男孩:ⅳ号



襖・冩陰・・・。
一見に目つきも良くない其の彼の体は随分と華奢にみえる。目つきの性だけでなくきっちり性格も悪い。
意外と大食いでもある。人一倍味覚が可怪しいのは例の学者達が目的意識のない所は手を抜いたからであろう。
冩陰は所謂、変体ではあるが変態ではない。
「ボクは変体じゃないのっ。へ・ん・た・い・・なのっ。大体、変体はお姉様達の趣味でしょ!ぺっぺっ」
本人は背の低い四肢で顔を真っ赤にして吠えるが
変態には、否に変体である事には限りない。
襖・冩陰は其の研究所でも稀有な実験対象であり割り当てられた部屋の中のあらゆる所にセンサーと
監視カメラが据え付けてあり24時間365日目を真っ赤にも血眼にと研究員達が事細かく襖・冩陰を進み見入る。
「冩陰君。今日。人参残したでしょ?野菜嫌い直さないと大きくなれないわよ。
ちょっと、お姉さんが調べて上げようか?」廊下を散歩歩いただけで呼び止められる始末。
「いいもん。ボク。大人なんか成らないもん」食べ物の好き嫌いまで当然知られておるから不気味でもある。
「そっ、そうよね。冩陰君はずっとそのままがいいのよね。云々。
ちょっと、お姉さんと休憩しようか?プロティン棒あげるから・・・」
他の女性研究員が冩陰君の細い手を強く引く。
別にもそんなにお腹も空いてるわけでもなかったが、無下に断るのも悪いかと思って引かれるままに付いていくと
「ちょっと、待ちなさいよ。抜け駆けは良くないわ。この横取り猫!待ちなさいよ。貴方」
たかがプロティン棒一本についていくのもしゃくではあるが、苺ごぼうずんだ餅味と聞いては黙ってもいられない。
鼻息を荒くも廊下の角奥に冩陰の手を引いていくとすかさずも冩陰君の四肢を弄ってくる。






























襖・冩陰。
純白と輝く白くも短い髪。女性のそれと同じ様に艷やかな髪質はくせっ毛であってもちゃんと手入れがされている。
尤もそれは冩陰自信が拘ってるわけでは寧ろ無く。周りのお姉さん達の世話の賜物である。
幼さ残ると言うか、まだ本当に幼い三角顎の顔つきにちょっとだけぱっちりとした瞳。
もっともいつも胡散臭げにしてるから目つきは悪いほうだろう。鼻は小さくもやっぱり小鼻でちょっと高い。
「鼻は大事なのっ、お鼻はとっても大事なの」と当時の開発担当者と助手の間で喧々諤々と一騒ぎもあり
納期まで時間もないと言うのにそれだけで三日間も余計に手間を掛けたとも後できく。
性別を問われれば雄と答える冩陰であるが漢性と言うにはそれは小さく、まるで少女にも似た口の形でる。
雄でありながらも幼さと又何処か女性らしさ醸し出す顔で上目遣いに駄々でも捏ねられたら
「そうねっ。野菜なんか食べなくても生きていけるわよね。私がどけて上げる。
人参さん。ポイっ。ブロッコリーもぽいっ。あっ、玉ねぎは食べるのね。寧ろ好物だって。
以外と拘りがあるのね。冩陰くん。あっご飯粒ついてるわよ。ん~~。ぱくっ」
これだけ観ても随分と冩陰が甘やかされていると知れるだろう。
純白の神と幼くも少年から雄とへ変わりゆく齢頃を模した少年。体の先がよく分かるピッタリとしたレザースーツの
上下の上にトレードマークの白燭のレザージャケットを着込んで廊下を闊歩検査室に入っていけば
一斉に殺気が疾走り皆々が冩陰の四肢を視姦する。慣れてしまえば気にならないとはいえ最初は何故に
皆が自分をそうやって観るのかわかりもしなかった。自分の思い違いか気の成いかと思えばやっぱり違ったらしい
ともあれ。細くも頼りないと一見みれるその四肢もその腹筋を見れば思い知らされる。
女性の四肢とは全くも違うし成長期であってももっと幼年さが残るそれとは違い冩陰の腹筋は
バキバキといくつにもわれて硬い。レザースーツをばさりと脱げば所謂、細マッチョな全裸が見て取れる。
普段から良く鍛えもいる。気を使ってるとも言って良いのだろうが。なにより生まれもった素質がそれを形成
しているのは事実である。予め与えられたた素質と後天的なトレーニングの賜物である。
また、時に所謂、運動も事欠かさないのがいくつにも割れる腹筋の成果である。
其れに冩陰はその胸板も細身にしては厚くも少々盛り上がる印象もある。確かに筋肉であるのだが。
それを有る意味、脂肪と捉えるかやっぱり筋肉と観るべきかとは研究所内でも論争が未だ収まっていない。
刻に襖・冩陰が研究所職員。その殆が女性で有るが色々と問題が有るにしろ注目を集めるのは仕方がない。
人種人類であればこそ種の保存を掛けて望む本能的な性の交わりにおいて。
その研究所には漢と言う種類の者は殆にいない。どれをもって漢と認識されるべきかと言うのであれば
漢性で有るべき身体的特徴を有する成長した有機体と言う意味に置いて研究所に其の条件を満たす者はいない。
無理やりに酒樽の止め金を壊し中の酒がこぼれ落ちるのを覚悟してと言うのであれば両手を揚げ広げ
極めて広義的にそれと認めればこの研究所には冷凍保存された漢性の有機体は有るだろう。
幾ら科学が進んだ時代であってもサイエンスフィクションの極みに達した無謀な掛けの其の先の技術である
コールドスリープを元に戻すことは無理でしかない。つまりは冷凍保存された研究サンプルとしての
漢性はいるかもしれないが、それが何をしてくれるかと言う事はない。
其の結果。雄として造られ生まれた人造人種、襖・冩陰こそが研究所唯一の雄と言う事になる。
そして、其れは極寒最北端の九つ目の大陸に置いて恐らくたった一人しかいない雄であると断言される。
繁栄を極めた九つ目の大陸全土を厄災が襲ったのは凡そ五十齢位ではないかと文献には記載されている。
その発端が大国の歪み愛から始まった戦の果てか。天空まばゆくも堕ちてきた因石かとも噂に耐えない。
大体にしてそんな昔の事より明日の御飯の方が大事である。
御飯は大事であるが衣食住が満たされるようになれば、其の次は種の保存でる。
よ・る・の・い・と・な・み・・・・である。
然し、人種人類が大きすぎる厄災から復興にむけ立ち上がった頃、それはすでも遅くもやはり気づかすに。
最近、漢共の元気ってないんじゃない?から始まった性欲の減退は直ぐにも破滅の道を驀地に突き進む
するべき事は出来てもそれが薄くとなれば女性の子宮までに届かずに死滅枯渇してしまい。
当の漢性達も自分で慰める所か異性にも同性にも興味を示さなく成れば破滅へと向かう。
元より少々我慢すれば同性同士の営みも可能えで有ると言われても其れでは人種人類が滅びてしまう。
刻に同じ頃から凍風が大陸を襲って包めば立派な氷河期の到来であれば叡智を収める
人類は種の生存を掛けて壮大で欲に塗れた計画を発動せざる負えなかった。
全人類漢性補完ヒトノイドプログラム。極めて安直な名前が後で付けらたのはしょうが無い。
偉業と言うにはあまりにも見窄らしくも情けなくも着想こそは良かったものの長い研究の末に
産みさせたのは襖・冩陰、ただ一人である。
「ボクっ。そうゆうの嫌いだから・・・」
むず痒むくも気だるい嫌悪感に襲われ冩陰は四肢を弄る手を払い除ける。
「えっ?冩陰くん。こうゆうの好きだって前いってたのに・・・・」
女性特有の感情でもあろう。無理に圧しけるほどの色気は時にわざとらしい
「前はそういったかもだけど、今日は嫌なの」幼い顔でまるで汚物でも観るように半目に目を見開き
興味なくなったとばかりに一人勝手にベッドの上から抜け出ると体にぴったりと吸い付くラバーパンツを
いそいそと脚に通すと足早に部屋を出る。
全人類漢性補完ヒトノイドプログラムの中枢を成す襖・冩陰。その当人としては与えられる至上任務に不満が有る。
漢性型ヒトノイドとして制作された人造人間の冩陰与えられる任務。
其れこそは現存する女性の子宮にその精種を植え付ける事で有る。
この余りにも規模が大きいのではないかと言うほどの壮大なそれは、計画が着手された時から破綻している。
全人類と言わずに個の九つ目の大陸に住まう人種人類の人口。すなわち五億人とも7億とも言われる女性達に対し
生み出されたヒトノイドは冩陰以外のプロトタイプを数にいれても全部で四人。もっとも前の三人は現存するも
二人は昏睡状態であり。もう一人は完全に失敗作とされ廃棄処分されている。
「やっぱり。ぼく一人で計画を実行完遂するのって無理だと思うんだけど・・・。大体・・・・」
出来るだけむすっと愛想悪くと気を使い自分の部屋まで歩いて行くだけなのに。
其の扉をくぐる頃には、ラブレターが十五通。一度だけ好きだと言っただけの二頭雪蛇の口焼き三本。
大陸所か世界で一番臭いとまで言割れる鰊魚を発酵と腐敗を繰り返し造られるシュールストレミングクリームを
べったりと塗った黒蜜のカステラ。それから馴鹿の燻製肉のサンドイッチ等など手に抱え切れないほどの
食べ物と女性の想いが無理やりに押し付けられる。
「大体にして、研究所のお姉さんたちって五十人くらい居るんだよ?そんなの名前と顔が一致しないってば」
貢物を自分の部屋の卓の上に投げ出し甘酸っぱい様な自分の匂いが染み付くベッドの上にごろりと転がる。






「なにィ~~~。少年4号が、御飯残しただとぉぉ~~~~。
きょっ、今日は大好物のハンバーク定食ではないかっ。御飯は茸たけのこ松茸と酢蛸の炊き込みご飯だぞ!
旗は?ちゃんと旗は起てたのか?御こちゃまご褒美のプリンは付けたんだろうな?苺カラメルのやつだぞ!
椎茸風味じゃなくて、苺・・・そっそれを残したの言うのか?お昼ごはんの醍醐味デザートを残したのか?」
激昂激しく研究室の机をバンバンと叩き割り研究所の女性所長が吠え唸る。
Uuuuu~~~~~Uuuuu~~~~~Uuuuu~~~~~と煩くサイレンが吠える直ぐに研究放送が流れる
「本日。お昼ちょっと過ぎ。われたが愛して止まない愛しの少年4号こと・襖・冩陰君がお昼を残した。
好物のハンバーグ定食の最後の一切れとすでに滅亡の危機に有るとは言えるも我が大陸漢言国家の旗が
頂きに立つお子様ご褒美のプリンと一緒にである。これは由々しくも壮大な事件である。
冩陰君が・・・・私の冩陰君がプリンを残すなんて・・・・きっと何かあるに違いない。
宿題を忘れて午後の授業でお尻ぺんぺんされるのが嫌だとか。あの銀縁貧乳独数暗号教師が怖いのかもれん
将又、ポンポン痛くて私よりちょっと大きい乳房の爆乳保健体育の奴をベッドでいちゃいちゃ・・・
とっ。兎に角、真相を確かめろ。保安部隊出動。刺股トリモチ、銃の携帯と発砲を許可する
繰り返す。愛しの少年4号、襖・冩陰ちゃんが脱走した。警備班出動せよ。・・・えっマイク入ってない
じゃ。最初から・・・お昼ちょっと過ぎ。我らが愛して止まない愛しの・・・・」
動揺激しくも研究以外の計器類は全く苦手な霊峰如くの乳房を誇る女性所長は都合、三度も最初から言い直す。
「別に逃げてるわけじゃないんだど・・・。戌の御姉さんって大げさなんだよなぁ~~~」
本人は逃げてるつもりはなくても当て所無く彷徨えば居場所も分かりにく成る。
もとより個の研究性は全人類漢性補完ヒトノイド計画の要であり駐在する人の数よりも遥かに大きい。
「お昼前に勝丼食べちゃったのがいけなかったなぁ~~~。好きなんだけど卵綴じアレルギーぽいし
付け合せの大鋏蟹の脚5本も多かったなぁ~~~。反省、反省・・・でもちょっとひどいな。うえっ」
せっかく食べた物を戻してしまうのは勿体ないし。一歩外に出れば極寒の大地に済む人々は一食の食事と
一夜の寝床を得るために体を文字通り体を売る事も有ると聞けばこみ上げる吐き気を我慢するのも当たり前だ。
確かに食べ過ぎの気配は合っても確か今日は様子が変だった。朝から何処となくも四肢が怠く、
昨夜のお勤めの後にゲームを楽しんで夜更かししたのがいけなかったのだろうか?
そうは言ってもそれくらいの体力は有るはず出しそこまで自分が軟弱とは思えない。
否然し、軟弱で無くても体調や具合の悪い時には誰にでも有るだろう。
特に人種人類の構造を模して造られた人造人間、若しくはヒトノイドと呼ばれる其れは未だに開発途中である。
卓上の理論は確かに完璧で合っても何もない所から人種人類の其れと同じ様に機能する有機体を生み出すのは
至極も至難も困難も極める。全人類漢性補完ヒトノイド計画が発動して数十年たってやっと一体のヒトノイドが
誕生しただけであるし、その特性も性能も未だ未知の要素が多い。其れに又、求められる成果に答える冩陰の
負担は著しくも激しい。幾ら取り決めや規則が合ったとしても所詮は肉欲の求めるままに襲いかかる女性達
研究所の職員の殆が女性であればこそ対応出来る雄は冩陰だけである。その冩陰だって人形でも機械でもない
人と同じ様に感受性もある。寧ろそれは高いほうだろう。意識も心もあればぶつけられる肉欲に時に
萎える事もある。絶倫旺盛の性交機械ではないのだから当り前だろう。
人のそれを模したヒトノイドであり卓上の理論とは大きくも違う其の四肢を持つ冩陰。
常に成長していけば其の反動も強く有る。どうやら今日はその日らしい。
「なんか・・・だるぅ~・・・」其れまで何とか歩けていたのに急に体が重くも怠い。
突然、体が火照ったかと思えば立っているのも辛くとなれば自然に冷たい壁に手が触れる。
「あれ、倉庫さんの壁って気持ちいいっけ?こんなにもひんやりしてすべすべで。好きに成りそう」
恐らくは風邪を召した何かのウィルスにでも感染したとでも言うのだろうか。
頭がぼうっとすると言うよりは朦朧と酩酊状態とでも言うのだろう。中は恐らくも要冷蔵の荷物がはいって
居るであろう倉庫の壁に背を預けて座るとよろよろともどかしくもジャケットを脱ごうと悪戦苦闘してしまう。
それでも思い通りには手も上手く動かせないと知れると諦め脱力のままにうなだれがくりと
首が傾き意識が溶ける。何やら力が抜けると四肢がぶるりと震えた感覚が残ってる。
「第参監視分室っ。発見出来たか・・・?」
「否、此方では発見出来てません」壁に据付のスピーカーから声が返る。
「真逆、お外に出たと言うのではあるまいな」
「8番から19番までカメラに映像痕跡ありませんっ。
外に出るのは専用の通路を通る必要があります。所長」専任オペレータが報告と疑問を上げて来る。
「解っている。専用通路に痕跡がないと言っても偽造した可能も捨てきれない。
なにせヒトノイドの性能と根性は弄れまがっているからな。捜索隊の準備は出来てるのか?」
「はいっ!第十参番強行偵察部隊が対応可能です。既に外壁扉にて重装備で待機してます
隊長曰く、私の愛人の為なら命はいらず!っと。以下、部隊員も同感であると連絡が入っていますっ」
「第十参番隊の彼奴め。漢と見れば真っ先に手籠めにするくせに我らが冩陰君だけにはウブを通しおってぇ。
背に変えられん。彼奴らを出せ。あの筋肉達磨等奴。愛に國堺はないとか言って漢漁りが真剣過ぎる」
納得は行かなくてもこの状況ではしょうが無いとばかりに苦蟲を噛み締めて女性所長が苦く言い放つ。
豪雪降り注ぐ極寒ん大地は九つ目の大陸のその殆を占める。
ある一点と一線とこえると全く逆の世界へと変容するが逃亡若しくは失踪されたとされる襖・冩陰が
幾らヒトノイドであっても時間的にそう遠くにはいってはいないと踏む第十三番隊は重装備でありながらも
ざっざっと脚で踏みしめて行軍する。先を行く斥候を担う女性兵士が大げさに手を降って全員を留めた。
[前方に人影らしい者あり。距離二百。視界不良の為、詳細不明。留意されたし]
豪雪に視界が遮られば先に何があるかなど良くもわからない。
それでも歴戦の尖兵兵士となればその一報に応え銃が構えられる。遥か昔は漢性共が兵を成していたが
今は其の存在等僅かであれば寧ろ軟弱化しているとも言われている。事実そうであろう。
これだけ漢性がいなくなれば変わりに女性が強く成らざる負えない。
視界が悪くも状況がとっても悪くでも一度、銃柄を握ると身が引き締まる。
周りが観えないこそに無線に乗ってくる声にも緊張感が走る。
「武器構えっ!状況を確認し前進するぞ!愛しの冩陰様のために命をくれてやれっ」
状況の確認をと言う前でもなく、いきなり突進するとは何事かと突っ込みたくも成るが彼女等は兵である。
「どわぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~。ぜっ、ぜ、全員駆け足!
後ろ側にだっ!・・・・つまりは退却だぁぁ~~~。逃げろぉぉぉ~~」
「逃げる。逃げて。もっと激しく逃げる!。一生懸命逃げる!これ逃げるの三段活用でっす」
「御託捏ねてないで奔りなさいよ!前っ、前向いて走るの。後ろ観ながら逃げる馬鹿がいるのですか!」
「あれは、何?なんなの?ゆっ雪漢っ?あんなに鼻息荒くして突っ込んでくるのは何故?」
「あれは雪漢の雄です。盛りの付いた雄ですっ」先頭に付いていた斥候が怒涛の失踪を魅せて皆を追い抜く。
「えっ、雄?盛りの付いた雄?雄って事は雄よね。ちょっと毛色は違っても雄だよね」
雄っと言う言葉に咄嗟に体が反応し逃げる脚が遅くも成る隊長の背を無理に斥候が圧す。
「隊長っ。駄目です。雄は雄でも体力絶倫。一度脚を開いた十日十夜犯されつ続けますよ」
その後手足千切られてお腹に入っちゃいますよ。つまりは餌ですっ。私達は」
「餌か?餌なのか?それでも推すならこの際なんでも。体力に自身はあるのだ。
だが餌に成るのは御免である。やっぱり退散、退却ぅぅぅ。あっ、ちょっと待っててばっ」
十日十夜犯され続けて観たいとの欲望有れど天秤の片方に乗る死はやはり重い。
一度は歩幅を緩め、雪漢の手前迄遅れてしまった隊長猪突猛進の虎の様に掛けると遅れを取りして逃げる。
「ボク、お漏らししちゃった・・・」
怠くも火照り満足に動けもしない四肢を怠しなくも投げ出した廊下の床に湯気を上げて水が貯まる。
よっぽど辛かったのだろう。それとも人としての羞恥がそうさせたのだろうか。
いつの間にかジャケットとレザーボトムを脱ぎ捨てクマさんの刺繍が入ったトランクスと膝下までずらし
屈辱的ではあるが下着を濡らすと負う屈辱は避けられたらしい。
もっとも、其れでは済ませないのがこの研究所のお姉さん達で有る。
(もっと、寄せろ。もうちょっとアップに。・・・そう。そこでアングルを上に・・・よしっベストだわ)
第5監視分室のモニターに女所長と係の者が近眼でもないのに鼻先をグイグイ押し付けて小声で話す
(眼福です。眼福至極の幸せです。我らが愛しの冩陰君。ショタ少年のお漏らし姿。しかとこの目に)
(こらっ。興奮するな。涎を垂らすな。あの神々しくも眩しげな姿と表情。堪らん。堪らん。
きっ、貴様。録画してる呪うな?勿論8K画質だぞ。低解像度などなら減給ものだぞ)
(はっ。抜かりありません。所長。あたふたと身震いしながら酩酊状態で衣服を脱ぎ散らかし
我慢できずにも激しくも恥ずかしげに四肢を震わせてのお漏らし。羞恥に編みれながらも放出する
快楽と余韻に浸る麗しくも喘ぐ声と姿。一部始終完全に超高画質で秘匿サーバーにアップロードしてあります。
これで御飯、10杯は行けます。私奴。御馳走様で御座います。グフフのふ)
(だから涎を垂らすな。変体職員2号目。もっとも私も同類であるが・・・。
兎に角、表面上は冩陰君の対面をも守ったのは確かだ。そろそろ救護班を送ってやれ
あと私のPMCに全部おくってくれ。今晩のおかずにするから)
冩陰とは全くもって距離も離れて居る別室だから声を潜め話仕込むの意味がない。
それでも人の様の羞恥の姿をカメラに収めてしまうと成れば一応の背徳感も有るのだろう。
もっとも一度、秘匿サーバーとやらにデータが上がってしまえば其れはもう、職員全員所か
未だに外界雪壁の中を雪漢からせっせと逃げ回る第十三番隊にも即刻ばれる所か研究所の職員全員が
一斉にPMCを覗きこみデータ回線があとちょっとでパンクする羽目におちったのを全く知らないのは
羞恥のお漏らしに身を震わせた冩陰だけであった。
棘と刺さる視線が絶え間なくもそれと感じるのは気の所為であろう。
もっとも自分が経験してしまった事はやはり恥ずかしい。それが原因で午後の授業と検査は身が入らなかったし
突然の体の不調は収まりはしない。ヒトノイドとしての調整が成長と共に上手くいってないのろうか。
もっとも冩陰自身はこれ以上成長したくないと結構強くも思っている。
それはヒトノイドとしての寿命に関係もする。其の年月は凡そ禄年。現在は参年程すぎてるから余命も長くはない。
後に参年も起てば老衰とでもなるのだろうか。人としても如くは其れに類する生命体としてもやはり死は怖い。
これ以上成長すればそれだけ死が間近にせまってくるのである。
死と言う得体の知れない恐怖はいつも直ぐ側にある。多感でも或る時期に常に死を意識させられるのは苦痛だろう。
参年も四年も先の死に怯えるのは愚の骨頂かも知れないが、其れよりも今の体調の悪さは結構長く尾を引いている。
「むぎゅ~~~。怠い。体が重い。お姉様の愛情が重いの。アイス食べたい。
ずんだ餅鰊梅干しのアイスが食べたい。あと壱番亭の鯣餃子と特製激辛早矢死ライスも」
この後に及んで食べ物の事が頭から離れないのは食い意地が張って居るのか体が栄養を欲しているのかわからない。
「取り敢えず、出前でも取らないと空腹でしんじゃいそうもの」
冩陰はだらりと特大ソファに身を沈め、これもまた面倒臭くもそれなりに必死にPMCを手に取り贔屓にしている
中華飯店宛にメールを送って後はしばし目を瞑りとぐったりと休む。
全人類漢性補完ヒトノイドプログラム研究所・中華飯店壱番亭。
中華飯店と言ってしまえばそれなりの店構えに聞こえてしまうが、実際は研究所内の厨房の一角
床に黄色い線が書いてありそこから奥が壱番亭と呼ばれる場所である。
尤もそこを仕切るは女将が一人と注文と出前を担当する若い娘が一人である。
研究所内には巨大な厨房が有るし腕の良い料理人も数多い。
否然しに技を極める達人は齢四十を少し超えた女将と実の娘の二人だけである。
「母亲。拼贴师兄已经点好了晚餐。ずんだ餅鰊梅干しのアイス、店自慢の鯣餃子と特製激辛早矢死ライス」
「是的,我听到了。冩陰君も育ちだからねぇ。こんな時間だけど食欲旺盛なだね」
「冩陰兄さんはいつでもお腹すかしてるしね。食欲も性欲も旺盛なこって」
半ば呆れながらもやはり憧れの冩陰に会えると成ると気も弾む。
任務から帰って来たばかりの十参番隊の面々が藁藁と食堂で騒ぎながら食券機の前で屯もしてる。
「十参番隊の隊長さ~~ん。内の店はしばし店じまいだよぉん。冩陰兄から出前入ったからぁ~~」
魚を捌くまな板の縁に手を掛け背伸びをして出前娘が叫ぶと云々、分かったと野太くも逞しい声が変える。
研究所内の決まりと言うか暗黙の了解とも言えるように全ての事柄に置いて確かに冩陰に関わる事は
最優勢に処理される。時に甘やかし過ぎだとも言われるが基地内でたった一人の稀有な漢性となれば
それがたり前ともなろう。下手に機嫌が悪くなり任務放棄などされたら人類の滅亡に直結する。
ずんだ餅鰊梅干しのアイスを看板娘が冷蔵庫から取り出してくる間に齢四十過ぎの料理人は
使い込んだ鐵鍋にお玉で油を注ぎかき回しすと白米を煎りだす。
注文されたのは確かに早死ライスであるが女将は先ず米を煎り縁でコツンと卵を割って混ぜる。
大体にして先ず、早死ライスとはなんぞやと言えば広く言えなハヤシライスで有るのだが
壱番亭の女将が作る早死ライスは一味違う。特性トマトソースを掛けて食する物であるが
その早死とは訳がある。猛雪轟雪に囲まれるこの地域を襲うのは雪氷だけではなくも独特に進化する
雪漢や類する化け物が日々にやって来る。又にそれだけでも無く色々な問題がそこを襲ってくれれば
研究所と研究の成果物其の冩陰を守る為の警備員と兵士。彼等はいつに何時と出動を余儀なくされれば
今に正に食事を口に運ぶと成る時にサイレンが成って響けば諦めざる負えない。
それでも腹が膨らまないなら戦も出来ぬ。それ故に壱番亭の女将が開発したのが早死ライスである。
しっかりと米の味を味わえるも食べやすくも匙を早く動かして口に運んでも味も濃い。
早く食べられて満足感も得られ、その後運付きて死を迎える事に成っても腹が膨らみ後悔成しっと
兵士が喜んで注文するので早死ライスと食券機にはマジックで書いてあるのだ。
冩陰が好むのは特に果実トマトを特濃ソースで煮込んだ物であり、他のソースともちょっと違う。
冩陰の味覚事態は既に完全に破壊されたものであるが、其の好みに合うように女将が仕上げている。
「遅い時間でもこれだけ注文するなら、まだいけるんじゃないかねぇ~~」
注文された品を仕上げたにも関わらず女将は手を止めずも、仕上がりを隣で岡持ちの蓋を開けて待つ
看板娘に二品、参品と腕を振い勝手に品々を手渡していく。
「久等了~~。冩陰兄。ご注文の餃子と早死ライスぅ~っと
ずんだ餅鰊梅干しのアイスに本当に豚足が入ったこってり拉麺と野菜つくしの担々麺
それからこってり猪肉の酢豚と蟹玉餡掛け焼きそばっ。店からのサービスだよん。
あらまぁ~~。今日って冩陰兄の誕生日?随分と豪勢なっ」
岡持ちを抱えて冩陰の部屋に入ると壱番亭の看板娘は声をあげ目を丸くする。
「待ってた。まってたよ。でも待ちきれなくってピザも宅配しちゃったんだ」
大食いの所を若い娘にみられたのが気恥ずかしいのかそれともやたらと腹がへるのが不思議なのか
自分でも分からないとばかりもそれでもサラミが乗ったピザを口に運ぶのを冩陰はやめようとしない。
「だいじょぶっすか?冩陰兄。なんかいつにもまして食欲あるんじゃ?」
「云々、なんかそうなんだよね。このピザだって五枚目だしさ。なんかすっごくお腹すくだ。
あっ。其れ頂戴よ。ピザも食べるけど先ずは早死ライスと餃子から。豚足拉麺もうれしいよ。
女将さんとデートしなくっちゃね。勿論、君も。それっとって・・・」
デートに誘ってくれるのはうれしいが、其れまでにも結構な量の食べ物を冩陰が腹に収めて居るのは
周りの皿とゴミを見れば直ぐとわかる。量は食べるし味覚も可怪しい冩陰であるが食事は大事に
礼儀正しく口に運ぶ冩陰が今日は違いまるで餌が逃げるとばかりに焦る子犬の様にがつがつと
食べ物に喰らいついて離せない。
「又、宜しくぅ~~」っと元気な声を上げるもデートの約束を取り付けた事を嬉しくも。
されども冩陰の食欲と食事の仕方に疑問を思い厨房店に戻れば直ぐに女将に一部始終を話す
「何もないと良いけどね。内の料理で腹を壊す程やわな子でも有るまいし。
まぁ、それでも仕事のうちだからろうね」聞きつけた冩陰の様子がどうであれ一報はいれて置くべきかと
壱番亭の女将は壁に張り付いた旧式の電話機のダイヤルをじーこ、じーこと回して話す。
置字



置字
