【女装主婦】寒凪と杏子
「そろそろ隆史君のお迎えに行かなくちゃ・・・」
寒凪の名を源氏名とする漢はいそいそと支度を始める。
役所仕事で何かを提出する度に寒凪は揉め事を起こす。
其の容姿が完璧すぎるほどに女性であるからだ。
確かに少し背は高いかもしれないが生まれつき体の線が細い。
女性だけが持つ乳房はCカップに届かずとも其れにギリギリのBカップ
相手の手にしっとりと収まる白肌と形も気に入って貰える事も多い。
細身であればこそにも大きくもないにしろ形の良さはに定評も有る。
今時風情に流行りの少し濃いめの茶髪をおかっぱに切りそろえてもいる。
「まだ寒いから風引かない様にしないとね」
ショート丈のシンプルなコートに身を包み首元に紅いマフラーを巻いて戸口へと向かう。
寒凪の事情など禄に知らぬ物がその性別を見極めるのは頓と難しいのでは有るが
唯一その方法が有るとすれば足のサイズである。
こればかりは他の女性より大きい物となり寒凪の悩みの種である。
ザイズの大きな女性用の靴は元よりあまり無く運良く見つかっても今度はデザインが可愛くもない
倭之御國その国内でみつけるのは難しく結局に比較的大きな女性が住む欧州から通販している。
目利きの鋭い輩が寒凪の足元を睨み見れば明らかに違和感を覚えるかもしれないが
其れ以上に寒凪の振る舞い立ち姿は女性のそれでありそれを漢性であると断言出来る物は少ない。
「寒い。寒いのよ・・・」
少しばかり背が高くても寒風に身を縮めれば女性のそれともあまり変わりない。
「ママ~~~。寒凪ママ~~~」
目指した幼稚園の門が見えれば母の姿を視線に捉えた幼児がぱっと顔を輝かせて奔る。
「ママァ~~~。抱っこぉ~~~」
愛しくも可愛い息子・隆史が手を広げてパタパタと走りより手前でぴょんと跳ねれば
寒凪はそれと知って身を屈め跳ねる幼児の体を受け止める。
どんと言う強い衝撃が体を打つが細い手を息子に回して寒凪はしっかりと受け止めてやる。
「ママ~~~ママ~~~。オヤツぅ~~。プリンがイイ」
「うんうん・・・寒いから早く帰ってプリン食べようねぇ。隆史君」
確かにあまり大きくない乳房であっても母の胸であれば甘えたく成るのだろう。
隆史は乳房に顔を埋めて精一杯に甘えてくる。
「本当に甘えっ子なんだから・・・隆史君は・・・。
それではこれで・・・失礼します。先生方」
幼児の割には少し大きな体の幼子を割りと苦労もせずにヒョイと持ち上げると
寒凪は礼儀正しく園の職員に頭を下げ振り返り商店街への方へと歩るき去る。
「隆史君ねぇ~~~。
自分の子供なのに君で呼ぶのってなんか変よねぇ~~」
「そうですか?特に違和感とかないですけど私は。
寒凪さん美人だし良く頑張ってるじゃないですすか?」
「そうかしら。たしかにそうかもしれないけど毎日お迎えに来るわけじゃないし
何か理由有りげな感じよね・・・思い過ごしかしら?」
何処にでもいそうなそれなのに少し違うようなそんな雰囲気もある母子を
一人は特に疑わず一人は何処か訝しげに寒凪親子の後ろ姿を黙って見送る。
「笹崎君?なんなのこの書類?間違いだらけよ?
いい加減にしなさい。今週何回目の残業だと思ってるのよ」
新橋杏子は大手製薬会社のある部署の主任を努めている。
新規薬剤の開発部署であり其の上に何人も上役がいても実質的な現場のリーダーは杏子で有る。
「君のお陰で週に四回も残業に付き合う私の身にも成りなさい。この御馬鹿」
「はぁ~~~。申し訳ありません。主任」
渋々と頭を下げる笹崎であるが実は有能なスタッフである。
日々に提出すべき書類の不備は態とであり意図的な物でもある。
自分が余計に残業しなかれば成らない状況を作れば当然に主任の杏子もそれに習う必要がある。
つまりは事務所内で2人きりで過ごす時間が増える。
そうなれば口説き堕とすチャンスも大きくなる。
周りもそれと知っている事実でもあるが当然に杏子は苛ついてしょうがない。
息子の事も有るがそれよりも妻と一緒に過ごす時間が少なくなるからだ。
はたから見れば当然に美人で乳房も尻も大きくも女盛で弐年前に離婚を経験し
今はシングルマザーとなった杏子をじっと視姦するだけで黙っている漢等居やしないだろう。
もっとも自らの浮気で縁を切る羽目になった元夫さえも未練タラタラで同じ社内の上役とも成れば
尚更に気まり悪くても未だにアプローチを絶やすこともないのが杏子には悩みの種でも有る。
笹崎がそれとなく時にあからさまに誘いを掛けても頑固として邪険にする様を見れば
本当に脈がないと悟るべきではあるが当の笹崎ところか当人は然り其の周りまで
あれは嫌やよ嫌よも好きの内。乙女心の裏腹であると信じれば
あの2人は出来てるに違いないと信じる同僚も少なくはない。
それに元夫の嫉妬が絡めば巨乳の上司と部下とも元夫の愛憎恋慕と見てと得れて
此れもまた昼休みと休憩時間の噂風の種とも猥談が華を咲かせるにはことなりないだろう。
「只今ぁ~~~。寒凪・・・」
「お帰り為さいませ。貴方様」
恐らくは態と不備をそのままにした書類を部下が訂正する間にも跳んでくる口説き文句を一蹴し
自宅で過ごす自宅で家事と息子の世話をする妻に遅く成るからとメールを入れた跡に
やっと自宅へと帰り付く。
「今日の隆史君はとっても元気でしたわよ。貴方。
幼稚園でも元気に遊んだみたいですし、お迎えにいったら私の胸にドンって飛び込んできて。
オヤツは黒蜜プリンと桃缶を四分の一くらい。それから子供用のアニメをみて
夕飯はコロッケと野菜サラダ。御飯は子供用のお茶碗で二杯ですの。
お風呂に入って体洗って上げましたが園で少しはしゃぎすぎてちょっと転んだらしく
膝を少し擦りむいたみたいです。きちんと薬を塗って絆創膏を貼っておきました。
治りが遅ければお医者様に連れて行こうと思ってますの」
「云々。有難う。寒凪・・・」自分より細いのではないのかと思える指を滑らせ
杏子の鞄を受け取ると普段着に着替えるのを寒凪は素早く手伝う。
正直に言えば其の名を呼ぶのさえも未だに抵抗がある。
寒凪と暮らすようになって半年と半分は過ぎているはずであるが
其の名を呼ぶのにも気恥ずかしさが未だ残る。其の理由は明白でもある。
大体にして一粒種の隆史ではあるが実際には寒凪との子供でもない。
産み落としたのは杏子自身であり其の種は確かに前夫のものである。
それでも我が子同然とばかりに愛情を注いでくれる寒凪には感謝しかないだろう。
多少は堅苦しくも時に大げさではないかとおもう節も確かにはあった。
毎日の帰宅時に其の一日の息子の様子を口頭で羅列するかと思えば
もっと詳しく綴った日誌みたいな物の欠かさずつけている。
一度窘めようとしたら怒られた。
「人様の御子様を預かるのですから当然です」と真顔できっぱりと宣言をもされる。
其れは確かでありありがたい事ではあるがやはり超えるべき一線があるのかと
しみじみと思い知らされる。
そして又一つ・・・。
杏子自身が一人に自分でいられる時間が風呂である。
寒凪との関係を続ける生活で其の時間だけは自分で要られた。
夫婦であるのだから共に汗を流すのも不自然ではないと思うが寒凪はやんわりと断る。
自分の体の事であり其の時ばかりはどうしようもないからと言い捨てるのだ。
大体の予想は付くのだが言われてみれば自分の本性を見られるのは苦痛なのだろう。
かと言って夫婦の営みは当然ある。しかも頻繁に。
大抵は風呂を上がりバスタオルを胸の上からきつく巻きビール缶片手に寝室を覗くと
きちんと敷き直された真っ白なシーツの別途の上で枕を並べ
ポスポスと叩きながらも位置を見極める寒凪の形の良い尻にむらむらと欲情し
吾を忘れて杏子が襲いかかるのが定番で有る。
「貴方・・・」
「寒凪・・・」
自分がこれほどに欲望に忠実でありしかもかなりの助平で変態だとは思わなかった。
それと知ったのは寒凪と初めて交わった時からであるが其の深みは未だ底知れずである。
「寒凪・・・可愛い・・・」
「そんな・・・貴方こそ・・綺麗です」
我慢出来ずにもひとしきり其の口中に舌をつっこみ絡め唾液を注ぎながらも
杏子好みの其れと知る白いレースのブラジャーに指を掛け剥がせば
大きくもないが形の良い乳房が弾ける。
「もう・・・もうこんなに乳首勃起させて・・・寒凪ったら」
「だって気持ちいいのよ。好きなの・・・弄られるの・・・其れに貴方だって・・・」
杏子が弄れば細い指が遠慮なく胸に巻いたバスタオルを無造作に剥ぎ取り
こぼれ出る杏子の乳房を揉みしだいて乳首を嬲る。
「ああ・・・気持ちいい・・・もっと嬲って・・・もっと虐めて・・・」
大きくも張った乳房を弄られ快楽に溺れ始めると杏子は積極的になる。
寒凪の乳房さの先を舌で弄びながらも片手を伸ばし股座を弄る。
「嫌らしい寒凪。もうこんなに固くして・・・欲しいんでしょ?我慢できなくらいに」
「馬鹿・・・言わせないで・・・もっと弄って貴方。もっと嬲って。貴方の指で」
声のトーンが変わり何処か切なくも甘い声が寝室に漏れ2人は歪な情愛に溺れていく。
未だ幼子・隆史の母親で有るはずの杏子。
否然しにも一緒に暮らす寒凪との生活の中では夫で有る。
夫役と言うべきなのだろう。
対として暮らす寒凪は妻であり妻役と言うのが正しい。
其れこそ役所仕事の雑務をこなす職員にしてみればこれ極まりの厄介事である。
杏子と寒凪はその縁を結び幾度かと役所に足を運ぶが其の度に揉める。
先ずに眼の前に現れる2人は線の細い女性と男勝りとも見れるがちゃんとした女性
其の2人が結婚届けを出そうとするのだが頭を撚る事にもなる
明らかに女性で妻であろうと言う線の細い女性が提出する戸籍書類には
何度見直しても漢と明記された場所に丸がついている。
隣のやたらとスタイルの良い女性の戸籍処には女性に丸がついている。
個々までは良いだろう。
否然しだ。
同時に提出された婚姻届には夫に杏子の名が妻の欄には寒凪の名前が記載されている。
「何かの間違いでは・・・?」老眼の眼鏡を鼻上でずらし声にだす
「否、間違いありません。妻の寒凪で御座います」
「まっ。間違いなくも夫の杏子です」
筋の通った態度を譲らぬ寒凪に対して上ずった声を上げる杏子は
多少なりとも事情を理解しているのだろう。
「そう入ってもこんな事例は初めてでして・・・上司と相談しないと・・・」
婚姻届けをすぐに受理出来ないと言われると寒凪が拗ねる。
其のいじらしさにほだされたのか漢気に駆られたのか杏子が吠える。
「私達の結婚を認めないほど倭之御國の方は心狭いのか?
そもそも愛し合っている2人を祝福するのが御國であろう?
私達の結婚が貴様の生活に何か不都合でも与えるのか?言ってみろ。この薄ら禿!」
「うぐぐのぐ・・・じゅ・・受理します・・・お幸せに」
最近特に薄くもなりつつ有る毛量を馬鹿にされてはたまらない。
更には公僕の身であれば尚更であり確かに法律で愛し合う者こそが夫婦と名言されていればこそ
多少の並びが逆であっても世情の体制に影響はないだろう。
致し方なくも役所の職員は渋々にと寒凪と杏子の婚姻届けを受理する。
静かに流れていく刻を一年ほど遡る。
新橋杏子にしてみれば人生で最も過酷で残酷な日々が続く毎日であった。
大恋愛とも言える中身の濃い恋愛を経験し仕事でもそれなりの地位に尽き
春爛漫とも言える日々を過ごし縁を結び結婚の運びと成るも一粒種を授かりしも
其の日々は確かに平穏であった。
謳歌するべきその生活が正に地獄へと転がったのは春風が吹く頃。
愛する夫が浮気した。
しかもそれは結構に長い期間の裏切りであり杏子は打ちひしがられる。
繁忙期に入れば仕事は目が回るほどにも忙しく幼子もいれば世話もままならない。
朝に幼稚園に送り届けたと思えば延長しても夕刻には迎えに行かねばならず
結局子供の世話が落ち着いてから自室で持ち帰った仕事の書類の
山の間に頭を埋めて毎日眠る。
いつ終わるともしれぬ仕事と育児。それは戦いであり戦争でもあった。
運悪くも別れた夫が浮気相手と縁がきれたと復縁狙いにアピールしてくれば
自分のタイプの橋にも棒にも引っかからない若造が面倒事をつくっては色目を
飛ばしてくる。うんざりする毎日がこれでもかと言うほど杏子を襲う。
その日杏子は体調もあまり芳しくもなく頭もよくは回らなかった。
それでも午後には息子を園に迎えに行かなければ成らずも気力を振り絞る。
「ママ。おそ~~~い」
幼子隆史が胸に飛び込んでくれば屈んだ体制もよろりと崩す
四肢に力を込めて踏ん張りなんとか受け止めたのは良いが日に日に大きく強く成ってくる
我が子の力にいつか負けそうに成るのではと母は苦くも嗤う。
「ママ~~~。オヤツはプリンが良い」
「云々。プリンが良いのね。でも冷蔵庫にないかもだからコンビニ寄っていこうか?」
我が子に強請られば財布の紐も緩む。いつもと違う道筋で横断歩道向こうのコンビニを目さず。
事故が起きるのは大抵そんな時だ。それは大惨事に成ることも確かに多い。
幼子となれば尚更に自分の我儘が通りプリンを買ってもらえるとなれば尚更に
浮かれ燥ぐ子供は握る母の手をするりと抜けてしまう。
「あっ。待って・・・隆史」
小さな手がすり抜けたと思った瞬間に確かに歩道の上をぴょんぴょんと跳ねて息子が奔る。
そしてあろうこともなく其処を目指して真っ直ぐに宅配便のトラックが突っ込んでくる。
其れが最後となればこそ残酷な光景が訪れると知れば体が動く。
四肢の全部に力がみなぎり弐歩と参歩と大股に足が動き前に出る。
否も然し・・・。
嗚呼無常・・・。会社勤めの性であろうか?
何処で見栄を張ったとでも言うのだろう。育児には到底剥かぬローヒールの踵がぼきりと折れる。
当然に蹌踉めき倒れ四つん這いに成った歩道の上でそれでも我が子の姿追い求め顔を上げれば
その角に宅配便のトラックはブレーキ一つも掛けずに迫りくる。
「嗚呼・・・隆史・・・」
これでもう駄目だ。家庭と夫の次に一粒種の息子さえも今日のこの時失うと悟った刻こそに。
其時・・・。
春風が一閃と舞い上がる。
あまりの疾さにそれは桃色の物体としか観えずとも
其れ一つと転び地面の上に手をついた杏子の頭上高く遥かに飛び越え
迫る轟音に驚き固まる幼子の側に膝を付き抱きかかえる。
それが桃色の毛玉の付いたカーデガンを羽織った女性で周りの者が悟っても
今こそ迫るトラックは止まらずに2人に迫る。
目にも止まらずと言えば其れまでであろうが
桃色のカーデガンの女性は片手で幼子をしっかりと抱きかかえるも
反対側の手を迫るトラックのバンパーに下から手を添えるとエイっとばかりに振り上げる。
此れもまたあろうことではないとしても事実で有る。
鐵の塊然りのトラックは程々の車体であるにも関わらず空中を舞う。
スローモーション宜しくゆっくりと空中に車体を浮かし回転すること二回と半分。
ガラガラ~~~どっしゃ~~んと荷物をぶちまけて横断歩道の飛び越えその先に着地する。
「白昼堂々。信号無視とは・・・。どんなに急ぎ行く仕事であったとしても
幼子の歩く歩道で止まらずとはお天道様が見逃しても地獄の閻魔様が許すまじ。
ましてや地に這う倭之御國の漢児であればこそ・・・外道悪党裁いて当然である。
・・・あらん。私と言う事が・・・お恥ずかしい」
確かに其れは漢言葉の口上であった。最後の言葉のトーンが変わったのは不思議でもある。
其れよりなにより小型とは言えトラック一台を投げ飛ばす女性が何処に居ると言うのだろうか?
確かにその目玉2つで観たと言っても到底信じられる筈もなく周りの観衆は拍手を送る。
「御母様で御座いますか?・・・少々お疲れの様ですが。
そんな時こそに気を引き締めて置きませんと大事な息子様で御座いますから」
多少は背が高く感じるがモデル並とは行かずともスタイルに自信もある杏子と並べば
大差もないだろう。しとやかに微笑み抱えた幼子を未だ狼狽する杏子の胸に預ける。
「お気を付けなさいな」と母の胸に顔を埋める幼子の頭を軽く撫でる。
「貴方・・・誰?どうやって・・・?」
「実家が古武術居合柔術の道場を営んでおります。
嫡男でありますから少し位は腕に覚えがあります。
もうひと回り位大きな物までなら投げてご覧に入れます。ハイ」
クスリと笑って女性は尖った顎に手をやって嗤う。
「柔術っていってもトラックを投げるなんて・・・嫡男って・・・」
仕事がら観察力は有る方だろう。眼の前で微笑む女性の言葉尻を杏子は見逃さない。
辞書を引いても引かなくても嫡男と言えば家筋を継ぐ漢児であるし長男である。
然し其の者の立ち姿は明らかに女性の者である。
薄桃色のカーデガンを羽織ったワンピース姿。
髪型は今風に切りそろえたボブカットであればおかっぱとも言うだろう
瞳もぱっちりとしてるしまつげも長い。ナチュラルメイク其の物であるが
若い女性の雑誌の表紙にモデルを努めても可笑しくない。
もし気になるという所があるのなら女性にしては如何に少々サイズの大きな足。
「あっ・・・それって・・・」
傍と気が付いたとばかりに杏子は頷き其れと知る。
姿と立ち振る舞いは女性のそれと寸分に変わらずとも例え胸元が膨らんでいようとも
其の喉に僅かに膨らむ喉仏は漢性の特徴で確かである。
「しっ・・・。失礼します」
其れに気づかれたとばかりに顔をそむけ女性は足早にと歩道を渡り去る。
トラック一台放り投げたとなれば其れも事件である。
思う以上に黒頭が集るとなれば此方も気まずい。
「待って。ちょっと待って・・・御願い・・・」
未だに震え胸に頭をうずめる息子を抱え逃げて去りゆく女性の背を必死で追いかける。
事情はあっても個々で見失えば二度と会えない。
其れと知り頭の中で警鐘が鳴り響く。
それでも魅惑的にも尻を振って歩く女性の足は以外にも早い。
まどろこしくも邪魔な靴を脱ぎ飛ばしなんとか追いついて声を掛ける。
「待って・・・御願い・・・
私と・・・・けっ・・・結婚して・・・」
ぜぇぜぇと絞り出した息と一緒に吐き出したのはプロポーズの言葉だった。
千載一遇のチャンスで有ると心騒げば無理もする。
恐らくは異性で有ると解りつつも其の細腕を強く引き半ば無理やりにも女性を
自宅のマンションにへと杏子は連れ込む。
尤も多少の抵抗はしても仕方なくも付いてきてくれたのは息子・隆史が懐いたからとも言える。
勢い著しく邁進する製薬会社のそれなりの地位に身を置けば少々豪華なマンションにたどり着く。
「失礼します。素敵なお家でございますね。あっ。お台所お借りしますね」
事故紛いな厄災に見舞われたばかりとはいえ其の恩人とも言える女性を家に連れてきたとも
それだけで済まずあろう事か求婚までしてしまったと成れば杏子は焦る。
しかも相手は恐らくは漢性で有ると思わえれても容姿振る舞いは完璧すぎるほどの女性と成る。
杏子自身も女性であり行く行くいつかは御国を支える倭之御國漢児を育てる母で有る
それが何処を間違ったのかも衝動を抑えきれずにその手を握りつかみ自宅に引いて連れ込んだと
成ればやはり常軌を逸するのである。
「貴方・・・・」
どうしても聞きたくも確かめたい事が喉を突いて出るがするりと息子を預け押し付け
キッチンへと可愛いお尻を振って歩いて行かれては黙るしかない。
何処から見つけたのだろうか黒布に白いストライプが入ったエプロンを見つけて越しに巻き
るんるんと鼻歌交じりに巻いたの上で包丁を叩く姿は真に新妻の其の姿でもあった。
「ちょっと・・・何これ・・美味しいじゃない。
の・・・残り物よね。最近買い出しもさぼってから冷蔵庫は空っぽのはずよ」
「仕事で忙しいのでしょう?それに女手一つで元気盛の漢の子を育てるのは大変で御座います
ねぇ~~~。隆史くん。お姉さんが作ったハンバーグ美味しい?」
「うんうん。美味しい。僕。お姉さんの御飯もっと食べたい」
やっと人耳にも解るくらいの言葉を覚えた息子の元気な声が部屋に届く。
其れは確かに空っぽに近いはずの冷蔵庫の食材から化けたとしか言えないが
とてもとても美味しくもあり久しぶり心休まる家族団欒の夕飯であった。
「其のお話し・・・。お断りします・・・」
何とも冷たくも少し悲しげな声が響く。
暖かくも完璧な食事の後でも事細かく寒凪となのった女性は息子・隆史の世話を焼いた。
楽しげに風呂に一緒に入れば背を流し体を洗い其処から上がればアイスを与え
杏子がさぼった爪をきってやり丁寧にヤスリで先を丸めてやる。
まだ遊ぶと駄々をこねる幼子を宥め寄り添い寝沈めてからやっとの事で別室で
寒凪は杏子の前に膝を尽き姿勢を正して丁寧に断りを入れてくる。
「ちょっと待って・・・確かめさせて・・・」
どうしても気になりどうしても正して観たいことを喉の奥から絞り出そうとする杏子。
それを悟るとでも言うのだろう。半ば諦めた様に寒凪は暗く照明を落とした部屋に立ち上がる。
しゅりと音がすれば静かにカーデガンの袖から手を抜き後背に手を回し器用に
ワンピースのチャックをずらし開け少々恥ずかしそうに腰を曲げて床に堕とす。
其の姿を漢共が覗き見れば鼻息荒くとその場で襲いかかるだろう。
偶然では有る杏子自身も好みよく付ける白いレースのブラジャーをずらし
片手で隠しながらも半身をさらし残った手で手間取りながらパンティを脱ぎ下ろす
隠す腕の向こうには確かに乳房の膨らみも見て取れる。
否然しに少し濃くれて股間を押さえた手をどけると予想していたはずのものがちゃんとあった。
「半雄で御座います。半陰陽では御座いません。
上半身は乳房の有る女性ですか・・・下の方は漢性で御座います。
心は乙女と漢児の半分つづの異型奇形の体で御座いますの」
少し恥ずかしそうにそれでも嫌われるのを知って居るのだろう。
寒くもないはずの部屋で震える体を寒凪は自分で抱きしめる。
「貴方・・・やっぱり・・・」恐らくは言ってはならない事なのだろう。
それでも驚愕に言葉が口をついて出る。
人種人類が歴史上に誕生し数億その何倍もの人が生まれでていれば
刻に間違いの一つも起きて当たり前である。多指症もあれば奇形も多いだろう。
それでも半身を女性と漢性のそれぞれの特徴を持つとは確かに珍しい。
もうこれでわかったでしょう?と忌まわしい自分の体を晒すのは耐えられないとばかりに
床の衣服を拾おうと細い指を伸ばした時に脱兎の如くと跳ねたのは杏子である。
勢いに任せて襲いかかり寝台の上に押し倒すと可愛い顔を手で覆い口づけする。
「待って・・・そんなのどうでも良いのよ。むしろ好物よっ」意図せずに適当な言葉が漏れる。
「そんなっ。待ってくださいな。あん。其処は駄目」
まだ嫌がり拒む寒凪の唇を舌を押し込み歯茎をなぞり絡め唾液を注ぐ。
剥き出しの乳房に指を喰い込ませ無理に形を歪める。
自らもまどろっこしくも逃げられぬ様にと体重を載せたまま脱ぎ捨て
遥かに大きく思い乳房を押し付け寒凪の手を掴んでそれに当たる。
嫌よ嫌よと体を捻るも人の体重一つを退けるには力がいる。
しかも感じる乳首を嬲られていれば尚更だ。
抵抗しても自分も欲情に染まればしたがってしまう。
女で有ればこそ漢でもあれば乳首を責められれば歓びに染まれば
肉のある杏子の乳房を揉みしだき爪を立てる。
「ほら観なさい・・・貴方だって・・・気持ちいいくせに。
それにどうなのよ・・・此方の方なんて本性丸出しじゃやない」
「いや・・・言わないで・・・馬鹿っ」
耳に届く声は女性のものであるが腰を浮かしてその間に伸ばし手で弄る寒凪の股間は熱く猛る。
「乳首も固くしてるのに一物はもっと硬く勃起させるなんて変態だわ」
稚拙とも取れるし聞き方によっては罵倒にも聞こえるだろう。
乳房と一物の両方を持ち合わせる寒凪には屈辱的でもある。
一瞬其の顔が曇った様に見えたが杏子の指が尻穴にふれると
「いや・・其処は駄目。きゃ・・・何をするのです」
「やっぱり個々が感じるのね。個々を責められるのが好きなのよ」
今日の出会いが千載一遇のチャンスであればこそ必ずにその手に入れなかれば成らない。
杏子は欲情猛り吾を忘れてもそれを逃がすことはしなかった。
「駄目。駄目。其処は駄目です。ああ・・・」
ぬちゃりとめり込みに伝わる感触に身震いすると我慢も抑制も聞かなく成る。
漢であろうにも細身で華奢な寒凪の体を支え抱えるとうつ伏せにさせて膝を立て
無理やりに尻を突き出させる。
「駄目。駄目・・・待って。待ってください」大きくはないかが可愛良い尻を振る寒凪
その尻穴に冷たい感触が奔る。
「ああ・・・」否応なくも尻穴にめり込んでくる感触に寒凪は身悶えし声を上げる。
「前の夫が買った張り子よ。双頭に成ってるの。
前も後ろも丸くなってるの。こんなもの要らないと思ったけどこれなら・・・ああ・・・」
前後の両方に丸みが有る張り子。所謂バイブであり従来品よりも長い。
真ん中が蛇腹に成ってもいる。本来は女性同士が楽しむ時に使うものであり
健全な男女が使うのには無理が有る。
前の夫が通販で買ったものではあるが商品が間違って届いたものである。
其時まで無用な一品であったが杏子は其の存在を忘れてはいなかった。
「ほら・・・腰をもっと上げて。奥まで突っ込んで上げるから・・・
それに反対側をこうやって・・・私が・・・あん・・良い・・・良いの
此方も弄って上げる。しごいてあげるわ。寒凪」
其れはある種異様でも有る。
半身に乳房を揺らしいじってくれと其の乳首も勃起させる
其の向こうの半身には粗粗しくも猛り熱を持し猛る一物。
その一物を手に包んで杏子がしごけば更に尻穴にバイブを無理に差し込まれ
その反対の先を杏子の女陰が深く飲み込む。なんとも異様な光景でもある。
杏子は興奮していた。
それが漢なのか女なのかよく知れぬ四肢を持つ四つん這いの寒凪の股座に手を伸ばし
猛る一物を扱いて握る。狭界の趣味であろう尻穴で感じてしまうと言う行為のそれを
自分が強いていると思えば尚更に自分もバイブを女陰に咥えこんでると成ればたまらない。
「あっ。あん。あん・・あっ。駄目。突き上げちゃ駄目っ」
いつの間に自分が女で有るともわすれ腰を前後に振り出せば
ぐちゃりぐしゃりと寒凪の尻穴にバイブが深くも突き刺さり動き似合わせて寒凪が喘ぐ。
「犯してる。犯してるの。女の子を犯すのがこんなに気持ちいいなんて・・」
「馬鹿・・私は・・・嫌。そこは駄目・・。もっとっ・・・はぁはぁ」
欲望と勢いに任せて杏子が腰を振ればシーツの生地をぐっと掴んで寒凪が快楽を貪る。
「今度は寒凪の漢を虐めてやるわ。もちろん尻穴はこのままよ」
意地悪にも自分だけバイブを抜くと寒凪の尻とばちんと叩いて体の向きを変えると
聳え猛るその一物の先に女陰をあてがい悪びれもせずに一気に腰を堕とし根元まで咥える。
「嫌・・嫌・・気持ちいい。でも・・抜けちゃう」
「駄目よ・・・バイブが抜けたら罰金よ。ほら。頑張って尻の穴閉めて・・・。
ああ。気持ちいい。すごくイイ。寒凪のおちんぽ。これが大好き」
女性上位ともなれば遠慮なく腰を触れる。
じゅぼりじゅぼりと寒凪の一物を飲み込んでは吐き出しては貪る。
「はぁはぁ。気持ちいい。駄目・・駄目・・・逝きそう」
「未だ駄目よ。もっともっと犯すの。
孕んでやるわ・・・。お前の子を孕むまで搾り取ってやるわ」
「そんな・・・でちゃう。でちゃう。・・・逝っちゃう。逝っちゃうの」
可愛くも恍惚と顔を歪め快楽のに溺れる寒凪とそれを貪る杏子
「あああ・・・嗚呼」ほとんど同時にも声を重ね熱く激しい快楽を貪り果てると
ドサリと細い寒凪の体の上に杏子は体を落として息を吐く。
「どうしたのかしら・・・新橋主任。
今日なんかぼうっとしてるわよね?笹崎の口説き文句もまんざらじゃないって感じし
お腹でも痛いのかしら。」
確かにその日の杏子は様子が可笑しかった。
いつもなら化粧もバッチリ姿勢もしっかりと早くに出社するのに
今日は時間ギリギリかと思えば化粧も薄い。
挙げ句には元夫がこれみよがしに近寄ってきても嫌がらす。
剰え肩に手を置いても悪いきはしないとでも言うような仕草を魅せたり
それを観た笹崎が俺も俺もとデートの誘えば生返事ではあっても頷いて魅せる始末であった。
尤も当の本人には焦ってもいた。
昨夜の情事はやり過ぎた。
言ってしまえば息子の命の恩人に禄に感謝もせずに自宅に連れ込み
ほとんど空っぽの冷蔵庫から息子の好物のハンバーグを作って貰ったばかりが
その後の世話一切を任せてしまい。
寝静まった後に心苦しくもその正体を問いただし曝け出した事情を理解せず
挙げ句終いには自分が女であるにも関わらず手籠にしようと玩具まで持ち出して犯したのだ。
それをレイプと言わずとなんと言うのだろう。
嫌よ嫌よも好きの内と聞こえは体裁が付いても当人は許さないだろう。
それよりも女だてらにレイプ紛いの情事に溺れるなど自分の中にそんな物が
巣食っていたとは信じがたい。
故にその時一日と辺りの状況もまともに頭に入ってこない時間を悶々と過ごす。
何より朝に目覚めれば情事に溺れた相手の寒凪は寝室にも自宅にもいなかった。
尤もそれは当たり前でも有るが。それでも息子隆史の着替えと持ち物がきちんと用意されていて
あろうことか二人分の朝食もしっかりと用意されていたのは驚く。
「お姉ちゃんは帰っちゃたの?僕寂しい・・・」
ご飯粒を口の周りにつけてごねる息子を宥めるよりも杏子自身の方が強く落胆に肩を堕とす。
「あっ。不味い。幼稚園のお迎え」
夕方の其の時間をしっかり過ぎてから杏子は吾に帰り椅子を突き飛ばす。
「隆史の迎えに行くから後は宜しく。仕事の残りは家でこなすからメールでっ」
いつもの覇気のある声を上げると竜巻の如くの勢いで事務所を出ていく。
「失敗した。色々しっぱいしてるんだわ。今日。それにしても昨日のアレは良かったのよ
でもこれは失態だわ。大失敗だわ。どうしましょ」
当然にも頭の中から一日中消えてなくならない寒凪の可愛い顔と喘ぎ声。
それがまとわりついたと思えば朝に姿を晦ましていれば失意に捉えれ息子の迎えを忘れてもいる。
延長保育ところか閉園ギリギリの時刻に入り口にタクシーをつけて走り込むと・・・。
「隆史くんなら、ちゃんとい迎えの方がいらっしゃいましたよ?
名字は違いましたが内縁の妻だと申してましたし、何より隆史くんが懐いていたので
信用してしまったのですが?間違いでしたか?」と園の職員が答えてくる。
「いえ・・・。大丈夫です。なっ内縁の妻。確かにそうです」
何とも言えぬ言葉に驚くも取り敢えずその場を納めると自宅へと急いで変える。
後にきちんと話しを聞けば諸問題を懸念した寒凪が役所で簡易家族証明書成る物まで用意して
持参したらしい。確かにこの時点では違法でもあり署名も偽造で有るが後の祭りであるし
そのうちに正されるのであれば多少の悪事も目をつぶってもよかろうと杏子は考える。
「ママ~~~。寒凪ママがプリンたべさせてくれるのぉ~~~」
この時は大げさにも安否を疑問しする杏子の耳に元気な息子の声が跳ねる。
「よかったねぇ~~~。寒凪ママなのね。云々。どうして貴方此処に」
「どうしてって言われても此方が困りますの・・・。
昨夜にあんな事強いておいて・・・責任取って貰わないと・・・」
「ママぁ~~~。責任取らないと駄目なの・・・結婚するの。寒凪ママと」
「そっそうね。結婚よね。忘れてたわ。あははのは」
元はと言えばしっかりと最初に求婚しプロポーズを宣言したのは杏子である。
その後に形はどうあれそれがレイプ紛いであっても互いに体を貪ったのなら
縁を結んで契ったと言って過言ではない。
朝にその身を隠したのは自宅か何処かへ戻り入用な身支度の必要があったからだ。
漢性のそれを持ちながらも女の嫉妬深さも持つ寒凪は甘く渋い紅茶を唇に運びながらも
じろりと夫と成るべき杏子に責任を取れプレッシャーをきつく掛けてもくる。
息子隆史は幼稚園の年頃となれば元気旺盛で以外にも遅くまで起きてたりする。
未だまだ甘えざかりではあるが子供のくせに頑張りが効く。
正式に夫婦と成すまでは至らずともそれらしく同じ家に住む大人の事情など気にならない。
「遊ぶのぉ~~~。もっと遊びたいのぉ~~」
「もう。八時半を過ぎたでしょ?おねむの時間でしょ?隆史君。明日も幼稚園あるのよ」
「嫌なの。抱っこするの。寒凪ママに抱っこするのぉ~~~」
ひたすらにむず痒く駄々を捏ねる我が息子に杏子は嫉妬さえ覚える。
「そこは私の物なんだけど・・・良いから寝なさい。隆史」
「ふんだ。ママの意地悪。寒凪ママのお胸はボクのものなの・・・貸して挙げない」
「なっ。なんだとぉぉぉぉ。このマセガキめ。其処は私の大事な場所なの。お退きなさい」
いやいやとしながらも首をふり顔を押し付ければまんざらでないと寒凪が顔を赤らめる
「ちょっと待て。寒凪。そこで顔を赤らめるとは何事ぉ?
子供よ。おこちゃまなのよ。顔を押し付けられたからって其の顔は何よ?
このマセガキめ。退きなさいよ。退きなさい。返しなさいよ。私の安らぎの場所」
微笑ましくも奇妙な光景ではある。母の胸に温もりを求めて顔を埋めればそれに嫉妬して
夫役となる杏子が額に皺を寄せて半ば本気に引き剥がそうとする。
それは何時しか息子が疲れて眠るまで毎夜繰り返される情景となりつつあった。
親となる2人が息子を躍起になって寝かしつけるのは当然わけが有る。
息子が元気に暴れまれば夫婦2人の時間が当然の如く短く成ってしまう。
特に平日は杏子の仕事が遅くなりがちであり時間もあまり取れないと成れば
休日こそに互いに求あって当然である。
気をつけないと息子が見てる前でいちゃ付いてしまうことさえあった。
それ故に休日であり得に其の日は2人に取って一刻も早く隆史には根付いてほしかった。
当然。それだけの理由ではない。
「そ・・・それでは今から礼の箱の開封の儀を行う。我が妻・寒凪よ」
「イイから・・・そんな口上どうでも・・・早く早く」
夫らしくも漢言葉で口上を垂れて魅せるが当の寒凪はどうでもいいらしい。
ベッドの上に厳かにも置かれた箱に熱い視線を送る。
早く開けてほしいのではあろうが同時に気合も入っているらしい。
この日の為に新調したピンクのネグリジェの肩紐をずらして垂らし臨戦態勢でもある。
「それでは・・・新橋家待望の一品・・・ご開封ぅ~~~」
いかにも大人の玩具と異様な安っぽい箱ではなくシックな黑を基調にシルバーの線で
アレンジされた箱蓋を持ち上げ開けて観る。
「おおおお・・・これは確かに高級品だわ」
「云々・・・貴方。つけてみて。早くぅ」目の前に現れた玩具に寒凪の瞳は吸い付いて離れない。
「うぬ。それでは遠慮なく」
少し大きめの箱を脇に起き、いざ中身にそっと手を添えて持ち上げまじまじと見つめる杏子。
杏子自身初めて見るものであるしそれを自分が身につけるとなると心が高まり興奮さえ覚える。
わざわざと國外から取り寄せた玩具はほとんど特注と言っても良いカスタマイズ品でも有る。
この手の品物でいえば破格の値段でもあろう。
それは所謂ペニスバンドと言う物である。その筋の愛好家の中では必需品で有り重宝される。
主に女性同士でセックスを営む時。二人共が女陰しか持たぬ場合入れるべき物がない
他の商品も有るがやはり漢性のそれを模した玩具があれば尚に良いと成る。
しかもそのペニスバンドはカスタマイズ品で有り双頭である。
つまりは装着して相手に入れるだけではなく装着する女性の為に工夫が成され
実際に挿入が出来るようになっている。かなり手間を掛けて作られた物であり
顧客の要望に合わせ大きさ・角度・蛇腹による曲度・振動量の変化等好みに合わせて
色々と調整出来る物であった。
「あん・・・入ってる。・・・あん・・・これやばい。気持ちいい。」
寒凪の穴に入れるとなればその前に杏子は自分が咥えなければならない。
当然に声が漏れる。
「貴方。ずるい。早く私にも」
初めてのペニスバンドとなれば装着にも手間取る。
つけた事もないしそもそも杏子は女性であるから勝手もわからないだろう。
それと知るとまどろっこしくもあるのか寒凪が手伝う。
すでに女陰にくわえ込んだ異物が与える刺激に耐えながらもその腰を皮ベルトが
きつく抑え込みじわりと女陰が濡れてしまう。
初めて漢根をつけたと成れば戸惑いと高揚感が湧き上がる。
それでも寒凪につけたばかりのペニスを根本に手を添えて握らされると全身が火照る。
生れて初めて女の体でありながらペニスと言うものをつけて自分の手で扱いてしまう。
同時に女陰に咥えたバイブが音を立てて唸る。
「あああ・・・気持ちい。・・・犯したい・・・犯したいの」
人生を女として行きてきて生まれて初めて女性を本気で犯せると悟ると杏子は獣と化して行く。
「はっ。はっ。はっ。駄目。気持ちいい。貴方。・・・もっと。駄目・・・突き上げちゃ駄目」
新調したばかりのピンクのネグリジェ等あっという間に咲いて捨てると
寒凪の細い体を持ち上げ四つん這いにさせるとひくつく尻の穴にペニスをめり込ませる。
「あああ・・・駄目・・・気持ちいい・・・それ駄目ぇ」
吾を忘れたままに欲れ妻を犯すという事に邁進する杏子は
最初からバイブのスイッチを強にしたままであった。
尻穴にグイグイと遠慮なくなく入ってくる杏子のペニスはブルブルと強く振動さえする。
おまけに四つん這いの女を自分のペニスで犯す快楽に溺れる杏子は理性が飛んでいる。
寒凪の白い腰をガッチリと抑え込みこれでもかと容赦なく腰を前後に降る。
「だから・・・駄目・・そんなに付いちゃ駄目・・・もっと・・・」
ふるふると頭と髪を振り乱し声を上げて哀願するも自らの尻穴はバイブを咥え込み離さない。
バンバンと大きくも激しく尻とバイブがぶつかり肉音が鳴り止まに・・・。
「イク・・・イク・・・逝っちゃう。もう逝っちゃう」
「はぁはぁ。駄目・・・私もイク。逝っちゃうわ・・・・一緒にいくのっ」
「あああああ・・・・ああああん・・・ああああ~~~~」
寒凪が腕に力を込め弓に反り返り尻肉に指を喰い込ませせペニスを突き上げて杏子が絶頂を迎える
「こっ。これヤバすぎ。もうだめだわ」
「うん。気持ちいい。今度は顔を観ながら・・・」
ゼェゼェと息も熱く絶え絶えに汗が滴るも互いに体を求め絡む2人の情事は日が昇るまでずっと続く
月に一度か二度・・・。
寒凪は家を空ける。
結婚を承諾する唯一の条件がそれであった。
一日で帰宅することもあれば二晩帰ってこない事も有る。
勿論きちんと連絡は寄越すが短い文でもある。今日は帰らないとか明日何時に帰るとかである。
寒凪の外出は杏子に取ってあまり良い物ではなかったが仕方ない。
半雄の身である寒凪は女性であっても漢性でも有る。
杏子との結婚生活では女として妻として振る舞うのが常であるが
時に漢としての本性を抑えきれない事も多いのだろう。
だから月に一日二日は漢の日と称して寒凪は外出する。
その間に寒凪が何を成すかを杏子は問い詰める事はしない。
心の隅に心配する気持ちと何処かに嫉妬心もあるがそればかりはどうしようもない。
其の逆に自分が母として過ごせる時間でもあった。
実息子に対して愛情を注ぐ事の出来る時間でも有る。
仕事が忙しくもなければで有る。
製薬会社に勤め最近は短めに整え、以前でも男勝りの格好であったが尚更に最近は
容姿だけでなく言葉使いも其の振る舞いさえもか弱い漢のそれを凌駕するほどの出で立ちと
成ってしまう杏子で有るが其の漢気に本気で惚れる女子立ちの注目の的でもあった。
普段はなんとか時間をやりくりし息子隆史を園に迎えに行くのだが
其の日はどうしても都合が付かなかった。
同時に寒凪は漢の日と実家への里帰りでいつもより余計に長く家を空けている。
息子の迎えと世話をどうするかと事前に話した時に寒凪はあっけらかんと言い放つ。
「大丈夫で御座います。秘密兵器を用意しますので」
いつも通りの可愛い顔で軽く言い放つとなればきっと任せても良いだろう。
それも確かにきになるが妻の言う事に間違いもないのも確かで有る。
それよりも其の数日を嫌な上司元夫と一緒にすごさなければ成らないのが杏子は苦痛で仕方がない
「小生。御坊院茸蔵と申す。
新橋杏子夫妻の強い要望で嫡子・隆史殿をお迎えに北で御座る。
このご時世であるから身元確認をお願いしたい。此方が委任の書状で有る」
ぱらぱらと園児を迎えに母達が集まる中。
ほとんど退園の時間きっちりと言うくらいにその漢は現れた。
倭之御國霊山と名の高い富士の霊山とも観間違えるほど大きな体躯と背丈。
頭を丸め髪を剃るが太い眉に鷲鼻のでかい鼻と分厚い唇。
普段は無精髭でも伸ばして居るのだろうが意外と不器用なのだろう。
剃った顎髭の後に傷がついているのは御愛嬌。
なるほどそれは依頼され預かる子供が怖がらないようにとの配慮かも知れない。
霊山宜しく高い背丈と成れば今度はでっぷりと突き出た腹も立派であれば
着込む紫の作務衣は何処か職人風情か寺坊主にも見えるが
やっぱり相撲取りが一番わかり易い。足の草履は少し厚底で踵がついているの理由があるのか。
「はい。確かに奥様から連絡を受けていますし
御坊院茸蔵さんですね。身分証も委任状も確かなものです。
今。隆史君を連れて来ますけれども・・・初めて合うのでしょうか?」
「うぬ。奥様・寒凪さんと縁を結ぶが・・・
新橋家の方々、夫殿とは未だ会えず。嫡男隆史殿とは初対面と成る。
小生。これでも気が小さく・・・。少々緊張気味で有る」
太く繋がる眉毛の下でパチクリと小さな目を開けて閉じるのは緊張の印であり
其の姿は滑稽で有るが同時に職員は心配でもある。
それもつかの間たの職員が隆史の手を引いてくると
富士の山如くの漢は砂土の上にすぐに膝を付いて頭を下げる。
「儂の名は御坊院茸蔵。
貴殿隆史殿の母の縁者とは行かずも親しくさせて頂いて居るもので御座る。
今日は母上が帰郷し父代わりの杏子殿は仕事で迎えに来れないとな。
然り安心して欲しい。この茸蔵が家に送り届ける所存である。
プリンも有るぞ。イチゴ味の特製手作りプリンで有る。
それに・・・隆史殿は漢であろう?漢ならばあれに乗って観たいと思わんか?」
母・寒凪から隆史は聞いていた。
母と父代わりの杏子が事情ありきで迎えに行けない時。
大きな叔父さんが迎えに来るからと。見た目は怖いけどとても優しくも強い漢だとも。
「えっと。新橋隆史です。
御坊のおじちゃん宜しくです。ボク。プリン食べたい。あれは何て言うの?乗ってみたいです」
「そうかそうか・・・やはり漢であるな。プリン美味しいぞぉ。
儂が丹精込めて作っておるからな・・・。何しろ粗相すれば後が怖いからな。
本当だぞ。寒凪殿は鬼嫁であるからな。怖い怖い」
漢同士の絆が結ばれるかもと言わんばかりに豪快に茸蔵は嘲笑うとヒョイと隆史を抱き上げる。
最初に茸蔵が指さしたのは大型のバイクで有る。
しかも子供を乗せるとなれば安全に配慮した造りの頑丈なサイドカーで有る。
大きな体を丸め助手席に預かる隆史を乗せると丁寧にシートベルトを装着する。
しかも腰だけではなくレーシング私用の四店式。ヘルメットも子供用とは言え
本格派の堅牢な物を用意してる。
興味津々とばかりに側に寄ってきた若い職員に茸蔵は丁寧に頭を下げると
万力の如きの腕でアクセルを回しどっどっどっとエンジンが唸りを上げて走り出す。
尤もそれを見送る園の職人は其の姿を結構長いあいだ観る事が出来た。
すごいすごいと声を上げ燥ぐ園児隆史であったがサイドカーの動きは遅い。
何しろ法定速度下限ギリギリであるから茸蔵の後ろに車の渋滞がすぐに怒る。
苛つく後続の運転手が警笛を鳴らせば振り返る鬼の形相の漢がぎりりと睨む。
隣で燥ぐ子供が手をふれば歩みの鈍いバイクは当然で有る。
しばしの間。運転手は活かした無くと諦めのろのろと奔る茸蔵のバイクの後ろをついていく。
「しくじったわ・・・寒凪・・・御免なさい。悪気はなかったの。
そもそも何もなかったはずだし・・・下着は乱れてたけど・・・記憶がないの」
「前夫の事は知っておりました。とっくに縁が切れたものだと思っておりましたの。
否然し・・・私奴が留守の間に朝帰り為さるとは・・・。
この恨み晴らさで臆べきか・・・否。晴らして魅せます・・・その前に貴方にはお仕置を・・・」
鬼嫁・・・。
その語彙は色々とあるはずであるが色々ない意味で又、自分の嫁は鬼であると杏子は知る。
事の始めは杏子の朝帰りである。
自分がなした行為の意味をそれほど重くは考えてなかったのは軽薄だった。
相手が元の結婚相手で有るのも不味かった。
それを不貞と言うにはきっと正しいのであろうが記憶が曖昧で有る。
玄関席で水玉のエプロン姿に鉄製のお玉を握って仁王と立つ妻・寒凪の形相は正に鬼で有る。
詳細は兎も角に記憶をたどれば何日か仕事が忙しく会社にこもらなければ成らなかった。
やっと終わったとばかりに其の開放感に気が緩む。
苦い思いでしか思い出せない前夫でもきつい仕事を一緒にこなせば同志も見える。
終わった仕事の後に少し飲んで行かないかと無理に誘われついついと受け入れたのが運の尽き
気がつけば朝方とホテルの一室で下着はだけた姿で目を覚まし
隣に股間晒した前夫が口を開け阿呆面で寝ていたとなれば
これを不貞といわず何と言い訳すれば良いのだろう。
当惑しつつも家路に付けば正に鬼嫁。家に待つで有る。
杏子は元々自分の妻・寒凪の事をあまり知らなかった。
見初め結婚してから此方は兎も角それ以前の生い立ちや境遇をあまり語らない。
それは余る意味得体の知れない部分が有ると言う事でもある。
お仕置きと言い放った寒凪の顔は鬼のそれでありそれに伴う行為も鬼畜であった。
其の数日の間杏子は色々と我慢させられる。
夜伽と言えば交わりであるが一方的に責められては我慢させられる。
それを体が覚えると次の段階へと進む事になる。
置字
