賢者(仮)

賢者の技を成すボニファティウス・ベッカー。
其の名字を辿り登れば麺麭屋を営む主人か麺麭職人と成る。
つまりボニファティウスは先祖代々の麺麭屋の息子で有る。勿論本人は出来るだけ隠したいと思っているのも事実で有る。
極めて合理的で凄惨的で知的な医療術。生じてそれを扱う者達を畏敬の意味を込め人は賢者と呼ぶのなら
その医療術を学ぶボニファティウスの実家が麺麭作りの店と知れれば、少々がっかりされるのが落ちだからだ。
言わなくても良いことは出来るだけ言わないほうが互いの為で有ると考えるのもボニファティウスの悪い癖だろう。

賢者見習いとして司祭賢者院の末席に身を置くボニファティウスが今こそ必死に手を動かしてるのは治療の為だ。
「愛しき我が精霊と医術の先人の知恵に恵まれし愚者の神々よ。
この者から痛みを取り除き晴れやかな優愛の力を指し示し給え。Heelsnoisis」
鋭い刃にざっくりと切り開かれた腕の傷に手をカザうボニファティウス。
緩やかな光が傷口に届くと痛みが溶けて消え晴れやかな気分が胸に湧き上がる。
「有難う。賢者殿。さすがはこの戦さ場で一番の治療術士の事はあるな。助かったよ」
「いえいえ。精霊様のお陰です。僕に出来るのは煉獄とこの世を繋ぐ位ですから。
それよりゆっくり休んでください。後。この薬もちゃんと飲んでくださいね」
「そう。謙遜するな。賢者殿。貴殿には皆が助けられている。頭が上がらんよ。」
偃月刃を携えると成れば体も大きい。其の手でボニファティウスの頭を
くしゃくしゃと撫で雌兵士が笑い去る。

「同志諸君・・・。
今宵も欠席者も遅刻者もいないと言うのは勤勉で宜しい。
それでは第五十二回定例会議を行う。」戦さ場と成れば軍議・会議はつきものだ。
戦であれば作戦や策略。果ては兵站の運用まで話し合うべきことは多岐と有る。
その最初がいつかとは知れぬが五十二回も続いているなら由緒正しい会議であろう。
然しともし。訝しく疑う事が有るならば余り広くない天幕で思い思いに思案する
その出で立ちは千差万別というところだろう。
同じ軍属で有りながらも其の立場も従事先も違う。
将校もいれば将官。二等兵から兵卒。工兵もいれば食堂兵。
挙げ句の果てには頭き頭に包帯を巻きつけ杖を付くけが人さえ隅に座る。
共通するのは皆が人種の女性か亜人の雌という事である。
「では。諸君。本日の議題を告知する・・・。
ズバリ・・・お触りは何処まで許させれるべきか!。そして何時決行するかである」
此処を仕切るのは上級指揮官ではなく極普通の軍曹の女性だ。
「はいっ。同志よ!。やはりお触りは全部が良いです。特に可愛いお顔と股間っ」鍔を飛ばすのは将校だ。
「同志よ!いきなりかっ。いきなり其処か。節操はないのか?節操は!」
「そんな事言ったって自分でもお触りしたい癖に。でも私は胸板がいいなぁ~~~
「胸板とか言って・・・乳首嬲りたいくせに。このど変態」
変態と突っ込まれ顔を赤らめて身を捩る将校。
「ここは前よりは後ろではないか?いきなり触ってぴくんと体が跳ねてしまうそんな羞恥が観たいぞ」
「賛成。賛成。寝台にうつ伏せに抑えこんで後ろの穴に指這わせて。アン。想像するだけで御飯3杯はいけちゃう」
「貴殿も相当な残念な癖をもってるな。戦さ場での一騎当千の姿とは別人だぞ」
「それはそれ・・・。これはこれ・・・決行は早いほうがいけど。待たされるのもすき♪」
「なんだ。其の語尾の♪は紛うことなく変態ではないか?否定はしないが・・・
相手も有る事だし。尚且彼奴らも居るからな。慎重に動くべきではある」
仕切り役の困惑した顔に一度もそれに習う。

戦場の帳が落ち深く兵が眠りに落ちる頃。
先の一団とほぼ同時刻の別の倉庫天幕の中で漢と雄が膝を寄せる。
「護らなければならない。邪悪な女性共からあの御方の貞操を」
「確かにそうだ。然し相手は人数も多いし面子も正確に割れておらんのだぞ。どうやって守る?」
「いっそ。恋人のフリでもしてずっと側にいるのがよいか?」
「我が志願しよう!私が彼を護る」
「まて。私だ。貴様は位が高すぎる。私こそが相応しい。」
「いや僕の方が似合います。絶対に僕です」
「待て。恋人と言うのは飛躍しすぎではないか?それにあの御方は賢者であり医療従事者である。
極自然に側に居られると言うのはやはり患者だろう?}
「それなら俺が!先日下痢がしたし体も弱い」
「待て待て。俺のほうが相応しい。だいたい御前は堪え性がない」
「いや。此処は怪我や病よりやはり上司として厳しく監視をしないと行けない。云々」
それぞれ好きに勝手に御託を並べる会合は一向に収まるはずもない。

先の女性兵の集まりは賢者・ボニファティウス・ベッカーの貞操を奪い狙う集団であれば
次の漢達はボニファティウスの貞操を守り出来れば自分達がとやはりそれを狙う集団でもある。
双方が夜な夜な顔を突き合わせてもなかなか決めてに掛け未だそれが成されてないのは理由がある
賢者ボニファティウス自身が禁欲を是とする宗教と心情を良しとするからである。

 

置字

 

 

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天鼠蛭姫

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