立ちも少々異様である。
これほどの雨では透明な傘等、役に立つはずも無いから皆雨合羽でもあろう。
当然その彼女も雨合羽を着込むがサイズがふた回りほど大きい。
更に其の日が大雨だからその日突然箪笥から引っ張り出して北和歌でもない。
大きな頭巾からチラリと観える端正な顔立ちの頬に揺れる赤毛の髪
前髪は少し長く伸ばし悪戯の儘に左右に別けて流すが後ろは結って一つに纏める。
欧州流行り言葉で言えばピックティル。國言葉では豚の尻尾結びとも言える。
もっとも真紅に染めてるから頭巾を取ればよく目立つ。
ふた回りもお起きな雨合羽は欧州の奥地に住む遊牧民の民族衣装でもある。
普段から着てるし気に入ってるからポンチョかマントでもあろう。
たっぽりとした黑布のポンチョの奥に隠すのは細身の四肢であるが凹凸のある四肢であれば
確かに巨乳で巨尻でもある。細身の四肢と靭やかに腕と手には黑皮の手袋を着込めば
太腿も足首踵までこれも黒川のブーツで隠す。
通勤時間の駅のホームで似つかぬ格好で自分の世界にズッポリと嵌まる女は
綺麗に畳んだ布を顔に近づけさっきからその匂いを嗅いで快楽に浸ってる。
「ああっ~堪らない。堪らない。御師匠様の匂いが染み込むお守りの匂いが香しいぃ」
白布を顔鼻にあて悶え身を捩る姿は、一見しなくでも女だてらに変態である。


電車がホームに到着すれば当然に社畜人が我先にとなだれ込むが
其の頭巾外套を着込む女がコツンコツンと車内に入ろうと脚を進めるとさっと人並みが割れる。
例え美人であろうにもホームの挙動を知れば関わりたくないな誰も同じだ。
頭巾かを深く被る女は車内では意外にもきちんと回りにも迷惑も掛けない様にと気を使うも
頭巾で顔を伏せてはいても手すりに捕まり、時々何かを思い出したかのようにふふふっっと笑っている。
頭巾外套の上からでも凹凸激しい四肢とそれればお触りの一つもしたい輩もいるやも知れぬが
そういう輩に限って手出しはしないでぐっと我慢する。この手の女は気が強いとも知ってるからだ。
やがてに降りるべき駅で列車が止まれば、くいっと顔を上げて前に半歩でる。
彼構わず後ろに下がって他人をお仕分けてさっと、列が分かれて人が退ける。
荒雨のが堕ちる通りは歩きにくいが頭の中のちずと照合し想定内の所要時間で目的地にたどり着く。
勿論、途中のコンビニで買い込んだ蜂蜜餡掛けの石屋行きもを軒先で頬張り
遠目に四肢を視姦してくる中年の会社勤めの漢を罵倒してやる時間も計算の内で有る。

近所ででも高給取りでもない限り住むのは中々難しいと言われる彩瑠璃と夫が暮らすマンション。
本体であればしっかりとしてセキュリティであれど、其の女はいともなく突破するどころか
何も咎められる事もなくエントランスを通りエレベータでいと楽々にと彩瑠璃の住む一室の玄関にたどり着く。
なんの事はないエントランゲートの番号は仕事の依頼主から教えてもらっているしキーカードも同様だ。
「特殊任務っ。
師匠殿の妾奥方候補彩瑠璃殿と御嬢様の入り物、雑貨品、判子、その他の回収。
及び、不潔ふしだら変態夫と間女の浮気現場の確固たる浮気証拠の確保であるの。
久々のお仕事ですもの。私意外に妾とか許せんないけども。きゃ!御妾っ。
否、私奴など師匠様の妾などはもったいない。寧ろ足台とか雑巾代わり位が・・・
はっ。お仕事せねばっ。お仕事っ。ああ~~~頭を押さえつけられて床を舐めさせて貰いたいですわ」
彩瑠璃の住まい家の玄関の前で一人戯言を言いながら女が悶え身を捩る。
どんなに眉を潜めて変態っと罵ってもこの女にはご褒美なのかも知れない。
それでも抜群のスタイルと美貌を誇る女は目当ての部屋の玄関を開けするりと体を潜り込ませる。
雨水滴る頭巾をハ細い指でめくり上げると同時に外套も脱ぎ捨てる。
一応は人様の屋敷であれば雨雫を垂らしていいのは玄関まで位だろう。
忍びないとはおもったが帰るまでは仕方ないと外套頭巾の襟をコート掛けに掛ける。
サイズ違いの外套の下は黒一色のレザースーツでぴっちりと固めてる。
子豚の尻尾に見立て短く伸ばした紅い髪を軽く後ろで結い上げる放漫で凹凸のある四肢に
ピッタリと覆いかぶさる黑皮のスーツはスタイルの良さを誇張してる。

ふっと女が吐息を吐き出す。視界が堕ちる。
姿勢深くも屈んだと言うのが正解であり、其れよりももっと姿勢を落とし殆ど床に這いずると言って良い。
蛙脚に又とぐいっと開いて踵でと折り曲げた指だけで四肢の重さを支え床の上を這いずって進む。
まるで地面に腹をつけて潜み歩く八足脚の蜘蛛のようである。
事実、女が愛して止まない師匠と言う漢はこの女を女郎蜘蛛と呼び捨てる。
ひたり、ひたりと息を潜めて奥の部屋に近づくのは、そこに目的の物が有ると知ってるからだ。
正確には妻と喧嘩して数日、これぞ我が春とばかりに浮気相手の股ぐらめがけ腰を振ってる夫がいるはずだ。
壁に這いつくばる蜘蛛の如くと床に四肢を滑らしいリビングと廊下を仕切る扉にたどり着くと
半身を持ち上げ壁に顔をピッタリと寄せ聞き耳を立てる。
「あんっ、主任。気持ちいい。もっと、もっと突き上げてぇ~~」
「気持ちいいぞっ、あんな鬼嫁の雌壺より御前のほうが気持ちいいぞ。
もっと、尻を高く突き上げろ、ああ~~気持ちいいいっ。あぁ~~」
妻の財布と折半で購入してるマンションであれども、今は喧嘩中だ。
彼奴が突然に帰って来ることは無いとも鷹を括ってる。
平日の午後に自宅マンションで愛人・間女の逢引するのも乙なものだ。
当然、会社には嘘もついている。妻の四肢に後ろ髪を惹かれながらも今暫くは快楽に溺れるも時に良し。


(ちょっと狙いにくいわね。師匠様のぷにぷに御尻ならまだしも
溝鼠の汚い尻を的にするのは気分が悪いわね。女の四肢も貧弱だし・・・面倒くさいの)
こっそりひっそりと開けたドアの隙間からチューブ式の湾曲カメラを通して
依頼主の人妻の夫と愛人・間女の情事を記録する。
本来は軍事品であるから携帯性を重視した物であるから画質はあまり良くはない。
これで浮気の証拠とするには心元ないのも重々承知でるが一応の保険である。
個人的には音声の質が悪いのは気になるが其れもどうにでも成るだろう。
浮気調査を営む探偵であればこれだけでも成果とも言えるかも知れない。
夫と浮気相手の情事姿であれば申し分もないはずだ。
(溝鼠漢の尻だけじゃつまらないわね。どうせならもっと美しも画期的に!
僕達、頑張ってます的な動的な絵が欲しいわね。それにしても汚い御尻だわ)
一応仕事の結果は得たというのに納得出来ないのは拘りだろう。

自分達の喘ぎとよがりの声にぶしゅっと音が部屋に響いたと思うとプスッと尻に痛みが奔る。
冷たい水がはっきりと体内に入ってる感覚が広がると浮気相手の股ぐらに竿を突っ込んだ下半身が
ピタリと動かなく。力が入らないと言うか自分の医師では動かせない。
自分の下半身が重い石の様にがっちりと固まる。
「うぉっ。なっ、何だ。どうしたんだ?」
「あんあん、止めないでっ、止めちゃ駄目。
只でさえ半勃ちなんだから責めて動いて?・・・あれっ」
最初に腰の動きを止め巨乳の人妻から寝取った漢の突き上げた腰がピタリと止まっと思えば
今度は自分の下半身も動かなくなる。
「えっ?何がどうしたの?なんで辞めるの?未だ逝ってないのよ?」
背徳に快楽を貪る夫と愛人の情事がピタリと止まる。
「はい、はい。そこで止まって。あ、その格好が良いわね。
芸術的にとは程遠いけど、許容範囲ねだわね。云々」
妙にかすれた女性の声が聞こ得たと思えば殆ど同時にぷしゅ、ぷしゅん、プシュンと音も成る。
「なっ、何だ?御前は。人の家に土足で勝手に入り込んでっ。賊やろうか?・・・・あれれ?」
「ああ~~。つ・・冷たい・・・気持ち・・・いい・・・むにぃ?」
尻に冷たい感覚が満たされると石の様に四肢が固まる。
何処かのファンタージー物の化け物の石の怪光線でも浴びたような。
「お、御前何者だ?人様の家に土足で上がり込んで失礼だぞ?」
四肢は動かなくてもなんとか喋る事は出来るらしい。当惑するも家主の威厳は保ちたい
「あらんっ、失礼。でも大丈夫。ちゃんと対策はしてるから
其れより、もうちょっと御尻動かしてくれる?ちょっと抜きかけの感じで。
そうそう、今にも浮気相手の雌穴に半分入ってますみたいなのが素敵なの。
云々、完璧な角度よっ。妾ってやっぱり才能あるわねね」
人の家に勝手に上がり込むのは確かに泥棒紛いか賊と一蹴するのは正しいが女郎蜘蛛の女は玄人である。
自分のワークスタイルは崩すのは嫌いであるから全身漆黒一色で統一してるが足元は違う。
歩きやすくも動きやすい軍製のブーツであるが其の上から白布の被せをつけている。
これなら家床も汚さずに靴底の後も残らない。玄人には当然の心得である。
「はぃ。浮気現場を見つかって当惑ながらも不味いって感じだけど浮気相手の股ぐらに
竿突っ込んでやっぱり気持ちい良いみたいな視線頂戴。こっち観て!はぃ、こっち!」
後ろ背に背負ったやっぱり黒皮のリュックからいかにも高性能ですっと一目で判るカメラを取り出すと
パシャパシャと彩瑠璃の夫と浮気相手の情事姿をデジタル触媒に記憶していく。
「おいっ、御前何してるんだ?止めろっ!止めろってばっ」
「ろへぇ~~ぷろろん~ぶへぇ~~」
尻に伝わる冷たさは何かの薬だ。専門的には言えば筋肉弛緩剤に類するのだろう。
浮気相手の尻肉に指をガッチリ喰い込ませながらも雌壺に竿を突っ込んでいるが到底自分では動かせない。
腕は動かなくても胸肉と頭はなんとか動かせるのは黒皮衣装の女が加減したのだろう。
其の証拠に床に寝そべり尻を突き上げ股ぐらに竿をくわえ込む浮気相手の女は呆けた顔で唸ってる。
恐らくは余計な事を喋らせたくもさせたくないのだろう。ていよく黙らせていると言う理由だ。
「私が誰かって言うより何が起きてるのか?のほうが大事でしょうに。
まぁ少しは説明してあげるけども。
妾が愛して止まない師匠様の家に貴下の妻と娘さんが転がり込んでるのよ。
結構、美人らしいじゃん。嫉妬しちゃうんだけどさ。まぁ私は下僕の戌畜生の方が好きなのよね。
師匠様に蔑まられて虐げられるのが大好きなのよっ。勿論言い付けられた事は完璧にこなすのが
妾のお仕事って理由。今回は貴下と浮気相手の性交現場の記録と奥方さんと子供さんの
生活用品とか今後の対応に関する書類とかの引取なのよ。
だから証拠写真と撮ってると言うわけよ。
あっ、突っ込んで根本までずっぷりと!云々いい感じ」
自分では動かせない尻をどんっと圧されずぶっと音と愛液のしずくが飛んで竿が根本まで潜り込む。
「あぴゃっ、あん」尻を突き出す女が喘ぐが艶っぽい声と裏腹に顔面は蒼白でもある。
四肢を自分では動かさせなくても状況は判る。聞こえた言葉から何がどうなってるかは理解できてる。
雌壺を貫かれてはいても状況は最悪である。会社をさぼり上司の家で性交してる。
相手は妻持ち家族持ちであれば揉め事は必須だ。浮気現場の証拠を押さえられたともなる。
言い訳など出来なければこの先に到来する厄災に身を震わせるしか無い。
「さてっと。カードも一杯になちゃうし。浮気の証拠はこれくらいでいいわね。
確かに浮気現場は押さえたし、御師匠様に虐めてもらわないといけないし。
楽しみでしょうがないわ。むふふのふ。
・・・・弁護士に相談したほうが良いわよ。貴方・・・・」
一通り、寧ろ多すぎる位に夫と浮気相手の目合いを記録に収めるとほくそ笑み
ごついカメラをリックに詰め込むと代わりに拳銃型の注射器を取り出しぷしゅっと弐回引き金を引く。
今度は腕に痛みが奔り温かい感触が広がるがゆっくりでる。
四肢が持ち主の意思で動かせるようには未だ結構な時間を要するらしい。


泥棒紛いに勝手に住居に潜り込んだ泥棒猫の女を小次郎太勇は咎めなかった。
余裕がないっと言うのが正解だろう。
泥棒の癖に浮気相手の女よりも大きな乳房と尻を有していたから忘れられもはしないだが
弁護士を雇えと捨て台詞を放った言葉に恐怖をも覚える。
だからと言って公に争うのは気が咎める。自分の妻を罵倒しつづけ影で浮気三昧とも成れば悪いのは自分である。
今更に妻・彩瑠璃と顔をあわせるのは嫌でもある。
大体にしてあんな雌泥棒を送り込んで来る妻が転がり込んだ先の漢と言うのが気になる。
送り込まれた雌泥棒は師匠様と呼んだか分からずも玄人にも思える。
あれこれと対応をどうすべきかと悩みあぐねているとすぐにその時がやってくる。
数日前に戌呪ノ妖菓子法律事務所とやらから連絡が入る。何々何日の何時と何分に御自宅に
お邪魔しますから在宅しておいてくれと言うものだ。
なんとかのらりくらりと引き伸ばして誤魔化そうとしても、其れだけ要件を告げて電話は勝手に切れる。

「小次郎太さん。この度の件。奥様の意向としては大事にしたくないと考えております。
なるべく穏便に済ませたいともおっしゃってますの。
すなわちこちらが提示する条件を承諾して頂ければ其れで良いということですの。
時間もあまりかけたくないので此処に捺印してただければこちらも助かりますの」
























天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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