僕が上手に歩けないのに有尾種の雌が尾を絡めて態々転ばそうとする十邇日間【Ⅹ】

円卓の鉄球騎士。其の一人を女主人と決めて尽くすシーラ。
その豊満と言える体を求め、シーラの夫は毎夜とばかりに夜伽をしつこくも求めてくる。。
「仕事が忙しくも又、主人は戦事に身を投じているので今日は控えめに・・・」
体裁を整えつつ微笑み、これっぽちも満足出来ない情事の後に
強請れる口づけにシーラは嫌嫌ながら答え、代わりに心の中で自分の主人に犯される時を
心に想い描き身悶えし悦に浸る。


「ファラン・ミグ殿・・・。
・・・すまないが、例の商人に付いて教えてはくれまいか?
確か貴殿はあの商人と親しくも有り、そして忌み嫌っていると聞いたのだが?」
華やかにも又、悪意憎悪が渦巻く夜会の席でファランは呼び止められる。
「これはこれは・・・。ソイ・ヤング殿。
上級貴族の貴方様が私奴のような者に訪ね事とは珍しいですね。
・・・私奴の困り事を一つ・・・」
「わかっておる。
次回の討議会では私の票を貴殿に入れて進ぜよう。
あの杖突き商人はどんな奴だ?商売はどんな物を生業とするのだ?
それから・・・女癖はどうなんだ?」
自分の言葉を遮られた物の好機への道への下知を一つ得た事に満足する。
「確かに私がこの円卓との橋渡しをしました。
なかなか狡猾ではありますし、商売品も伝手も色々と持っているようですね。
かと言ってあの脚です。・・・女の方はからっきし。
突き出された尻の前で膝が笑って砕け、満足に腰も振れないとか・・・。
まぁ~~~。御付きの若い従者が世話をしてると聞きますが
それ意外に浮いた噺も特になくですな」
「ふむ、そうであるか。
なかなか興味深い噺であった。云々有難う。
膝が砕けて腰を触れないか・・・それは笑える噺であるな・・・あはは」
満足そうにファランの方を小突いて来た道を去っていく上級貴族。
すでにその妻は寝盗らている事も知らず。
それも又、噂噺と杖突き商人を嘲笑った下級貴族のソイにしても
再婚したばかりの妻も先妻との間にもうけた若い娘もやはり寝取られているとは
夢にも思わないでいる。


酷い火傷の後が残っているからと言い捨て・・・。
其の顔の半分を朱色の染めた布を斜めに巻いて隠し。
今度は脚が悪いし未だ夜毎に痛むと言っては杖を突く漢。
初めて其の姿を観た時こそ、なんて無粋な漢だと苦く思い嘲笑った物だ。

置字

 

天鼠蛭姫

天鼠蛭姫

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