百々怪助の受難

「儂の名前は百々であって魹ではないぞっ!
北塩海の氷河の上で腹を擦り寝そべっているのは魹であるが、腹を突き出してさすっても
儂は魹であって百々怪助である・・・・・・
だから腹をさすっても動物の魹とは違うのだ。似て非なる物である」
其の國日出る倭の御國。戦争末期とは云え今も派兵が続く軍政の刻であり混迷の時代とも言える昨今
帝都に置いてもある意味名を知られてはいるがどうせ阿漕な評判の方がかなり高いといえる総合商社
「それは兎も角として・・・・・
今季の査定が近いのではあれど・・・・この失態はどう処理しろと言うのだっ」
それなりに大きくも中堅あたりの総合商社の4階の窓際、眉を潜め百々が愚痴る。
「申し訳ありません・・・・私、近眼なもので・・・・」
「近眼なら眼鏡かければいいだろっ?見た目気にするならコンタクトレンズだってあるんだぞ。
寄りによっていの参番型とイの四番形をまちがえるなんて・・・。取り返しがつかないではないかっ」
背中に大きな窓からの日差しを背負い声を荒げる百々の怒りはなかなか収まらない。
部署は違えども会社でも珍しい社内に夫を持つ女子社員・久遠寺歩美。
廊下を歩けばあたり前に男性社員の鋭い視線が食い込む程に大きな乳房と隙あらばと何度もセクハラの
対象に撫でられた肉厚の尻。おまけに圧市に弱く断れない性格の割に頑固であるともなれば
いざに結婚が決まったとなれば社内でも大騒ぎにもなった物でもある。
「どうしろと言うのだっ?
いの参番型は国内用の部品であるしのイの四番型は海外専用の仕様だぞ。
国内のお客様に海外仕様の部品収めてどうするッて言うんだ?
それにいの参番型って今月の生産予定はもうおわってるんだぞ?在庫だって必要数に足りない。
どこからもってこいというのだ・・・・。この埋め合わせはいずれ貸してもらうからなっ」
「はいっ。申し訳ありません」やっと許してもらえたとばかりに乳房を揺らし歩美が深く頭を下げる。
当人は意識してなくても漢共の視線を集める乳房を揺らしながら自分の席へ帰る歩美。
「はぁ~~。なんとも困ったものだ。本当にこれはやっかいだぞ・・・・どうしたものかっ」
事実実際にと云えとはてさて困ったもんだと百々は頭を悩ます。
なにせ国産向けと海外向けの部品を間違って顧客に納品したとなれば確かに厄介である。
結局あっちこっちと電話をかけまくるだけではすまず突き出た腹を無理やり営業車のハンドルと椅子の
間に無理やりに挟み込み、無理やり昇進されて幾年以来とばかりか取引先と自社倉庫を駆け回る羽目にもなる。

「握り給え・・・。握るんだ。久遠寺君っ」
「そっ、それは・・・ゆっ許してください・・・。百々部長・・・」
「そんな事言える立場にあるのかね・・・歩美。素直に云う事を聞き給え」
「そ・・・そんな・・・・・許して・・・あっ・・んん・・」





天鼠 蛭姫ノ壱

天鼠 蛭姫ノ壱

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