御父様の・・・

台御椀共帝ノ國。
大陸世界の御國は数々あれども此の國、此の場所は曲が有ると皆が言い捨てる。
二日三日と観光するのは物珍しくも長く居るのは窮屈だと言われるし、他国の駐在や仕事のそれでも壱年滞在も
持たないと言われ上司が引き止めても辞表を叩きつけ会社自体をやめて逃げていく者があとを絶たない
國土地の気候も他の場所とはあまり変わらぬと國民は平然と言い放つが季節と言えば二つしかない。
夏と冬。或日或日付に突然夏と冬が入れ替わる。今日までは夏衣装で過ごせば其の次の日には寒波厳しい冬がやってくる。
他の地域であれば麗らかな暖かさを楽しめる春もあれば凍えゆく寒冬への準備と勤しむ秋も有るのだろうが
此の國には遠慮なく日を跨げば季節が変わる。せめてもの救いは夏と冬が入れ替わる日が明確になって居ることである。
季節が極端で有るだけで済めばまだマシな方で季節が極端でもあれば國の民の習性も習慣も思想とも
あらゆる物が良く言えば極端。控えめに言っても随分と息苦しい。
堅苦しくても先ずは祭事とすれば政治。数十年前までは複数の政党があったと記録には残っているが
革命の後は共輪党の一党独裁である。主義で言えば共産主義が一番近いだろう。
國の全ては國の物。國民は國から全ての物を借用していると体に成っている。
言えを初め衣服や食べ物、勿論全ての物を國が所有する。國民は金銭を払って國から全てを借りるとなる。
宗教とすれば古くから此の國で生まれた物であり後に他国から伝わるものはあっても國民の間には一切浸透しなかった。
閉鎖的な國に新しい息吹を広めようと意気込んでやってくる宣教師の者も最初こそ珍しく噺をきいてくれては観ても
結局は國教を捨てるには至らず宣教師達は首と肩を貶して國へ帰るのが席の山である。
國と民に深く根付く曲の有る宗教と習慣。國旅の旅行書にも態々に頁を割いて解説されるそれは難解でもある。
特に女性の扱いには昨今は他国他州では眉を潜めることも多い。
此の國に置いての女性扱いは外からは理解できないだろう。男尊女卑の極みとも言える。
此の國の全ての女性は主人と言う者に所有される。女性本人の意思は尊重される事はない。
数少なくも許されるとすれば若い四肢に刻まれる幼年時の恋愛のみである。
初めて覚える性の喜びの相手は当人の心気持ちも容認されてもいる。
但しそれも傾倒する信仰心や家柄によっては当人自らが抑制する事も多い。
多感な時期であるから誰かを想う事はあってもぐっと堪えて胸に秘める事も多い。
男性は壱十と九で大人と認められるが女性は壱十と七で成人とされ同時に結婚が可能とも成る。
思春期の恋愛を想い秘め壱十と七になれば婚約を経て結婚へと至るのが習慣でもある。
この風習も共和首都や都会では古い慣習であると少しづつも薄まっていたりもするが
信仰と習慣を大事にする旧家界隈や田舎では未だまだに根付く風習でもある。


ほ孔・志偉(コウ・ヂーウェイ)
台御椀共帝ノ國に置いても職業を選ぶ事は出来ない。
漢性と言えども人生の何かを選択する事は出来る事は少ない。
國を導く共和党と其の下の國制局が此処の全てを管理している。國人にとって自由に選択する事は出来ないに等しい。
漢性も結婚の相手はもとより生活の糧を得る就労職業も選ぶ事などできるはずもなく
それ当然に割当られる職種によっては結果的に経済的な格差も当然に生まれる。
孔・志偉はいわゆる外れ組とも呼ばれる社会の格差底辺に堕ちている所謂外れ人でも有る。
仕事は小さな会社の営業職で有るが売ってる商品もご利益有限のと意味のわからない皿であったり紛い物の仏像であったりと
すれば薄給の上に過労ぎりぎりまでの超過就労時間と遠目でも孔・志偉の姿を見つけるたびに怒涛の如く突進してきては
小言と苦言と文句と残業必須の仕事を擦り付けてくる上司にも悩まされている。
仕事環境が悪ければ住む場所もそれなりであり台所と小さな風呂が申し訳程度にある築数十年のアパートでもある。
國に管理抑制される民々であっても個人個人の才だけは確かな物ではあるが孔・志偉は籤運が強い位だろう。
尤も旧正月の商店街の抽選会で精々2等の薄型TVが当たる位だから微妙と言えばそうである。
それ位の運の良さが精々でありそんなことも何年も起きていない。

此処数日は得に酷く。
女上司に投げつけられる半端のない仕事料と得意先の無理難題に心身の限界を超えた孔・志偉は体調を崩した。
入社して壱十と数年。初めて病欠となったがそれさえ許しまじと自宅まで仕事を置いていく上司を恨んでも
その日を含め二日ほどにも寝込む始末である。
火照る四肢の儘、薄布団の上で伏せるもやっとなんとか起き上がれるかと感じる三日目の午後。
事件は起きる。
孔・志偉のその後の一生を根本的にひっくり返してしまうものであり後にそんな時期が自分にもあったと
志偉自身も懐かしくもほろ苦く思い出す日がそれである。

ぴっ、ぴんっぽ~~~ん。
社畜如くの根性しかり。新聞配達の勧誘も来ないはずだから、壊れかけた呼び鈴が悲鳴混じりに唸り声を上げる。
ぴっ、ぴっぴっ、ぴんっぽ~~~ん。
「はっ、はぁ~~~~い。待って下さいなっ」
何年も鳴らされた事もない呼び鈴が突然になり始めた事に驚きながらも慌てて布団から這い出し狭い部屋を
玄関に小走りに駆け寄り薄いアパートの玄関扉を開け放つ。
そして一瞬にも永遠とも言えず孔・志偉は身を固める。
「焔い出る嫁蔑村生まれの孔・志偉で御座いますわね。
私奴。蝶園寺詠晴と申しますの。
本日。貴方様の躾嫁として嫁ぎに参りましたの。末永く宜しく御願い致します」
ぼろ古いアパートの扉向うに慄然と又に可憐な少女がそこに立っている。
「はっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
余りに突然に自分の身の上に起きた事に頭がついていけず孔・志偉は其の場、其の瞬間に固まる。
「私奴。蝶園寺詠晴と申します。
本日。貴方様の躾嫁として嫁ぎに参りましたの。末永く宜しく御願い致します」
慄然とはっきりとした姿で二度目に言葉に示し少女が孔・志偉の前に立つ。
蝶園寺詠晴と名乗る少女は美しくも可憐な姿で伝えるべき事を凛と宣言する。
その日突然に孔・志偉の所に嫁に嫁ぐと宣言する少女の容姿は信じられないほどで有る。
銀色の長い髪をふたつおさげに纏めている。小顔で有るし少し大きな瞳に長い睫毛。
小さくも形の良い鼻。形の良い唇は少し厚ぼったい唇から言葉を紡げばポロリと可愛い八重歯も覗く。
それなりに背の高い孔・志偉に対しても余り其の差もないところから女性としては背の高い方なのかもしれない。
漢であればそれに張り付く女性の誉となる乳房も細身の四肢に反して人目は憚らずに大きくもある。
そこから視線と煩悩を引き剥がすのには並々ならぬ努力がいるだろう。
視野っと引き剥がすときゅっとしまった腰つきの先には豊満な尻肉がある。
乳房が大ききれば閉まる腰と又に大きな尻。床に四つん這いにして突き出した尻に手をついて竿を
雌襞に突っ込んでみたいと衝動を抑え切れないだろう。
其の瞬間も未だ状況を受け入れることも理科することも出来てない孔・志偉自身で有るも
妻と成る蝶園寺詠晴がそれを許すのが孔・志偉のみで有ることも又気がついてもいなかった。
「えっと・・・・すごく綺麗な・・・あっ。失礼。
あの・・その・・まだ良くわからず・・・・えっととりあえず・・・中へ・・・汚い所ですけども」
状況も何もかもよく理解てきてないのはともかくなんとか言葉を紡ぐ。

「あの・・・僕まだ理解出来てなくって・・・申し訳ないです。出来れば説明と溶かして頂けると・・」
春とはいえ少々外気も冷たければ淑女を玄関先に立たせておくのも忍びないとボロのアパートの部屋に招くも
とたいしたものも禄にない。木造りの丸テーブル一つと座布団壱枚であるが
さすがに自分が座るわけにもいかず自分に嫁ぐと言う蝶園寺詠晴に進め孔・志偉は対面に正座する。
「本来なら共和党国政局から事前に知らせが来て居るはずで御座いますが・・・」
自分が嫁ぐ夫が少々にだらしなくも観え、もしくは状況を飲み込めてないとなれば一大事でもある。
期限も悪く成るやもしれずに、空気を読んだ孔・志偉が気まずそうに目線を動かす。
「解りました。旦那様
所手続きはすでに済んでおりますが。通知と詳細については此方に記載されていますのでご確認を」
緊張しているのか少々高い声で話す蝶園寺詠晴。孔・志偉の不甲斐なさを怒っているのだろうか。
困惑する孔・志偉の前に確かに国政局の書類を突き出したのは又別の人物である。
詠晴のお付きの従者とでも言うのだろう。物静かにしとやかな仕草で音も立てずに書類を差し出してくる。
いつの間にかだろう。本来は余り綺麗でも整頓されてもいない志偉の部屋の台所を断りもなく使い
お茶とお菓子を茶卓の上にそっと置いて来る。勿論に志偉の記憶には客人を持て成すような小綺麗な茶碗も
たゆるお茶も菓子等有るはずもないからどこからか持ちこんだ物なのだろう。
「うっ!旨っ。こっ、此の御茶美味しい。あっ、御免なさい。っと蝶園寺詠晴さんもどうぞ」
「詠晴と呼び捨てにして下さいませ」
それまでの人生でも味わった事のないと断言できる美味しさの一杯の御茶に感嘆の声を思わず上げる志偉。
既に自分の夫と認める志偉の下知が降り少し嬉しそうにはにかみながら詠晴が湯呑みの細い指を添える。
その時は違和感もなく気づく事ないほどに自然な所作でメイド従者が湯呑みにおしゃそ注ぐ間に
志偉は手渡された書類に瞳を瞬かせながら読み始める。
そこには・・・。

本日、櫻ノ月弐壱十ト三日猿頭壱十と御昼の刻を持って
焔い出る嫁蔑村生まれの孔・志偉と台御椀共帝ノ國・蝶園寺詠晴の婚姻を認める。
夫、孔・志偉は主徒として蝶園寺詠晴を躾妻と厳しくも愛おしく愛で断固歴然とした態度で弄び嬲り犯す事を許可する。
古の慣例に習い道を外さず真摯な態度でこれに臨み、家具扱い・犬飼・檻閉じ込め・縄縛り・愛人乱交・
夫、孔・志偉が望む儘の全てを躾妻蝶園寺詠晴受け入れる事を命じる。
末永く健やかに愛し合う事を強く願う物とする。
頑張れ!
台御椀共帝ノ國・国政局大臣近藤壱升

「だっ、大臣さん。応援してるよ。応援されちゃってるよ。僕等・・・・。
蝶園寺詠晴さ・・・ん。蝶園・・・・蝶園財閥・・・・
えっ?えっ?えっ?・・・・蝶園財閥の一人娘・・・・えええええええええええええええええええええええっ」
従者が入れ注いだ少々熱いはずの御茶をしとやかな仕草で飲み干し軽く顎を上げ詠晴はおかわりを強請る。
「否っ!無理だから!
僕なんて下民だからっ!根底の貧民だからっ。蝶園財閥の御嬢さんを嫁に取るとか。しかも躾嫁とか無理っ。
僕の欲望の儘にどんな事でも受け入れるって・・そんなの無理・・・・あっ、どうも」


天鼠 蛭姫ノ壱

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