【女装男児】女装家且来素子闊歩歩いて候:其の拾之六
勇者枯れ枝掃除の庭師の潜むと噂の街。
且来とその一味が潜むにはやはり53番に娶ったシリヌル・シシル・モリヌの手腕在っての事だろう。
「はい。いらっしゃい。お一人様ですね。
まぁ、大抵此処に来るお客様は一人でくるんですけどね。むふ。
一階は食堂と酒場。異国料理がお勧めですよ。勿論天麩羅饂飩が旨いのです。
二階は普通のお宿で宿泊料も手頃ですよ。長期滞在の割引もあるのです。
三階は雄も雌も天国。みんな大好き娼館宿で御座います。むふふのふ。
あれ?弐階の普通の宿で良い?部屋女房は?お好みで。解りました。
壱名様ご案内。おっと壱名雌様ご案内~~~」
声の張りには自身の在る眉毛ギリギリまで深く鉢巻を締めた近藤が声を張る。
且来が首を狙う勇者枯れ枝掃除の庭師は確かにこの街に根を貼るらしいが
その正体と寝蔵も解らずとなればまずは情報収拾とばかりに街に脚を踏み入れるが
右も左も分からない。妖精大陸に鶏竜から降りて暫くと立つが此処でもまた
驚きも隠せずひと筋縄で行かないと踏んだ且来はシリヌルの四肢を愛でながら
色々と思案にくれる。結局根を下ろしてじっくり構える事にして寝蔵をさがして
買い入れたのが4階建てのそこそこ大きな娼館宿で在る。
もっと健全な場所でもっと安全にとも思ったが中々いい場所もなく。
多少脛に傷もつ輩のほうが扱いやすいとシリヌルが言ったのもある。
何より且来も近藤もお手上げだった。
この街の住人の半分は魔族でありの頃の半分が偽人だったからである。
魔物と言うのは何となく想像も付くかつかずが兎に角として
其の存在をも知らなかった偽人は紐解きがいるだろう。
厳密に言えば勇者もその種に含まれると文献には在る。
倭之御國の人類進歩の過程をなぞらず伝承のみを追いかければ
この二つの大陸がの神が気まぐれで作ったのが妖精族と魔物族
長いあいだ二つの種族は歪みあい戦の兵士として造られたのが偽人。
妖精族が作りし偽人と魔物族が作った偽人が混ざり合って今の偽人になったとも言われている。
「おい。ロシュナンテ。この盆を5番卓に持っていってくれ」
「はーい。ねぇねぇ。親方。今度お部屋に行って良い?
可愛がってくれたら。僕。客取るの止めて親方専用になってもいいよ」
「貴様。雄であろうに。儂は雄には興味ないのだ。麺が伸びる前に持っていけ」
「親方のケチンボ。親指いれてやる。ぺろりん。美味しい。嘘です嘘です」
拳骨を上げて短い髪のロシュナンテを押しやり且来はやれやれと首を振る。
「且来親方さん。可愛そうですよ。一度くらい抱っこしてあげればいいのに
ロシュナンテさん。半雌ですよ?わかってるのですか?」
意外に小さい尻で色気を巻いて5番卓へ向かうロシュナンテを見送ってから
近藤が且来に耳打ちする。
「半雌とか半雄とかお前は分かるのか?受け付で係では一番人気の近藤くん。
もっと受付は一人しかおらんが・・・」
「ロシュナンテさんは胸がぺったんこですが迎え入れるところはちゃんと2個有ります。
前が好きか後ろが好きかは別として。乳房がすっごくぺったんこでも2個なら半雌。
乳房が大きくても迎え入れる所が一個で前に僕らと同じ物が付いてれば半雄です。
穴で覚えると簡単です」物知りでしょと近藤が胸を張る。
「それでは蓋を開けてみないと分からないではないか?
大体何故ロシュナンテが半雌と知っている。抱っこでもしたのか?」
「むふふん。僕はもてるのですよ。妖精さん意外には。にひひ」
「お前だってもてていたではないか。妖精の雄の者には。
いっそ入れて貰って新しい世界に行ってしまえばよかったのだ。
んっ?7番卓に味噌田楽だな。仕事しろ。受付嬢の近藤君。シッシ」
「が~~~ん。もてるのに僕もてるのに」
漢縁の國の少女が好んで着る派手な衣装を来て近藤は次の客を迎えに奔る。
「偽人の事は様と分からん。あれの他に雄も雌もちゃんといるらしい。
それ以外にもなにやら在るらしい。大陸一つ飛ぶだけでこれだ変わるとは
同じ人間で大砲打ち合ってた方がどんなに楽で楽しいか・・・」
その日一日の仕事を終え最近憶えた水煙草の壷をポコポコ鳴らして
宿の影裏で休んでいると奥の路地でごそごそと影が蠢く。
「そうだ。そうだ。其の顔だぞ。熱いだろ?熱くて堪らんだろ?
それが良い。其の顔が良いんだ。くっくっくっ」
「熱いです。熱いです。勘弁を。お許しを。熱くて肌が燃えてしまいます」
「一本じゃ足りないんじゃないか?偽人は我慢強いって言うぜ。
もう一本追加しようぜ。どうせなら熱いまま股ぐらに突っ込んでやろうぜ」
「それは厭です。勘弁を。嗚呼。お許しを・・・」
蠢く影が動くとぼうっと闇中にぼうっと朱く明かりが灯り
それが焼き鏝棒と見て取れる。
「お主ら。儂の店の路地で何してる?御名子を買うなら儂の店で買えば良い。
尤も御名子甚振るのなら儂が相手になるが」
「貴様。何者だ。邪魔するな。俺達が楽しんでるだぞ」
漢二人の内一人が女の太腿から焼き鏝棒を離すと腕を引いて一歩どける。
これなら文句も言えないと言う態度をみせる。
この辺の輩は土地と言う概念に気を使う。縄張りと言えば良いだろうか。
俺の縄張りで何してる?と言うのを地で行く感じである。
腹の出た巨躯の漢が食堂を持っていると言うのなら其の壁から離れれば
縄張りから出たのだからそこは公共の場所であり好きに悪さを働いても
自分達の勝手だとでも思ったのだろう。
「だから儂の土地中で何をしてると言うのだ。
言っとくが儂は此の店とお前等の後ろの建物も買い込んでる。
店の従業員の寝床と儂の部屋だ。お前等が立ってる路地も儂の縄張りだ。
だから御名子から離れろと言っておる」且来はのそりと一歩前に出る。
「おっと。でかい旦那。此の土の上があんたの縄張りってのはわかったよ。
それでも俺らにも引かなくて良い訳が在る。
俺らは此の女を買ったんだよ。枯れ枝掃除の庭師様からな。いひひ
つまり所有権は俺らに在るって事だ。何処でどうやって此の女をいたぶろうと勝手って
わけだ。なにせ俺らが持ち主だからな」勝ち誇った様に面皰漢が笑う。
口の中に残る水煙草の唾を地面に投げて吐き捨てじりりと草履を前にだす。
月明かりに小悪党を睨む熊の如きの且来が姿を魅せる。
その分臆して女の腕を引きながら面皰顔が一歩と下がる。
「相わかった。其の御名子がの持ち主だと言うのは納得した。
だがどうだ?その女をお前達から買い上げよう。
金貨4枚でどうだ?それとも女が良いか?半雌もいるぞ?雄もな。
可愛いひらひらの服を来た雄がおすすめではあるが。
おーい。ロシュナンテ。シルビア・タシヌ。近藤。起きてるか?顔を魅せろ」
「はーい。親方。わぁお。僕好みのおじさん達。僕とあそぼうよ」
「ちょっと私が先よ。タイプだわ。タイプ。我慢できないわ」
「どきなさいよ。私のよ。わ・た・し・の」
「あのう。なんで僕の名前が入ってるのでしょうか?僕は受け付けでして」
路地向かいの二階窓からロシュナンテとシルビアが顔を出せば
タシヌは戸口まででて自慢の四肢をくねらせアピールする。
「もう一人くらいなら付けてやっても良いぞ。それとも金貨4枚か」
「どうする。どうする?一晩か?二晩か?それとも」
「金貨4枚なら女5人で二晩が妥当で有ろう。儂は此の女を貰う」
「二晩女5人。それなら其の女を売る。いいな?」面皰顔が相方を見る。
「おお。確かにそれなら納得だ。早くしてくれ」我慢できないと且来を見つめる。
「良かろう。女5人で二晩。好きに楽しめ。商談成立だな。
ロシュナンテ。奥の部屋を使っていいぞ。程々にな」
「わぁお。親方太っ腹。みんなぁ~~~。聞いた奥の部屋だってぇ」
タシヌが二人の漢の手を無理に引き戸口の奥へを引きずり込む。
「大丈夫か?痛むであろう。手当してやる。腹は減ってるか?」
「あの。宜しいのでしょうか?私なんかに。お腹は少し空いております」
ふらつく女の肩を抱き且来は先ずと店の裏口に姿を消す。
とりあえずは自室に上げてやり一度食堂からまかないで余った粥をもって戻ると
何故か女は床の上に腰を下ろしていた。
「その方が落ち着くと言うのならそれで良いが・・・。食べられるか?お前。名前は・・・?」
「さっきの漢達が焼き鏝棒を手に・・・。
名前はシルヌミルカと申します。御主人様」
「手だけではないな。随分と酷い扱いを受けて来たのだな。
どれ。儂が食べさせてやろう。彼奴等の事は忘れて良い。
どうせ明日は生ゴミの日だ。野菜くずと一緒に近藤が纏めて捨てるだろう」
「生ゴミの日?あの人達も生ゴミなのですか?御主人様?」
顔にも焼き鏝の火傷痕が残るが又其れが唆るなと且来は國の嫁を思い出すも
椀から救った粥をふぅふぅと熱を飛ばしシルヌミルカの小さな口元に運んでやる。
何処となく独特な雰囲気と四肢を持つシルヌミルカが且来のに粥を食べさせて貰い
負ったばかりの火傷痕に軟膏を塗って貰うと落ち着いたのだろう。
それでもあまり床から高い位置には頭をあげようとせずに四肢を折り曲げた儘に
するりと衣服を脱ぎ下ろすと形も良く大きな尻を且来の前に突き出す。
「御印を・・・付けて下さい。御主人様の・・・」
「はっ。待て待て待て・・・」
「私は御主人様の物で御座います。どうぞ遠慮なく・・・。
御主人様の・・・熱い・・・御印を・・・」
「待て待て・・・。そう言うのはもっと互いの事を知ってからだな・・・」
「行けません。早いほうが良いのです・・・。御主人様の物に・・・」
「待て待て・・・ちょっと待ちなさい。君」
くねくねと尻を突き出して強請るシルヌミルカの前で狼狽うする且来」
(准尉は此の子を買ったんですから。持ち主であると言う印ですよ。印)
どこから良く知る声が聞こえる。
「おおおぉ。そうか。印だな。なるほど。儂が主人だからな。云々」
自分が大きく色々と勘違いしていたことに且来は赤面し顔から湯気を上げる。
なるほど。確かに且来が買ったとなれば所有者がいると言う印が在って当然と言うわけだ。
先程の漢二人が少々やりすぎでも焼き鏝を肌に押し付けていた意味が分かる。
「早く。御主人様の印を。熱いのを下さいませ」
此の女シルヌミルカも随分と変わっているなと重つつも焼き鏝も手近にないとすれば
思いつき光炎式術で指で式を描く変わりにシルヌミルカの白い尻にまるに且来と書いてやる
「ああっ。熱い。熱いので御座います。お尻の肉が灼けてしまいます。
ああ。気持ち良い。ああん。素敵。御主人様ぁぁ~~」
白い尻に且来の名前が刻まれて行く感覚にシルヌミルカはぶるぶると四肢と尻を震わせて耐えて魅せると
快楽に身を任せ酔いしれ喘ぐ。其れが終わると器用に体を折り曲げ刻まれたばかりの印に顔を近づけて
れろりれろりと舌で舐める。随分と器用なやつだと思っていると先程とは身長がちがうと見えもする。
靭やかに少し長く伸びた綺麗な四肢に大きな尻。その先にいつのにか長い尾が生えている。
「おや?随分と面妖な?」と思えばまた声がする。
(准尉。准尉。彼女は有尾種と言う偽人ですね。稀有な存在ですが非常に性欲が強く。
いやん。僕には刺激が強すぎるかも。頑張って下さい。お休みなさ~~い。ぐっすり)
近藤が衝立の後ろから声を掛ける前に有尾種と言うシルヌミルカは嬉しそうに且来の体の上に伸し掛かる。
「女5人で奥の部屋使ったら。干からびて当然じゃん。おじさん達生きてる?
偽人の娼婦の性欲の餌になるだけじゃん。捨てちゃうからね。おじさん。聞こえてる?」
ああうぅと応えがかえるならかろうじて生きてはいるのだろう。
それでも生ゴミの日となれば野菜くずの籠に詰められ面皰顔と相方は塵と成って捨てられる。
「お早う。近藤くん。昨夜は適格な助言を有難う。
否然し。他人の部屋の衝立裏に忍んで覗くとは軍人に有るまじき行為である。
天誅を喰らえっ。この。この。この。変態小僧め」
ぶんぶんと唸るでっかい拳を匠なステップで近藤が交わして退ける。
昼の食堂が開くと且来の手が止まらない。
どっかの大陸の総菜屋を営む料理人は六本鍋腕の何とかと異名を取るやつがいるとかで有るが
且来の手は二本しかない。それでもその日は大分楽だった。
宿の従業員にシルヌミルカの紹介をすれば皆珍しそうに囲む
兎に角仲良くしろ言いつけ厨房に入るとシルヌミルカのついてくる。
何をするのかと思えば且来のとなりに立ち二本の手と長い尻尾を使って手伝い出す。
見ようも真似であろう驚いたのは手さばきよりも尻尾さばき。
炒った飯を尻尾に乗せた盆皿に分けると其の儘厨房から客の卓へと届ける。
あれよあれよと言う間に飛んでくる注文にもこれもあれもと順に熟す。
最初こそ鞭の様に撓る尻尾を給仕達が避けるのに手間取るが
互いに感覚を掴む気配を読んでするりと避ける。あまりの達人芸に且来が見入ると
「且来の親方遊んでないで。八卓に炒飯三つと唐揚げ二皿ですよ
シルヌミルカちゃん二番卓は笊蕎麦と枝豆定食お願いでっす。
今日の日替わり定食は鯨肉のキャベツ巻きですよぉぉ~~~」と近藤が叫ぶ。
シルヌミルカは料理がすきなのか主人の役に立つのが嬉しいのか終始笑顔で且来の体に身を寄せる。
一次休みの賄時もシルヌミルカは且来足元でくるくる回る。
「子犬みたいはやつであるな。お前は」どっかにもいたなと思えば
「犬の様でも人ですからね。ちゃんと判って上げないとですよ」と近藤が諌めてくる。
そうはいっても当人は厨房の廊下で伏せて腹を撫でで貰いご満悦でもあった。
「おうおうおう。今朝は随分と可愛がってくれたな。でっかいの。
端切れ野菜と一緒に捨てちゃってくれて」
夕方近くのかき入れ時前に朝捨てたはずの面皰顔がやってくる。
「わぉ~~~。朝は禄に手も上げられなかったのに。今はちゃんと歩いてる。
でもよく見ると膝がガクガク。そういえば相方は?」近藤が関心して面皰顔を指で指す。
「あっ彼奴は実家に返った。昨夜の件がトラウマで都会怖いって言って実家返った。
実家で漁師でもやるって。俺もちょっと憧れる。そんな事どうでも良いんだよっ。
昨夜の女を返しに貰いに来たんだよ。契約不履行だからな。先生っ。お願いします」
弱い悪党こそ誰かの衣の下に潜り込むが大好きで有る。
その度に呼び出される方も大変であると思うのだが其れが仁義とでも言うのだろうか。
且来も一応はのそりと厨房から歩み出て其の人物を出迎える。
思ったよりも背が小さい。とは言え且来からしてみればであるし存外それなりの背丈と言うべきか。
黒い布地の外套を湿気の多さを気にもせずにも頭のフードをしっかりと被り
銀飾飾りが付いた木杖の握り尖った先を床に打ち突きつかりつかりと前に出てくる。
フードの隙間から垂れて流れる緑の長い髪を風によそがせれば回りの客も息を飲んで脚を引く。
「ふっ」フードの中に隠れる美麗な顔の口元が掴みは完璧と皮肉に笑う。
次はゆっくりと上げ対して可愛くはないけれど舎弟抱える義務として鉄槌の一つも・・・。
鉄槌の一つもくれてやろうと顔を上げれば肉の壁である。
眼前と言えばその視界をどうやら腹と言う肉の壁が立ち塞がりる。
ちょっと顔をひくつかせながらも首顎を上げて上を見ると見事に剥げた頭が一つ
毛が一本もないのは確かであるがちょっと眩しいのは毎朝磨いているのだろうか
極太を寄せてこっちを睨んでいるとちょっとところかかなり怖い。
山の如くか熊の如くがその肩と腕が動くと嫌な予感と自慢の杖の銀飾飾りの上に被さる。
(ゴクリ・・否否。そんな真逆ありえないし)心の中で願って見れば
杖の先の銀飾飾を握るとぐしゃりと音が一度聞こえる。
「えっ?」真逆と思えば本当に自慢の杖の頭上に光る銀飾飾りが醜い塊に変わってる。
「ちょっちょっと。何してくれるのよ。このおでぶ。高いのよ。高かったのよ。これ。
王都の有名な職人に大枚払って拵えて貰ったのよ?なんて事してくれるのよ。お馬鹿おでぶ。」
癇癪起こして騒ぎ立て。じったんばったんと地団駄を踏む恐らくは因法使いの女。
「此の大陸では銀が貴重なんでしょうか?あまり高い印象もないけど
そもそも柔らかいから且来准尉にかかれば一握りですよね。ぷぷ」
綺麗なおべべの袖裾をひらひら揺らして近藤が笑う。
「ここは儂の土地で有る。お前は其の上に居るのだぞ?
人の土地に土足で上がり店が開いてれば商売の邪魔をしたのはお前のほうだ。
その漢から買った雌には儂が印を付けてしまったし。契約未だ残って居ると言うのなら
もう一晩。遊んで行けばいいだろう」厨房から自分が出ればそれだけ溜まる注文が気になるのだろう。
ゆさりゆさりと巨躯を揺らし厨房に戻る且来の隣でシルヌミルカが尻を突き出しパンパンと叩き
ここに印があるんだよとちょっと淫猥にアピールする。
「むぎぃぃぃ。殺してやる。殺してやる。肉達磨なんて爆殺してやる。
其の夏の因。我の元へ道をつくり。その夏の因。我の敵へ。其の夏の因・・・」
潰れた銀飾の杖を前に突き出し目を閉じ且来に向かって破壊の因法を唱えて見せる。
当たれば遺骸に成ること必須の必殺の因方で有るのは違い有るまい。
面倒臭そうにも且来は女因法使いに半身と振り返り拳を丸めて指を丸めて式を描く。
「其の夏の因・・・我が怨敵こそは前に有り・・・我が炎と・・・あちっ」
宙に描かれた光炎式術は因法使いの乳房の谷間に炎の因法式を刻んで行く。
「なにこれ。熱い。熱い。ああん。駄目駄目。」
自分の因法の斉唱を止めてしまうほど激しい快楽に酔いしれぺたんを床に腰を付く。
意外にも外套の下には大きな乳房を隠しておりその谷間に刻まれたのはまるに且来の流れ文字
其の身に覚えのあるシルヌミルカはこれと一緒と自分の尻を突き出し指で又示す。
「儂の因法の方が早い。戦の最中に何かを唱えるなど馬鹿である」
「浪漫です。浪漫。それを言っちゃいけません。且来准尉」
自分も全く同感でありますがそれでも浪漫ですと近藤が云々と首を振る。
夕方の余興が終わった終わったと客が部屋女房の尻を撫でて散らばると
こそりこそりと逃げようとする面皰顔の漢の袖をロシュナンテが強く引く。
「小父様さん。意外と体力あるし。もう一晩頑張りましょうね」
「無理。勘弁して下さい。お願います。國に返って真面目に仕事しますぅ~~~あれ~~」
容赦なくロシュナンテに首元を捕まれ引きずられ面皰顔はその日も娼婦達の餌となる。
「親方。さっきの因法使いって勇者じゃない?
確か銀飾杖のミシヌ・シンとか?勇者枯れ枝掃除の庭師と同じ一党に居た事も有るって。
それより。さっきの何?あんなの観た事ないわ。どんな効果があるの?」
客のそれを一本咥え終わって厨房に顔を出したタシヌが厨房窓の向こうから覗く。
「あれは新しい因方術と言えば格好が良いかもだがまだ開発中でな。
普通は算術式を描いて応えを導き出すんだ。書いたのは儂の名前だから様分からん」
「御主人様との絆です。あとちょっとむらむらします」
入り飯の鍋をシルヌミルカは振りながら右に左にと大げさに尻を振って見せる
「シルヌミルカちゃんて有尾種よね。元々性欲も強いって事は耐性も有るのよね。
我慢強いって言うか?そうでない偽人があの因付けてもらったらどうなるの?」
「メロメロのスッテンコロリン。もう御主人様の愛の雌奴隷にコロンコロンですね」
「えっ?それって。でも勇者よね?流石にだいじょぶよね」
「めろんめろんの愛欲に溺れて愛の雌奴隷です」
忙しくてあまり聞いてなないのだろう。鍋を振るタイミングに合わせて知りと尻尾を振るだけである。
且来も鍋汁の味見に忙しく特にそれ以上特に気にしなかった。
「はぁはぁ。もう駄目。我慢できない」
手下と舎弟の手を借りて何とか寝蔵に戻って着た勇者・銀飾杖のミシヌ・シン。
ばたんと私室の扉を締め切り指を弾き鍵を掛け人払いの因法を使うのももどかしく。
自分の手で下半身の衣服を引きちぎりいつも化粧に覗く鏡台の丸角に股ぐらを押し付ける。
寝台に転がれば脇の棚に張り子もあるし知らせを飛ばせば恋人も駆けつけるだろう。
だがそこまで待てなかったのでる。
「はぁはぁ。何これ。こんな火照り味わったことない。なんなのよ」
部屋に一人となれば当たり憚らずグイグイと股ぐらを机の丸角に擦り付けては喘いで酔う。
最初は良く感じられるように脚を閉じて丸角に女陰の襞を擦り透け
卓にてを付いて腰を横に振り襞がぺろりと捲れると虫唾と快楽が体に奔る。
「あああ。良い。これが好き。これが好き」
愛液濡れて垂れると自分の指で股ぐらを弄り強弱を付けて腰を振りまた仰ぐ。
それも又もどかしくと衣服をたくし上げさらけ出した乳房を片手で嬲り
「欲しい。欲しい。彼奴・・・あの御方の手で嬲って貰いたい」
腰を上に下にと振れば根本を絞った乳房も上下に跳ねる。
歪に跳ねる乳房がびたんびたんと音を鳴らせば我慢も限界とばかりに寝台に昇り
素早く棚から張り子を取り出し寝台の上に立て騎乗位見立てと一気に奥まで咥え込む
手を突き腕を張り根本までずっぷり呑み込んだ張り子の感触を味わうと
寝台に腰を打ち付け反動を上手く利用してもっと奥まで欲しいと尻を打ち付ける。
「なんて事なの。因の性なの?何時のも何倍も気持ちいい。もっともっと欲しくなる」
あまり硬くもない寝台の上では咥える張り子が抜けそうにも成る。
「厭。厭。抜けちゃ厭。もっと欲しいの。私の子宮を貫いて」
はぁはぁと切なくため息を漏らしすも張り子棒を手で握りずれないようにと支え
いっときの快楽をも逃すものかと眉を顰めはっはっと拍子を取って張り子を呑み込む
ずるりずるりと張り子が飲み込まれ抜かれる度に表面を愛液がだらだらと覆つくす。
「駄目。いきそう。厭。もっと欲しい。あの御方のが欲しい。欲しくてたまらない」
じゅぼりじゅぼりと音しかしない部屋で張り子を握る手が愛液で滑る。
「やだやだやだ。もうちょっとなの。もうちょとだから。ああ気持ち良い。
はっはっはっ。ああん。良い。イクっイクッ。イクっ。あの御方が良い。
イクイクイクいっちゃう。いくの。いっちゃうの。イクイクイクイクイクイクイクイクイクいくぅぅぅ」
乳房に刻まれた因の回りが熱く火照りがくがくと四肢を震わせ体の芯から絶頂に上り詰め
憚らずも喘ぎ声を上げ張り子を両手で握りながら体を反らし快楽を貪る。
そのまま寝台の上に倒れ込み白目を向いて気絶する。
力の抜けた四肢が崩れ床に太い張り子がごとんと堕ちるてころころと愛液雫を飛ばし床に転がる。
異大陸人または異国人・且来素鏡蔵。
何やら名前の真ん中に有るのは雌の名前であり自分で付けた物らしい。
確かに此の街でもあまり見かけない風体でもある。
肉達磨をも観れるその体躯の背は魔物の物にも確かに居るがあの突き出た腹は中々居ない。
人種人類と言う種族で有ると聞くがこの地の因の影響を身にも受けるらしく
因法と似て非なる物。自分の胸に朱く刻まれるも光炎式術とやらの使い手らしい。
実際に手を合わせて戦って見れば因法術者に取って光炎式術は厄介と際回りない。
因法術は大地と空気に交じる因を定められた方法で集め集約し形と成して発動する術であればこそ
呪文を言葉に詠唱する必要が定めである。威力が長い因法であればある程にその詠唱が長くなるのが
通例でこれを短縮省略するのは難易度が高い。それに対して光炎式術はどうやら指で宙に呪文らしき物を
描くだけで発動し効果の大小有ると知れずも少なくても自分の詠唱は止められた。
地面に立って詠唱するならば。奔りながらでも指で文字を書かれればこっちは的の狙いがずれるかもしれん
ましてや立った地面の上から宙に浮かされなそどしたら因とのつながりが薄くと成るはずで
どんなに大きく威力あり因法を唱えてもその効果の是非は解らず。
そんなことよりあの御方の腹を撫でたくてたまらない。
「はぁはぁ。これ以上はむり。あんな大きくて可愛いお腹観てられない。
はぁはぁ。あの大きなお腹に頬ずりしたくて涎でちゃう。今日は退散。今に観てろよ。愛しのおでぶちゃん」
且来に潰された銀飾飾りをこれも又そこそこにと金貨を払い何とか元の形に復元した杖を付いて
昼休みに宿の外壁に背を預けポコポコと水煙草壷を鳴らしながらシルヌミルカの頭を撫でる且来の腹を視姦すると
断腸の思いで銀飾杖のミシヌ・シンはこそこそと蜥蜴肉屋台の影から逃げて有るき去る。
銀飾杖のミシヌ・シン。
あの日あの時一頻りに自慰の後に白目を向いて気絶したミシヌを頭を振って起き出し
自分の乳房の間に刻まれた印を鏡にうつして見ると良くも変わらずの異国模様。
自然と頭の中に浮かんだ且来の達姿にぞくりと虫唾が歩くと股ぐらが又にと疼く。
ばたりと私室の扉を開け半裸に等しい姿で寝蔵に屯する中では一番腹の出た輩の前にすっと立つと
さすりさすりと腹を擦る。突然に腹を擦られ驚くと一党頭のミシヌが首を撚る。
「なんか違うの。もっと弾力のあった感じだったわ。この腹は腹でも駄肉。只の脂肪の塊だわね。
いや。しかし。もしかしたら。少しは気持ち良いかも?お前ちょっと其の棒かしなさい」
棒って何だと思いつく前に漢の股間をミシヌの細い指が絡み匠にしごけば棒もその気に固くなる。
どんとそのまま床に押し倒し濡れ火照る四肢で漢に跨がれば突き出た腹に手を付いてミシヌが上下に体を揺らす。
勇者一党に連なる悪党手下に取って頭のミシヌは高嶺の花である。
そのミシヌが下着を千切って全裸を肌を晒し棒にも橋も掛けない三下に跨がり腰を振る。
羨ましくも僅かな希望に舌なめずりして輪を作ると最初のでぶは2分も持たず最初の白濁を吐き出す。
次は自分の前だとずいと前に体を出せば。ミシヌの濡れる唇に詠唱綴がほろほろ宿る
「春の印。愛しく等しく愛する春の花。巡り戻りて又戻り性の限りに理宿して永遠に。
ああ。少し位は楽しめそう。ちょっと位は気持ち。桜花乱れて命戻らん」
輪を作っり次こそはと自分の顔を指さした手下はずさりと仲間を押しの後ろに下がる。
爛々と目に赤い光を灯したミシヌが詠唱を終えると白濁吐き出し萎れた棒に勢いが戻る。
その感触を味わうとミシヌは再び腰を振る。下の漢もミシヌの腰に手を当て動きを助ける。
はっはっはっと拍子を取って腰を振れば三下のおとこも下から腰を突き上げる。
参分か五分は持ったかもしれない。ごぼりと音がしてミシヌの女壷から白濁が漏れる。
漢が白濁を壷に注いだと知れるとミシヌは又詠唱を口ずさむ。
「春の印。愛しく等しく愛する春の花。巡り戻りて又戻り性の限りに理宿して永遠に
もっともっと欲しいの。頑張りなさい。性の枯れるまで突き上げなさい。
それでも全然たりないの。ああ。欲しくて欲しくてたまらない」
魔女の如く。勇者であるはずのミシヌが魔女の如くに腰を振って精を絞る。
手下達はその力に縛られ一歩を動けない。動けないが腰を付きだす仲間の顔を覗けば
最初こそミシヌの壷の味を味わっていたがそれも付かぬ間と自分の意志とは全く関係なく
自由を縛られひたすらに漢睾に式法によって精を送り込まれひたすらにただひたすらに腰を突き出す。
もはやミシヌの自慰と道具。血の通った張り子と成った三下は徐々に快楽よりも苦痛に顔を歪め
精ところか命の雫を削り始めると動く人形と化し顔から血の気が引いていく。
それでも未だこれからとばかり三下が漢濁を吐き出す度にミシヌは印文を唱え強制的に精を絞り取る。
「ポヨンポヨンは良いんだけど。体力なさそうな間抜け面だわ。
あとその鼻息荒いのは嫌い。私の胸ばかり見てるし。お帰りはあっちよ。次っ」
態々に臨時で借りた広いホールの真ん中の椅子横に銀飾飾りを立て掛けミシヌは
自分の前に並ぶ漢達の腹吟味と洒落ている。魔族は元より偽人も多い。
ホールの間にはやたらと目立つ木作りの看板がドンと二本並び
片方には魔族文字でもう一方には偽人文字で。
[勇者銀飾杖のミシヌ・シン一党。特別配下臨時募集。
三食昼寝とおやつ付き・夜にはムフフな夜伽も有るよ。
募集要項・腹が出ている者・体重100kg以下は却下。二重まぶたも嫌い。眉は濃いほど趣味に合う
我こそはと思うものは係の者から番号札を貰いなさい]
割と細かい条件にも関わらず勇者が巣食う勇者街となれば希望者も多い。
尤もミシヌ・シンがこんな馬鹿げた催事を開いたのもあれから二晩掛けて手下共を玩具にしたが
とても満足出来ぬところか自分の身内のおでぶを5人も喰らいつくし内3人は再起不能。
一人は夜逃げする始末で最後の一人も涙を流して勘弁してくれと
土下座で謝れては人材が足りなく成るも道理である。
尤もいくら腹を撫でて吟味を重ねても眼鏡に叶う者も一人としていなかった。
「最近。ちょっと誰かに観られて居ると言うかだな。
熱い視線と感じるのであるが。腹の当たりに・・・」
隣で蹲りスンスンとシルヌミルカが鼻を鳴らす。
「ちょっと独特な化粧の匂いが混じりるのです。御主人様。
香猿の爪と川土竜の下を潰して混ぜたような。私は好きじゃありませんけど」
「猿と土竜?そんな物を化粧に使うのか?女と言うのは解らんな」
ポコポコと音を鳴らす且来の向こうでひらひらと手が読んだろう。
のそりと且来と立ち動けば同じ印を持つシルヌミルカがポンポンと自分の尻を叩いて見せる。
(高級品よ。お高いの。しっとりとお肌に馴染む感じが素敵なのよ
おの距離でも気づくのってどれだけなのよ。あの雌犬。羨ましいわ)
且来が店の外に出てくるのはあまりない。わずかな時間に覗き見できる二階の下宿部屋を
態々借りてまでもミシヌは一目観ようと女心をじりじりと燃やす。
「オイ?聞いているのか?銀飾飾りのミシヌ。
最近。御前へんだぞ?漢の腹を撫で回す催事を開いたり。それも三回もやったとか?
おれが居るだろ?呼べば良いじゃないか?」
「ああ。御免。何だっけ?枯れ枝掃除の庭師様の舞踏会の招待状?
あれならもう手配してわよ。それにしてもあのお腹・・・」
「厭。そうじゃなくてさ。腹がどうしたって?俺の腹は6つに割れてるぞ」
そんな腹には興味がないとばかりにひらひらと手を凪いで緑色の麺を刺し棒で突く。
勇者様御用達と有名で毎夜貴族が集う高級食堂のテラスで久々に想雌に会ったら
うわの空で話しもまるで聞いてない。
「好物だろ?其の麺。もったいないぞ?ミシヌ」
「ああ。うんうん。だから招待状はだしたってば」今度もやっぱりうわの空であっちを観てる
「オイ?半月ぶりなんだぞ?愛し合ってるだぞ?飯より先に脚を・・・」
「もう。いいわ。貴方とは終わり。帰る」
卓に手を付いてこっちの顔を見ずにミシヌは椅子を膝裏で圧して立ちあがり
さらりと別離の言葉を投げ捨てつかつかと尻を振って階段を降りていく。
因法を学ぶようにずっと友としている銀飾飾りの杖も忘れる程で慌てて従者が取りに来る始末である。
「えっ?終わりって何だよ。終わりって。畜生め」
あまりに突然にと投げられた言葉に勇者見習いの漢はどかんと一つ卓を叩く。
それまでお熱をあげもうちょっと頑張ってくれれば結婚してもと胸に秘めた想いなど。
あの日以来全く心に宿らず燃え上がらずである。
大体既に自分の乳房の谷間に且来の印が刻まれ夜な夜なに快楽求めて体が疼く。
それだけなら未だ良しに食べるもの口にするものの其の味もあまり美味しいとは思わない。
勇者の世界にも秩序と階級があるがそもそも勇者と成るのは難しい。相当に。
なれば勇者と認められれば私生活では贅沢三昧である。
それであればこそに口に入れるものが美味であったはずなのに。香りは良くても味が馴染めない。
「ミシヌ様。ミシヌ様。馬車は。馬車はこちらですよ?泥がお靴に」
わたわたと後ろを走ってくるこれも又美青年の従者から銀飾銀飾飾りの杖だけぶんどると
高級品のブーツに土がつこうが泥がはねようが構わずにづかづかと通りを横切り
悪党街と呼ばれるその奥の且来が営む食堂の前に仁王と立って看板を睨む。
「ミシヌ様。此の様な下賤の集まる店に入ろう等とは思って・・・思ってるですか?」
倭御国の流れ文字では全くもってミシヌには読めぬが鼻腔の奥どころか肺の奥中にまで
染み渡る窓と煙突から漏れる香りが我慢できない。
財布を寄こせとひらひらと手で催促されればずしりと重い袋が乗る。
「あの。ミシヌ様。僕は・・・?はい。ここで待ってます。ですがお土産に雲丹麺をいっぱい程
それから蝸牛焼きを二皿ほど・・・。あれもう言っちゃったし。お土産忘れないで下さいまし」
初めて店に入る主人ミシヌ様とは違い主人に内緒で脚を運ぶ従者が声高くとおねだりする。
「わっわっわっ。私の様な者も食事をさせて貰えるだろうか?」
場違いであろう。仮にも勇者であり。以前は土地の仕来りを守らず且来に因法を放とうとした者だ。
「土地の仕切りたりと店の規則を守って頂ける方なら大歓迎ですよ」
店の扉を足早に潜りそこでピタリと脚を止めた湯者銀飾飾りミシヌを
いつもと変わらぬふりふり袖の付いた衣装と笑顔で近藤は迎える。
ズイと迷わずに自分の銀飾飾り杖を脇から手を出す係の者に渡し札の半券を受け取る。
全ての客がそうするわけでない。普通の客はその必要がないが殺傷能力を持つ武器を
もっているなら当然それを預けるし自らにその力が有る物には店の護衛が後ろに立つ。
当然勇者となればここは出番であると護衛番が前に出るのを手を振り待たせ
「参番卓。ちょっと化粧が濃いけどきれいな僕好みのお姉様ご案内です」
元々は國でオペラ歌手を目指していた近藤の声は良く届く。
厨房の且来は特になにも気づかす様子で有るが聞き逃すはずもない。
ピクリと耳を動かし且来の尻をなでるシルヌミルカの尾っぽを軽く払っただけである。
それでも共に軍飯を喰らった仲で有るからそいつもと違う近藤の声に且来は注意を怠らず。
「おっおっお勧めは何であろうか?でっ出来れば腹の溜まるものが良い」
さっきから緊張のあまりどうしても吃ってしまうがそれでも頑張ってミシヌは給仕係と話す。
「当店のお勧めは天麩羅饂飩です。腹に溜まるかと言われればちょっと疑問ですが
そう言う御方には替え玉麺の半額セットですね。麺をお代わりしても半額ですよ」
「そっそっそそれは随分とお得であるな。其れと何か適当に見繕ってくれるか?」
「はい。では肉汁じゅうじゅうタレはやっぱりレモン汁でどうでしょう」
「うっうん。それでよろしく頼む」食事一盆頼むだけであるが喉が渇くとは思わなかった。
別の給仕が持ってきた水杯を我慢もせずに一気に呑み込んでも未だ動機が収まらない。
気を使う給仕は少し大きいな水壷を置いてくれるとそのまま取ってを掴んで水器にとくとくと注ぎ
それも二杯参杯と呑み重ねてやっと人見心地がちょっと戻る。
そうであっても勇者一人で悪党街の寂れた食堂で落ち着かずに水を煽るのは滑稽でもあるだろう。
「水ばかり飲んででおるとせっかく儂が茹でる饂飩が入らぬぞ?」
「こっこっこれは・・・ごちゅじ。ももも持ち主様。気づかずに」
喉を潤すのに必死でドズドズと足音をさせて卓によってきた且来に気づかずもそれと
知れば慌てるがどう接して良いかもわからない。椅子から腰を浮かせようとも試みる
「今日は客として店に来たのだろう。それなら堂々と構えていれば良い。
ほれ。御前の盆だ。貴様とは縁を結んでも怨念絡みである。難儀はしておらぬか?」
大きな手が盆を抱えてると思うとトンと音がして卓に乗せされ香ばし香りが鼻を擽る。
「食べ物の味が薄く感じます。それから体が火照ります。飢えているので御座いましょう」
「いつまでも引きずるつもりはないが。儂に拳を上げた罰と知れば良い。
勇者の輩とは因縁もあるのでな。作法と食べ方は分かるか?」
告げられる言葉には棘が有るがどこかに思いやりも感じられる。
「持ち主様に因法をぶつけたのは私で御座います。
喜んで罰を受けてご覧に入れます。作法は予習をしてまいりました。
・・・頂きますで候で御座います。」呟き漏れる小さな声でも作法を守ると且来が
関心するように頷きミシヌの頭に手を乗せ撫ででやる。
「儂は戦人で的もいる。役に立たぬ者を側に置いてつもりない。
否然し。腹が減ったらいつでも飯を喰いに来い。ゆっくりして行け」
「おっおっおっ。お気使い頂き有難う御座います。遠慮なく通さわせて頂きます」
頭に乗る大きくも力強い手の感触が伝わると変わりに涙が視界を塞ぐ。
腹も減るから箸を割り温かい饂飩をずるずると啜る。
初めて食べる饂飩ののど越しと歯ごたえ。しょっぱくも甘い汁が口中を満たす。
鼻水と饂飩を一緒に啜ると直ぐに麺が無くなる。
「替え玉が欲しいなら手を上げて下さいね」後ろを通る給仕が耳打ちすると
間髪入れずにミシヌはびしりと直列に上げる。
「参番卓様。替え玉一丁っ」声が猛ると厨房の向うでシルヌミルカが茹で釜から
饂飩を引き上げ湯切りを済ましヒュンと音を鳴らして饂飩を飛ばす。
替え玉係と呼ばれる者がぴょんと跳ねて空飛ぶ饂飩玉を手笊受け取るとくるりと返して
ミシヌの椀にすべらせる。待ってましたとばかりにミシルは顔横に掛かる長髪を手で避けて
ズルズルと饂飩を始める。確かに自分で飢えて要ると言えば本当だろう。
且来が茹でる饂飩は絶品であるし何日も飢えた後では尚更だ。
手笊を握る係が一度別の客に替え玉を注いだ直ぐにミシヌの腕がビシリと挙手と唸る
「参番卓様。替え玉一丁っ。お汁追加ですっ」元気な声が跳ねると
今度は且来が剛腕一閃。客の頭の上にと饂飩の替えを飛ばす。
且来が飛ばす饂飩は勢いが強い。それと知れば替え玉係は一人が腰を支えてもう一人が受け取る。
女の癖に替え玉を所望するのは恥ずかしいと卓の前で下をむくミシヌ。
「お腹一杯に成るまでちゃんと食べて行って下さいな。僕らも其れが嬉しいです」
仕事で有る使命感と御客が腹を膨らませる様が楽しいがそうさせるのか
追加の汁を注ぎながら近藤が満面の笑みで笑い掛ける。
云々と頷くミシルの前の椀にチャチャと湯切りが済んだ饂飩がするりと滑る。
久しぶりに人の温かさに振れたミシヌは又鼻を啜り饂飩を汁に馴染ませまた啜る。
良くも悪くも敵味方。それでも胃袋を満たす食事の有り難さは身にしみるとなればこそ
最初の数杯は遠慮したがおまけの乗った唐揚げをつまみに杯が進む。
「参番卓様。替え玉一丁っ」の声が跳ねれば饂飩が空を舞い。
ズルズルちゅっぽんと熱い唇に麺が吸い込まればビシリっとミシヌの手が上がる。
其れが幾度も繰り返えされると厨房の奥からドズドズと足音が耳に届く。
「儂の回りには喰心坊が多いらしい。勿論儂が一番の喰心坊だ。
どうやら御前は其の次らしい。仕入れた饂飩玉を全部平らげるとは恐れ入ったぞ
まだ食べられると言うならこれが最後の大盛りだ。車海老の天麩羅付きだぞ」
「あっあっ有難う御座います。腹の調子は絶好調で御座います。
喜んで平らげさせて頂きます。持ち主様」
さすがに未だ顔上げてと言うには緊張するがきちんと頭を下げて礼を言うと
もう一度手を合わせて頂きますと唱えて絹肌ひらめく饂飩を啜り始める。
ゆっくりと味を噛み締めた大盛り饂飩を平らげるとミシムは給仕を呼びとめ支払いを済ます。
都合。弐拾と参倍と唐揚げ4皿大盛り饂飩一杯と女だてらに喰い納める。
店を出る時には背後から客の拍手が届いたくらいで有る。
この日ばかりはミシムも機嫌よく好きに喰らえと財布の紐を緩めて従者に押し付け
高価な長靴に泥が跳ねても気にせず上機嫌で膨らむ腹を撫で回し家路に向かう。
面白くない・・・。
言葉の上ではどうしても銀飾飾りミシヌの元恋人と肩書がついて回る。
当の本人は朝はともかく昼と夜には悪党街の寂れた奥角の何やら変な店に通うらしい。
くしゃみ風に聞いて届けば何や大食らいのミシヌとか字が付いたと言うのに
ミシヌはあまり気にせず。時に胃袋の大きさ自慢の漢共相手に食べ比べもするらしい。
ただ一人に一度負けた後は全部勝っていると言うのが驚きだ。
勇者ミシヌの恋人から元恋人に格下げされ其の名が広まると意外と不便と漢は気づく。
やはり勇者となれば高名であり其の庇護傘から追い出されるとなると相当な痛手である。
仕事も回ってこなくなる。斡旋所に顔を出し受付の女の前で凄んで観ても
出した事もない登録証を見せろと言われ見せれば頷くが其れに見合った仕事しか回してこない。
それなりの腕と力を持っては居ても与えられる仕事が以前と質が違えは実入りも少ない。
彼女の側にと言えば格好がつくが尻を追いかけ後ろに立っているだけで棚からぼた餅と金貨が
雨と振ってきた昔と今は確かに違う。
斡旋所の態度がそうであれば他の場所も似たようなものだ。
酒場のつけが効かなく成れば先ずは今ままでに溜まったつけの精算を迫られる。
次には注文してから自分が卓の上に金貨銀貨を乗せないと売り子は絶対酒杯から手を離さない。
猛る股ぐらを熱くして娼館に駆け込めばきちんと並べと肩を押され順番がくるころには
贔屓の雌は他に流れ歳し傘の行った雌か売れ残りしが自分は選べない。
面白くないから安酒を煽り夜に巷に繰り出し街ゆく奴らに喧嘩を売れば
結構強いはずと思うのに自分より背の低い奴に腕を絡め取られそのまま憲兵詰所に放り込まれ
運悪くも又こいつが貴族の息子であったと言うのなら言い訳無用で暴行罪と直ぐ決まり
三日も臭い飯を喰えばこれで立派な前科持ちの元勇者の恋人となる。
元は付いても勇者の恋人であれば其れに見合い釣り合う力と技を持つこそ勇者見習い。
少しは顔が効くのは牢屋で繋がる悪党も要る。幾人かと声をかければ金縁の繋がり屑仲間と顔を揃えた。
段取りはこうだ。
秋因と相性の良い自分が先に噂の店に潜り次に仲間が席を座る。
出来るだけ偉そうな客が来る日が良い。
そいつの隣に仲間を座らせ話題の店の主人が作る料理が卓に並んだら
自分が秋の因法で毒を盛る。疑いもせずに客は美味そうに食事を食べるだろう。
その一口が最後の食事となるはずだ。後は仲間が大げさに騒ぎ事を荒立て店の中で暴れる隙きに
自分はすたこらと憲兵詰所に走り込む。
後の祭りと言えばそうであり店の評判が落ちれば店の主人は罪人扱いだ。
これ万々歳と笑い転げるのを楽しみに勇者見習いの雄は口元を歪め背を丸めて且来の店に顔を出す。
「は~~い。こんにちわです。お客様
一階は食堂と酒場。異国料理がお勧めですよ。勿論天麩羅饂飩が旨いのです。
二階は普通のお宿で宿泊料も高くないです。長期滞在の割引もありますよ。
三階は雄も雌も天国。みんな大好き娼館宿で御座います。むふふのふ。
おっと。お食事ですね。壱名雌様ご案内ですぅ」
いつもよりも元気な声でひらひら袖を振り回し行動が客を案内する。
そうは言っても其の御客は一言も喋らない。
近藤の一階は食堂と酒場の言葉に反応し小さく頷いただけでその後ろは聞き流す。
且来の店には其れこそと風体変わった客も多いのだが、其の客も又目を引いた。
頭から脚の爪の一本まで靴を履いても全身白色できちんと揃える。
進められる儘に卓に付いて頭巾を取れば年嵩の行かぬ少女とも知れる。
薄く白い肌と其れもまた白い髪を緩いおかっぱに髪先を揃えるが後ろは伸ばし編んで止める。
異国の店とは初めてなのだろう。当たりをくりくりと目を開いて頭を巡らせ落ち着かない
給仕とのやり取りも結構長い間とやり取りし結局一言も離さずに身振り手振りで会話を繋ぐ。
事情があるとわかれば其れで良いし、言葉が無くてもそれ程には苦労しない。
且来の店のお勧めは確かに倭仕込の塩っぱい知るとしこしこツルルンの饂飩で有るが
白い法師の少女は珍しくも御飯物早矢仕ライスを注文する。ちょっとめずらしいものであるが
熱々の白飯に独特の赤茶色の汁を掛けて食する物である。注文してから早く提供されると
言うので矢を要るが如くに早く卓に飛んでくると言う言われから早矢仕ライスとも言われるらしい。
真意はともかくこの注文が入ると給仕は真っ直ぐに厨房にやって来て。
「親方。早矢仕ライス早矢仕ライス早矢仕ライスっ」と厨房棚の前で唱えながらも
そわそわとでか尻の親方且来が皿に白飯と付け合せを盛り上げシルヌミルカが鍋から早矢仕汁を
お玉で掛けると疾風急いで客卓の前迄突進していく。特に店に入りたての丁稚達はこの注文が入ると
楽しげに厨房棚の前に奔りより親方早矢仕ライスと声を張って跳ねるのを観ているの又楽しい。
その日その時も早矢仕ライスは確かに矢を放つが如くと白法師を着込む少女の卓に真っ直ぐ届け垂れる。
ほわほわと上がる白米の湯気と香ばしい匂いにつられ云々と頭を頷き白法師の少女は丸窪み箸を握り
回りの卓を見回し作法が有るらしいと気がつくとそれを何となくで口の中で唱えて観てから
最初は白飯をパクリと食べ。もみゅもみゅと口を動かし白米の甘みを堪能すると
今度は汁の掛かった方に丸窪み箸を刺し子で掬いパクリと口に運ぶ。
一度目をパチクリと瞬くと後は箸を握る手が止まらない。
パクリパクリパクリと音が隣の卓に聞こえるくらいに美味しそうに白法師の手が動き出す。
今だっ。
元勇者の恋人で勇者見習いの漢は短く秋の因言を口の中で唱える。
本来は七つ並べて発動する其の因言をつんで重ねた鍛錬で先に五つは先に済ませてる。
残りの二つを口早に唱えてやると白法師のお偉い様の中鉢の中の薄茶色に透けるスープの
水藻に波紋が広がる。すぐに広がり溶けて消えるから気づかれもしない。
何かの拍子に床の振動がわずかに伝わり中鉢が揺れて波紋が伝わったくらいだろう。
店の誰もが気が付かなくても七つの因言は完成する。しっとり舌に濡れるスープの中に
猛獣をも悶絶させる秋の因法毒の一滴が注がれた。
誰かと殺める気合と書いて殺気。
それを気取るのも又察気。気取る者がそれを知る場所はそれぞれ違う。
近藤は鼻の奥だ。壮絶にくしゃみが大きく一回へっくしと出る。
有尾種のシルヌミルカはピクリと耳が動いて尻尾の根本がきゅっと締まる。
親方且来は順調に体重が増える腹の真ん中で臍がもぞりと疼く。
三階では客のそれを咥えたあれがキュンと締りロシュナンテがあん♪と喘ぐ。
だが然し。殺気を察気が捉えてもいずれの場所からも遠すぎる。
一息付いたとばかりに白法師の少女は薄透明のスープが入った中鉢をちっちゃい手で持ち上げ
口元に運ぶ。
「其の食事待ったぁ~~~っ。食べちゃ駄目ぇぇ」
店の扉を必殺とばかりに蹴って割り憤怒とばかりの鬼の形相。
銀飾飾りの木杖を握りしめ。生憎の小雨日和となれば水と泥が服に跳ねる。
水漏滴る美人だいなしと成れど大きな声で仁王立つのは乳房の谷間に丸に且来の因を持つ。
それこそ勇者銀飾飾りのミシヌの其の人然りである。
「其の食事待った。食べちゃ駄目です。食べちゃ駄目」
かなりの遠方から奔って来たのだろう。息を整えれば乳房も揺れる。
こんな時でも規則は規則。驚く丁稚に銀飾飾りの木杖を投げつけ渡し振り返る
「食べちゃ駄目。毒が盛られたはず。誰が的とは知れずとも」
毒と聞こえれば皆が箸と匙を置くのは当たり前。ざわりと店の空気が淀む。
焦っているのだろう。話の前後をすっかり飛ばしきょろきょろと客の姿を観て回す。
「この御方。工房長様よ。工房長様。言わば私達の御母様よ。
その御方の食事に毒でも盛って御覧なさい。御母様殺しの重罪よ。
貴方?それとも貴方?わかっているの?御母様殺しと成れば美味しい缶詰の刑よ?
肉も体も砕かれ辛汁と一緒に煮込まれて美味しい缶詰にされるのよ。
相棒を担いだなら手を上げなさい。慈悲の一つもかけて上げるわ」
興奮して顔から湯気が上がる悪鬼の如くに回りを睨めば渋々と猿半面を付けた雄が挙手とする。
「貴方なの?貴方が仕込んだの?はっきり言いなさいよ。言えってば」
勇者と言えば行儀よくと思うが今日のミシヌは違うらしい。
渋々とそれでも正直に手を上げふるふると自分は片棒を担いだだけだと言い訳する猿半面漢の
襟首を片手で掴み絞り上げ悪鬼と仁王の其の面で睨むと漢は指を曲げちょんちょんと隅の客卓を突く。
もう少しの所で殺傷事で店を潰せたと思えば疫病神の登場である。
ばれたまずいとばかりに椅子から腰を持ち上げる勇者見習いの体を
厨房から跳躍ひとつで跳ねて来たシルヌミルカの尾が凪いで壁に飛ばす。
ばらばらと勢い余って壁木が崩れ避けるが体勢を持ち直し立ち上がる所を
ミシムが襟首を掴かみそのままに堅木創りの卓の柄に頭ごと叩きつける。
「私奴の持ち主様が作る食事に毒盛るとか何て事してくれるのよ。
御飯は命の源。腹の足しなの。命削るものじゃないの。許せるはずもないの。
このお馬鹿。お馬鹿。お馬鹿。大馬鹿もの」
壱度弐度では腹の虫も収まらず。其れが四度五度なると血達磨に顔が潰れる。
「ぐへ。ぶしぇ。ぐは。ぼげぇ・・・」
癇癪を起こした勇者ミシムの腕力強く堅木創りの卓との相性も尚と良い。
「そんなに御飯が食べたいのなら。私がご馳走してあげるわ。
ほら。口開けなさいってば。美味しいでしょ。美味しいって言いなさいよ」
半分ところか殆ど顔が潰れた勇者見習いを引きずり白い法師の少女の卓に近寄ると
早矢仕ライスの皿に顔を押し付け無理に食らわせる。
「おいぴじです。」勇者見習いはそれだけ言うのが精一杯であった。
「足りないでしょ?ほら。スープもお飲みなさい。お飲みなさいよ」
早矢仕ライスの皿から顔を引き剥がし今度はスープの中鉢を口に寄せる。
それに毒が仕込んで有ると知る勇者見習いは歯が折れた口をそれでも渾身の力でうぐぐと閉じる。
「これなのね。これに毒を仕込んだのね。そうなのね。
呑みなさい。一滴残さず呑みさない。こら口開けろ。ウスラトンカチ」
自分で盛った毒で苦しむのは避けたいし悶絶するのは格好悪い。
勇者見習いは最後の抵抗とばかりに口を閉じ中鉢を握るミシヌの手首を握る。
ヒョイとばかりに勇者見習いの顔の上に細い指が乗った。
シルヌミルカが楽しそうにぷぷぷと嗤い。勇者見習の曲がった鼻の穴をピタリと摘む
「むぐぐん。むぐむぐ」襟元を捕まれ身動き出来ずに鼻をつままれば息も出来ない。
ドズドズと厨房から出てきた店主の足音も恐怖である。
「ぶはぁ~~~むぐ。ごくごく。ごっくん。ぐえぇ~~~」
短い間に肺に空気がなくなり求めて口を開ければ間髪入れずに毒入りスープが喉に注がれる。
何とか吐き出そうとすれば口を塞がれ後は勝手に喉が鳴ったかと思うと毒入スープが胃に堕ちる。
胃に堕ちていく前に通り道の腸を烈火の如くと直ぐに灼き馬鹿の力でミシムの腕から逃れ
足元ふらつき床に倒れて体をくの字に曲げては転がり回り悶絶然りの苦しみ地獄。
「貴方。勇者見習いよね?拳士を営むなら体力も尋常じゃないはず。
自分で唱えた秋の因毒で悶えるのは嘸に楽しいでしょう。それでも未だ死ねないでしょうね
恋と焦がれた仲でもあるわ。後で又殺し尽くして上げるから待ってなさい」
悶絶然りと床に転がる昔の恋人を一蹴り足蹴にすると且来の前にミシムは傅き比例を詫びる。
「持ち主様。大変申し訳ありません。
平穏日常の商売の邪魔と美味しい御飯を食べるお客様の時間を乱してしまいました。
街角の悪党三下野郎がくしゃみ風を吹かしてたのを耳にしまして。
もしやと思い奔って参りました。勇者崩れの悪党で御座いますが
元を正せば私奴の不詳。身から出た錆で御座います。どうか叱ってやって下さい」
「良い。事の顛末は何と知れずとも御前は儂の店客を救ったのだ。
礼を言うのは儂の方だ。有難う。勇者銀飾飾りのミシヌ。天晴であるな。
街に流れた噂も気になるが其奴一人の企みであろうか?
こちらで始末を付けても良いが・・・」且来は腹を撫でながら思案する。
「持ち主様の御手を煩わす事でもありません。
思う所もありますし。勇者の意地も御座います。
誰が絡むと知れずも任せて頂ければ幸いで御座います」
やっと慣れたとでも言うのだろうか思う事をミシヌは吃らずにもちゃんと言えた。
「ふむ。では任せるが・・・。適当に片付けたら儂の部屋でにも顔を出せ。ミシヌ」
「はっ。その時は勝負下着で参ります。あっ。そのこれは。
乙女心の憂いで有ります。はい・・・あの・・・では。これにて御免です候ですますす」
思いもかけずと掛けられた言葉に胸が跳ねた途端に赤面し自分でも何を言ってるのか分からない。
とりあえず体を起こし立つと且来の後隣でシルヌミルカが尻を突き出しパンパンと印の上を
叩いて見せれば、同じ印を持つ者同士と乳房胸を小突いて互いに褒め合う。
きすびを返せば係が渡す銀飾飾りの木杖を受け取りくるりと回し
床に転がる勇者崩れの衣服を先に引っ掛けじろりとに睨んば片棒を担いだ
猿半面漢の漢は美味しい缶詰の刑は嫌だけども勇者の拷問は持っと怖いと頭を項垂れ付いて行く。
「場所によっては早矢死ライスとも書くそうであるが
飯を喰らって早死ぬとはなんとも嫌な死に様であるな。
皆の衆。迷惑掛けた。食事の代金は要らぬ。好きなくらい喰って行け。儂の奢りだ」
やったやったとばかりに歓声が上がり。私達もと御飯御飯とただの飯と娼婦立ちも降りてくる。
拍手打ち手が鳴り止まぬ中で小さいお手々がパタパタと振られる。
「うむむ。お客人。どうかなされた?」とその手を見ればあの白法師の少女である。
勇者ミシヌが暴れたせいでぐちゃりと潰れた早矢仕ライスの皿を悲しそうに見つめると
且来に向かって全身でアピールする。
「ぬぬ?これは??はや・・・し・・・ライスの・・・大盛り?
早矢仕ライスの大盛りお替り?スープは怖いから。お水と・・・プリンで
ふむ。相わかった。馳走しよう。しかしなんとも可愛いな。」
先程ミシヌが工房長と呼び一風かわった出で立ちでもあればそれなりの身分でも有るのだろう。
それでも当人は体も小さく未だ子供にも見える。小童とも見える体で全身の動かし
身振り手振りでプリンを強請る。なんとも可愛げの有る仕草であった。
トントンカンカンと近藤と丁稚が壊れた壁を金槌で叩き騒動あった場所を直し掃除する。
ただの飯こそ財布にやさしとばかりに皆がお替りを強請れば且来の手が動き腹も揺れる。
とことこと厨房に近づく気配に厨房窓に目をやると背が届かぬのか腕の先だけで
身振りを伝える白法師の少女。炒飯の鉄鍋を振りながらシルヌミルカがそれを読む。
「大将・・・とても美味しかったです。出前・・・出前はやってますか?
はい。五皿以上の注文なら出前やってますよ。
よかった。・・・また来ます・・・お土産にプリン弐十個・・・下さい。
近藤さ~~~ん。朱砂糖のカラメプリンお土産に弐十個はいりますぅ。
箱に詰めてくださいな。保冷剤いれるのわすれないでねぇ」
「ほ~~~い。承りっ」冷蔵庫の前に近藤が奔ると
一度引っ込んだ手がひょこひょこと窓向こうから何を握って跳ねる。
「早矢仕ライスが美味しかったのでご褒美ですって。御主人様」
わざわざ跳ねて迄握る褒美と成れば鍋の見張りを任せぬぅと厨房窓から且来が顔を出せば
満面の笑みで美味しい缶詰とやらを握り且来の眼前に白法師の少女が突き出す。
「これはこれは嬉しい限りである。白法師の少女殿。有り難く頂戴しよう」
又礼儀を立て頭を下げ美味しい缶詰を受かる取ると変わりに少女の頭を撫でる。
自分も褒美を貰ったとばかりに少女は跳ねて喜び頭を下げ礼とするとたったったっと奔って行く
「可愛い限りであるな。云々」ぬっと厨房窓から身を戻し美味しい缶詰とやらを覗く。
「私も可愛いですよ。私の尻尾も可愛いのです」それは当然とシルヌミルカの尻尾が跳ねる。
やれやれ今日は一段と騒がしいかったと皆が店じまいの最中に
厨房から出て椅子に座り水煙草を鳴らそうと思居ながらも美味しい缶詰を取り出し睨む。
缶詰の蓋には先程の白法師の工房長の図柄が満面の笑みで大きく書かれ
頭痛・歯痛・便秘・下痢・虫刺され・発熱・嘔吐・雄の生理痛・雌の癇癪
解毒・骨折・発狂・妄想夢想・気分高揚其の又然り。万病にいつでもどこでもこれ一缶と書いて有る
「随分と効能がある代わりに原材料が書いてないな?この大陸の流儀であろうか?
なんか不安を感じるが美味しいと書いてあるのが又ちょっと怖いので有る」
「親方。原材料が書いてないのは皆知ってるからですよ。」
細身の半雌ロシュナンテがしなを作って寄ってくる。
「皆が知ってるとはどうゆう事だ?この缶詰の中身を皆が知って要ると言うのか?」
「云々。知ってて当然。さっきの猿半面漢の行く末です。
もっとも片棒を担いだくらいなら片手が缶詰に化ける位でしょうけど」
「さっきの奴が・・・缶詰に?
悪事を働くと裁きの変わりに捌かれて缶詰になるのか?
それを薬として皆が喰らうのか?この大陸では共食いがあるのか?」
ちょっと呆然とする隙きにやったとばかりにロシュナンテが膝の上に滑り込む。
「罪人ですし。共喰いって言うよりお薬だし。
僕も腹痛の時食べますよ?普通です普通。いやん。ぽよぽよお腹が素敵なの」
「ふむぅ。それが薬と言われれば共食い致し方なしと言う物なのか?
それをあの白法師の小童が仕切る工房となれば母と言うのも一層分からんぞ」
ワンワンそこは私の場所だとシルヌミルカが吠えて脅し
且来の周りで半雌の娼婦と有尾種の御犬が逃げて追ってのじゃれ合いが始まる。
勇者枯れ枝掃除の庭師の潜むと噂の街。
善人が居れば悪党も要る。串焼きの屋台を営む者も居れば市場で美少年を拐かす悪童も要る。
居炉鶏鳥と言っても多彩と言ってもいい職業でも尤も嫌われ店に入りたくない店が肉屋である。
「そこはちょっと遠慮させて頂きたいです。勇者の姉御」
猿半面の漢は客が持ってくる品物から絞った血を墨変わりに筆につけて書いた看板の前でピタリと止まる
「工房で片腕・片足を缶詰にされるのとかわりないでしょ?こっちは忙しいのよ」
杖先で衣服を引っ掛けズルズルと地面を引きずってきた勇者見習いはもうぼろぼろだ。
「全然違うじゃないですか?同じ捌くにもあっちは尊厳を大事にしてくれますよ?
ここの店は尊厳どころか生のまま三枚に下ろして捌くんですよ?全然違いますって
それにもう散々話したじゃないですか?俺の仕事はこいつが毒をもった後に
騒ぎを大きくするだけですよ?姉御が止めちゃったから未遂ですよ。未遂。
役にたちますから。勘弁して下さい」通りは通る。釈然としないが。
「ふん。三下の癖に生意気に頭使うとはね。用事が済むまで待ってなさい
一歩でも動いたら缶詰工房に送ってやるからね」猿半面漢の胸を小突いてミシムが凄む。
「いらっしゃい。おお。べっぴんの勇者様。
今日は持ち込みですか?いい肉入ってますよ?そこの小鉢は試食にどうぞ。遠慮なく」
浅黒い腕肌に濃い入れ墨を入れた肉屋の主人が薄気味悪く笑えば小鉢の中で目玉が蠢く
「持ち込みよ。勇者見習いだから丈夫だど思うけどやってくれる?
知りたいのは騒ぎを起こしたのが此奴一人の思いつきか糸を引かれたのか
それなら其奴の名前がほしい。捌いた肉は好きにして。
「もちろん。遣りますよ。肉屋ですからね。へへ。
勇者見習いっていうならちょっとは時間かかりますが。待ちますか?
肉の取り分賃は内が6。勇者様が4でどうです?勇者絡みの肉は高く売れるんですよ」
「待つわ。取り分は任せる」勇者見習いと成れば体も心も丈夫だろう。
直ぐ直ぐには吐かないだろうがそれでもミシムは待つ事にする。
埃と跳ねた血飛沫で曇る硝子の向こうでは猿半面の漢の漢が言われた通りにちゃんと待ち。
誰か通ると惚けて誤魔化し憲兵と目が合うと頭を下げてまた恍ける。
三下の割りには世渡り上手の悪党らしい。
肉屋の丁稚が入れてくれた薔薇の花切れが浮かぶ紅茶は絶品すぎた。
こんな場末の肉屋の癖に扱う品は上質らしい。
丁稚に小銭を渡してお替りと頼みちょうど呑み終わると肉屋の親方が手についた血を汚い
前掛けで拭きながら奥から顔をだす。
「彼奴本当に勇者見習いっすか?肉は美味そうだが根性がまるでない。
最近の勇者は質が落ちていけません。悪さの仕込みは彼奴自身です。
引き込んだのはそこの猿と店の外に見張りが一人いたらしいですが逃げてるでしょうな。
裏に糸は行かれてませんが勇者枯れ枝掃除の庭師に届けを出してますな」
「わかったわ。有難う。薔薇花の紅茶を一箱くれるかしら?」
「毎度でっす。せっかくですから彼奴の肉。幾つか持って行きますか?」
確かに勇者絡みの肉の専門店も有ると聞くがそこまでの美食家でもないからと
苦く笑ってミシムは肉屋をあとにする。
勇者であれ何であれ。否に勇者であればこそ決まりは決まり。
良くも悪くも勇者絡みとなればそれこそに常人にない力あればこそにと
分厚い羊皮紙に書き込まれた規則に勇者は縛られる。
勇者の力を好きに勝手に仕えば山に川にと地形が変わるし
村はなく成り街は全滅なんて日常茶飯事の出来事だ。
だからこそに銀飾飾りミシヌも規則通りに届けを出した。
勇者枯れ枝掃除の庭師の一党繋がりからの脱退届けである。
ついでに自分の一党も金輪際関係成しと解散を宣言する。
屋敷と住まう従者だけは最低残しそれ意外の関係をバッサリと一切捨てたのである。
それでも勇者の肩書の覇気は勇者役所が良しとせず勇者銀飾飾りミシヌの名と力は健在と成る。
師とも仰いだ勇者枯れ枝掃除の庭師の元に出向く。
当然の事ながら激怒もされたが乳房の谷間に刻まれた印を示し
これが有るから今まで通りにお使えするのは無理がある。
味覚も変われば性欲も強くなり力が宿れば尚も飢えて困ると言えば
それがなければ問題なかろうと勇者枯れ枝掃除の庭師は笑みを浮かべ嗤い。
解呪の印法を唱えても且来が刻んだ印には全くもって効果も有るはずもなく。
何度幾度に唱え手筈を変えても消えはぜず。
終いには手に唾を付けてミシムの乳房を擦っても喘ぎもせずに平然と痴漢でも見るような
視線に絶えられず御前の好きにしろと手を振って帰ろと言わしめるに至る。
届けの一切が終わるとミシムは雑用とばかりに猿半面の漢の片手の指を潰し折り
これで勘弁してやるから逃げた見張りを御前が半殺し手して来いを言いつける。
それで大体の方をつけたと思うと自分で言った通りにそして直ぐ脱ぐ癖に
いそいそと且来が好きだとシルヌミルカが教えてくれた濃紫色の勝負下着を着込んで
且来の部屋に推参する。
「近藤~~~~~~君。貴様ぁ~~~。菓子袋を持って走り回るなっ
ぽろぽろ破片が溢れるではないかっ。見ろ。お客様の方が行儀良いではないかっ」
接客の合間に小腹が空いたと菓子袋を抱いて走る近藤を勇者ミシヌが怒鳴り散らす。
腕には倭流文字で風紀委員長と書かれた腕章を付ける。
「御客様と言っても今日は貸し切りでっす。
大体お客様って言っても白法師のおこちゃま軍団です。
静かですがわちゃわちゃ手足バタバタで煩いのです」
「静かで良いではないかっ。手足バタバタで可愛いではないかっ。
こら待て。待てと言ってるであろうが。」
「可愛いけど手足バタバタわちゃわちゃで皆一度に動くので注文が取れないのです
大体。三階のお客様がお菓子くれたのです。僕は無実です」
「三階のお客様はグーで娼婦を殴ら避ければ私の治外法権なのだ。
つまり御前が犯罪者である。逃げるなら因法を踏んでやるぞ」
「それは厭です。武器持ってるのは卑怯です」近藤が職務放棄で柱の奥へ逃げる。
「ぷぷっ。店の中で杖を持てるのは風紀委員の特権である。
この野郎。えいっ。ぽかぽかぽかぽかのぽかぽかぽか」
店の風紀を預かるミシムは因法を使う事も許可されても要る。
倭の周数えで中休みの日の午後となれば店は半休となるが変わりに
偽人の母様とも言われる工房長がその仲間と遠足がてらに店におやつを食べに来る。
総じて彼等は白い方位に身を包むが子供小童の如くであり言葉を話さない。
客卓の回りにきちんと座り手足をバタバタと広げわちゃわちゃと可愛くも騒ぐ。
「早矢仕ライスとプリン。お子様ランチ。其れと新作の抹茶パフェおこちゃまサイズである。
ゆっくり食べられよ。工房の方々。可愛いものである」
且来が盆を運ぶとわらわらと手を振りあげにこやかに白法衣が跳ねて飛ぶ。
最近は特に赤子の事もあり且来も目を細めて子供姿の彼等をにこやかに愛でて微笑む。
「こっ今日は。えっと持ち主様の23番めの奥様ケルミ・ジンドクル様で御座いますね。
私奴は先日且来様の持ち物となりました銀飾杖のミシヌ・シンと申します。
且来様の持ち物でありますので何か御用が有りましたら何なりとお申し付け下さい。
はっ。そんな握手などもったいない。そっそんなもったいない。私奴などに。
こっこちらはつまらない物でございますが。お近づきの印で御座います。どうぞっ」
久しぶりに暫し店を休み53番めの妻シリヌル・シシル・モリヌが宿す子の様子見もあり
且来達は駝鳥馬を奔らせて領地に帰ってきた。
「且来様ほどの御方であれば妻の一人や二人娶って当然と思って居たが
真逆の53人の妖精族を娶って要らしゃるとは。知った時は開いた口が塞がらすに
阿呆面を晒すとは一生の不覚。それにしても今日中に30人目の奥様にご挨拶せねば」
シルヌミルカは何処吹く風で有るきまわっているのに真面目器質のミシヌは
挨拶代わりの菓子折を詰めた大きな鞄を背負って屋敷を放浪する。
籤運が良いと言い切った53番目の妻は大きな寝椅子の背もたれに身を任せて
且来が土産と持って来たバケツサイズのキャラメルプリンを匙で救う。
「妖精族の赤子は卵で母の腹の中で眠るとは知らなんだ」
少しばかりぽっこりと膨らんだシリヌルの腹を叩くとコンコンと音が響く。
「私も初産でありますし異国の御方と我ら妖精族のお子となりますからね
知らぬ存ぜぬ事も多いですわね。御前様」
ちょっと意地悪に嫌味に笑うのは遠出を決め込む且来への嫌味だろう。
「さもあらん。皆も付いて要るしな。儂らの女より腹の中に居るのが長いと知れば
儂の出番もすくなからろう。亭主元気で外が良いともしずゑが言って折ったしな。
なんだ?もう食べたのか?お替りが欲しいのか?御子が欲しがって居るのか
御前が食い意地が張っているのか分からんが。何か見繕ってこよう」
「両方で御座いますの。御前様」こんこんと自分の腹を叩きにっこりとシリヌルは嗤い
まだ食べたいと夫の尻を叩いて厨房へとは働きに行かせる。
「御前は勇者枯れ枝掃除の庭師と面識が有ると言ったが彼奴はどんな奴なのだ?」
シリヌルの為にカツ丼でも作ってやろうと飯釜に米を炊きながら
大きな鞄を抱え屋敷を彷徨くミシヌを休息がてらに呼び止め話しに水を向ける。
「はぁ。持ち主様。勇者として師と仰いだ雄ですから良くと知ってはおります。
幸いにも体を預けた事がありませんが。雌の天敵で御座います。
朝から晩まで雌と愛でる所か食い散らし。特に発情期は手が付けられません。
否然し。一度請け負った仕事は悉くと完璧にこなし因法の技にも猛けますが
やはり(ど)が付くほどのど変態で御座います」
重い鞄を肩から下ろしため息を付きながらも進められた椅子に腰を下ろし答える。
「どが付くほどの変態とは面白いな。興味も湧いてくるぞ。
変態とやらにも色々あると思うが・・・。どれくらいに変態なのか?」
「はい。ど変態の極みでありますが・・・。
まず朝に起きると日光浴と申しまして窓辺に立ち。
頭に手を添えて腰を左右前後に振って運動をするのです。
もちろん。全裸でありますし朝で御座いますから元気で御座います。
それを遠慮なくにもお天道様に向かって毎日おこなう立派な変態で御座います」
「こんな感じですか?・・・朝の運動にこんな事するなんて変態ですね」
いつの間にか話の輪に入ってきた近藤が真似をして腰を振って見せる
「御前がやっても変態だな。むしろ鍛錬と思って毎日やって見たらどうだ?
岩の上にも三年となれは立派な変態だぞ。近藤少尉」冗談も言わずに腰を振る近藤を睨む。
「勇者の中でも真髄を極めた変態。基。技を極めたと言われる漢ですから
彼奴が因法で踊れば山に穴が開く。川を逆流させる等容易いとも言われます」
又一匹一人と厨房におやつを探すシルヌミルカが近藤の脇腹を擽りじゃれてあそぶ。
「山に開けるのは儂でも無理だな。御前は見た事が有るのか?其の技を」
「山のそれは見た事はありませんが悪魔魔物の3千の数の血を一度に絞ったのなら
見た事が有ります。凄惨無慈悲で残忍な光景で有りました」
真剣な眼差しで且来を見つめ返すミシヌの顔で告げればそれに嘘はないだろう。
「なるほど・・・随分と厄介なやつらしい。
やはり勇者相手では一筋縄では行かないのであろうな。
そろそろ下ごしらえも出来たと鍋を覗き込むと後ろで未だか未だかと皆の催促止まぬと成る。
