【自動人形】automata#1

ちょっと奥まった繁華街の奥。其の住宅地に連なるアパートの一室。
「何とまぁ~~~。凄惨と言えばそうなるがこれを事件と呼ぶには些か違うな」
笹釜と刻まれた倭之御國憲兵警察手帳を入り口を見張る掛かりの者に見せて部屋中へと入る。
一人づまいには少々と一人アパートであるが整頓はされていなかった。
ありとあらゆる生活用品が床の上にこれでもかと雑多に転がされて居る。
物取りか押し込み強盗の類にも見えるがすでに始まってる聞き込み噺を考慮すればそれはないらしい。
つまりは個の部屋の持ち主が単純にだらしないだけだ。
笹釜は帝国憲兵警察隊殺人課に属し多くの場合は殺人事件を担当するが今日の現場は
それに属するかどうかとは悩みどころだ。それを死体と認めるなら確かに笹釜の出番はある。
然し足元に転がる遺骸を人種人類の物とは到底言えないだろう。
語弊はあるし其の表現もまた難しい。単純に見えるだけを現状として捉えるだけなら凄惨と言える。
「二十歳前後青年という所でしょうか?周りのものから察すするに世に言うヲタクを言うところでしょうが」
2週間前に配属され笹釜の相棒を務める若造が肩口から覗き込んで声を掛ける。
「ふむ・・・」観れば分かる事を口にする相棒の言葉を無視し笹釜は遺骸の脇に膝をおり覗き込む。

若し其れが人の遺骸で有るならば膝を折って覗き込むのはきがひけるだろう。
殺人として観るならば犯人はよほど残忍に違いない。
背後から忍び寄り鈍器で一撃と仕留めるは容易い。問題は其の痕に態々と手間を掛けて居ることだ。
殴り殺し陥没した頭部の皮を剥ぎ肉を千切捨て頭部は遺骨を露出させている。
これほど残酷な行為は許せないが其れでも嫌悪感をあまり覚えないのは
その遺骸が人形だからだろう・・・。

置字

天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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