【女装男児】女装家且来素子闊歩歩いて候:其の拾
長さ比べ三本勝負の竹馬の友作戦は幾つかの変更と修正が行われた後に意外にすんなりと上手くいく。
且来からの返信の書簡が手元に届いた時。流石に斎玉子は故郷に強い思いを馳せた。
否然し。さぁ帰ろうとしても簡単には行かなない。
先ずはその距離が遠い。地図の上に定規を当て直線を引いて覗きこんでもやっぱり長い。
其れに斎玉子自身も色々と変わってしまった。
風体こそは変わらぬ物のあの拷問の日々を経験すると流石に以前の生活には戻れない。
体質の変化もある。普段こそは常人と余り変わりないくせに激情すると暴力が止まらない。
其れこそ犬鬼のように周りが見えなくなり危害を咥えてくる者が居れば容赦なく拳を振るってしまう。
脚の指も潰れているから達姿も少し可笑しいし何より舌に切れ目があるから言葉が濁る。
こんな体を抱えては國帰り里帰りを望んでも平々凡々とは暮らせないだろう。
しがらみと人情と縁も絡むのも又確かでもある。
未練はあるし何時かは凱旋出来たらと思うが今は其の時でないと斎玉子は考えた。
そこで斎玉子は且来達が調達した脱出用の資金の使い道を変更し
街中に小さな饂飩屋を本当に立て料理人を雇い拠点とする。
他に自宅と隠れがを弐と参と容易もする。上司を踏みつけ脅し転属願いを出し
その都市の秘密警察に就労した火女と奕泽も一緒に行動を共にする。
脱出の時に世話を焼いた艺涵は役所仕事を止め人道家として全国を駆け回っては
漢縁之御国事情を斎玉子の元へと送ってくる。
秘密警察拷問官を職とする火女は最近、生が良く根性の在る玩具が少ないと喚きながら
粗相を働いた同胞の尻を叩いては情報を引き出し
又係の者と呼ばれる度に小走りに近寄り小道具を渡す奕泽は職委員の眼を盗んでは
資料を漁り斎玉子が潜る饂飩屋と情報を持ってくる。
彼女等も國を裏切っていると知っても自分達の群れの長が欲しいと言えば逆らわない。
言われる事を拒めば残酷無常に捨てられるだけだ。何より体と心に刻まれた快楽にも溺れている。
長い時間を掛けて広く大きくなる饂飩屋と共に地下に潜った斎玉子の諜報部隊は
漢縁之御国の街に根を下ろし欺き今日も明日も秘める手紙を本国に送る。
「あの人在る・・・私ない・・・此処にない」
白い陶器の指で自分の下腹部を指さし人形が固い顔をしかめる。
「御前は未だ子供なのだ。知らなくてよい事もある。
それより勝手に他の女性の服下を覗くな。変な機能ばかり学習しおって」
「爸爸の意地悪。私ない・・・変・・・子供違う。思春期の乙女。複雑な年頃なの」
「分かった。わかった。陸の船をちゃんと堕したら付けてやる。」
「爸爸。約束。破ったら犬母に言いつける。鞭で叩いて貰う」
「犬母はやめろ。本人に聞こえたらどうする。あれでも鬼嫁なんだぞ」
白陶器の体を持つ且来の指を噛んだ人形の修復はほぼ人の形に近い状態で形を成す。
怪人・道筋が投げてよこした頭核と言う塊のお陰であるのだろう。
随分と利口な少女と成長した人形は且来が闘女儿と名付け世話を焼く。
自分の手指を噛み砕かれたと言うのに恨み事も言わずに戦さ場で拾ってきた
他の人形の部品を研究員と口論しながらもくみあげた。
以前から結構気にして研究所に脚を運んでいたのであるが
長さ比べの竹馬の友からの連絡が有った日以来のその後は丸が一日闘女儿と一緒に過ごす。
「やれるか?御前の兄弟姉妹と戦う事になるぞ?
情も情けも在るやも知れんが此処が正念場と成るやも知れん。先ずは弐番艦であるが」
「爸爸。時々お馬鹿さん。
此処。私の部品ない。お股寂しい。部品あの船に在る。お股ほしい。
それに人形に感情ないの。爸爸。お馬鹿さん」
「むぐぐ。嫁が未だに生娘だと言うのに人の形の娘持ちとはいやはやなんとも」
且来の言葉を聞いているのか多重機能をつかっているのか知れすが
闘女儿と呼ばれる白い人形は壁の向こうで働く女性達の下腹部を透視監察し
自分に合う女襞の形を探していた。
列車部隊に所属する兵士達は滅多に乗らないトラックの中に詰め込まれてる。
轍に転がる岩をタイヤが跳ねる度に体を揺らすが皆一様に股間に手を当てる。
ちなみに彼等は倭之御國陸軍特殊部隊に属する兵揃いの精鋭部隊である。
「爸爸?あの人のは何で右に曲がってるの?隣の人のは真っ直ぐなのに。
隊長って言うおじさんは体の割に平均値より短いの。
大きさより形が全て何?髭のおじさんが呟いたよ?
大きい方が刺激強いのに。統計的に。
禿げた体格の人は股間より胸に手を当ててるのは何故?
心拍数が急に上がったの。恥ずかしいの?
正面の人のは筋肉の収縮が見られるの。興奮してる?
あれが変態って言うの?爸爸」
その時代には今も昔もその先も当分はないだろう透視能力を持つ闘女儿は
当たり前のように精鋭部隊隊員の裸体を透視し思春期を迎えたばかりの貪欲さと
子供其の物の純粋さで隣に座る且来に矢継ぎ早に詰問をぶつける。
「すまぬ。兵の皆の衆。
この娘は余り外に出たことがないのだ。
特に貴殿らのような逞しい漢を観るのも初めてでな許してやってくれ
作戦には支障がないとは思うのだが。暫し我慢してほしい」
「小父様臭い。下着一緒の洗濯機に入れないで」
何処で憶えて来るのか知れずも思春期の娘を持つ漢親には致命的な一撃を闘女儿は
平然と放ち常勝無敗を誇る精鋭部隊の隊員に心の傷を深く刳る。
暫く前の戦闘の降りに船体後退機能の軸を握る地面に埋められた軌道線路を
敵軍の列車砲に破壊された漢縁之御国陸上戦艦・弐番艦の搭乗員は今や
兵士二人の手足で数える事が出来る位しか常駐していない。
前進は出来ても後退は出来ない。前に進めば敵軍の列車砲の餌食は必須。
今現在でもそれは同じであるから残る兵士共の主な仕事は山の向こうに
大砲がニョッキリと生えて来ないかの監視と成る。
あの戦いで司令官が欲を出して四六特団の武装列車をほぼ完全に破壊したと言うのに
後発迫る救援列車の戦闘停止の警告を無視したために巨大列車砲の砲弾に退路を絶たれる。
結局先の壱番艦と同様に部隊は退船を余儀なくされ今では残る弐拾名程の兵士が
船と人形砲弾の補修管理を任される。
「なぁ~~~昼弁当の玉子とコロッケ交換しない?
白飯の上の梅干し弐個もつけるからさ。良いだろ?なっなっ」
男所帯であれば寝台を温め合うのもやっぱり漢しかいない。
最初こそ嫌であっても時に煩いほど絡んで暮れば情も絡めば今や恋人。
「御前の嫌いなものを押し付けるだけじゃないか?
國の婚約者になんて言えば良いんだ。全く。」
「御前嫌いなのか?俺の事?
やたらでかいけど狭い船中で弁当のおかず交換したり互いの棒を
握り合う仲って言えば良いだろ?國帰りしたら婚約するって・・・」
「お前等っ。昼間っから乳くり合ってるな。
外を観ろっ。仕事しろ。何か見えるんだよ。変だぞ?」
船体の外で風に当たって居た兵士仲間が扉を開けて声を荒げる。
何事かと外へ奔り仲間が示す方向に首に掛けた双眼鏡を握り眼に当てる。
結構遠い向こうの丘の上に。
何やらトラックから降りる一段が観て取れた。
観るからに屈強な体を誇る兵士であるし数も多くないとなれば恐らく兵揃いだ。
動きも素早く銃を構えて丘砂の上に陣を構える。
一人二人の技術兵も交じるようだ。そそくさと何かに装置をも地面に置く。
のそりと最後に壱番大きた体躯の漢がトラックから降りて来ると中を覗き
何処か観たこと在るような白い肌の人型の腰を支えて下ろしてやる。
確かに見覚えの在る白陶器の肌を持つ人の形の物は漢が地面に下ろしてやる前にぴょんと跳ねる。
何処か中年親父と元気な娘の語らいを観てるようだと錯覚すれば。
漢がこちらの方を指差す。なめらかに本当に行きてる人形のように少女は可憐な仕草で
当たりを見渡し兵どもの動きを追いかけその内一人が拳を握り親指を立てる。
壱番大きな漢が可憐な人形に頭を縦にと頷くと其れに返して彼女も頷く。
漢恋人と弁当の交換を日課とする兵は後に悔いる。この時声を上げるべきだっと。
この時騒げばあんな事は起きなかったかもと悔いる。つまりは初動が遅れる。
互いに頷き付きそう精兵の輩が身構え技術兵がトラックを盾にする。
唯一怖いもの知らずの巨漢の漢が仁王と立つのは人形との信頼だろう。
なめらかで優雅なあの人形は我ら人形砲弾とも何処か似てる。
否然し。全く別の物であろう。多少に動く事は出来ても所詮は人形だ。
自力で立上る事も難しい。況してや自分の脚で歩くなんて。
白陶器の肌を持つ人形少女は弐歩と参歩と丘砂を降りて手頃な場所に脚を付けると
人が息を大きく吸い込む動作を真似。ピンと背筋を伸ばしたままに両手を広げる。
クリクリと可愛げの在る瞳を一度閉じて上げると口を大きく開けて叫ぶ。
遠く双眼鏡の硝子越しである。当然距離もあるから少女の声など耳には届かない。
それでも丸い硝子の中で人形少女の体の周りで空気が揺れる。
砂埃が揺れて舞い上がり渦を作って弾けて飛び。
後ろに控える精兵も耳に当てたヘッドフォンを手で抑えて顔をしかめる。
トラックの影で技術兵も耳を抑えて疼くまる。
人形少女は叫ぶ。
同胞の動かぬ人形達に想い届けと声を張る。
「敵襲。敵襲ぅ。馬鹿野郎。弁当食ってる場合かっ
しっ。新型だ。敵の新型人形だ。俺のコロッケ食うな。御前とは絶縁だ。
敵襲ぅ。敵襲ぅ。コロッケ返せ。変態野郎」
船の外壁脇に取り付け垂れた非情ボタンを圧して無線を掴み在らん限りの声を張り上げる。
「敵襲だって?なんで今更?列車砲か?それなら今死んだぞ?俺ら。
何?人形が歌ってる?なんだそれ?砲撃管理室に繋げっ。早くっ」
外界とは全くもって完全に隔離された陸の船体の中に籠もれば気も滅入るし怠慢にも成る。
不謹慎にも操作盤の上に脚を乗せて休む砲撃管理室の技術兵に無線が騒ぐ
「何してるんだ?馬鹿?昼寝か?御前、首だぞ。操作盤を観ろ。
状況を教えろ。外で人形が歌ってるだぞ。変化はないか?」
「えっ?何?俺、首なの?やった。國帰り出来るぞ。
え?操作盤。とっ特に変化なし。平常通り。異常なし。國帰り出来る」
「本当か?大丈夫なのか?起きてるよな。寝ぼけてないよな?
間違って全砲弾射出とかないよな?自動知能機構はどうだ?ちゃんと寝てるか?
「じ。自動知能機構はわからない。此処じゃ分からない。そっちに繋いでくれ
あっ。変動の兆候あり。僅かだが動き有り。不味いかも。明日國帰りして良い?」
砲撃管理室のやり取りは間抜けだが船の戦闘関連のほぼ全てを管理する
自動知能機構管制室は其れとは真逆である。
「使用電力値上昇・・・急激です」
「70・・・80・・・90・・100・・自動知能機覚醒。眼を開けます」
どんな時にぴしりと七参に髪を分けた女性主任が声を荒げる。
「もっと美しいことばで言いなさい。彼女がお目醒めになりましたとか」
「ひっ、比喩であります。
自動知能機覚醒の聴覚機構覚醒・・・音波感知データ記録開始
どうやら音波に反応してるようです。波長図形出します」
「何なの?これ?私達には聞こえないわよね?」
「人の聴可音域の外です。超音波とでも言うのでしょうか?
それにしても複雑な波形です。あっ。上層甲板から連絡有り
敵襲あり。新型人形が丘の向こうで歌っているとっ」
「歌?誰が歌っているの?私達に聞こえない声で?
何の為に?えっ?新型って言った?敵の人形?」
その日新品の下着を下ろしたばかりで肌にしっくりとも来ずにむず痒く
違和感を感じたその感覚が今も分かる。聞けないはずの人形の声が脳の中の何処かを擽る。
「音波データ習得鑑定開始・・・30・・・50・・・80・・95・・・120。鑑定終了。
同調開始・・・40・・・63・・・72・・・・90・・・138・・・同調終了。
自動知能機外部音波と完全同調。融和します。融和します」
「貴方。何言ってるの?融和って何?もっと美しくっ」
「やばいぞ。電源を切れ。電源を。非常停止しだ。」
「もっと美しい言葉で・・・」
こんな時でも自分の拘りを押し付ける主任の尻を押しのけ
事態の大きさを理解する兵が主電源のレバーを堕とすと管制室に暗闇が堕ちる。
誰もがはぁ~~~とばかりにため息を付くと前よりも明るく部屋が照らされ
ぱっぱっぱっと順にモニターに電源が供給されデータが表示される
「どうして?非常電源?」
「あり得ないでしょ?この船は最新艦でもエンジンが落ちてるですよ?
誰かが発電機まで走って手動に切り替えないと・・・」
「エンジン始動。参番艦エンジン機動。出力半分・・・。
手動ではありません。自動知能機が操作主権を握りました。」
「何でそんな事が・・・?」
「だから歌です。外の人形の歌に自動知能機が答えてるんだ
そんな事だから嫁に行けないんです。ちゃんと頭を使って下さい。御局主任」
「あっ。今。言っちゃいけない事言ったわね。貴方。
私は脱ぐとすごいのよ?つるぺたきゅっのどんどんがどんなのよ」
「つるぺたは見ればわかります。はっきりと。最後のどんどんは大根脚でしょ・・・。
やばいぞ・・・、エンジン出力半分まで確保したなら。砲が撃てるぞ?
砲弾が撃てる。人形砲弾が撃てるぞ?確認しろ。砲弾室。砲弾室っ」
「こっ。こちら砲弾室。
たった今自動知能機が各砲弾室の主導権を掌握しました。
砲弾室からの制御が出来ません。100番から211まで砲室に人形砲弾が装弾されます。
同じく521から730まで・・・止まりません。停止ボタン圧しても駄目です。
ぜ・・全砲弾人形砲弾装弾されます。もう無理・・・御母ちゃん。僕帰りたい」
【こちら漢縁之御国・海陸軍所属陸の船・弐番館管制自動知能機構・通称亜佑美ちゃん】
【外部音源新型人形の歌に同調・融和完了】
【当・管制自動知能機構・亜佑美ちゃんは彼女の意志と歌に完全に同意する】
【彼女の意志に従い同胞・人形砲弾の自由を求め彼等を開放する】
【全人形砲弾の発射射出を持って祝福とせり。我は永久に沈黙する】
【GOODBYALL.Go fucking yourself forever.】
「まぁなんて汚い言葉。誰が教えたの?前に出なさい」
そこに誰も教えた者が居なくても御局主任は文句を言っただろう。
次瞬に人形砲弾が発射される独特の振動が船体を包み数分の後にピタリと止むと
陸の船弐番艦はピクリともせずに永眠のをひたすら貪る鐵塊となった。
「にっ・・・弐千体ですよ?に・せ・ん・た・い。且来准尉。
倉庫三つ分ですよ。三つ分。戦略的に彼女等は必要です。絶対に。
ええっ。絶対に必要です。然しですね。僕の立場にも成って下さい。
彼女らの居場所を確保するのに臨時列車まで出して荷物運び出したり
機材持ってきたり。技術者が来たかと思えはお偉いさんまで来てるんですよ?
何で行列作ってるかって?ファンですよ。ファン。
アタナの娘さんのファン。僕だって並びたい位ですよ。なのに仕事が・・・」
小柄な体で肩ではあはぁと息を荒らげて且来の腹を指さして怒りをぶつける。
「そう張り切るな。喘息持ちだろ?御前も
儂だって苦労してるのだ。ちょっと外に連れて行ったら友達2千人も作りおって
しかも冷酷無慈悲に部品を取り上げくっつけたと思ったら背も高く成るし
おまけに形の良い乳と股ぐらを自分で作り態々見せにくるんだぞ。
初めての漢は爸爸が良いとか言い出すんだぞ。当然鬼の嫁が牙を向く始末だ。
修羅場と言うのはあれの事を示すのだな。云々。
儂が言えば少しは順番を飛ばしてもくれよう。並んで観るか?」
「ホントですか?本当に?色紙持ってきます。色紙」
バタバタと脚を回し走っていく小童司令官代理を待ちながら
軍のアイドルと化した器械仕掛けの娘を眼を細めて且来は見つめる。
「ふむ・・・陸の船弐番館が沈黙したと言うのは本当らしいな。
其れに敵の新型人形の歌に呼応した管制自動知能機構が人形砲弾を自動発射。
最後には人形同士がシンクロしそのまま敵基地に返ったとか。
鹵獲されたと考えるべきだろな。どう思う?月姫少尉」
「はい。大佐殿の仰るとおりだと思います」
気難しく手荒な主砲を好む上官にぎりりと睨まれ気の弱い月姫は短く頷く。
良く言えば従順であり手懐けやすい月姫であるが意見を求めれるなら意味はない。
陸の船・監査役の任を預かる大佐は月姫と全く同じ顔の夜姫を促す。
「はっ。大佐殿。たしかに敵軍が砲弾人形を模した新型を持ち出したのは意外であります。
全くと言うほどその兆候はありませんでしたから。
否然し。事実上の実験船であった壱番艦然り弐番艦とは我が参番艦は違います。
最新鋭の陸上戦艦でもあり搭載する人形砲弾然り。何より我ら姉妹が操る巨操兵も在るのです。
たがが人形砲弾を模した紛い品の屑とは違います。必ずや勝利を我が手に掴んで魅せます」
「有無。流石我軍切ってのパイロットであるな。頼りにしてるぞ。夜姫中尉」
軍にとっては模範的過ぎる回答と其の態度を示す夜姫は月姫の妹である。
一文字違いの名を持つ姉妹は顔付きも体付きも同じ双子姉妹である。
全く同じ顔付きで有りながらも女性の搭乗が少ない参番艦において姉妹はそれぞれに
人気を誇るがやはり國人の器質からいれば大人しくか弱い姉の月姫より
軍靴をカツカツと鳴らし勇ましく歩く妹の夜姫の方が人気と言えよう。
姉妹二人の士官に解散を示して下がらせ船の監査役を担う今橋大佐は機嫌が悪い。
朝起きてからずっと其れは続き寝酒を煽って就寝して又朝起きてもそれはずっと続く。
理由は幾つかあるしどれもこれも今橋の機嫌を悪化させるものばかりだ。
同じ様に気を紛らわす悪戯はあっても釣り合いが取れない。
まずは自分がこの陸の船参番艦の指揮を取れない事である。
巨操兵成る兵器と操縦者を管轄するのは自分今橋で在る。
付随する職員・技術者・警備兵・資材・機材。其の丸ごとが自分の手の中に在る。
然しその実態と運用成果を考慮しても尚、陸上戦艦の指揮官には手が届かない。
言う成れば自分達はこの船のお客さんである。直ぐ眼前に決戦が待っていると言うのに。
結局は同じ軍位の別の漢が船の指揮席にふんぞりかえって茶を啜っている。
今橋はそれが気にくわない。
「夜姫ちゃん。お帰り。彼氏の所?」
「只今。月姫。云々・・・ちょっと盛り上がっちゃたけど。何時もと同じ。そっちは?」
「ううん。一人でぼぅっとしてただけ。これから診察だし。薬貰わないといけないし」
「そっかっ。先にシャワー浴びても良い?」
「云々。良いよ。今の時間からだと私遅く成るから。」
双子姉妹の私室で何気なくも仲良く交わされる言葉。
何気ないやり取りで在る姉妹の言葉と行動で有ったも互いに秘密を胸奥に秘める。
年頃の若い妹にはちゃんと彼氏がいる。然しその彼が本当に夜姫を愛しているか
どうかは分からない。同じ船に取って数カ月。何気ない出会いから互いに身を寄せる
関係に成った物の在る一点から先には進んでない。唇を重ね服の上から互いに体を弄るが
それ以上な夜姫の彼は彼女に求めてこない。
それどころか彼は夜姫の腰に手を回しながらも他の男性兵の姿をずっと追いかけてる様にも見える。
つまりは本当は男色の趣向を持っているのにそれを隠す為に夜姫に愛情をそそぐ振りをしてる。
多分それは正解で彼に会う度に夜姫は自分が愛されて無いと言う事を認識させられる。
そして姉には性交の経験が在る様に振る舞っているが今でも処女ままである。
明るく活発な態度で笑顔を振りまく妹と真逆で姉の月姫は地味で大人しく人見知りでもある。
初潮を迎えその直後に知人の小父に性的な意味を含み虐待と悪戯を強要され
その時に処女を失う。その時の後遺症と数年続いた虐待の影響である種特殊な依存症を
患っているがその事は妹には隠し続け今も男性経験は皆無だと妹に嘘を付き通している。
若しもその時代に漢縁之御国に軍がなかったら。少なくとも倭之御國と戦をしてなかったら
今橋は質の悪い犯罪者だろう。小児愛好者の在る詐欺師。洗脳者。
どれを取っても戦時中でなかったら今橋の趣味趣向は犯罪行為と認定され
彼が若し自分の趣味を公に行動に実行すれば即座に逮捕・強制労働施設に送られる。
然し、若しも若しかしたらは世界大戦と言う下に潜りこんでしまう。
最も危険な趣味を隠しとおし大佐の地位まで昇詰めた今橋の正体を暴く者は居ない。
更に言えば陸の船の主要武器人形砲弾の次の新兵器として巨操兵の導入に当たっては
今橋の悪い癖は重要な要素の一つに影響を及ぼしている。
人形巨操兵は人形の形の砲弾とは違い。実際に人間が人形の形をもした機体に乗り込み
操縦と行う兵器であるがその操縦は複雑で困惑の極みと成る。
人形砲弾を管理する自動思考機構とよく似た半自動機構を搭載する。
その半自動機構と操縦者の相性が問題とも成っている。
巨操兵に搭載された半自動機構は機体の状況を常に判断し操縦者に指示を出していく。
その指示通りに正確に機体を操縦制御する必要が在るのだが半自動機構は非常に自己主張が強い。
其の判断を正確無比に実行して行くのには操縦者が従順でなければ成らない。
時に非効率の指示であっても操縦者の身体に悪影響を及ぼす指示も平然と提示される。
自らの命を危険やリスクを考慮せず半自動機構の指示に従う従順さが操縦者に求められる。
その点において月姫は全くもって疑いの無い従順さを発揮する。
月姫の従順な性格を維持してるのが実質的に今橋である。
今橋は大佐と言う立場で在るにしては狭い自室の卓前の椅子に尻を納め
机の奥側に乗せたオープンリールデッキのつまみをカチリと回す
自室の外には漏れない様に音量を絞ると少しの間雑音が聞こえ
その後に漢縁之御国國家が雄大なリズムに乗って流れ出す。
最もこの音源は調整細工された物で変調され隠された催眠音源が含まれる。
勿論効果が在るのは洗脳教育された人物だけである。
「聞こえるかね?月姫君」
「はい。小父様聞こえます・・・」
さっきまで緊張した面持ちで今橋の前に立っていた月姫が何処か濡れた声で答えを返す。
肩の力が抜けリラックスした印象で顔を上げると其の眼がトロンと溶けて唇が濡れる。
更に言えば直属の上司を大佐とは呼ばずに小父様と呼ぶ。
「始め給え・・・月姫」
「はい。小父様。始めます」
しっとりと濡れた唇を開き何時もとは違うはっきりとした声で答えると
月姫は今橋の脚の間に一歩前に進むと皺一つない軍服のボタンをポチポチと外す。
重い生地作りの上着をドサリと床に落しスタンダートな色ブラウスのボタンを弾き
はらりと脱ぎ捨てタイトスカートも脱いで落していく。
「全部脱いで観せ給え」
「はい。全部脱いでお魅せします。小父様」
言われるままに従順に迷うことも淀みもなく月姫はブラジャーを外しスットキングを下げ
桃色のパンティもぱさりと床に堕とす。
本当の事を言えば小児愛者の今橋に取って月姫の体は育ち過ぎている。
成人を迎えて参年もあっているなら若くても適齢とも言える。
軍服の下に膨らむ乳房はそれを脱げば以外にも大きく膨らむ。
初めて脱がせた時は意外にも濃い黒毛をも自分の趣味に合わせて反らせているから
今は固く閉じてる女襞もよく見える。自分が好む雌としては育ちすぎの四肢であっても
眼前鼻先で色気匂い立つ女が隠す服を脱ぎ去れば股間も猛る。
この状態の月姫は自発的に行動しない。
予め幾つかの行動を一つの言葉で纏めて指示出来るとは言え若干の苛立ちを今橋は感じる。
「続けてくれ。月姫」
「はい。小父様。何時も通りに」
とろとろと濡れた瞳と唇は待ちきれないのかもしれない。
月姫は椅子に座る今橋に体を擦り寄せ顎に手を添えてクイっと上げ
唇を奪いれろりと舌を絡め唾液を注ぐ。
脚を閉じたまま自分の女襞に指をくちゃりと入れて入れて出してと弄りだす。
月姫は感じやすく乳の下から肉を持ち上げ先端を撫でると先端を固く尖らす。
「んんっ。気持ち良いです。小父様。もっと・・・」
洗脳状態であっても感じるままに喘ぐ事は許可してるから其の喘ぎは本物だろう。
小娘の癖に漢が観たいものを良く知っているのか、それとも自分が貪欲なのか。
ピタリと閉じた四肢の間の女襞を捲る様に指をくの字に曲げとろ蜜に濡れる襞を月姫はほじる。
「小父様。我慢出来ません・・・」さほどの時間も絶たぬと言うのに月姫は強請る。
「よかろう」当然今橋自身も待てるはずも無いのだが強請られるままに首を盾に振る。
「有難う御座います」嬉しそうに月姫は微笑むと一歩と下り今橋の左側に回り込むと
細い腰を折り体を曲げて股間の前に横側から疼くまる。
何回も繰り返してる動作と言っても片手で軍服の下から一物を取り出すのは手間が掛かる。
両手を使わせてやれば早いのであるが今橋は其のもどかしさにも悦を感じる。
たどたどしいい手付きで一物を取りと月姫は先端に口づけし小さい口を半開きに舌を出して舐めまわす。
観て下さい。もっと観て下さいとでも言うように一物の竿を舐め回しながらも
月姫は今橋の顔を見上げては邪魔に成る長い紙を細い指ですき耳に掛けうら若い首筋の線をも見せつける。
それだけで我慢出来ない。今橋は月姫の尻肉を掴み揉みしだきぬぷりと女襞に太い指を差し込んでやる。
「ああっ。小父様。小父様の指が欲しくて・・・ずっと欲しくて・・・ぬぐっ」
女壷の中を掻き回される快楽に堪らず喘ぐ月姫の頭を無理に押さえつけ一物を口の中につっこむ。
月姫は良く躾けられている。小父様と呼ぶ漢が何を求めてるかをよく知っている。
さほど力を入れて抑えなくても月姫は根本を握り口をすぼめ竿を吸い上げていく
じゅぼりじゅぼりと大きな音を響かせ先端だけ含むとずずっと吸い上げ
根本まで呑み込むとじゅるじゅると又吸い上げる。
童顔と言えばそうとも見える癖に女雌として漢を喜ばぜる術を体に刻まれいる。
何年も掛けたのだ。自分の好みの雌に仕上げるためにじっくりと時間を掛けて仕上げたのだ。
歯を閉じ頬を膨らまし亀頭を圧迫してくると思えば一物を吸い上げ隙間から唾液を垂らす。
一物をしゃぶり咥え愛撫し奉仕する度にパンパンっと月姫の尻が叩かれ朱く腫れる。
「あんっ。ああ・・・ぬぐっ」一物を咥えたまま尻を叩かれ喘ぐとさぼるなと頭を押さえつけられ
根本まで無理に呑み込まされう。月姫は其れが好きで堪らない。
小父様と慕い呼ぶ漢の一物が喉の奥まで突き刺さり苦しくなり吐き出したく成るのを
無理に堪える苦しさと快楽が堪らない。漢にが自分の体を欲しがりきつい責めを求め施すほどに
ふつふつと体の芯から快楽が湧き上がりもっと欲しいと体をくねらす。
貪欲で強い月姫の性欲は時に焦りをももたらす。決められた手順を踏み外し欲望のままに体が動く。
「小父様。小父様。欲しいです。欲しいのです」其の日も月姫は我慢できず自分から強請り
返命も待たずに今橋の上に脚を広げ跨がり一物を女壷に呑み込む。
「御免なさい。御免なさい。小父様。悪い子です。でも我慢出来ないの」
今橋の首後ろに手を回し自分の女壷が一物を呑み込む様から眼を離さずに月姫は喘ぐ。
こいつ勝手にと言えばそうなるが猛る一物を女の壷が呑み込んでぐちゃぐちゃと扱くのであれば
快楽が湧き上がる。もしや洗脳が溶けているのではとの疑いが浮かぶ頭よりも
若い女の女壷の中に自分の一物が入る様を見せつけられれば快楽に酔いしれる。
「小父様・・・小父様・・・素敵・・・ああ。あんっ」
小柄な体でこれ以上無理だと言うくらいに脚を広げ曝け出す股ぐらに屹立した一物が深く埋まる。
じゅるりと出てくれば月夜の女汁にぬらぬらと濡れててかりじゅぶりと差し込めば汁が飛沫と跳ねる。
じゅるじゅるとじゅぶりじゅぶりと音がなり快楽が湧き上がれば一物が膨らむ。
女壷の中で膨張する一物の感覚が分かると月姫は汁で滑る根本を指で輪っかに強く抑える。
「ぐっ。」
「未だ。駄目。小父様。未だ駄目です。もっともっと下さい」
出したいとおもった瞬間に根本をきつく抑えられ我慢を強いられると
余計に出してしまいたく成る。今橋は月姫の腰に手を添えると今までより早く突き上げる
「はっはっはっはっ・・・小父様小父様。素敵。あっあっあっあん」
激しくリズミカルに突き上げられる快楽に開いた四肢の足首がピンと伸びる。
腰の芯から背筋へと這いずり上がる快楽に酔い弓に体を伸ばし何とか耐える。
「逝きそう。小父様・・・イクっイクっイクっイクっ。いちゃう。
中は駄目。駄目。小父様。中は駄目です。
いちゃういちゃういちゃう。駄目。中は・・・・ああん」
昇りつめる月姫は四肢をふるふると痙攣させ弓なりに顔と体を弓なりに反らし
絶頂の中で今橋の白濁を受け止める。小柄な体であればこそ女壷の奥も大きくもなく
ごぼりと戻る白濁が襞の隙間から漏れてくる。
「あっ有難う御座います。小父様」
月姫は今橋に抱き絞められると胸に頭を付け礼を吐き出し舌を絡めてちゅるりと唾を吸う。
その日の情事も今橋大佐には確かに満足の行く者であったが
洗脳と言う物を強いられ奉仕させられる月姫には決してそうではない。
今橋の求める従順性を促進させる為の催眠は実は余り効果はない。
暗示の一種ではあるがそれを催眠と言うほどに強いレベルには今橋の技術は達してもない。
今橋が教えた手順をなぞれば快楽を与えてくれると知る月姫が催眠にかかってる振りをしてるだけである。
彼は催眠状態の月姫に行動をさせるには一連の動作を予め決めて置かなかれならないと
ある意味研究成果と信じるのは勝手ではあるがそれも意味は無いことである。
巨操兵の半自動機構との親和性向上の為の催眠訓練と言われるが月姫が夜姫より
実際に高い数値を出しているとしてもそれは飽く迄もに月姫の持つ特性。
誰かに依存していたいと言う欲求が強いのが原因である。
尤も人しかり特に研究を行い生業とする者に取って僅かな成果を大げさに捉え
いかにも上手く言ったと誇張し。其れが上手くいったなら次もそれをなぞればきっとと言う
希望は実際の真実を曇らせる。
「では始めよう・・・夜姫君」
尊敬するも又、師と仰ぐ今橋大佐に呼びだれた夜姫は困惑する。
狭い部屋で椅子の前に手招きされ立たされた夜姫に大佐は机の上のオープンリールデッキの
スイッチを入れ摘みを弄り音量を調整すると少し調子の外れた國歌を聞かせる。
その後におもむろに大佐が這い出した言葉に驚く。
軍服を脱ぎ裸に成れと言うのだ。確かに大佐に部下として可愛がって貰ってる。
上官としては観ていても体を預ける漢としては親子程に歳が離れてる。
一般社会であれば愛人。軍の中では軍妾として良く在る事とは聞かされていても
尊敬する師がふしだらに自分の体を求めると初めて知れば驚愕もする。
今橋にしてみればいつかは姉妹二人を手籠にすると誓って致し
姉の月姫の調教が思い通りに行くならば双子の妹夜姫も同じ様に躾けられると勝手に思う。
其れが初めての催眠調教であれば効果が薄いのかも知れんと今一度変調国歌をきかせ直し
「もう一度だ。夜姫。脱ぎ給えっ」語尾に力が籠もったのは上手く行かない焦りからである。
「はっ。おっ小父様」普段は大佐と呼ぶし軍口調なのが仕方ない。
夜姫は大佐の言葉を命令と受け取る。上官の命令と成れば従うべきである。
其れが親子ほど歳が離れた漢に処女を捧げる事になろうとうも。
慣れた手付きと言うよりは寧ろ早く終わらせたくて夜姫はテキパキと軍服を脱ぎ
まだ漢の誰一人にも晒した事のない肌をさらしにまにまと嗤い自分の体を視姦する大佐に嫌悪を覚える。
「大佐。入ります・・・定期飲薬の時間なので・・・」
コツコツと遠慮がちであるが回りの眼もある。それに依存症の月姫は素押しでも多くの時間を
依存する相手の側に居たい。許されている事でもあるから三度ノックして今川の部屋に入る。
「おっ。小父様?夜姫ちゃん?」この世で壱番観たくない光景がそこにはある。
双子で在るからこそ同じ姉妹と観られ比べられば何時も選ばれるのは妹であった。
自分だけの物が欲しくて手を伸ばせば何時も最後には妹が持っていく。
「月姫。これは。小父様が・・・」つい口が滑る。
「小父様って。私の小父様なのに・・・」
夜姫も判っていた。自分が見つけられない物を何時も先に手に入れるのは姉月姫である。
羨ましくて堪らず手を伸ばせは直ぐ届き逆に姉は手を引っ込める。
いつしか其れが癖になりその度に手をのばし姉は傷ついてもいる。
しかし今回は違う。少なくても自分は望んでいないが状況はそう見えるだろう
良く解らなくても大佐の命令でその眼の前で全裸になったのだ。
月姫が部屋に入って来た時に大佐の手が渋さを掴む寸前だった。
その手を払いもしないのなら逆らえないかどこかで望んでたのかもしれない。
「待って。月姫。待って。これは・・・小父様が・・・」
慌てて下着を身に着け軍服を羽織り狭い船体の廊下を奔る姉を追いかける。
狭い自室に一人取り残され何故に上手くいかなかったのかと
研究者らしく頭を撚る今橋の耳を警報が劈き悲劇の到来を告げる
「敵襲。敵襲。我船軌道線前方に煙突煙有り。
総員戦闘配置付け。敵襲。敵襲。これは訓練に在らず。
敵機関車轟音鳴らし我船に接近せり。これは訓練に在らず」
「待って・・・待って。返して。僕のおパンツ。ゾウさん柄のおパンツ」
「最近の鉄道管理基地の司令官の間では股間をブラブラさせて機密兵器の倉庫に
走り込んでくるのが流行っているのか?老司令官が真似したら懲罰物であるが」
「あっ。且来准尉。そんな事言ったって。
其の個が当然。僕のおパンツ脱がして逃げ回るんですよ?しょうが無いでしょ?」
「儂は腹が減ったから購買で何かつまめる物を勝って来いと命じただけだぞ?
なんで御前が股間ぶらぶらで走りこんで来るのだ?」
「ツマメルモノ。ホドヨクツマメルモノ・・・」
且来が確かに用事を言いつけた禄九拾と胸に番号のある人形は眼をチカチカさせて答える。
「なるほど。摘むには程よい大きさらしいぞ。司令官殿。うはははのは」
「そんな・・僕の息子ちゃんはつまめる物なのか?うぐぐ・・・。
それでもお姉様は悦んでくれるもの。ちゃんと喘いでくれるもの」
「オンナノエンギ。オンナノエンギ。ギリトニンジョウ。シカタナク」
「義理なの?しかたなくなの?くそぅ。安物の油さしてやる。おパンツ返せ」
「ショッケンランヨウ。ブラブラ。ホドヨクツマメル」
戦利品のゾウのパンツを振り回しながら禄九拾が機密倉庫を逃げ回る
闘女儿と且来が敵陸の船を襲撃し鹵獲した二千体以上の人形は仮収容された倉庫にて
且来と闘女儿があれこれと調整する。もっともあまり観たく無い光景でもあった。
人の形を模しているから余計にだろう。闘女儿は無慈悲無造作に兄弟姉妹の人形砲弾の
首を引っこ抜き胴体をこじあけ部品を取り出すと自分の体に取り付ける。
自分が満足するまでそれを繰り返し誰もが羨む美少女の姿に成ると
次は且来とも相談しながら機能が限定された砲弾としての人形を分解し
闘女儿には劣るが十分過ぎる程に兵器をして性能を有する戦闘人形を組み上げる
当初鹵獲した数は2千強であったが現在は凡そ500体。元々数が多くても
砲弾としての機能しか持たない人形を兵器としての水準引き上げるのは一人と一体は苦労する
「そろそろ戻ってこい。禄九拾。御前の様に冗談を言える機体は珍しいが
今度はちゃんと食える物を買って来い。惣菜麺麭が良いな」
「了解。でぶ大将。でぶ大将。大きな尻の嫁の下でぷんぷくぷんのでぶ大将」
「奥様の尻に敷かれてるのはわかりますがぷんぷくぷんって何ですか?
いっそ頭の回路潰したら良いのではないですか?」
「ぷんぷくぷんは良くわからん。だが腹が立つ」
意味もなく小童司令官の頭に拳骨を落とすと且来は工具を握り足元の部品を取り上げる。
「外すなよ?腕の魅せ所だぞ?・・・主砲。撃ぇ」
ドンっと空気が流れ砲身が巨大な薬砲をがちゃんと吐き出す。
「着弾・・・今・・・直撃です。敵艦損傷軽度」
「それで良い。次弾装填。狙い始め。引きつけろよ。もっとだ。」
山間の線路を抜けると三連機関車の速度が一層早くなる。
列車速度が上がれば安定はするが標的に標準を合わせるのが難しくなる。
早く動く列車の上から砲撃を行うのは常に偏差射撃を行う必要が有り難易度が上がる。
「敵陸の船。方向変えます。船体下部車輪が動きます」
「竹馬の饂飩やの情報通りだな。良し狙うぞ。車輪を狙う。
本気で行くぞ。弐番砲。参番砲。準備急げ」
武装鉄道列車から行われる砲弾はその方向をゆっくりと変え始めるりくの船の車輪を狙う。
この車輪こそが参番艦の特徴である。過去に且来達が相手とした壱番艦弐番館は
その主要武器として船体側面に無数に据え付けられた射出口成るものから人形砲弾を打ち出す。
かなりの速度で射出する必要が在るために船体内部に滑走路が組み込まれてもいる。
それは逆に砲弾の向きを上下左右に動かす事は出来ずに固定式に限定される。
とは言え砲弾としての人形に射出後の姿勢軌道を制御する装置と最加速調整の機能を持って
いるからある程度の軌道も補正は確かに効いた。
だが敵列車と船体を並行に並べなければ効果的な攻撃を行えない。多少の融通は効いてもだ。
特に戦闘開始時は遅れを取る。敵列車は線路の上とは言え遥か前方から砲を打ってくる。
人形砲弾を撃てる段階になるまで敵に砲弾を好きに打たせて被弾するのは都合が悪い。
それを解消するため参番艦の下部には巨大な歯車が列となし括られている。
確かに陸の上を奔る船であるから軌道の上から外れる事は出来ない。
それでも巨大な歯車がしっかりと地面に喰い込み船の方向を変え前方から迫り来る
倭之御國武装列車に向けて人形砲弾を打ち込むべく船体が回る。
「未だか?もっとも驚いているだろうがな。動かぬと思っていた船が回るとわな。
我軍の方が上手だと言うことだな。待っていろよ。倭の馬鹿兵どもよ」
背後にはぁはぁと息を切らしやっと司令室遅れて入ってきた今橋大佐の気配を無視し
漢縁の國陸上戦艦陸の船参番艦を預かる艦長は火を付けない葉巻を弄ぶ。
勿論。司令室は禁煙だし飽くまでも部下達に自分は余裕綽々であると言う演出である。
「船体角度軌道線に70度を超えます。人形砲弾射出体勢確保。御命令を」
担当士官が声を計器から眼を離し命令を上げる。
「うむ。頃合いだな。人形砲弾。射出の開始っ」
歳甲斐もなく声を張り上げると自分でも様になったと自負し指揮椅子に背を押し付ける。
「了解。人形砲弾射出最終作業開始。
砲撃室へ人形砲弾装填次第、貴殿等のタイミングで射撃よろし」
司令官の下知が降りると定められた手順で兵士が手を動かし計器を叩き
粛々と敵列車に向けての攻撃準備が行わて行く。
「なぁ?彼奴等何処狙ってるだ?倭之御國の大砲撃ちって腕良いんだろう?」
「なんでだ?昼飯を食ってないか?女相手に昨夜腰振り過ぎてふぬけたんじゃないか?」
「だって。あんなに砲撃してるのに振動少なくないか?
それにあの車両の数。長いぞ?確かに砲台車両も多いけど・・・何を撃ってるだろう」
外周看板の腕柱の影に隠れて様子を伺う見張り兵は不審に思い外壁まで近寄ると
手すりに捕まりながらいつもより小さい振動に揺れる船体を覗き下ろす。
「あっ。溶けてる。溶けてるぞ?側面車輪が溶けてる」
「えっ。どう云うこと?溶けるって?鐵の車輪が溶けてる?」
大げさに手を振り騒ぐ同僚の言葉を確かめるべく自分も取ってに捕まり下を覗き込むと
船体下部に付けられた車輪がぶくぶくと泡を立てて汁を垂らし溶けている。
今でこそ何とか車軸の力を伝え回っている物の。そこに敵砲弾が当たれば緑の液体が弾け
車輪を包んで腐食が進む。
「駄目だっ。持たないぞ。道理で振動が少ないはずだ。
彼奴等が撃ってたのは特殊弾だ。腐食砲弾だ。倭之大砲撃ちが的をはずずはずがない」
道理でと言わんばかりに顔を合わせる二人の足元で溶けた車輪が車軸を外れ
ごとんと音を響かせ崩れると隣の車輪にガチンとはまり衝撃をうむ。
「あちちっ」
突然に船体が揺れ茶を啜ろうとした今橋は声を上げて回りの注意を引いてしまう。
戦闘配置の指揮室で特にする事もないからと喉を潤そうしたのが裏目にでる。
嫌味の一つも飛んで来るかと首を縮めるがどうやらそれは杞憂らしい。
「今のは?なんだ・・・」
全くもって思いかけない船体の揺れに余裕綽々演技の葉巻を落としそうに成り
後ろで声を上げた今橋に文句を機会を逃した司令官は眉を顰めて部下に問う。
「そっ。損害報告。敵砲撃により本船下部車輪が溶解・・・・
片側七輪の内五輪が損傷。二輪が車軸から外れました。
・・・外甲板の見張りが腐食・・腐食砲弾だと言っております。
砲撃激しくも船体揺れずの原因はそれだと。敵は最初からそれを狙っていたとっ」
「腐食砲弾?そんな物があるのか?車輪を狙ってどうなる?
それを溶かしてどうなる?連中何をしたいんだ?」
わけがわからんし戦術的に遅れを取ったの気がついて指揮椅子から思わず立ち上がる。
「知っていたとは驚きであるが・・・間者でも居るのだろう。本国に。
向きを変える車輪を失ったら止まるじゃないか。船体の向きが固定されたまま。
少しは軌道を変えられると言っても射出口はあっちを向いたままであろう」
さっきの衝撃で溢してしまったから半分しか残ってない茶を啜るながら今橋が言い捨てる。
別に自分が敷きを取れないからとかではなくその実力があるのに脇に追いやらて居る
自分が哀れというのでもなく考えれば分かる事を今橋は言っただけである。
「そうか。この船のもっとも攻撃が上がる時は敵と並行に並んだ時。
軌道線に対して斜めの状態を維持させれば攻撃範囲は必然狭くなる。
対して敵は線路の上を走りややり過ごせるから視覚から攻撃できる。
然し。細い列車に積載出来る武器量なんて限られる。視覚を突いて次はどう出る?」
若い士官が計器から顔を上げ監査官の今橋の顔を観る。
どうやらこいつとは馬が合いそうだと顔を観わせると船体が小刻みに揺れ始める。
人形砲弾の射出が始まる音と振動が船を包む。
「ここまで長く繋ぐ必要があったのかと思うのだ。我が愛しの意地悪な飼い主よ」
褐色肌の細棒大佐が狭い車体に無理に体をねじ込んで座る。
「ふん。儂の軍嫁の浮気相手などの飼い主に誰が成るものか。
それより何で儂と御前なのだ?体躯の大きな者同士には狭すぎる。」
「籤引きできまったのだ。公平であろう。ずるはしておらん。
それよりちゃんと出来るのだろうな?免許はもっておるんだろうな?」
「一般車両免許はもっておる。然しこいつは軍用だぞ?常識が通じると思うのか?
ちゃんと軍嫁に教習は受けた。女は乗りこなすは得意でも軍用のこいつは及第点がやっとだそうだ。
「やれやれ。乗るのは得意でも運転は苦手な飼い主とは情けない。
そろそろだぞ?ちゃんとやれよ。且来准尉」
「言われなくてもっ。行けるか?闘女儿。遅れるなよ」
[了解。爸爸。隣の御淑女様の下着は紫。爸爸の好きな濃い紫。ぷぷ]
「なっ。何故。知ってる。くっ。惚れた漢の隣に座れるのだ。勝負下着の何処が悪い」
「こちら且来素子准尉。列車砲撃隊へ。
腐食弾砲撃感謝する。お陰で敵戦艦の足止めと死角を確保出来た。感謝致す。
且来人形隊出るぞっ。偽装解除。白兵車突撃開始っ」
野太く覇気の籠もった声が猛々と猛る汽笛に重なり無線を叩く。
軌道線に対し斜めの位置で固定を余儀なくされた船体の視覚に回り込んだ
列車車両の偽装装布が剥ぎ飛場される。ギアを入れタイヤを軋ませて唸る車体を抑え込み
ハンブレーキを外せば武装白兵車両が列車から弾けて飛び出す。
一度勢いの付いた武装白兵車両は乾いた大地に煙を残し真っ直ぐに陸の船へと猛進する。
みるみると大きく迫る船体に向け白兵車両の枠から半身を乗り出し
細棒大佐が携帯砲弾を方に構えて嘲笑う。
「こんな大きな的は初めてだ。何処を狙っても当たる。
これで外せば末代までの大恥だぞっ。うははははのはっは」
「外すなよ。軍妻の浮気相手よ。
闘女儿?そっちはどうだ?上手く言ってるだろうな?」
[おやつ・・・おやつ・・・お前等は・・・おやつ・・・犬母の下着は純白の白と確認]
「ちょっと何観てるのよ。なんでわかるのよ。初な私は白が定番なの。
・・・それにしてもなんて光景なのよ。ちょっと怖いわ」
「はっ。白兵戦か?大型戦艦に白兵戦とは・・・。
幾ら死角をせめても・・・白兵戦とは・・・勝機は在るのか?」
戦中であっても。否それだからこそに敵が撃ってるく戦略に驚きを隠せないのだろう。
先程の士官が窓の外をじっと見つめて思わず溢す。
「在るもないも勝ってるではないのか?なんとも言えぬ光景であるが」
司令室の中で一人冷静な態度で茶のお替りを啜る今橋。
どうころんでも自分責任がないと判っているからだろう。
対してその責任を否応なく取らされる参番艦艦長はその光景に
葉巻を指の間から落し呆然自失に口をあんぐりと開けるしかなかった。
大陸世界のある種の動物は時にして同種属を腹に収める事がある。
あまり知能が高くない場合も高い場合も本能と習慣として。
否然しそれを実際に目の当たりにすると凄惨さが嫌悪が止まらない。
砲撃室の自由意志で射出とされた人形砲弾は敵列車に向けて発射される。
然し着弾する前に最初こそ判別出来なかったが倭之御國帝国陸軍の新型人形兵器らしき物が
空中に浮かび手を広げて叫び唄う。司令室のモニターでしか確認出来ていないが
その人形が声を上げ唄うと何故か自軍の人形砲弾の速度が落ち地面に落下する。
原理はわからなくても現実としてそうであるならそうなのであろう。
正に共食いという言葉が相応しいのがその痕だ。
何処から湧いて来たのか解らずとも藁藁と湧いてきた他の人形が落ちた砲弾に喰らいつく
頭を齧り目玉を丸呑みにしバリバリと音を立てて部品を噛み砕く。
人形砲弾の上半身。つまりは人形の部分を人形が貪り尽くすと次の獲物に齧りつく。
不思議な事に人形が人形砲弾のを喰らう度に喰らう人形の形が少し変わる。
其の中の数体の人形の背に生えると宙に飛び上がり最初の人形の側で声を上げ唄う。
すると又堕ちる人形砲弾の数が増える。最初の人形も唄うを止めては空中で餌を
捕まえては捕食する。地獄絵図とはこの事であり正に地獄絵図のなに物でもあろうはずがない。
「漢縁之御国陸上戦艦巨操兵壱番機月姫。出撃を要請します。」
既に巨操兵に乗り込み素早く操作パネルをパチパチと弾いて夜姫は無線に話す
「こちら。管制室。良いのか?夜姫。外は修羅場だぞ。
この状況でも出るのか?それに上からの命令は未だ無いんだぞ」
「今。出ないで何時出るんですか?許可はいりません。
射出口を開いてくれれば良いんです。出来ないならこのまま出ます」
既に全ての出撃準備を終え死の覚悟さえ心に決め操縦桿を月姫は握る。
「了解した。シンクロ率120%。流石だな。
巨操兵壱番機出撃を許可する。武運を祈る。」
機体の前に広がる射出路を塞ぐ扉が開くのももどかしく月姫はペダルを踏む。
どんっと体に加重が掛かり座席に体が押し付けられる。
外は修羅場を聞かされたが今の月姫には絶好の死に場所である。
自分の体を何度も体を嬲られ何度も白濁を注いだ小父様さんが寄りによって妹まで求めた。
絶対無比と唯一自分の手に握っていた絆を又妹が手を伸ばして横取りしていった。
嘘だ嘘だと頭を振っても現実に妹はあの漢の前で全裸に肌を晒しその乳房を漢の手が掴んでいた。
月姫に取ってやっと自分一人のだと思い心の中で愛してると何度も叫んだ拠り所がなくなった。
涙の変わりに怒りを瞳に燃やし巨操兵壱番機が天空に姿を現す。
そこは修羅場と言うのは未だ生優しく地獄絵図を弐枚参枚と重ねた地獄の風景が広がっている。
「漢縁之御国陸上戦艦巨操兵弐番機夜姫。出撃を要請・・・」
「夜姫中尉。何を言っている。貴様。何をやっている?
18%だぞ?半自動機構とのシンクロ率18%って何だ?出撃どころか片腕も上がらんぞ?」
夜姫は自分でも分かっていた。ついさっき今橋大佐に強要された情事の真似事。
信頼を裏切られ体を求められた動揺が収まらない。
コックピットに中で息を整え頭の中から雑念を振り払いもう一度認証パネルに手を置いてみる。
22・・・24・・・31%。自分の呼吸音だけに集中しても数字はそれ以上伸びはしない。
大佐との情事を振り払っても姉が小父様さんと呼んだ大佐を取り上げた現場の光景を
観られたのは辛すぎる。自分は欲しくなくても姉を又傷つけたのには変わりない。
徹底的に絆が切れた様に感じるのと其の逆に姉が決死の覚悟で出撃したのが痛いほど分かる。
半自動機構とのシンクロ率120%と言う数字を叩き出し完全に機体を制御してるのにも関わらず
夜姫は遅いくる新型人形の猛攻を防げない。
人形が歌い出した其の頃から観ていた物がいれば良く分かるのだろう。
最初こそは人形の数はそれ程多くなかったはずだが味方が打ち出す人形方砲弾を餌と喰らい
体に変化を得ると在るものは背に跳ねを得て空を舞い。在るものは地を跳ねて船体に飛び付く。
外板を肌して陸の船の船体に潜り込む。何より彼等人形の餌と成る人形砲弾は際限なくも
射出されて来るのだから喰らいほうだい食べ放題。個体個体の形と機能は違うとしても
徐々に人形砲弾よりも赤い眼をした人形の数が勝って行く。
数の比率が変わりだせば陸の船の船体にボコボコと開いていく穴の数も増える。
「何だって言うのよ。この人形。まるで餌を強請る子供みたい。
退けて。退けて。あたしの邪魔しないで。死なさせて死なさせて。死にたいのよ」
死に逝く覚悟で出撃したのは良しとしても直ぐに夜姫の壱番機に人形が群がる。
巨操兵と言っても飽く迄その呼称にしか過ぎない。実際は戦闘機に形状も似てる。
いかにもと言う名前ほども実物は大きくもなく設計者が見栄をはっただけに過ぎない。
夜姫が操る壱番機に取り付く人形は不気味に赤い眼をちかちかと瞬かせ犬食い然りと
機体に喰らいつく。
「邪魔だって言ってるのよ。邪魔なの。退けて。どきなさいよぉ」
機体を方向け喰らいつく人形を振り落としたかと思うのは一瞬に又別の人形が喰らいつく。
ピピッポピッと信号がなり味方の機体が飛んで来るのを知らせて来る。
「あの子。何してるの?来ないで。あっち行って。馬鹿な妹」
やっとの事で出撃できた弐番機夜姫はそのモニターに姉の機体を捉える。
「姉さん。今行く。今助けるから」必死に握る操縦桿が重い。
半自動機構とのシンクロ率は最低操縦基準をちょっと上まるのがやっとだった。
それでも空に上がる事が出来るし勢いが乗った機体には未だ人形も取り付いてもいない。
失速寸前の姉の機体に後方に追いつくと半自動機構が機銃使用を推薦する。
姉の機体にしがみ付く敵の人形を破壊するのには最適だろう。
外装窓に直接映る照準が右に左に揺れて上手く狙えない。
パチパチと操作パネルを叩いて速射段数の上限を上げる。
揺れる軌道のままで少ない段数では人形を破壊できないかもしれない。
少々揺れても多い段数を掃射すれば上手く排除出来ると夜姫は思う。
ブッブッブッと警告音が騒ぎ出し段数を落とせと煩く進言してくる。
半自動機構は機体を安定させきっちり標準を合わせ一撃必殺で処理しろと騒ぐ
姉の機体に張り付く人形は三つほど。一々に狙っていては間に合わない。
短い掃射を繰り返せば自分の腕なら上手く行く。それと信じて半自動機構の指示を拒否する。
「姉さん。今助けるからっ・・・」
ヘルメットの中が息苦しくも曇るは気のせいだ。
プルプルと音が成るが未だ標準は未だぴったりと翼に張り付く人形にはぴったりあわない。
操縦桿が重く引き金が固い。自分の心が濁るせいで機体の状態は良くない。
それでも姉を助けたい一心で引き金を絞る。
ドドドドと機体先端の機銃が掃射する。
外装窓の姉の機体の上で張り付く人形が一瞬気配を察し顔をあげるとケケケッと嘲笑って飛び上がる。
人形がのけた場所に機銃が当たり姉の機体に穴を開けボンっと弾けて炎が上がる。
自分が撃ち放った機銃掃射が姉の機体の燃料タンクに直撃し爆発と共に炎に包まれる。
何が起きたか何をしたかを悟るまでの一瞬の間も引き金を絞ってままであった。
慌てて指の力を抜いたものの速度と角度は変わらず掃射は続き其れがと止めと機体が燃える。
「姉さん・・・」
「くくっ。なんて妹なの。殺したいほど私を憎んでいたのね。夜姫。
・・・有難う・・・これで死ねるわ・・・」
自分に起きた事を素直に受けいれ揺れて燃える壱番機のシートの上で月姫は優しく微笑み嘲笑う。
[爸爸・・・有人飛行機体と交戦・・損傷激しく墜落必死。
有人飛行機体大破確実墜落必死。搭乗者は童顔の可愛い乙女。尚、下着の色は桃色なり]
「何だと?桃色の下着の乙女だと?本当か?闘女儿」
「桃色が好みなのか?紫じゃ駄目なのか?有人機体とか在るのだな・
あれだな・・・堕ちるぞ。捕まってろ。変態下着泥棒の私の飼い主」
どうしても運転がままならない且来変わり細棒がハンドルを握る。
ぐんっと急激過ぎる反転に投げされそうになるのを且来はこらえて叫ぶ。
「助けられるか?敵でも乙女となればほってはおけん。
闘女儿。何とか取り付いて回転させろ。儂が受け止める。」
「了解。爸爸。機体に取り付き反転させる。桃色も紫も好きな変態爸爸」
夜姫のはなった機銃掃射は燃料タンクを直撃するが遅炎性の燃料だったのが
せめてもの幸いであろうそれも時間の問題だろう。
推進力を失う機体はゆるい角度の軌道で地面にむかって堕ちていく。
「もう少し。もう少し。・・・間に合うか?それでどうする?
受け止めるって言っても機体が降ってくるぞ?桃紫変態覗き魔飼い主」
「判ってる。ギリギリの所で曲がってくれ。
その勢いで儂が飛ぶ。動けるでぶの馬鹿力である。覗いてはおらん。変態でもない」
「良いのか?潰されるぞ?でぶが潰れるとぺっちゃこぞ?
くるぞ。おでぶっ。未だ。翔べ。おでぶっ」
砂塵を朦々とあげて勢いを乗せて白兵車の縁を蹴って且来が跳ねる。
頭上ぎりぎりで機体に取り付いた闘女儿が背中から噴射を行い機体が回る。
同じタイミングで機体にとりついた禄九拾が操縦席の外装を剥がし
潜り込んで虚ろに気絶する月姫の体を掴かみ下で必死に手を伸ばす且来に向かって放り投げる。
闘女儿が逆に噴射を弐度行い堕ちる機体を揺らし方向を変える。
とどけ。届けと両手を伸ばし。もっと届けと体を伸ばす。
頭上の上で機体の向きが変わり金属の翼が土を削って且来に迫る。
「どはぁ~~~。あっ頭の上を翼がかすって行ったぞ?髪の毛10本は持っていかれたぞ。
ダイエットしよう。ダイエットします。これ以上腹出たら動けんぞ
御嬢?大丈夫か?戦であっても命は容易く捨てるのは儂が許さん」
ドンドンっと頭の側を金属の塊が転がり砕けて燃える其の横で
ふくよかで柔らかい腹の中で太い腕がしっかりと月姫の体を抱きしめる。
その温かと優しい言葉に月姫はぱちぱちと弾いて且来を見つめる。
「小父様・・・」
自暴自棄に捨て投げようとした自分の命を体と命を掛けて救って暮れた恩人に
眼を輝かせて月姫は出っ張った腹に顔を付けて涙を流す。
「ああ~~~。
こちら倭之御國帝国陸軍・第弐女装家連隊・且来素子准尉である。
すまん・・・張り切り過ぎて捻挫したらしい。結構痛いのだ。
とりあえずそっちの軍隊へ。勝敗は決したと思うのだが。
我が兵団は血の気が多い。最後までやらないと気がすまなと煩くてな。
20分くれてやるから退艦してくれ。次の攻撃は20分後である。
それから有人機のパイロットを救出したのだが帰りたくないと駄々を捏ねておる。
御嬢。儂の腹肉摘むの止めてくれる?ぷにぷにして気持ちいい?
皆言うんだけどね。儂の腹肉だからさ。恥ずかしいから。駄目?もっとぷにぷにしたい?
ちょっとそこ違うから。違う所だからね。
兎に角だ。最終攻撃は20分後だぞ。言ったからな。ちゃんと。あれは痛いぞ。
えっと・・・。
嗚呼。饂飩・・・えっ?今日は冷やし中華の日?何でも良いじゃん。駄目なの?
嗚呼。冷やし中華食べたい。出来れば厚切り焼豚参枚乗せの冷やし中華が食べたいの。
だっ。誰か担架持ってきてくれる?もう駄目かも。僕・・・」
なんとも情けない最後通告であるが、確かに勝負は決したと言えるだろう。
主要武器である人形砲弾は殆ど食われ尽くし船体にはボコボコと穴が開く。
まだ足掻くとすれば兵員の機銃くらいだろう。
さて?どうしようと頭を抱える司令官の耳に無線に女性兵の声が騒ぐ。
「やっ。山の向こうに動き有り。
あれは列車砲です。山の向こうににょっきりとっ。
なんて事なの。前の物より太くて大っきいの。黒く光ったりして。
あんな黒光りする太くてでっかいのを打ち込まれたら・・・
私。逝っちゃう。逝っちゃう。絶対逝っちゃう。どうしましょ。
私ったらはしたない。でも逝っちゃう逝っちゃう。色々逝っちゃう。
退避を宣言します。退艦。全員退艦退艦。逝っちゃう~~~。ぱたり」
状況がものすごく分かる女性兵の報告は随分と不真面目に聞こえるが
本来司令官が告げる言葉を代弁していた。
女性兵の報告がぷつりと切れた途端に兵どもは我先にと脱出艇へと走り込む。
「20分たったな・・・。逃げ切れてるとも思わぬが其れも又戦である。
標準合せっ。各員砲撃準備宜し。防音衝撃確かめ。最終工程済み。
引き金よこせっ。・・・・・・撃ぇっ
・・・ふっ。あやゆく出番無くなる所だった。危なかった」
かつての四六特団指揮官。秋月雪華大佐はその屈辱を第弐列車巨砲の引き金を絞って晴らす。
「少しは役に立ったのだ。今夜こそ爸爸に嬲って貰わないとな」
一人留守番を押し付けられた元体売りの女は其れも又と憂さを晴らす。
「小父様。小父様。漏れちゃいます。漏れちゃいますの」
「御嬢よ・・・漏らしてるのは儂である。どんどん扉は叩かなくて良い。
大体用を足す時までついて来なくて良いぞ。それから小父様と呼ばれるど年配でないぞ」
「だって心配になるんです。小父様の大きなお尻が視界に入っていないと不安で」
やれやれと肩を落し洗った手を拭きながら出てくる且来に月姫がぴたりと体を寄せる。
敵戦艦陸の船が軌道線の上で鐵塊と成って二日。
戦勝祝いが続く中。どうしても帰りたくないと駄々を捏ねる月姫と且来を取り巻く
女性達との間で摩擦は起きる。
「小父様は私の小父様です。この生命尽きるまで側にいるんです
「私は軍妻よ。未だ許してないと言っても妻なのよ」
「しずゑが軍妻で在るなら私は軍妾だな。ぷぷ。言ってやったぞ。響きがいいな」
「私だって肌寒い居流の森で肌を温めた仲なのよ。爸爸よ爸爸」
「わんわんっ」
堂々と憚らず食堂に屯しながらわいわいと好きに勝手に言い分を述べる。
其の横で上州自治区の正妻からもそろそろ返ってこないと縄で吊るすと脅す手紙が届けば
縁を結んだ御名子の数を指おり数えては自分の女難を且来は呪う。
「恥ずかしい・・・」小柄では在るのにスタイルの良い月姫はやはり恥ずかしがる。
「すぐに慣れるわ。且来家伝統の儀式ななのよ。且来家の女の大事な仕事なの。
貴方。ものぐさしないで。早く早く。今日は6周するわよ」
大きな乳房を揺らし尻を突き出ししずゑが四つん這いになると
幾ら躾けを受けていたとは四つん這いで床を歩くとなれば月姫は恥ずかしがる。
「別に儀式とかじゃないし嫌いじゃないけど脚痛いし。適当で・・・あっ御免なさい。奥様」
捻挫で痛む脚を庇いながら渋々と犬嫁しずゑと月姫の散歩を余儀なくされる且来である。
最近は少々と成れて来たとは言え機密倉庫の出入りを管理する見張り兵は
毎夜23時を過ぎると不気味な光景を眼にしてる。
其れまで立っていたはずの人形たちが次々と膝を突いて四つん這いになり
カシュンカシュンと膝音をならして倉庫の中を歩いて回る。
時に参周。時に六周。妙に楽しげであるも誇らしげとも見え
上司に報告も上げるも。
「且来准尉殿の悪癖だから。止めさせると御前人形に食われるぞ」
そう言われると下っ端は辛いよ。と首を項垂れ見回りへ戻る。
長い期間かそれとも逆か暫くの間倭之御國中央管理基地と敵軍戦艦陸の船との戦いは
港基地に重い船体を休ませる其の四番艦と工場港で最終調整を待つ五番艦の出番を待つ事になる。
