【構想無くして、小説等賭ける筈も無く】: 弐・鐵拳【構想無くして、小説等賭ける筈も無く】: 参・鐵拳

鐵拳头。
辞書を引くまでも無くそれは鐵の拳と言う意味である。
鐵拳头。漢言之御國大都警察局勤務の刑事でも有る。誰かが付けた異名ではなく本名である。
齢は伍十を数えて少し。体躯は中肉中背。特に特徴もない。頭髪は薄くはないが白髪がポツポツと目立つ。
警察票を首からもぎ取り夜の街でも放り込めばどこにでも入る只の親父と変わりないだろう。
否然し。大都に巣食う悪党懶怠者からは要注意人物と知られ忌み嫌われて入る。
過去に大きな懶怠者の組織が二つ鐵拳头によって壊滅に追い込まれている。
高が一人の刑事に組織が二つも潰されれば懶怠者の面目も立たないが。
要注意と落とし所が付くのは訳が有る。賄賂である。鐵拳头は悪徳警官であった。
つまりは法をある程度捻じ曲げても最後の一線を超えなかれば後は賄賂の金額次第で見逃してくれる。
同じ穴の無地なで有ることは鐵拳头も自他共に認めている。
「はっ。はっ。あんっ。奥まで。もっと奥までぇ」
紅くも淫猥に染まる壁と光の中、少々出っ張った鐵拳头の腹の下で首に手を回し脚を蛙の如く開いた娼婦が喘ぐ
「もっともっと。奥に入れてぇ~刑事さん」やっと日が落ちて来たばかりであれども勤務中で有るはずだ。
それに喘ぐ娼婦は娼婦にあらず、情夫と言うのが正しいのか其の胸は平たく漢の胸板で有るくせに
鉄拳の漢竿を呑み込むのは雌壺である。古くも臭い伝統と護る漢言之御國には未だ珍しい半雄と言われるものだろう。
女と雌の四肢にて産み落とされたはずであるが心と体の相性が悪くも先端の医療技術の恩恵に有りきで性別を
変えた情夫とでも言うのだろうか。鐵拳头の趣向の歪みを垣間見るが其れで済まないのが又に鐵拳头である。
「雄女ばかり相手にしないでよ。あたしもかまってよっ」怒りが交じる声が上がるが此方はちゃんと乳房もある。
「好きにすれば良い・・・」低く嗄れた声が帰ると雄女の情夫覆いかぶさる鐵拳头の腰を抱え込むと
べちゃべちゃと音を立て尻穴を嬉しそうに舐め回す。伸ばした手は鐵拳头の漢陰嚢を強く弄る。
少々歪んだ性癖の持ち主でもめを背けるのが当り前だろう。
転換した性の真っ平らな乳首を無理やり弄り雌壺に漢竿を入れて犯して入るかと思うと
大きな乳房を持つ情婦に尻穴を下品に舐めさせ漢陰嚢をいたぶられるのも良しと悦に浸る。
それどころか堪らず我慢できずに悪戯に尻穴にめり込む情婦の指の感触におおっと声を上げても魅せる。
変態で有る事も間違いはないだろう。絶対に変態である。
其の癖、娼婦・情婦の料金は払わない。出口で下を向いてなんとかやり過ごそうとする下っ端懶怠者の若者を
ゴツンと拳骨を喰らわせ気絶させる。下っ端共は毎回殴られるのでなんとか当番を変わって欲しい上役に
駆け込んでもそれを許しては貰えない。下っ端が殴られ無ければ上役の自分が殴られるだけだから結局は押し付ける。
結局三日に一度は贔屓馴染みの娼館に鉄拳は現れては娼婦を交互に犯して漢濁を吐いて快楽を貪る。

「又かっ?又なのか。あの地獄耳の鐵拳头め」
バンバンと机の上を叩いて悔しそうに部頭の漢は騒ぐ。
「なんとかして来い!お前。御前だ!御前!」よっぽどの癇癪を抑えられないのだろう。机の上の瓶を投げつける。
「おっ。俺ですか?あのもっと適任の奴が」背の高い懶怠者は隣の奴を指で指す。
「あっ。言ってきます。御前も来い」兄貴分に氏名されれば断りも出来ないだろう。
鐵拳头の仕事は情婦遊びだけではない。ちゃんと警察業務も適当にこなしている。
悪党懶怠者のシノギは数あれど。やっぱり目玉は覚醒材だろう。あれは大きな利益を生んでくれる。
所が覚醒剤の密売には当然に仕入れが必要と成るのだが、其の取引が有る日に限って懶怠者の事務所には
鐵拳头が現れる。雨の日も。風の日も。槍が振る日もである。
懶怠者事務所の反対側の路地の電柱によりかかり此方の出方を待っている。
顔見知りの情婦が差し入れる屋台蕎麦を喰らいながらも嫌らしい目つきでじっと睨む。
なんとかして来いと言われた下っ端懶怠者は命がけで有る。
懶怠者威厳を振りかざそうなら迷わず雷の如く拳骨が飛んでくる。
良くて半殺しの病院送り鐵拳头の祈願が悪ければ刑務所直行で同じ房仲間の欲求のはけ口だ。
「老師。老師殿。今日は・・その・・」手もみして近寄る下っ端二人組
「今日は何処だ?第参埠頭か?幾らだ?・・・もう一箇所は?」
「はい。老子様。確かに第三埠頭で。二千万漢園です。あっちは五百程です」
「それで・・・?」差し入れの蕎麦の器に箸を突っ込みながら鐵拳头が睨む。
「えっ。あっ。はい。これは部頭からです。老師殿」
下っ端が恐る恐る差し出した茶封筒を中身も見ずにしまうとの蕎麦の器を下っ端に押し付ける。
「埠頭の方は潰す。あっちは見逃しても良い。見返りがあればな」ぶっきら棒に言い捨てると鐵拳头はきすびを返す
「あっ。有難う御座います。老師殿」素早く頭を90度に腰を曲げ礼儀を通したつもりだが隣でゴツンを鈍く音がした。
びくりと四肢が膠着するが決して姿勢を崩さない。
個々で顔を上げればたった今、地面に血飛沫を上げて倒れた若衆と同じ道を歩むと知るからだ。
恐らく其奴はお辞儀の角度でも浅かったのだろう。言ってみれば上役の癇癪よりも鐵拳头の方が恐ろしい。
勿論に鐵拳头が受け取った茶封筒は賄賂であり。今日の第参埠頭の取り引きは潰されるだろう。
鐵拳头の言葉通りならそうなるし変わりに小さい奴は多分大丈夫だろう。それも茶封筒の中身次第では有る。
組の部頭としてはできるだけの事箸たつもりであるが戻ってきた奴に結果を聞けない。
例え死ぬほど殴っても鐵拳头の言葉を其奴は吐かない。潰すか残すかを決めるのは鐵拳头であり
対策や用心を施して、つまりは取引を中止とかすれば懶怠者仕事の面目が潰れるし上手く行けば片方は無事に
取引が出来るかもしれないだ。少なくても小さい方が見逃してもらえるだろうと勝手に願う。
この時の取引は二つ。
だが結局二千万の方も五百の方も蓋を開けてみれば現場には警官が黒頭の山を作っていた。
鐵拳头の機嫌が悪かったといえばそうであろうが。覚醒剤絡みとなれば鐵拳头の怒りを買うのは目に観えてる事である


八頭九尾街区・・・・
件の悪徳警官。鐵拳头が寝蔵巣と称する安アパートを借りる地域でもある。
治安は良くはない。雑多なビルが並ぶと思えば如何わしい商売を公然と営む商店が軒を連ねる
と思えば一角の川沿いに一風変わっった娼婦箱家が立ち並ぶ。鋼の細柱と部屋の中を全部覗見できる
硝子が嵌められ中にいるのは肌を露出した娼婦達が携帯を弄りながら客から声が掛かるのを待つ。
漢客共は腰を折って硝子窓をのぞ着込み一刻と伴侶と快楽を求めて財布の中身を軽くする。
互いに見初め合い意気投合し話が纏まれば近くの茶部屋に駆け込むが一時の恥じと羞恥を悦とする輩は
そのまま娼婦の四肢に跨る者もいざ知らずに結構多い。
本来は箱家の娼婦の腹を満たす引き屋台であるが、妙に上手い面や丼を提供するために区街の住民に
あらず危険と知っても態々と電車・汽車を乗り継いで脚を運ぶ諸外国からの旅行者も後を絶たない。
もっとも安く買って楽しめる娼婦も人気の一つであろう。
元々、悪党共が巣食う区街で有るから犯罪も多い。
スリ・窃盗・詐欺・薬とたまに暴力。それでも人の殺生事は極端に少なし、寧ろ無い。
所謂、悪党街に代わりはない物の他区街に比べればどれも軽度である。
熱心な警官が街の正義を守るために確かに奮闘然りに汗癖と走り回るその成果も有るのだろうが
実はまっこと王道を突き進む懶怠者の組が一つもないのも不思議ではある。
所謂、懶怠者はいても所詮はチンピラ止まり、徒党を組んで悪徳商売に身を堕とす輩は五萬といても
悪行跋扈に悪徳を積む輩は全く持っていないのである。
其れは当然に。その日もだらしなくぶらぶらとビニール袋に無理に詰めた人参脚の黄色い飲料を
ストローを指してちびちび飲んで歩く悪徳警官の鐵拳头が区街を練って歩いてるからである。
当然の如くも其の日も数人の娼婦の尻に漢竿をぶつけた後であれば情けなくもかくかくと
膝が嘲笑って砕けて歩く情け無い壮年老齢の漢であっても取り敢えず正義を成すと
区街の住人には観えるのかもしれない。

絽・丹叭は売人である。勿論、世に言う覚醒剤や幻惑剤を扱う売人である。

丹叭は若い。
先拾に十と九の誕生式を行う為に生里に帰ったばかりである。
里家では清純潔白の若者を演じ方親の母や親族に心配を掛けずとばかりに奮闘したお陰で少々疲れが溜まっている。
其れに十日も八頭九尾街区を離れたから稼ぎがない。これは厄介だった。
幾ら治安が良くても悪党の餌場には変わりないし、八頭九尾街区に巣食う同業者は多い。
自分の縄張りは小さいしライバルも多い。競争は他の区街より大きいかもしれないのだ。
親組がない分だけ上納金は納める必要はないし、働いて稼げば稼ぐほど自分のみ入りには成るけれども
そもそも競う輩が入る時に十日も商売を休むのはきつかった。
一応には寝蔵宿の大家で汁蕎麦屋台の店を営む大家に留守の間、商売の片手間でも良いからと仕入れた薬を
なんとか預けた物の常連客の寝蔵を自分の脚で回って売りつける丹叭のやり方と屋台仕事の合間に
薬を売るなど中々出来る事でもないだろう。屋台大家は一応に全うな市民であるし元より商売人であるから
薬の売上の数を誤魔化し自分の懐に入れてしまうのも目に見えていた。
十と九にも成れば成人とこの國では認められるし親の仕送りは途絶えて当然となればこそ商売を休んだのは
結構に辛い。暫く好物の肉饂飩に蛇卵は乗せられないだろう。若しくは弐個押せる所を一個に我慢するからである。

絽・丹叭・・・。
歳が十と九に成れば大人と言えども、未だまだ若い大人で未だまだ子供。
血気盛んで夢大きく財布は薄くの貧乏青年。しかも薬の売人とも成れば将来は立派な悪党だろう。
八頭九尾街区の内側で故銭を稼いで日々を営むうちは幸あれども苦労は絶えず。
何時かは区街の外に出なければ成らずも出れば出たで悪行しか知らないのだから所詮は組に入って懶怠者。
それが決まりか人生の先の道標でしか無いだろう。
否然しに・・・問題もある。
丹叭は半雄である。しかも其の類でも変わっている。珍しいと言って良い。
半雄・・・。
聞き慣れる言葉であり、世間一般の輩からは揶揄され排他されるべきであり興起の目で見られる存在である。
淡々と説明を列挙する成らば。
人種人類・妖怪・化け物・魔物・動物・果ては最近の其れに至るまでの極々一部を覗けは
雌雄と漢と女種に区別される。人種人類であれば漢と女と成ればこそ。
漢種であればその特徴は筋肉が逞しくも固くであり胸板は平たくもある。
股間に生殖があれば形独特の竿と陰嚢を所有する。
雌種であるなら柔らかな曲線の四肢を胸には乳房。下腹部には漢竿を咥える雌壺と成る。
四肢の雌雄がそうと決まれば漢の心は雄であり女の心は雌である。それで合っているはずである。
其れ然し、丹叭は違った。思春期を迎え違和感四肢に違和感を持ったのは意外と早い。
自分の頭で考え心で感じる性とその先にくっついている四肢が互いに反発していた。
周りに入る同年代の者立ちと自分は違う。







天鼠蛭姫

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