主徒女卑之御國


「はぁ~~どうなんだろうぅ。見逃してくれないかなぁ~。無理だろうなぁ)
頭の記憶の中にある所謂疑わし者を締め上げ事情を調べ上げる殺風景な部屋に
止目桶俊平(どどめおけ・しゅんぺい)は閉じ込められている。
俊平は今自分が置かれている状況を頭を巡らせて確かめてみる。
殺風景な部屋に完全に床に固定された机が一つ簡素な椅子が弐脚。
その中自分が一脚使っているからもう一つは取り調べの係の奴が座るのだろう。
歳を数えて弐壱拾と九。痩せ型で背も高くも運動を怠った事もないから筋の通る四肢でもある。
それだけ見れば人目も良いはずだが俊平は幾つかの病をも患っている。
主な肉体的な物は不毛性である。四肢中の毛がまったくない。
他人には普通に有る毛が一本も生えてない。
つるんとした四肢であるが頭皮も眉もまつ毛も鼻毛も腕毛も胸毛も陰毛も脛毛も体毛と
呼べる物は一本もない。
当人はずっとそうだから全く気にしないでいても端から見れば
毛一本なければその顔に不気味な印象を与える。
その顔で人を睨みもすれば思わず身を固めて弐歩も散歩も後ずらりたくもなるだろう。
他人からの印象として怖がられ避けられがちな止目桶俊平であっても伴侶がいる。
よっぽどのもの好きな女性なのだろうと皆が言ったとしても出会い、円を結んで四年。
四年である・・・・。
だが然し。その四年で俊平自身は自分の中に悪人がいると言う事を知る年月である。
俊平の妻は重い女系でもあり依存体質の女性だった。
新婚で互いに四肢を貪る新婚の頃から妻となる女性に俊平は拳を上げた。
最初こそ妻は覚え拒んでしまうが時間がすぎれば慣れてしまう。
振り上げる拳の痛みに耐えるとそれも快楽を見出す。
夫が振り上げる夫の拳に愛と悦楽を見出してしまう妻。
妻の顔を四肢に拳の後を作る事に自分の中の悪業と苛立ちにおぼれていく夫・俊平。
それも又一つの夫婦の営みの姿であっても妻の四肢に痣が残れば世間が許さない。
近隣のマンションの要らぬおせっかい野郎が俊平の妻の顔痣を目ざとくも見つけ
憲兵警察隊にでも通報したのだろう。後はお決まりのお役所仕事が着々と進み
言い訳弁明する暇もなくお縄頂戴の御用となるわけだ。
つまり俊平は手錠を嵌められ斯くしてと取りしらべ室の椅子の上に無理やり尻を押し付けている。










