四柱䯢女



其の國其の街にずしりと天空を目指してずしりとそびえ立つ塔。
街の中心に一塔あれば春の季節を示し其の因を治癒と癒やしと蘇生の術を示す
南の街端に一塔あれば夏の季節を示し其の因を焔と雷槌と神が拳を突き上げて破壊の術を司る。
東の街中に一塔あれば秋の憂いを示しその因を秋とすれば司る術者は姿を変えて獣の者と成る。
一つ方角が変わり北に一塔あれば其の因は死を意味して人の生涯が軽々と終わりて魔王が猛る。
四つ纏めて因法呪法と呼ばれ才有る者こそ因法使いと呼ばれるが、又の名を䯢女と呼ばれる。
東南北と其の中心に有る塔群を四神柱と街の人々が崇めれば囲う街壁の外は雪地と魔風の嵐にも関わらず
常に緩やかな日だまりと暖かさを四神柱は街に営み求める人々に齎す。
四神柱が高くも聳える四神柱の街壁から頭角馬に引かせた馬車を奔らせ七日と半分の地に魔街があれば
其処にもやっぱり五本の柱がそびえ立つが此方の因方絶法は正体よく知れぬのは当然でもあり
人種人類とこの地に住まう魔物如きの獣人共は悪魔其の物、悪鬼のそれである。
二つの街と巣のその間には大層拾い場所を互いに剣と槍と火薬の力を競う合う戦場が有る。
何故、人と魔物が覇を競うと問いかければ見た目と流れる血の色と濃さと誰もが蔑む。
互いに互いと意味嫌えば戦の方が未だ良しとばかりの残虐行為が世にはびこるその時代。
因法呪法と呼ばれる物は摩訶不思議でもあるが、それなりに街で見かける事も出来る。
才を持つ者は四神柱を受けて何もせずとも心と四肢に力を宿すが、極稀でも有るし䯢女とも呼ばれる。
四神柱の䯢女達が力をもてば均等が取れない。刻に過ぎる力は破滅をも安々と齎すのでは浅ばこそ
征するべき輩が騒ぎ出す。四神柱教会とそれに連なる聖職者成る者達である。
表向きは行き過ぎる才を持つ䯢女を制御成さんとする大義名分であるがなも、時に私利私欲を満たす
輩もきっとすくなくはない。否、それこそが四神柱教会の本質ともきっと言えるだろう。
問題は其の方法でもある。䯢女と呼ばれる由縁は女であり雌で有るからだ。
世に蔓延る男尊女卑の常であっても事、因法呪法に取ってはそれに含まれない。
言いやすくも略して因法と呼ばれるその技は何故か漢と雄共には仕えない。
極々稀に漢と雄でも仕える事も有るようでは有るが、それもまた条件があった。
精通を成さぬ幼き少年のみが極々稀に簡素な因法を仕えることも有るようではあるが
四肢の成長成りて喉に仏と声変わりするや雄の性を知る頃には他の漢と変わらず因法の才は解け消える。
つまりは因法と言うべき技はやはり䯢女と成りゆる者の御業と成っている。
それを良しとも認めぬ四神柱教会の聖職者はあろう事かと四神柱を密かにも削り出し因石と成す。
因石となる石こそは宝石如くのそれよりも価値があり同時に因を含む物であるから敷いては其処に
才がなくても因が仕える事になる。この場合は漢と雄でも䯢女と大差も無く仕えるとも知れている。
因石自体の管理は確かに四神柱教会が行うが欲と権威を好物とする輩は当然に悪事にも手を染める。
専門の石切職人が切り出した四神柱の因石を砕いて因砂とすれば商売の種に成る。
特に夏因を持つ因砂は諜報する。なにせ火打石を使わなくても炎を起こせるとなれば重宝する。
当然に砲の玉に火薬と夏因砂を混ぜて打てば堕ちた大地に窪みを作って爆烈する。
時に安酒場に屯する大酒飲みの常連客の顔を照らす蝋燭松明にも水で溶いた夏因砂が塗ってある。
今では人々の生活に欠かせない物で有るからこそ、其の根源はやはり四神柱でも有るのが怖い。
何れ欲に塗れた誰かが間違う振りに大穴削って切り出せばもしかたらと柱が崩れるかもしれないのだ。
置字
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