人形洞窟


「どわっ!・・・・・まったくぅ・・・此奴は酷すぎるな」/


一介の冒険者と言うには擦れた感じのする漢。アイゼヌ・ソロン。
岩肌に転がる化物の頭蓋骨を分厚い靴底で無理に潰してアイゼヌはぼやく
ついでに言えばアイゼヌは機嫌が悪い。すこぶる機嫌が悪い。
何故かとそれを問えば冒険者一党が日々の稼ぎを求め籠もる洞窟。
幾つかの大陸に幾つもある洞窟の中には種類も多い。
ついでと言っては何であってもアイゼヌの身に起こった事が冒険者組合に報告すればそれなりに騒ぎにも成るだろう
但し、無事にこの洞窟から地上に這い上がれればという事である。
「へぁ~~。面倒くさい。そして気が重い」面倒くさいと云うのも元々アイゼヌは怠惰な性格なのかもしれない。
ごぼっと泡が膨らみ彈けると銀色のベタつく液体が靴底に小ぶりつく。
「ちっ」舌打ちとつばを吐き出し靴底についた敵対を地面に擦り付ける。
先におこった曰くと運の無さを呪っても状況はかわらない。
腹いせに倒したばかりの其奴を悪態をついて蹴飛ばせば暗闇の奥に紅く斑点が幾つも浮かぶ。
それが粗末で愚鈍であって此の洞窟に掬う人形魔物群れであるのは誰にでもわかることである。

街人にも冒険者にしても洞窟と知ればダンジョンと呼べば親しみもある。
大陸各地にある洞窟はそれぞれに特徴がある。小餓鬼族だけが跋扈すれば多くが支配する洞窟。
全ての魔物が掬う大規模ダンジョンと成れば集う冒険者の数も多い。
時にアイゼヌ・ソロンが仲間と潜った此のダンジョンは人形工房洞窟と呼ばれている。
他の洞窟に巣食う魔物が所謂生物的なつくりであるのに足し、このダンジョンでは
外側は化物の形を模していても中身は人形である。随分と特殊なダンジョンである。
其のため、刃物や剣で外皮を切り裂いても倒す事は可能であるが中から出てくるのは
銀色の血液と歯車や部品である。種類や個体に左右されるが鈍器殴り潰すのが速い。

で殴り潰したほうが効率が良い場合もある。












天鼠 蛭姫ノ壱

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