【人形ノ章】月光々

 

 

人形ノ御國。其処に記される辞書によれば煌々大地に降り注ぐ月の輝光と帰されて入る。
年を重ねる事に四年に壱度、漢言の國の夜の天空に登る月が真っ暗な夜を其の月光で灼き尽くすと
言われる皆既現象とも言われるが、一般的に見れば数分の間夜空の月がまるで太陽の様に
輝くだけである。
然し四年後とに有る人間にとってはそれが至福の時でもある。
四年に壱度年を取る日でもある。所謂、誕生日とと言う訳だ。
四年に壱度年を取ると言う事は人種人類の常識から
大きくなはずれている。國々の暦には時に閏年と言うものが有り実際には4年に壱度しか
其の日を迎えないが通例としては毎年に誕生日を迎えると人々は考え捉える。
人の体は生まれた瞬間から成長し又老化しているからだ。
月光々のその刻に生まれた人にはそれが当てはまらない。
そもそも月光々の日は本当に四年に一日一夜しかない。
四年に壱度しか年をとるべき日がこなければ常人の四倍の命を持つのが月光々の人の常である。


参四十禄は自分の境遇を悪くないものだと感じていたし信じてもいた。事実そうだろう。
気立ても良く優しい管理官に恵まれ扱いも極々普通でもある。思い出したくもないあの事件は封を閉じた過去である。
人形ノ御國の精錬人形として作られ与えられた仕事は軍下の特殊機関に属する諜報部の戦術分析官でもある。
複雑怪奇に膨大な情報を扱うには十分な性能も有して入る。少し忙しいのは任務故の事でもあろう。




天鼠 蛭姫ノ壱

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