御面遊戯

「街を救う正義の英雄ヒーローと言うのはこの程度なのかぁ~~~」
大げさに手を広げ嘲笑う怪人が僕に向かって言い捨てる。
「クソ。これくらいの事で負けてなんかいられないんだ。僕が街を守るんだ」
蟹を模した怪人の鋏い一撃で僕は膝をついてしまう。

ケラケラと楽しそうに笑う蟹怪人が大きな鋏を振り回し勝利を確信しあざとく嗤い転げる。
自分の力不足に愛想が尽きる。これ以上人型の儘で戦っても負けるのと解ってる。
それは僕だけじゃなく。遠巻きに怪人と僕の戦いを観てる輩にもよく知れる。
「がんばれぇ~~~。怪人なんてやっつけちゃえ~~~」通りの向こうで子供が騒ぐ。
そうだ。僕は正義の味方なんだ。此処で立ち上がらなくて何が正義の味方だ。
体に残る最後の力を振り絞って僕はすっくと立ち上がり勝利に舞い上がる蟹怪人を睨む。
「行くぞっ。悪の組織の怪人目・・・へ~~~ん~~~し~~~ん。とぅ!」

刻に今から二十年前・・・。
そう・・・。この世の全てに厄災を齎す呑穴が生まれてから5年後。
それまでは只、時間の経過と共にその口を大きく広げ全てを飲み込むだけの呑穴付近の岩から
在る種の資源が発見される。一見すれば鉱石にこびり付いた一種の粘液であったが
それは全人類の常識を覆す物であった。
一言で言ってまえば粘着性の強い細菌。
それが人種ならず動物全ての寿命をおよそ20年伸ばすと言うもので在る。

 

置字

天鼠蛭姫

天鼠蛭姫

0 0 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest

CAPTCHA


0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
テキストのコピーはできません。