小餓鬼族英雄譚:A story of an Goburin Lord .参【聖精霊刻魔主教会編】



戦と人々の日々の営みに染み込む魔法ととは、石である。
魔法使いと言う職業を正式に言えば、奇術師である。
ちょっと言い過ぎればペテン師にも近い。
古臭くも重厚な装飾が施された煉瓦を組み上げた街広場の噴水の前で少女が声を張って吠える。
「さぁっ。寄ってらっしゃい観てらっしゃい。買い物帰りのオバサンも。巡回警備の腹の出た衛兵さんも。
皆々様のお時間を頂戴しての大花火。大陸一番の焔使い。此のシュールストレミングソレヌの一発芸で御座います。
蝶よっ。華よとっご覧あれ。さぁとぉ~さぁと~~。皆々様。特とご覧あれ」
歳の頃と言えばう十と七か十と八。九と桁上りまでは届いてないだろう。ちょっとばかし幼さが顔に残る。
奇術師と知れれば大抵は鍔長帽を目深に被って木杖を握り見た目雰囲気を心得る物であるが少女は違う。
漆黒の黒髪に少し高価な濡れ油を漫勉無くも塗り込むなら髪油代も高く付けば手間も掛かる。
短く伸ばせば波打つ程度のくせっ毛でも長く伸ばせは緩やかなくねり其れこそ不思議な魅力も醸し出す。
其処まで凝らなくも良いじゃないかと言うような濃いめの化粧を施せば目の周りの隈も手書きであろう。
可愛い小鼻とちょっと厚ぼったい唇から、結構幼くも可愛い童顔で或ろうとも冊子が付く。
詐欺師と言うには可愛そうであるが、こんな所で一人声を張りがての呼び込みとは
よっぽどに食い詰めた大道芸人の類とも言える。元々奇術師はの傾向が強い。
運が良ければ魔物退治で稼げるが食い扶持にあぶれれば悲しかなと街で花火でも打ち上げるしか無い。
童顔幼顔にやたらと濃い化粧の割りにそこから下の四肢は成熟甚だしくも凝った衣装を身に着けてもいる。
ほっそりとした首には錠前の付いた首輪が括ってある。奴隷なのと怪しんでも当たりに其れらしき主人も居ない。
単にお洒落か個人の趣味かと問う前に動いた視線が胸部に張り付いてうごかない。
何を食べたら其処まで大きくなるのかと、自分の目を擦って疑いたく成るほどの巨峰霊峰の山の如しとも
成る乳房はがっちりと黒皮布のドレスで覆われ大きさ意外は全くわからない。
あれが天然物とは信じがたく丸めた綿を固めて詰めているにしては妙に自然な形であもある。
その大きさにも最近はちょっとご無沙汰で人雌を見かければ、先ず先にその乳房を視姦する癖がついている
あの蒼肌濁る小餓鬼族さえ、自分でも気づかぬ打ちに嗅ぎ爪を思わず舐めてしまったほどでもある。
理性と知性と煩悩の戦いいざ知れずにやっと剥がした視線はきゅっと閉まった胴体のくびれの細さに驚くだろ。
巨峰霊峰の如しをに超えた抱きの胴腰の細さと言うのもバランスを崩すも其れが魅力である。
おおきな乳房と閉まる胴腰崩れる均等が尚も唆る。確かに其れは確かに細いのでもあろうが
更に細くと黒革のコルセットの効力が大きいだろう。ぎしりぎしりと胴腰を締め付けているに違いない
あんなにも限界まで締め付けたら人前で食事を取る等、絶対無理に違いない。
長裾のスカートも又色香を誘うが丸くも大きいであろう尻をおおうも太腿辺りまでざっくりと布地が割れれば
黒色のガータベルトに漆黒皮ロングブーツ。むっちりとした太腿とスラリと伸びる脚が健康的な色香をも唆る。
其の手の趣味が有る人種であれば。踏んで下さい。
女主人様と目玉を赤く充血して群がる輩の視線と喝采をあびるのは間違いないだろう。
いっそ、どうしてその道にすすまなかったのかと強い疑念さえも感じてしまう。
「ちょっと。其処のはあんの曲がった小餓鬼族さん。観ていきなさいよ。
さっきから私の胸ばかり観てる癖に。どうせなら盗み観なんてしてないで近くで堂々と観たほうが楽しいわよ。
ついでに私の一発芸に御代の少しでも払いなさいよ。視姦料よ。視姦料金よ」
少しばかり遠目から屋台の側木に寄り周りに潜って居たはずなのに頭巾の奥の鷲鼻まで観られて良いのか
黒首輪の奇術師の目が良すぎるのか蒼肌濁る小餓鬼族の忍びの技が鈍ったのか。恐らく後者で或ろうと苦く思う。
下知が下ったとなれば周りに潜る必要もない。この街でも公式には魔物が街に現れるのを嫌っている。
それは教母の住まう街よりも厳しくも公に見つかれば耳と鼻を千切られ川魚と一緒に煮込まれ缶詰にされるだろう。
其れは嫌ではあるが。ゆるく絡む黒髪と巨峰霊峰極まる乳房を間近で見れるなら耳の一つ千切られてもと良しする。
真逆、当たりに憲兵共も居ないだろうと踏んで少女の前にすすで観ればがさりと土塊を踏んで隣に漢が並ぶ。
其れを街中で振り回すとけが人が出るぞと思わず注意したく成るほどに鋭利な棘槍を地面に付けて
励むべき職務は暫し忘れておると言うようにばつが悪くても目玉を動かさずまっすぐに若い奇術師の乳房を視姦している。
此奴大丈夫か?仕事しなくていいのか?隣に魔物が居るんだぞっと心配に成れば、又隣で脚を勧めて誰かが並ぶ。
どうやらあの奇術師は自分の魅力を熟知しているらしい。上手く商売につなげるすべをちゃんとわかっていると言うのだろう。
気がつけば蒼肌濁る小餓鬼族の他にも参人ほど助平な輩が居たらしい。
周りの視線も気にせずに一心不乱に少女の乳房に鋭い視線を刺している。
「さて。お立ちあい。助平な小餓鬼族ともっと助平な衛兵さんとその他大勢の変態さ・
今日皆様がお目にするのは大陸一番の焔使い。此のシュールストレミングソレヌの一発芸。
観るも豪華に触れれば火傷。紅蓮の花火に儚きちれば乙女の唇も華と燃える。
いざに特ととご覧あれ。特大火球の連続花火で御座います。圧して参りますの事よっ」
長くもたゆる黒髪が動かす上半心と共に緩やかに動く。
指出し皮て手袋を嵌めた細指がすっと目に伸びれば其の先にぼっと焔の玉が燃え上がる。
反対側の腕を前に突き出すと今度はボンっボンっと焔玉が燃え跳ねる。
匠にも少女の腕が宙を舞い。四肢をくねらせ踊り突き出す手の上で焔が待って踊る。
くねりくねりと四肢が踊り、其れに合わせて焔火が湧いて跳ねて空気を燃やす。
ボンっボンっボンっとリズミカルにも焔火が跳ねて踊れば少女も踊る。
腰をひねれば乳房が揺れ雄と漢共の視線が眼前の焔が邪魔だとばかりに目をしかめても
華麗にも淫猥に揺れて誘う乳房を食い入るように見つめてしまう。
十分にもひとしきり激しく動けば息もあがり唇から漏れる吐息さえも熱くも其処に指を当て
ふっと息吹きかけ天空に掲げて伸ばせば轟音凄まじくも爆発と共に特大の焔火が始めて燃え上がる。
其れを最後にと息を整え頭を垂れ自慢の乳房を地面と並行に足らせした大きいでしょ?と魅せつける。
緩やかにも優雅に芸の終わりと宣言かわりの挨拶お辞儀と面々の笑みも作って魅せた。
拍手喝采。金銀金がも雨あられ。
とっ。行くはずもないしそうもならない。
まぁ確かによく揺れて暫しの時間と目の保養になったと言うくらいであろう。
からんからんと音がして少女の足元に末置いた缶詰缶が揺れれば銅貨が数枚投げこまれる程度である。
助平な客中で惟一金貨を投げ入れたのは青肌濁る小餓鬼族で有る。
特別少女の芸に感動したわけでもその乳房の揺れ具合に感激したわけでも無い。
手持ちがなかったのである。金貨しか袋財布には入ってなかったのである。
侠気、雄気魅せたと言えば格好も付くが、袋財布に突っ込んだ鉤爪が引っかかって二枚取り出しただけでもある。
其れに魔物である小餓鬼族でもあるから人の常識と価値観と事の相場と言う物を理解できずにも無頓着でもあるのだ。
「まっ。小餓鬼族の旦那様。金貨二枚なんて豪勢なっ。よっ太っ腹
是非、お名前を・・・。あっ、やばっ。これにて仕舞で御座います。ご機嫌よろしゅう。皆々様」
あんな大きな乳房を揺らす癖にどうしてそんなに素早く逃げる事が出来るのかと頭をひねる位の素早さで
少女は黒革の鞄とおひねりが入った缶詰缶をひったくると戦場から逃げる兵士よりも速くに身を翻して姿を消して行く。
後からに憲兵隊がわらわらと通りの向こうから群れを成して怒涛にやってくる。
慌てたのは隣で棘槍を握ったまま少女の胸に夢中だった太った憲兵であり
本来取り締まるべき憲兵が率先して少女の胸を視感していたと成れば首も確実である。
態らしくも大きな声を上げて逃げた少女の方角に槍を示して走り出す。
まぁ、上手く誤魔化してくれ。頑張れ、憲兵君と鞄袋から干し肉を握りとり青肌濁る小餓鬼族は群衆の影に溶けて潜る。
戦と人々の日々の営みに染み込む魔法ととは、石屑であり。
魔法使いと言う職業を正式に言えば、奇術師となる。
魔法を使う魔法使い。奇術を使う奇術使い。
古い呼び名が魔法使いで新しいのが奇術使い。魔術と奇術。その差異は少ないとも言える。
この魔法と言う奇術。つまりは奇術。
人種は簡単にも良く使うが魔物は苦手有る。
高機能の脳と器用な手指を有し、道具を使う等の高等技術を習得もするべきだろう
尚且つ奇術の成り立ちと仕組みを理解していなければならない。
更には練習と言う経験も必要ではあろう。つまりは大牙鬼族は使えないが小餓鬼族は割りと簡単に使う。
そんなところであろう。大体にして大牙鬼族は起用であっても粗暴である。
奇術を使おうと考えるよりとりあえず拳で殴って事を済ます方が彼等の性分に合っている。
奇術のそれは大きくわけて三つの体系からなりたっている。
奇焔術・奇水術・世界樹の奇術である。奇術には此の三種類しかあり得ない。絶対にである。
それらの仕組みを解き明かすのも勿論簡単でもある。実は奇術は人種が営む生活にとって馴染み深い物である。
ちょっとませた少女であれば直ぐに理解も出来れば覚えたその日に使うことも出来る。
極簡単に投げて言ってしまえば奇術は石である。云々。其れだけである。
大陸には参種類の石を採掘出来る場所がある。
その一つは火山地帯の鉱山で取れる奇焔石である。奇焔石は熱と特殊な因子と焔を内包している。
長い年月を火山の側で過ごす石屑が其の中に焔と熱と因子を蓄え膨らみ奇焔石と成る。
最初はごろごろと巨大で不格好な奇焔石であるが必要と需要に合わせて加工され
大陸全土に輸出されている。紆余曲折も複雑怪奇な取引が行われ人々の手に渡れば使い方は簡単でもある。
奇焔石をてに取り硬い金属の鋭い棒で石の表面よりに切り込みを入れてやる。
慣れるまでは鉄皿などの上に置いてやれば安全であるが肝心なのは傷の付け方でもある。
奇焔石がその中に描くとなる因子塊を持っており、其の周りに焔と熱が液状になって染みこんでいるのだ。
つまりは中核となる因子塊まで切り込みをちゃんと入れないと奇焔石は発火しない。
逆に因子塊を切り込みを入れると奇焔石の中で因子塊が砕けて溶け出し周りの焔と熱に染み込み発火する。
後は九才にでもなれば母親の側で具材を入れた鍋釜の下に奇焔石を棒で傷つけて投げおけば美味しい夕飯を作る事が出来る。
先程に自分の四肢を駆使して小餓鬼族から金貨を巻き上げた奇術師の少女もやってる事は同じである。
四肢をくねらせ隠して握った奇焔石に指先に嵌めた鉄爪で傷を付けてやる。
奇焔石の中の因子塊が溶けて焔が燃え上がるまでには数秒有るからその間に奇焔石を放って投げるだけである。
仕組みと仕掛けを皆の誰もが知っていても彼女が巧みなのはその動きと手さばきと大きな乳房である。
もっとも其れだけであるし種はバレているからそこそこの稼ぎに叱らな来だろう。
冒険者組合に足蹴無く通えと説教したくなっても余計なお世話である・・・。
他の二つ奇水術・世界樹の奇術も仕組みは同じ。
核となる石が取れる場所違うと言うだけで奇水術はちょっと深い塩海で取れるから
魚と一緒に漁師が底引き網漁で取るのだが割りと貴重品でもあり、雨水も地下水も貯められるので需要は多くもない
世界樹の奇術の核は石と言うよりは樹魂であり形を形成するにも長い時間が掛かるので手に入れるのは大変だろう。
需要は強く合っても滅多に市場には出回らないものである。
従って。奇術師の少女が魅せた奇術は、ませた子供でも騙されない稚技にも等しい大道芸である。
ある意味、嬉々として進みもしない教母との生活を過ごすのは良いが時間もない。
其れに良からぬ噂も青肌濁る小餓鬼族ヒュッテン(短く略されるのは嫌いであるが)の大きな耳にも入ってくる。
最近の根城とする教母の街とは人種が乗る馬と言う動物に跨って日が上って降りてと四回程の街。
馬蔵というのはしっくりこない。それに四歩脚で歩くから余り揺れないのが買って気色悪い。
教会の庭で慣れた飼い弐つ脚の狼に跨がろうしたら
「お出かけになるのは構いません。小餓鬼族様・
でも。ゴロリン君は置いて言って下さい。癒やしなんです。癒やし。日々退屈で窮屈な教会のお仕事と生活。
ゴロリン君だけが私達の癒やしで御座いますの。お願いです。馬をお貸しますから」
[日々窮屈で退屈な生活と言ってもうまい飯が食えてるのだから其れで良いのではないか?
見ろっ。お前等が甘やかしてばかり居るから腹に駄肉が付いてるんだぞ?あの黒毛の弐つ脚の狼は。
立ち上上がる時、よいしょって吠えるんだぞ?どこの世界に立つ時によいしょって吠える狼が・・・]
とっ腹の中で愚痴でもしょうがないのだろう。
教母とその手下の輩は甘え上手でもあるもっと厳しく接するべきであろう。
どうやら知らぬ内に丸くなったとでも言うのだろうか?
古き煉瓦を天深く埋めて積み上げ贅を尽くし天に召します生贄の供物を奪って足蹴とする街。
大層にも物騒な街で有る事には其の名が示す。奇術師の少女等は生き難い街で或ろう。
大陸地図を卓に広げて覗けば確かに塩の海と面しているから海産物が豊富である。
尤もどの小餓鬼族も肉食であるから魚と言う物のには見向きもしない。
街の空気が今日も明日も濁り淀むのは戦場がすご其処にあるからだ。
街を出て弐刻も歩けば魔森である。当然に同胞小餓鬼族の巣城もある。
それもかなり大きくも。主王と呼ぶにもふさわしい奴も居るのである。
だが、然しその主王が討たれたと言う噂がヒュッテンの耳に届く。
聞いた時は驚いた冒険者組合の客椅子の上から滑り落ち
立ち上がった途端に机の縁に頭をぶつけてぎゃんと鳴いたほどである
「お馬鹿さん・・・其処の羊乳の煎餅取って下さるかしら?夫様」
一際大きな乳房を揺らし小馬鹿にしながらもやっぱり失態を嗤う女房(最近覚えた言葉である)の
所望する煎餅を渡してやるが痛む頭にの中には主王の顔が浮かんで消えなかった。
少しも若しくは頗る程に風変わりな所業を好む青肌濁る小餓鬼族・ヒュッテン。
事ある事に先ず鼻自慢の話から始まる小餓鬼族界隈の輪の中で時々と話題になるのが
ヒュッテンの鷲鼻である。横から観れば随分と立派であると褒められるのだが
正面からまっすぐ顔を観られるのをヒュッテンは割りと嫌う。
少しばかり右方向に曲がっているからである。生まれる付きではない。
其れこそが若き頃のやんちゃ遊びの代償であり、其の因縁の相手こそが白肌膨れ腹の小餓鬼族・主王である。
自分の鼻が曲がるまで跨って殴り続けたあの白肌膨れ腹の小餓鬼族が人種の戦士に討たれる等有るのだろうか。
確かめる必要は確かに有る。
小餓鬼族の大巣城に居を構えるほどの白肌膨れ腹の主王。其れを討ったと成れば街は安泰である。
戦勝祝も晴れやかにと討滅した功労者は英雄であろう。
だが其の街は、依然に滞在したときよりも暗くも重い墓石が頭の上に乗っているようで仕方がない。
耳に届いたはずの噂が正しいのなら白肌膨れ腹の小餓鬼族・主王は討って払われているはず。
そうならば街に活気が戻るだろうし英雄の凱旋行進があって当たり前だろう。
其のようなものは全く何もなくどよどよとした空気感に街全体が押し潰されても居る。
恐らくはヒュッテンの耳に届いた噂は間違っているのだろう。そうであれば対処の方法を変えるだけで住む。
出来るならば自分の手で借りを返したい物でもあるからこころの何処かではそうであれとも祈っている。
ヒュッテンの自身の性格は意外にも楽観主義である。まぁ大抵は其れが裏目に出る事が多いのではある。
依然に此の街にはしばらく滞在したことがある。その時は鼻息荒く結構好きに勝手に暴れたものである。
小餓鬼族と人種の時間の流れの感覚にはずれが有る。自分にとって都合の悪い事等は何時までも引きずってはいない。
白肌膨れ腹への復讐は別としてではある。それでも曲がった鼻腔を懐かしい匂いがくぐると我慢も出来なくなる。
あれには随分嵌ったし小腹を満たすのにも丁度良い。今でも此の街で売っている屋台が有るとは熱心な者も居るものである。
薄っすらと芳しくも鼻腔を擽る匂いに釣られて石の橋作りの下の参件ほど並んだボロ布天幕の屋台にたどり着く。
ちょっとずる賢くもからかってやろうとちょっとした悪戯が頭をよぎる。
ヒュッテンは一番左の戦争未亡人が切り盛りする屋台の前に立ち、踵のを伸ばして売り台の上縁に鉤爪を掛けて背伸びする。
そうすれば頭巾から素顔が覗いてしまうのであるが、其処は適当に顔を歪ませ誤魔化す。
「ぎゃんきょっぎゃん」
(其れを参本くれ。それから砂魚の半干物を弐巻、汁はしょっぱいのが良い)
勿論、相手は人種の未亡人である。小餓鬼族が話す事場等は上手くは聞き取れ外だろうから
鋭い鉤爪でそれとそれと言う様に順番に指し示す。
ちょっと意地悪なのは頬まで避けた口から吐いた言葉が方言で有る。
街政で魔物排除の人種至上主義が横行しているなら尚更に、辺境の小餓鬼族の方言を聞き取れる者など滅多にいまい。
「有難う御座います。串焼き参本ですね。直ぐに火を通し治すので少しお待ちを。
半干物の方は直ぐに食べますか?後で鍋に煮込むなら汁は別にしますが。どちらにしても乱杭歯に挟まりますわよ」
聞き取り難い小餓鬼族の言葉を聞き分けるも、もっと聞き取りづらいであろう方言を完璧然りと読み取り
魚の半干物は乱杭歯に挟まるから小餓鬼族は嫌うとも知っているのは屋台商売も長いのだろう。
大体にして人種共が毎日集う商い市場から随分と離れた場所で屋台と参件も並べるなど
寧ろ営業許可を取るのが大変だったにに違いない。どれだけの時間と手間を掛けたというのだろうか。
代金を人種が使う物ではなく、態々と袋財布の奥の奥に鉤爪を差し込んで摘んだ魔物貨で支払いを済ませる。
そんな通貨を有り難くも受け取る屋台主人等、街には多くないだろう。
まぁそれでも魔物貨の使い道は結構有るし、同胞魔物同士のやりとりや裏稼業の報酬にも役に立つ。
時に当然、人種通貨と魔物貨を専門に扱う両替商も確かに居るし結構商売の儲けも良いらしい。
物腰の柔らかい戦争未亡人の屋台主人にぎゃんっ鳴いて挨拶とし二つ頭蛇の串焼きを袋から取り出し齧りつく
屋台の女主人の手さばきこそは絶妙である。二つ頭の蛇の其れの半分は焦げ目が程よく付いてパリパリで
反対の頭は半生に焼いてある。じゅわっと滲み出る汁が口の中で滲み垂れる。其の甘さが貯まらない。
懐かしい味に自分らしくも無く感動し、この街に長く滞在するようなことに成れば又脚を運んでも良いなと思えば
ぎょろり目玉の隅に黒溜まりがピタリと止まる。
あんな奴らが未だ此の街に居たのかと、急に鼻の奥が痒くなりせっかくのおやつも不味く感じる。
久しぶりに懐かしむおやつに気を取られて気づく前に向こうの方が先に気がついたらしい。
吾等、高尚な小餓鬼族の姿を観て四肢を固め小さくも低い背丈で猫背に頭を垂れて居る。
数は二匹に視えるがその後ろに未だ歳はの行かない子ででも居るのだろう。
成るべき見つからないようにと体の影に押しやって隠す。ヒュッテンはそれが寧ろ嫌いだった。
自分よりも強く猛る輩には手を揉んで媚びて頭を垂れて怯えるが嵐しすぎれば途端に手平を変えして悪口三昧と
影で嘲笑って馬鹿にする。自分達では大した事も出来ずで儘らないとすれば人種にさえも媚びて尽くす。
小餓鬼族よりも一回り体躯の小さい極小餓族である。意外にも策士揉め事が得意でも有り
時に其れを極めると口車に乗せられ巣城と地位を奪われた同胞小餓鬼族も居るくらいである。
渡り道の石壁ぎりぎりに身を寄せてあからさまに頬髭を震わせてるのは恐怖に怯えてる証拠であろう。
彼奴等に取って小餓鬼族は手強い相手であってやり合え無い当てではない。上手く取り入るのも得意なはずである。
それが石壁に引っ付いた儘で髭を揺らしているだけと言うなら、どうやら此方の顔面を知って居るとでも言うのだろうか?
彼奴らはそれほどの匂いに敏感でもないと思うのでは有るが。
まぁ特にその場で吠えて威嚇するのも大人げないし、背の後ろに子を隠してるなら無下に脅かすのも手間である。
かわりと言っては余興とばかりに砂魚の半干物を一巻きだけ手に残し残りの袋と中身を彼奴らの一匹の胸に投げてやる。
単純な気まぐれであるが、大層驚くも胸に飛んできた袋を起用に受け止めると途端にペコペコと頭を下げてくる。
何も徳を積んだという訳でもないし勝手に手が動いただけである。
それでも極小餓族の奴らは随分と恐縮然りとヒュッテンが渡り道の向こうに影と消える混ぜずっと頭を垂れていた。
(此処の角を曲がって三叉路の四本目の隙間道を進んで其の先に・・・あれ?無いな?)
確かこの辺だと思った其の先に目当ての印はまったくと無かった。
勿論、それと知る者意外立ち入れないような作りはした。だが自分が其れを忘れるとは情けない。
結局、ヒュッテンは最初に戻って参回やり直すがやっぱり見つからずも、其の四回目で最初の場所が正しいと理解する。
要は随分と長い時間と放置して使われなくなっていたのだろう。隠す為の草蔦が予想以上に伸びて印を隠していただけである。
塩海の船明かりは自分の脚元の猫に聞けと言うように大事なものは、意外にも直ぐ其処にあると言う教訓だ。
(此処まで来ると知る者達も入れないであろうな。手入れを命じなけなければならんな)
ずずっと鼻を晴らし虫除けの為に吐き出す花粉に悩みながらも最低限草蔦を退けるとやっと視えて久しい懐かしい
印扉に鉤爪突き出る手を添え、其れらしくもなく感傷に浸っていると、ゴゴッと言う音が響いて内側へ扉が開く。
勿論、感傷に浸っているのだから隙もあるし、結構な体重を扉に掛けていたから四肢はバランスを崩しつんのめる。
むぎゅっと柔らかくも生暖かい、そして又結構な弾力の有る肉に自慢の鼻が直撃しズキンっと痛むんで衝撃が奔る。
其れも鼻の奥がツーンとして結構痛い。
「突然に猿頭に野苺と卵焼きと味噌田楽を詰めた菓子が食べたくなっとお出かけになり
その日どころか、明くる日も、其の又次の日と日々を巡って重ねて最早。丸丸弐年。
私達の愛を受け止めきれなくなったと思えばどこぞの乳臭い教母とやらの夫の座にちゃっかり跨ってらっしゃるとは
呆れるばかりですが・・・・弐年もの間私達にお預けを申し付けるとは至極至高の放置プレイで御座います。
正に私奴共の王たる売るまいに身が悶え引き締まる思いで御座います。
しかもご自分で命じて作らせた偽装用の勝手口から偲んで来るとはお馬鹿さんで御座いますか?
此の御身、確かに貴方様に捧げ尽くしておりますが、出会い頭に乳房の合間に鼻頭を突っ込むとは。
相変わらず特殊な性癖をお持ちで御座います事。・・・お帰りなさいませ。我が愛しき至高の我が御主人様」
しっとりとした黒髪の人雌がにこやかにも微笑むが言葉に遂げが突き刺さる。
「ぎゃんくぽっ」鼻を擦りながらも主人らしく振る舞うが痛みが残るから声が情けない。
「はっ、皆々も息災で御座います。屋台の片付けに壱名ほど人材を割いておりますが
後の者は日々の業務を片付け、この聖堂には御主人様のご帰還を祝い心待ちにしております」
「ぎゃっ」
「はい。丸丸弐年も放置して頂きましたが、施設の手入れもつつがなく。
街の情勢は段々と、否、かなり悪くなっては来ております。例の醜豚雄野郎白肌膨れ腹の小餓鬼族の配下共が
街の中に潜り込むほどでございます。新しく任命された勇者と討伐隊が奮闘しておりますが
なにやら乳の肉が大きくもだらし無く上手く剣を扱えないと聞いております」
乳の肉が大きすぎて剣を上手く振れない勇者とは情けないと笑い、ついつい癖で後背を付いてくる人雌の胸に視線が届く。
当然に刺さる視線を感じているのだろう。ピンっと背筋を伸ば尻を斜めに振れば大きくも形の良い乳房がぶるりと揺れる。
言わずもがなに当然の如く、ついさっきヒュッテンがおやつ代わりの二つ頭の蛇の串焼きと魚の半干物を買い求めた
露天屋台の戦争未亡人である。近隣の小餓鬼族と大牙鬼族共との戦争の時に若くして結婚した矢先に夫と親族を
奪われ殺され露頭に迷った所を蒼肌濁る魔物の小餓鬼族に拾われた。
尤も生活と人生を支えて貰う為には其れ相当の覚悟と其れよりもきつい試練が与えらた。
人種の身でありながら其の四肢と心を魔物小餓鬼族風情に捧げる事を誓わされ躾される。
俗に言うその辺の雑魚小餓鬼族に攫われ拐かされ巣城で犯され子を孕むのとは訳が違う。
あれはあれで快楽と苦痛を味わえる事に変わりがないが、子を孕み落とし小餓鬼族が興味を失えば捨てられる
戦争の捕虜にされるか柱車に手足を縛れ人質車となって本来、本来味方の人種に断腸の思いであっても突き出す槍に
腸突き刺されて絶命するしか道はない。蒼肌濁る小餓鬼族も魔物で有るし小餓鬼族である。
当然の如く四肢を貪れ犯され弄ばれるが刻まれる快楽は激しくも忘れられなくなる。
魔物本来の一方的な蹂躙と快楽、そして節度と慈愛で結ばれる強制的な快楽と主従関係。
それは魔物に仕えると言う背徳感と化物魔物に征服されるいう快楽を四肢と頭と心に刻む。
青肌濁る小餓鬼族の躾は厳しくも重い。与えられた試練の期間は何ヶ月も続くが超えた先にあるのは
それこそ至高至極の快楽と悦楽と深い慈悲の内に愛される喜びを与えてくれる。
決して人種の伴侶との絆では味わえない快楽と絆でもある。
蒼肌濁る小餓鬼族が下僕雌にこうあるべきだと求める事柄は極めて多い。
普段の服装にも規定規則が有る。
一番大事なのは主人たる蒼肌濁る小餓鬼族に仕えるという証。首に括られる黒皮の首輪。
彼に最初に仕え身と心を捧げると誓う其の日に鉤爪の付いた指で細首に括られ錠前の鍵が掛けられる。
だが然し、続きがある。ガチャリと掛けた錠前の対となる鍵を蒼肌濁る小餓鬼族は目の前でぼきっと折ってしまうのだ。
しかも持ち前の握力で鍵先をぎゅっと潰す。それも無造作に石造りの聖堂と呼ばれる床に投げ捨てる。
運良く破片が残る事は少なく、砕け潰された鍵の残骸は石床を跳ねて転がり岩穴の隙間に飛んで散る。
こうなれば蒼肌濁る小餓鬼族自身であってもこれから試練を与える下僕雌の首に括った皮首輪を外すことは出来なくなる。
「ああっ、そんなご無体な。なんて事を・・・・。有り難くも至極の幸せで御座います。我が愛しき蒼肌濁る小餓鬼族様」
縁切れてその皮首輪を外そうなどと試みれば大層な切断装置が必要にもなる。
一見にそこそこ柔らかい動物の皮に見えても人が思うよりも硬く切れにくい素材で作らているためたやすくは外れない。
其れ故に首輪を括った当人が其の鍵を潰してしまえばおいそれとは外せない。
例え手間と危険を乗り越えても、自ら誓って捧げた月日と想いが外れて消えるわけなど到底あり得ない。
外してしまえば、今度は外して閉まった事に後悔と屈辱と敗北の果に、かつて潜った聖堂の入り口で懺悔するも
その入口は決してその者を迎え入れない。一度千切れて砕けた皮首輪と縁が再び戻る事はない。
首輪の他にも小餓鬼族の主人は拘りがある。
曲がり鼻の小餓鬼族の裏聖堂と呼ばれるその扉をくぐれば下僕雌共は中央の聖堂広場に入る前に専用の衣服に自ら着替える。
黒布の高価な生地の衣服であるが格付けと個性と主人の趣味を繁栄した物であるが共通点もある。
黒革の首輪が絶対であると同じ様に雌の特徴といえばそれ。すなわち乳房は常にさらけ出していなければならない。
それは結構に間違いなく助平な小餓鬼族のギョロ眼を楽しませる為であり、最初の奉仕でもある。
女とメスとすれば大地の力で形が変わってしまうと嘆くが服にも工夫がされている。
着込む衣服の胸元が直ぐに取り外せる様にもなっているから、自分達の主人が聖堂に屯する時だけ
胸を覆えば良いのである。外出してる時は細針金が入った胸当てで乳房を支え目に留まる時ははずず。
それでも気にせず常に乳をむき出しにしてる者もいれば、それが主人が助平であり少々垂れていても
又、其れが良いと堪らず鉤爪指を伸ばしてくれば当然それは寵愛を受ける機会でもある。
まぁ誰であっても主人の寵愛を貪りたいのであるから、女と雌の策略で有る。
勿論下着と言う概念もない。最初こそ抵抗もあっても直ぐに慣れてしまう。
一応に前布があるから恥辱と視姦される快楽は薄れるが聖堂には来客も有る。
其れは其れで面倒でもあるが主人の言いつけであれば仕方もなくも歓んで受け入れるべきでも有るのだろう。
「それで、今月のお布施はどうなって居ますの?
我が愛しき蒼肌濁る小餓鬼族様がお戻りになり。今しばらくこの地と聖堂に滞在なされます。
先月までの様に御前を甘やかすつもりは全く御座いませんの」
「理解いたします。これまでは御慈悲を頂いておりまたしが。
本日からはお約束取りにお支払いします。はいっ」
其の街で人種の紙幣と魔物貨幣の交換両替業を営む人雄は目の前で退屈そうに見窄らしい玉座もどきに座り
脚をぶらつかせながら果物を齧る小餓鬼族と斜め後ろに背筋を伸ばしピンと立つ戦争未亡人筆頭の女に恐怖する。
それでもその光景をちょくちょく遮る人影が与えてる刺激に勝手に四肢が震えてはねして舞う。
「きちんとお布施を払い。
きちんと報告すれば蒼肌濁る小餓鬼族様も御慈悲をと褒美を与えて下さるでしょう。
快楽に溺れ狂う前にお話なさいな。この醜顔の両替商奴」
「有難う御座います。戦争未亡人筆頭様。
蒼肌濁る小餓鬼族様のお慈悲にすがりお布施のお支払いとご報告をさせて頂きます」
其れが合図で有ったかの様に歪に曲がった鼻を小餓鬼族が鳴らすと
戦争未亡人筆頭様の女が周りに控える他の下僕雌の内、左から二番目の女に顎をくぃと上げ命ずる。
其の瞬間。両替商の漢は歓喜に下腹に疼く一物を震わせる。
(格が上がった。これはたまらん。欲しかった女だ。これで儂もついに)
様々な理由で蒼肌濁る小餓鬼族の元に通う人種は意外にも多い。大抵は融資目当てであり当然、利子も高い。
だが其れよりも得る物が遥かに多いのだ。心付けと言葉使いに気をつけて敬意を示せば簡単に目当ての金が手に入る。
更に求められる些細な案件をコネと脅迫でこなせば見返りも多い。少々の悪行謎は気にならない。
そういう輩は知らずも図らず聖堂商い人と影で言われる事に成るが。其処には歴然とした階級がある。
蒼肌濁る小餓鬼族にどれだけ貢献したかと言うのが直接順位に繁栄されるからわかりやすい
貢献度が上がれば褒美の質が上がり、今与えられた女こそが褒美であり其の順位は4位。
前回までは5位の女であった。つまりは昇進である。この上ない喜びである。
誘うようにも淫猥な仕草で両替商の漢に近づいて来る間に其の下僕女はするりするりと衣服を脱ぐと
思惑以上にむっちりとした四肢を曝け出す。
「おおっ。これは」憚らずも声が上ずれば下僕女が甘い香りを嗅ぐわせ頭を掴んで強引に上を向かせ
大きくも張りのある乳房の押し付けて頭を抱きしめる。黒布の衣服をぬぎさった下僕女の四肢は
思ったよりもふくよかでもありむっちりとした体系である。言い換えればちょっと太めであるが
陽に晒された健康的な褐色系の肌と匂い咽る乳房の厚みが貯まらない。
下僕女が焦らすように艶めかしくもあつぼったい唇をくちゃりと開けて赤く湿る舌を突き出すと
口中貯まる唾液が舌先からこぼれ堕ちる。一滴も漏らして成るものかと大きく口を開けて下僕雌の唾液を貪ると
直ぐに美しい顔が迫ってくれば頭を無理に抑え込まれぐちゃりと音をさせ舌が口中に入れば絡む。
まるでそれは下僕雌の方が主導権を握り漢の口を犯しているように視えて思える。
それはきっと正しいのであろう。いくら女との交わりを経験したものであっても下僕雌が普段相手にしてるのは
人にも非ずと魔物小餓鬼族でる。人の漢等のが与えてくれる快楽などで満足するはずもない。
魔物と口づけてでもしてるのかのようにズルズルジュルジュルと舌を座れ吸い上げられては唾液が注がれ犯される
堪らず唸るも聞き入れて貰えず頭を振って逃れようとしてもガッチリと頭を抑え込まれ乳房に挟まれて居るから動けない。
「ぶはっ」苦しさと屈辱は快楽である。欲しいとねだった女が自分の口を犯し御前の味はわかったとばかりに
満足げに頭を華と無造作にも乱暴にいきなり其の頬を平手でバチンと張ってくる。
女であろう?雌であろうとその力の強さを疑うと腕っぷし任せに漢の下半身に手を添えてビリビリと腰巻き事
衣服を引きちぎ熱を熱くも未だ垂れる一物をこんな物かと汚物を観るように侮蔑と侮辱の眼差しを向け
ぺっと口の中に溜まった唾液の残りを石床の染みにと吐き出す。
こんな汚物を立派な物と勘違いしても女房や愛人の股ぐらに突っ込んでるとは笑止千万とでも言う様に嘲け嗤い。
されど後で主人の寵愛を受けられるなら仕方ない。仕方がないから相手してやるとばかりに嫌々であっても
その扱き技は魔物仕込である。根本から扱けば鬼頭を指で擦り上げ。頭を下げて熱い吐息かけ唾液で濡らす。
思うよりも自分自身が欲しがっているのか漏れる声に艷が被り。根本を扱く手に力が籠もって絞り上げる。
これみよがしにと反対の手の平を自分でベロリと舐めて湿らせ一物の切っ先鬼頭にこすりつけ握り
パクリと開く先端の小穴に指の平を押し付けてなんぞもこする。
「吸ってくれ。しゃぶってくれ。速く。速くっ。出る。出ちまう」
若くも無いくせに盛り付いた若者のその様で漢が強請ると駄肉と膨らむ胸に下僕雌がぐさりと指を立てる。
まるで御前は女でメス豚だと言う様に。漢の駄肉の胸を乳房に見立てて揉みしだく。
「堪らん。気持ちいい。逝く」魔物さえも快楽に導くであろう其の手技に溺れ上り詰めたいと
強請っても後にあの輩こそ自分の雄だと認めてしまう蒼肌濁る小餓鬼族の四番目の下僕雌が
大きく口を開けて漢の一物をくわえ込むが其れも又、快楽と苦痛に塗れる行為である。
人の動きに其れ非ずと加えた口の中で暴れ回る舌はとてつもなくも波打つ刺激を呼び起こすが
今にも達するとばかりの其の竿の根本を強引に鉄で拵えた万力の様な指力で抑え込む。
逝くに達せずな唸りすすり泣くも褐色肌の下僕雌は許すはずもなく。
扱き絞ればもどかしさと持続する快楽に溺れ四肢が痺れて膠着する。
苦しみと快楽と苦痛と屈辱が拷問の域に達しても止まず止まらずの其の様を
聖堂の見窄らしい玉座の上ではめんどく臭そうに口を開け下僕雌が器用に殻を剥く跳ね蜥蜴海老の身を食らう小餓鬼族。
愛しくも可愛い自分達の主人の頭を撫でて世話をしながらも凄惨とも言えるがまた稚技と戯れ言の
下僕雌に竿を咥えられ喘いで吠える漢の声が耳障りと顔を顰めて嘲笑する下僕雌が怠惰に蔑む。
「ほっ、ほっ、ほっ、報告します。小餓鬼族様・・・・。
さっ、さっ、さっ、昨今のこの・・・まちで・・・あんあんあんっ」
もはやこれまで築いてきた富と地位も人生も此の快楽には変えられないとばかりに悦に浸り
もう直ぐに屠殺されると知った豚の如くと聖堂の石床に手と脚を付いて尻を突き上げる両替商の首には
随分とごつくもきつそうな首輪が括られている。錠前がついてないのが責めてもの救いだろう。
尤も食通が祟り太くなった首に無理に括られた首輪であるから肉が閉まり満足に顔が動かせないでもあろう。
錠前の無い首輪のかわりに金具が付いている。当然に金具には鎖が長く垂れてつながりるも
それも当然とばかりに褐色肌の下僕女が握るが其の腰には漢の竿を模した張り子が括られる。
後は想像するのもたやすくも目の前に突き出た面皰吹き出る尻肉をがっちり掴んで腰を突き出し
拍子をつけて腰を前に突き出して雄豚を犯す。最早其れとしか表現できない悪夢がずっと続いてる。
報告すると宣言しても褐色肌の下僕雌が満足するまで終わらないだろう。
大体してそれが褒美であるな義務も果たさなければならないが
褐色肌のげ下僕雌が久しぶりに新しい雄豚の躾に没頭する限り、喘ぎと濁音混じりでは上手く聞き取れもしない。
仕方ないから暫し間、格付け二位の下僕雌が其の都度書き留める日記もどきの報告書から抜粋となる。
蒼肌濁る小餓鬼族が依然は昔、月日を重ねて聖堂とやらを築いて久しいその街。
当然にその目的は自分の自慢の鼻を馬乗りになって曲げてくれた白肌膨れ腹の小餓鬼族・主王の敵撃ちの為である。
彼奴とは因縁を刻んで久しいが力の差があった。片やす既に確固たる地位を獲得し力を誇示し
次に狙えば近隣の背筋を伸ばして歩く人種の街である。蓄える力と捕虜の数は夜に付きが顔を見せる度に大きくなっている。
対となる蒼肌濁る小餓鬼族は運悪くも次男坊である。親運には恵まれなかった。
今だ自分の群れを持たず巣城もない、言わばはぐれ小餓鬼族でしかない。尤もこれは語弊がある。
小餓鬼族の地位を示すのが腕力であれば財力と言う物にはあまり興味も意味がない。
勿論、知能知性が無いわけではないから魔物同士の間では時に物々交換や魔幣での取引も行う。
尤もそれらは欲しい物を手に入れる為の方法手段であり其れだけである。
欲しい物を手に入れるだけの魔幣が手元にあれば良いのだ。魔物同士や人種の商売に勤しむ小餓鬼族も
多いといえばそうであるが仕入れに必要な額とか寝床と食事、しばらく暮らせるだけの蓄え。
精々、其れくらいであろう。もっと高い意識を持って商売に望む小餓鬼族もいるが
その舞台が人種の世界となれば一筋縄では行かないだろし、大体にして小餓鬼族は純粋すぎるのだ。
人種の商売世界で生き残るなら時に悪事も悪行も同時進行で行わければならない。
それに気づいて行動を起こす小餓鬼族も多くなって来てるが既にその先を行き富を山々と築いたのが蒼肌濁る小餓鬼族である。
故に片方は親から受け継いだ巣城とその配下。腕っぷし一つで暴れる白肌膨れ腹の小餓鬼族。
対して撃つのは人種の世界で稼ぎ集めた銭と外世界の経験知識を蓄える蒼肌濁る小餓鬼族と成る。
暴力と小餓鬼族本来の強欲さで暴れる白肌膨れ腹の小餓鬼族と今は未だ域を細める蒼肌濁る小餓鬼族。
極近くの其れにお互いの力と鼻を掛けて合間見れるであろうが。蒼肌濁る小餓鬼族としては今は準備期間だ。
だが然し、それもゆっくりとはしてられないらしい。
元々この街も彼奴等との戦争に突入して歴が長い。街を守る兵士は倒れるの速く失うのはもっと早い。
だからとって補充すると言っても人種の成長は遅く子供が大人に成るには時間がかかる。
反対に小餓鬼族は其れに比べ短い時間で成長し戦士として錆びた剣でも扱いを覚えるのもやっぱり早い。
戦争になれば幾ら知性豊かな人種であっても頭数と捕虜を匠に使う小餓鬼族には手を焼いて当然でもある。
ましてや人種の祭り事は魔物から見れば複雑であり幾人もの輩が手を上げ吾が一番であると声を枯らして騒いだり
いざ、落ち着くとなにやら決まり事がああだこうだと更に喚く。
ままならぬ祭り事と慢性の人材不足とも成れば相手がいる戦争の雲奔りは悪くなって傾くばかりだ。
極小餓族・小餓鬼族・大牙鬼族・御山男族。幾つか抜けているし、確か真ん中くらいのも居るはずであるが
御山男族がこの街に現れていると言う事に蒼肌濁る小餓鬼族は吃驚仰天とばかりにお茶を吹き出す。
御山男族、極めて体躯が大きく粗暴であるが、その個体数は言われるほどには多くはない。
結構居広い東の尾根の向こうの魔森の奥にポツンと集落が一個か弐個あったような位の記憶しかない。
尾根向こうであるから相当の距離だ。粗暴であっても寒がりな御山男族共が好き好んで
こんな所まで降りて来るはずもない。あの単細胞の白肌膨れ腹が何か妙案でも使ったのだろうか?
其れはあり得ないと思うから偶然にも頭が回る奴が手下にでも加わったのだろう。
そんな奴が街で暴れたら全滅であろうがとうなれば
乳がでかすぎて満足に剣を震えない女騎士が此処ぞとばかりにいい加減に振り上げた剣先が
神の慈悲かあるいは本当に偶然かやっぱり偶然で有るっとばかりにその手からすっぽぬけ
神風の如く疾走って刺さったのが御山男族の弱点、右首の筋にぐさりと刺さり悶え膝を付いた所を
待ってましたとばかりに街人と余った騎士共が槍と先を削った棒で突き刺して仕留めたと返事が帰る。
随分と長い武勇伝の割りに情けない話で有ると腹を抱えて嗤うがどうやら本当の事らしい。
信じがたい話ではあるが興味も深い。
一度その乳がでかすぎて満足に剣を震えない女騎士の立ち姿を拝んでみたいと思えば
その日は意外と直ぐにやってくる。
「其の腰巻きは女物ではないのか?店主殿・・・」
「こっこれは。騎士様。れっきとした漢もので御座いますよ。中央区で次に来る最先端の流行です。
私も商売人の端くれでございますからね。流行りは常に押さえて起きませんと。ははっ」
「そうなのか?私は中央区に居を頂くが漢が其の様な物を巻いているのは観たことがないぞ?」
「こっ、これから流行るので御座います。何なら私が流行らせて魅せるのです。はいっ。
本日はどの様なご要件で?」
「うむ。先日の御山男族退治で名声高くも褒美を頂いたが変わりに剣をうしなったのだ。
丈夫で私が振っても胸が邪魔にならずスッポ抜けない剣が一振り欲しいのである」
「ああっ。あのお話ですね。
ご活躍の噂はかねがね聞いております。噂に違わぬ程に見事に育った胸で御座いますな。
まったく羨ましい限りでござっます。否、こちらの話で御座います。有るもので満足するのも又心得ですね。ハイ」
「付きましてわ。この剣等はどうでございましょう?名工が鍛えた紛いう事無く素晴らしき一振りで御座いますよ」
前にも剣をこの店で新調した事が有るのだが、何故か店主の態度が随分と違う印象である。
まぁ小太りであるし、そう簡単に人は変わる事はないとおもっても随分と物腰が柔らかい。
言い訳がましい台詞ではあるが何故か嫌味がないと思えば異性と接してる感じもない。
ちょっと心配にも成るが柔らかなもの仕草で奥の棚から携えてきた一振りの剣は正に名工が打ったものであろう。
「では。これを貰おう。助かる」
「いえいえ。此方こそであります。これからもご贔屓に」
深々と頭を下げて見送ってくれたのは関心するが弐割ほど代金を負けてくれたのは買って不気味であった。
あの女物の腰巻きの事を黙っていろとの口止め料だとでもいうのだろうか?
「鎖を賭けろっ!鎖を賭けろと言って居るのだ。
聞こえないのか此の馬鹿者共」
甲高くも聡明でもあり強い意思が感じられる声が路地に響く
「引くなっ。腰に力を入れろ。ペッピリ腰になるな。漢の癖に」
前回の時から一週間と間を開けずにも装いを覆すと街中にあの忌まわしくも因縁めいた化物御山男族が現れる。
運も悪いしめぐりも悪い。此の前は右翼街に現れたから今度もそうであろうとたかを括って兵共を其処に配置し警戒していれば
其処はもう壊したぞとばかりに政府庁の有る中央区画にドスンと
尻を地面押し付けゴロゴロと転がる始末だ。
お陰で日々の疲れを癒やすお気に入りの大浴場が見事に尻の下敷きになってしまい、
明日からどうやって疲れを癒やせば良いんだと内心落胆もする。
勿論、そのまま頬って置けば被害が広がり大浴場ところか、今度は市場も喫茶街も岩の藻屑と化してしまう
「此処で。食い止めるぞ。これ以上進ませると私のお菓子がなくなってしまう。甘い物が食べられなく成るだぞ。
乙女の癒やしを踏みにじる怪物奴。覚悟しろ!
全体っ。前ぇへ~。へっぴり越しはやめろ。馬鹿っ」
人の体を立てて並べるとおよそ三つ位の背になると言えばわかりやすくも其処に肉が付けば最早巨人である。
もっとも御山男族であるから小餓鬼族よりも人種よりも遥かに大きいのは当たり前である。
眼の前でお気入りの喫茶街をその大きな尻で潰され愕然としながらも憎しみを込めて声を張る女騎士。
天誅くだすべしと猛り吠えるが良いが何故か不格好なのはしょうが無い。
なにせ字名も二つ名も乳房がでかすぎて満足に剣を振るえない女騎士事、マリアーゼ・フェミアール・オニクダイスキーである。
不格好と言うのは騎士であればこそ鍛え上げた腕には筋の肉が付くのは当たり前ではあるのだが
何せ家柄も裕福で高名著名であった故に食べ物、と肉に肉類には事欠かず少女から大人へとすくすく育つ其の頃にも
たんとお食べと積み上げらた食物を残さず食べるべしとの先祖代々の家訓を信じ食べてしまえば肉がつく。
母がそれほど胸に自身があったわけでもないのだが、どうやら祖母の体質に似たらしく
四肢は細身でこそあれば肉の油と栄養が行き渡るのが乳房と尻と成れば豊満な体とすくすく育つ。
世に言う巨峰霊峰の如き乳房とやらより二周りほど大きく育てば最早、神の如し。
成人すれば当然に文官か騎士の道かと決まっているから元々体を動かすのは隙なマリアーゼは迷うこと無く騎士となる。
だが然し、戦で悪鬼の如き小餓鬼族を叩き切るのは胸が邪魔であった。どうしても乳房が邪魔になる。
大体にして最初から重くて肩のこる乳房の上に其れにわせ職人に特別に作らせる胸当て鎧を着込むのだ。
どうしても動きが鈍くなり、時に風のごとく素早く剣の切っ先を避ける小餓鬼族を切り倒せるはずもない。
対には諦めて特注品の胸当て鎧を捨て去り最低限の揺れを軽減できるように固めの生地布で胸を覆うだけにする。
戦さ場に出る度に相対する魔物共もわかっているのか顔や手足に傷を刻んのであるが何故かその乳房に
は一本の剣傷を与えようとしてこない。中には堂々と目の前にやってきてはマリアーゼの乳房を視感し
おもむろにどこから強奪して来たのか、人種が使う金貨を鉤爪の手平一回に乗せて
一回で良いから乳神の如くの乳房を嬲らせてくれと手振り身振りで哀願してくる小餓鬼族もいれば。
自分の鼻を指さして吾の雌にならないか?嫁に来ないかと本気で口説く馬鹿も居る
その神々しくも巨躯を誇る乳房の前に膝を折り膝をつき種族特有の仕草せ拝み倒す極小餓族共も居るくらいである。
当然に鬼の如く激高し剣を振り上げおろしても乳が邪魔で体勢が崩れ不格好な一撃と成るから
どうしても当たらず其の隙に小餓鬼族共も退けてしまう。
その乳房がでかすぎて満足に剣を振るえない女騎士が武勲を上げたのが先日の御山男族討伐の功績である。
尤も其れを功績と褒めて称えるのは甚だに疑問も愚問も有るだろう。
あれは偶然だと唾を飛ばす輩も確かに居る。マリアーゼ自身もそう思ってる。
街に現れ遥かに自分の身の丈を超える御山男族と対峙して怯えて四肢が振るえたのも事実である。
それでも責めて一太刀あびせ一矢報いれば騎士の誉とばかりに振り上げた剣は勢い余って手からすっぽぬけ
運良くも悪くも御山男族の首にぐさりと刺さる。其処が弱点であるとは知らずも叶わずもんどり打って膝を付いた
御山男族に待ってましたと鎖縄が掛けられ身動きを封じるとこれもやっぱりまってましたよ唐変木奴と
兵士ところが待ち人達が手に持った石と削った棒で突き刺してやっとの思いで仕留めて魅せる。
噂話は事実であるがマリアーゼとしては情けない。自分は只、剣を振り上げ投げただけである。
それも乳房が邪魔して非ぬ方向にすっぽ抜けて勝手に剣が飛んでいっただけである。
其れを武勲と言えないのはマリアーゼ自身が良く知っていた。
「くそっ。縄鎖がかからぬなら大砲を仕え。砲手共。急ぎ、準備出来次第砲撃初めっ」
人の身との丈を軽々と超える化物魔物となると其処が政府庁の側でも構わない。
既に市民の憩いの場と喫茶街が潰されマリアーゼの乳房を育てた肉専門市場が狙われてる。
彼処を潰されたら野菜と魚しか食べられなく成るのだ。
「死守しろっ、お肉の市場だぞ。彼処がなくなったら。お野菜と魚の毎日なんだぞっ。
死んでこい。ちょっと御前突っ込んで死んで来い。骸くらい拾ってやる。塵取りと箒で掃いてやるから行って来い」
食べ物の事になると悪鬼も逃げ出すほどの閻魔の形相でマリアーゼは若くも怯える兵士を大声で叱咤する。
そんな事言われてもと断ろうとすれば。
「御前、童貞だろ。童貞だな。ほら、人生の夢を叶えてやるぞ。光栄に思え。このウスラトンカチの童貞騎士野郎」
そうと言い放つと若い兵士の手首を強引に掴んで女神の乳房とも呼ばれる胸に押し付け二度参度と揉ませ
ガバっと腕をひろげ頭を谷間に挟んで包容する。
「はいっ。人生は初の女の乳房の味はどうだ?。何だと布越しは嫌だ?生が良い?
馬鹿者奴。百年早いわ。良し!これで思い起こすことはないな?行って来い。骸は拾ってやる。塵取りで」
神の如く、否。乳神の抱擁を受けその感触を味わい頭が惚ける若い兵士の背を蹴飛ばしてマリアーゼが吠える。
「頑張れ~~~。勇者。名も知らぬ。お馬鹿な童貞君。頑張れぇ~~~。逝ってしまえ~~。帰ってくるなぁ~~~。
あぁぁぁ~~~。いわんこっちゃない。あんなぺっぴり腰じゃ~~。無理だって。情けない。
よし、次の志願者は誰だ?ちょっと位舐めても良いぞ?先っぽとか」
掛かってこいとばかりに瓦礫の上で腕を広げ乳房を突き出すがその谷間の快楽を味わった数秒後にはあの巨大な御山男族の
尻で潰されるか振り回す腕が偶然当たって空から崩れ落ちる建物の残骸に頭を潰されるのである。
漢の本能を満たすか絶命と言う人生の終局を選ぶか若い兵には天秤にかける度胸もない。
「全く。最近の若者は良くに溺れるとも甲斐性もないのか?これだから年下は嫌いなのだ。もっと気骨の有る・・・」
それでも弐名か参名の正しくも勇敢で愚かな若者が華と散ったお陰でマリアーゼの背後から大砲の準備が整い号砲が唸る。
「そこだっ、殺ってしまえ。悪霊退散。殺ってしまえ。あっかんべーだっ」
特にお肉が大好きと貴族同士の見合い書状に書き記す事を忘れないマリアーゼであるが時々付く悪態は酷すぎる。
全くどこで覚えてくるのやらとちょっと貧乳気味の母君が嘆くのはさておきに。
大筒轟音響くのが肝心の砲弾が当たらない。あれだけ大きな的であるに関わらずである。
鉄筒に詰めた火薬に火を押し付けて爆発させ轟音激しく真っ直ぐ進む騎士団自慢の砲撃が尽く外れてしまう。
答えは極々に極めて簡単である。
砲撃と言うのは真っ直ぐ飛ぶ。恐らく大抵は砲弾の玉を人種が其の眼で観る事は出来ない。
人種の動体視力では砲弾の速さに付いて行けないからだ。
だが然し、相手は魔物である。独特の感性と視力を含めその性能は人種を軽く凌駕する。
「よっ。避けていると言うのか?砲弾が見えると言うのか?」
次は僕の番ですと乳神の抱擁に抱かれたいと自分の顔を指差す若い兵士を蹴飛ばしマリアーゼが吠える。
正に其れしか答えはない。人には視えぬ速度で弾け飛ぶ砲弾を胴体を右に動かしてひょいと避け
今度は左とばかりに腕を上げて交わし、おっと危ない今度は息を吸い込みは出っ張った腹を凹ませて避ける。
「あれは・・・。あれは真逆、世に聞く噂の動けるおでぶちゃんではないか?
怪物魔物の癖に動けるおでぶちゃんとは卑怯だぞ。ちょっと動きが可愛いおデブちゃん奴」
驚愕の余り野次の一つも履きたく成るが迫りくる騎士団の必死の一撃等屁の河童の如しと
手を振り上げては玉を避け、腹を突き出しては腰をひねって玉を退ける。
砲弾の数が増えも其れに合わせて手を振り脚で地面を踏みしめればまるで大芝居舞台の踊り娘の様に
といえば大げさで滑稽であるがスッテップを踏んで踊れば巨躯の魔物であっても目を奪われるダンスである。
「あっ。いかん。下がれ。皆下がれ 来るぞ。来る」
騎士団砲弾兵が構撃つ其の砲弾は二連式である。一度の作業で弐発の砲弾を打てる。
マリアーゼ達が身をよせる広間の横壁の右側。つまりは御山男族皮から観て正面とである
其処に並んで構える大砲は六機。一斉射撃で壱拾弐発。其れをうち尽くせば砲弾詰めの作業が必要になる。
それは隙になる。魔物の全てが馬鹿ではない。歌って踊れるおでぶの御山男族なら尚更に。
待ってましたとばかりに大地に身を屈め手を付いて脚を踏ん張って勢いを付けて転がれば
天地真逆の大玉転がし。成れて居るのかそれとも自慢の技なのか。轟音大地揺るがし瓦礫を潰し
大回転の大玉転がしが逃げ惑う兵士と待ち人を蚊虫の如くと逃す潰し血染みとばかりに大地に跡と残す。
当然の如く勢い止まらず広場に据え置かれた大砲の群れな鉄の飴の如くと潰される
周りの赤い染みは逃げ遅れた砲弾兵の肉跡だろう。至る所に染みがこびり付いている。
魔物御山男族は咆哮を挙げる。
空の空気を震わせ、大地を踏み鳴らし背に腕と背にこびり付いたばかりの人の血染みを戦利品とし
乱杭歯をむき出し喉震わせあらん限りん雄叫びをあげて巨大な拳でドンっとひとつ胸を叩く。
騎士団砲弾兵を滅殺したからではない。それは勝利の方向などでもない。
それはこれから始める殺戮の合図である。自分が一番槍を取るのだと戦争の始まりを歌う雄叫びである。
前回の御山男族討伐の栄誉を糧としてつい先日正式に聖騎士団副団長の任に付いたばかりの
マリアーゼ・フェミアール・オニクダイスキーは其の脱力した手からカランと剣を大地に堕とす。
「ああ・・・」小声であっても確かに自分にも周りにも聞こえた嗚咽が確かに漏れると勝手し四肢が結える。
乳房が揺れると視えてもそれは全身の身震いであり震えがとまらない。
自分の体を自分の腕できつく抱きしめると恐怖に背筋を支配され同時に膝がふるえて力が抜ける。
自分の脚が思い乳房と体重を支えなく成れば糸が達きれた人形となりてペタンと地面に尻もちを付いてしまう。
「みっ、観ないで。観ちゃ駄目」そう云うのがせいっぱいであった。
告げる暇ものなく、背筋にベッタリと張り付く恐怖は本能的な刹那に下腹部を刺激する。
ちょろちょろと最初こそ少量であっても耐えきれず大量の恥水が股間から勝手に漏れ出し止まらずも地面に溜まりを作る。
マリアーゼは失禁した。
女で或ろうとも騎士団の騎士である。その騎士が化物魔物の咆哮に怯え自らの死を悟り
恐怖の余り防衛本能もまともには働かず絶望の余り失禁すると言う恥辱にまみれた生理現象だけ行われる。
「ああっ。駄目・・・・。溶けていく。溶けていく」
それは全てである。騎士としての誇り。今日その日まで積み上げた剣と刃の修練と証
人種として生き、生活を営み誰かに寄り添い誰からに支えられ。誰かを愛したはずの人生が
自分の股間から流れて逝く水と一緒に流れ溶けていく。
「殺せっ。殺してくれ・・・終わらせてくれ」
淡麗美しくも整う顔が嗚咽に歪み撓む唇から死を願う言葉が呪詛と紡がれる。
広場を囲う壁の横側になにやら座り込む人種の雌がいる。
其の周りにも幾ひきか絶望に塗れた顔で此方を見上げる人種共の屑がいる。
どうやら取りこぼしが居たらしい。まぁ拳一つで方が付く。
面倒であるが其の衣服とやらを剝いて裂き。そのまま喰らっても悪くはない。
本来なら大鍋で煮込んだ方が美味であっても、つまみ食いがてらの踊り食いなら腹を壊しても悪くない。
ドスンと脚の位置を変え啜り泣く雌をつかもうと拳を開いてにじり寄る。
閃光一閃。正に光矢一閃。轟光一閃。
涙で濡れる其の合間に眩しすぎて目を覆うところか見開き動けなくなるほどに疾くも輝き
一閃の矢が御山男族の顔面に突き刺さる。
光印輝く一閃のそれは正確に御山男族の顔面にぶち当たると光の尾を引き一度跳ねて
二度目に地面に着地する。其れは冗談も英雄飛びとも言われ大げさな魅せ技にも観て取れる。
尾を光の姿正体が其れこそ体躯小さくも小餓鬼族で有ると知るのは時間が掛かる。
「ぎゃっ」と小餓鬼族が鳴いてこれ見よがしに何が起こったかとも頬を撫ぜる御山男族をスクッと見上げ顔をあげる。
「よっ。大統領。待ってましたぁ~~。がきやぁ~~。たまやぁ~~」一閃の矢が跳ねると兵士共が吠えた。
何を言っているのだろう。恫喝煩くも怒り激しく振り下ろすでかい拳を小柄な小ぶりは意図も簡単に跳ねて避けて魅せ
同時に短い腕でも正確に変わった形の短剣で斬りつけてしまう。
たかが小物の小餓鬼族が握る短剣如きの筈である。巨躯を誇る魔物であれば皮膚も硬い。剣に切らえれば痛みが奔るも
其れ以上の痛みが拳に奔りそれは激痛ともいえる。人種の血跡を肌に染みと残しても余りの痛さに例え類しても正しくないが
人が焚き火の焔に間違って手を突っ込んで慌てて引き抜いた様に良く似てるとも言える。
先ずに最初に何が起きたかと言うのなら。
遥か先とも言える距離から跳ねた蒼肌濁る小餓鬼族は御山男族の顔面に体を丸めぶつかって体勢を正しす同時に
鋭い鉤爪で肌を焔っかき印と儀式とする。これは御前を必ず殺すと言う小餓鬼族の必殺である印でもあり宣言だ。
それは特に痛みも無いから何をされたかと頬を撫でても意味はない。それはトドメの印であるからだ。
地面に着地すればすくっと睨んで顔を上げ頬まで裂けた口を歪め巨人を煽る。
この野郎。何しやがるとばかりに拳を握って殴ればそれも交わされ直後に豆粒程の短剣で傷を付けられた。
だが其れは痛みに鈍い御山男族が慌てて後ろに体を下げる程に鋭くも熱い痛みを与えられる。
それがこれまでに起きた事であっても遠目に見つめる人種達には全てを理解する事は無いだろう。
「あっ。あれは小餓鬼族?只の小餓鬼族が御山男族を狩ろうとでも言うの?」
「小餓鬼族です。副隊長。無理です。普通なら。絶対に無理です」
マリアーゼの乳神の愛の抱擁を次は自分の番だと待っていた若い兵士が驚愕に口を開けて漏らす。
「でも。それならとっくに潰されてますよ?なのに痛みにたじろいだのは御山男族です。
あっ。あり得ない。あんなのありえない。小餓鬼族ですよ?小餓鬼族が・・御山男族の拳を」
激昂し地面の染み跡にしてやるぞと渾身の力と体重を乗せた拳。
確かに其の下敷きになったとも視えた筈である。だが然し一瞬閃光光ればガキンと音が響き拳が弾かれる。
潰れたはずの小餓鬼族はくるりと転がり地面上で膝に手を添えて次に備えるが
拳を弾かれ衝撃と痛みでブンブンと手平を振って痛みを誤魔化す。
其れが一度なら未だ知らずも、さっきはまぐれとばかりに反対の拳を打ち付けれても
又に再びガチンと光瞬いて痛みと衝撃に御山男族の拳指が腫れて歪む。
「どうなっているんですか?副隊長殿?
あのちっこい小餓鬼族がでかい御山男族の拳を弾いてるですよ。どうなっているのですか?」
「遠方の大陸の果にの小餓鬼族は其れこそ自分より大きな獲物を獲物と餌とするらしい。
四肢の動きのそれを音と同じ速さまで極めぶつける事で仕留めるとか・・・それでも体格が違いすぎる」
自分の目を嘘だと信じ口を開けて惚けるマリアーゼのかわりに物知りを自負する誰かが答える。
それが誰で或ろうとも確かに目の前の光景は其れに類するやもしれない。
幾度も幾度にもブンブンと振り下ろされる巨大な拳を音と閃光で弾けば
コツが分かってきたばかりに余裕でもあるのだろう。ガキンと音を鳴らして硬い拳を弾き
次の一撃が来る前に逆手に短剣を持ち替えてみたり、両手合わせて突き堕とす腕の隙に
短刀と手の間で弄んでる始末である。其れも基本的な体躯の差は埋まらない。
守勢から攻勢に転じる機会を睨んでいるのかそれとも只ひまなのか
しばらくは拳と変わった形の短剣の攻防が続く。
「お~~~ほののおほほのほっ。
大陸一番の大道芸人。ちがっ違うから大陸一番の焔使いシュールストレミングソレヌ。
此処に推参で御座いますの。しゅっ、主役って聴いたのですの。主演女優って聴いたのですの。
なのに冒頭で一発芸の花火打ち上げただけで跡は鼻のまがった小餓鬼族に主役奪われてますの。
女優よ。女優目指して居るの。私。大道芸人じゃなくて女優がいいのっ。
いざに今宵に奇術師の天冥に置いて其の名綴ればシュールストレミングソレヌ
吾。其の力、解き放ち滅して放てば大花火。強いて燃やせば焔の死華、咲かせて見せよう悪の華。
断じて見せよう魔物の命。燃えてなくなれ雌の敵、醜男巨漢の竿漢。
滅しろ。奇術師シュールストレミングソレヌの惟一絶対の焔華火爆殺根絶滅殺砲弾っ」
突然に若い少女の声がやり合う小餓鬼族と御山男族の後ろで吠えて叫ぶ。
言うべき口上を時間を掛けて挙げる間に蒼肌濁る小餓鬼族のは御山男族の拳を参回も弾く。
長い文句と台詞と口上を吐き出すと其れも又、光一矢一閃の如く真っ直ぐに飛んだ奇焔石の先で
御山男族の拳が焔に包まれ爆発し砕けて弾ける。
「あれ?すごい。わたしってすごいじゃん。主演脹れるじゃん。やった主演女優だわ」
予想だにぜすも思わぬ助っ人の登場で隙が出来ば今が好機とばかりに振り向いてこっちを見ろと小餓鬼族が喚く。
「何?なんなのよ。脇役の癖にでしゃばらないで?
え、なに。御尻でも痒いの違うの?どうしろっていうのよ。主役泥棒の小餓鬼族ちゃん。
あっなるほど。わかった。云々。殺っておしまい。圧して参りますのです」
どんと燃え上がり弾けて血飛沫をあげて弾けた御山男族の拳は最初から蒼肌濁る小餓鬼族が仕込んだ策である。
其処に偶然にも奇術師シュールストレミングソレヌが投げた奇焔石が当たって爆発しただけである。
蒼肌濁る小餓鬼族が御山男族の拳を弾く時に刻んで埋めたのは浸透性の火薬液体であった。
扱いが難しいが鉱山の爆破採掘にも使わられる物で岩壁に染み込ませて使用するが結構な貴重品でもある。
思わに反撃に狼狽するが怒りが其れを無視し渾身の拳を振りあげるが、
其の瞬間に小餓鬼族が二の腕に飛びついてニヤリと嗤う。振り払まえに飛んで逃げると直ぐに何がが当たり
爆発して肉と血が爆ぜるて丸ごと腕がドスンと千切れて大地に転がる。
激痛よりも意識が途切れて地面に膝を折ってたえれば其処に小餓鬼族がピタリと張り付く。
やられるっと恐怖が胸をしめつければ当然にコツンと石が当たって膝が吹き飛ぶ。
残った腕をつぱってなんとか四肢を支えれば又も腕に張り付く小餓鬼族と飛んでくる小石。
其れに続けば爆発と御山男族自身の血と肉である。
何度か悪魔の如くの所業が繰り返され最後には地面に転がる御山男族は満身の力を振り絞るが
出来た事はうつ伏せの儘で地面に転がり自分より何倍も小さい塵のような小餓鬼族の方になんとかやっと顔を向けるくらいだった。
最後に残ったトドメの一撃を放とうとする奇術師の少女の投げる石を其処に投げても意味がないと
「ぎゃっ」と鳴いて蒼肌濁る小餓鬼族はすっと腰から短剣を握り蒼い舌でベロリと刃面を舐めてから
最初に約束したぞとばかりに下品に嗤って御山男族の顔面こそ印を付けた場所にぐざりと投げる。
あとは思惑通りに御山男族の頭が綺麗に爆発し吹き飛ぶのは当たり前であるのが。
「ちょっ、臭~~い。何よこれ。御山男族の脳みそ丸かぶりって何よ。乙女なのに。
はっ。大浴場潰れたのよ?どこで洗えっていうのよ。この大馬鹿小餓鬼族君」
目測を間違ったわけではない。間違ったのは距離である。しかも一番最初に仕込んだ罠である。
時間経過と共に御山男族の体内に深く浸透した分。逃げるべき距離も多く取る必要があった。
計算違いも甚だしく。臭い臭よいと血肉が飛び散れば奇術師の少女も蒼肌濁る小餓鬼族も丸かぶりの憂き目に合うのである。
「どうしてくれるよっ?うら若き乙女の肌が第無しよ。ありえないわ
臭っさ。臭いのよ。入浴料と洗濯代はらってよ。あと参時のおやつの苺お好み焼きも上乗せしてよ
あっ、小餓鬼族さん、格好いい。鼻の曲がって小餓鬼族のイケメン君。素敵。でも主演女優は渡さないわ」
言ってる事の全部はわからないし、ぎゃ~~ぎゃ~~頭の上から腸を被った姿で騒がれても貯まらない。
何より一緒に自分も大牙鬼族の脳みそ腸を被ってる。疾く洗い流したいのはこっちである。
それでも手を貸してくれた助っ人であればこそ。ギャンと鳴いて金貨を数枚弾いてやる。
共に強敵打倒して殺ったとばかりに互いに顔を見合わせ突き出す少女の手を傷付けないように
手平を大きく開き握手を交わし奇術師の少女と蒼肌濁る小餓鬼族のニヤリと嗤い合う。
魔物討滅騎士団・副団長。其の乳神にも勝ると言われるマリアーゼの冥土の土産の愛の抱擁を
次は自分の番だと顔を指刺した童貞の若い騎士。
彼はその日の打ちに騎士団百人組の隊長に昇進した。
勿論、意図したわけではない。寧ろ必死に声を荒げて抗議さえしたのだ。
大牙鬼族討滅の知らせが自分達こそ我先にとばかりに地下壕にこもった役人達に討滅の知らせが入った時
それは不味いと役人達は口々に吐き捨てる。
本来、騎士団の力と剣で討滅すべき討滅するべき化物であったが、実際は砲弾部隊を初め歩兵部隊も
その他も殆壊滅状態に追い込まれしまった。では誰が打ったのだとわけいて正せば
一匹の肌の蒼い小餓鬼族と奇術師の少女ですと答えが帰ってくる。
指揮した者はどうしたと次きけばこそ、戦いの跡にその姿さえくらましたと報告が荒れる。
なんという失態であるかっ。なんという戯言であるか。
街の損害は目に映るまでもなく凄惨で被害も多い。所有する兵力の半分を投入して
戦果を挙げる所か兵も資源もそこ減らし、結局は騎士団意外の者に手柄を横取りされる。
其れも何処の化物と分からぬ小餓鬼族と大道芸人紛いの奇術師にである。
幸いな事にも魔物討滅の現場に祝わせた者は多くもなく、皆所属は騎士団の兵である。
厳かにも役人と騎士団長の勅命。寧ろ慟哭一喝で事実は証拠隠滅の如く密書の隅に封印される。
[騎士団壊滅の危機に陥るも。騎士団砲弾兵の不当により見事相打ちにて魔物撃ち獲ったり]
其れが政府庁が正式に嘯いた事実である。
これに対し真か嘘かと騒ぎ疑う声も大挙と上がるが、何せ現場で命を拾った兵士共も
皆それぞれに褒美と昇進の賄賂を受け取っている騎士として何ひとつも出来なかったと自念の沼に
落ちれば黙っているのが得策であろう。
何時の世も、実はあれは嘘だったと後から皆が知るのはずっとずっと後の事である。
副騎士団長・マリアーゼは前線から逃亡した。
少なくても政府庁の見解ではそうなっている。確かに事実に近い事でもあろう。
奇術師と拳をあわせた蒼肌濁る小餓鬼族はあまりに臭い御山男族の腸臭に辟易しつつも顔を上げた。
やれやれとんだ災難である。もうちょっと離れてから短剣を火打短剣をなげればよかった。
人種より敏感な自分の鼻を呪いつつもぎょろりと目を動かすと其処に騎士らしき雌が居た。
随分と不格好でもある。顔立ちは良いくせに目の周りに涙隈を作り口をポカンと開けて涎も垂らす
地べたに尻を付けてると観れれば、失禁でもしたのだろ。岩板が黒く濁るのは水が撒かれた証拠である。
戦場で騎士であるなら剣柄を握り最後まで立って居るのが騎士である。
其れが見当たらなくも地面に捨て転がるなら騎士道も捨てたとも観て取れる。
やたら大きな乳房を自分の腕で抱きしめ嗚咽を漏らし鳴くのは印象的ではあるが。
蒼肌濁る小餓鬼族にしてみれば、ちょっと乳房が大きい只の人雌としか映らない。
寝床聖堂に戻れば五人六人と自分に仕える人雌共が乳房丸出しで待っている。
今は其れより、鼻に付く罠の一つも見抜けない馬鹿な御山男族の腸を水に流したくしょうが無い。
それでもある。何か気になる事でもあったおだろうか。単純に大きな乳房が気になったのか。
それとも只の悪癖きまぐれか。蒼肌濁る小餓鬼族は人雌の方を睨むとぎゃっと鳴いてクイッと顎を挙げる。
たったそれだけ有る。
光一閃。疾風一閃。轟音凄まじくも御山男族の拳を弾く妙な形の短剣の打撃音。
それに続くは礫と知っても奇術石。爆破激しくもそれは騎士団の砲撃よりも凄まじい。
事が終われば静寂の中に腸被りの蒼肌濁る小餓鬼族と少女が一人
言葉繋がらる一人と一匹が互いの言葉で嗤い合い手を握って誉とする。
それが終われば事なきも、蒼肌濁る小餓鬼族がこっちを向いた。
其の目には何もうつってないのか興味がないのか空虚を見つめて居るのかと思えば
無骨に曲がった鼻が上をむく。深くも特に意味も無いのだろう。
だが然し、それは天啓であった。これから進むべき道を示していた。
「ああ・・・。あの人が・・・私の・・・」
確信めいたとは違う。それは確固たる意志である。
乳房を抱きしめた腕を緩めてだらりと垂らす。震える脚に力を込めてみても真っ直ぐに立てる余力はない。
それでも僅かに残る力を振り絞り一歩前に出ると振るえが止まる。
影に呑み込まれると思えば上げた顔の視線の先に、ああ疲れたとばかりに腰をさすりひょこりと歩く小餓鬼族。
皮肉にも騎士団総掛かりでも倒せなかった魔物をあんなに小さな小餓鬼族が短剣一本で始末出来るとは恐ろしくも滑稽である。
今に角を曲がろうとすれば見失うと焦れば四肢に力が蘇り。グイと四肢が前に進めばいつの間にか
剣こそが我が誉れと誓った人生の果に全て溶かして消えていく岩板の上の恥水の跡も忘却の彼方に溶けて消える。
「我が愛しき主人蒼肌濁る小餓鬼族様に。何か御用でしょうか」
当然、確かめ正す台詞はその重い扉を開けた後にも先にも聞いてこなかった。
紫の花粉を空気に飛ばす魔森の草枝が覆う石扉。真ん中に観た事もない蒼色の印が書きなぐってある。
その場所の主が手に筆液を付けて適当に書きなぐったように視えるも確かな意味があるとも分かる。
姿を見失うまいと必死に後ろ背を追いかけてみるとその岩扉にたどり付くのは意外にも容易かった。
こんな街中ひと通り多い場所に魔物小餓鬼族が巣を構えて居るとは愚の骨頂であるし騎士団の練習がしったら
あんぐりと口を開けて悔しがるだろう。視えていても視えないと言うのだろうか。
騎士団の巡回体勢を見直すべきであると苦く思うが直ぐに忘れる。これからの自分には関係無い事である。
其処にたどり付くまで時間はかからなかったが実際に其の扉が開くまでには壱刻ほど掛かったろう。体感であるが。
「御入り下さい。我が愛しくも可愛い御主人蒼肌濁る小餓鬼様がお会いになるそうです」
しとやかにも眼差し厳しい恐らくは戦争未亡人の女性が扉を開けてくる。
「こっ、光栄で御座います。蒼肌濁る小餓鬼族様への取次。痛み入ります」
本来此処は世間の慣例に習い頭を垂れるべきであったが、四肢に染み込む騎士団礼とばかりに軍靴の踵をならしてしまう。
「此処の扉を潜れば戻れませんのよ。御覚悟は出来てるのかしら?」
「はっ。元より既に民に捧げる剣を失いました。騎士としての誇りも人生も水に溶かしてしまいました。
もう、蒼肌濁る小餓鬼族様の慈悲にすがるしか道はないので御座います」
捨てて溶かした騎士の心といってもついさっきのことだし染み付いた口調とくせは直ぐには消せない。
「まぁ良いでしょう。御覚悟があっても我が愛しくもポチャリ腹の御主人蒼肌濁る小餓鬼様が
お気に召されるかどうかは別で御座います。割りと美形好みと思えばおデブちゃんも好物ですからね。
その前に先ず顔をお拭きなりなさい。仮にも御主人様の前に立つのです。淑女の嗜みは怠ってはいけません」
「はっ。申し訳有りません」さっきまで涙を垂らし隈までてきてしまってる。
確かにこのままでは自分を選び気に入ってなんかくれないだろう。
多少なりとも容姿に自信もあったはずのマリアーゼであったが眼の前に佇み話す戦争未亡人の女性の姿に比べ
明らかに自分は劣って居ると悟りみが身震いがぞわりとせ背筋を奔る。
怖くもあっても自分の進むべき道は此処しかないと決めて悟ると意外にも自然に脚が動いて岩扉の一線を超える。
しとりしとりと脚が進むとぽたりぽたりと天上から水雫が落ちて垂れる。
意外にも思ったよりもその洞窟はひろかった。後に知る聖堂と言う名にふさわしい広さと堅牢さである。
途中、狭い部屋の中で簡単ではあるが身支度を整える。
驚く事に大きくも全身を移し出せるほどの姿鏡が据え付けられ脇の卓の上には質素ではあるが化粧品も有る。
床に置かれた桶には湯気たゆる程に温かい湯が満たされ、一目で贅沢品と分かる顔拭き布が畳んである。
主人となるやも知れない雄を待たせるのも不味いだろう。濃い化粧が嫌いかもしれない。
そして無いより初めて相まみえるのである。相手は魔物でもあれば人種の感覚も大きく違う。
マリアーゼはえいっとばかりに顔拭き布を桶に浸したっぷりの湯を含ませ顔を拭う。
二度参度とこすりあて汚れを落とすがそれだけだ。どうせ観て貰えるなら素のままの自分が良い。
何を隠して繕っても魔物の眼光を誤魔化すのは無理だろう。
顔の汚れを落とし涙隈はそのままに木櫛で軽く長い髪を整えると小部屋から脚を運んで出る。
「お待たせしました。申し訳ない」
何処か騎士団口調が抜けずどうしてもきつい口調に聞こえるのだが直ぐにそれも無くなると知っているのだろう
「良くなりましたね。では此方です。くれぐれも粗相のない様に」
「はぃ。ご案内有難うございます」緊張の余り声も上ずる。自分の声では無いかとさえ思えた。
ギィと軋む鉄蝶番の軋む音は確かに耳障りであってもマリアーゼの耳には届かず
其の目は其処まで広くなくても魔物と人種が屯し営むには十分な位の広さの場所に脚を踏み入れる。
その天上は意外にも高く上に伸び柔らかな日差しさえ窓から差し込む。
森木鬱蒼とした入り口の奥にあった随分と高い石塔が此の場所に当たるだろ。
ひんやりとして隙間風が吹いてる様にも感じられるが暖かくも適度な温度は肌を晒しても寒くはない。
最初こそは禍々しくも違和感を覚える柱と壁の装飾も時間が立つと興味深くも美しい文様で有ると知れる。
つまりは何時の時代かとも分からぬが恐らくは小餓鬼族の建築様式とでも言うのだろう。
人種の職人が何年も時間を費やして挑んでもこれを再現出来るとは到底思えない。
その作りに関心するもマリアーゼの瞳は上座中央に鎮座する玉座に尻を置く蒼肌濁る小餓鬼族から離れない。
遠目でみた出で立ちとは違い軽装とも言わず普段着なのだろう。薄めの布小柄な四肢に巻いて居るだけである。
玉座に座り脚をブラブラしながら談笑にふけっているのであろうが脚を大きく開きでもすれば
股間の其れが視えるやもしれないと興味が絶えず視線が動かせないでいる。
マリアーゼが聖堂の中央居間に姿を表すとその姿と足音を察して簡単な声が漏れる。
この聖堂には似つかわしくもない人種漢共の下卑た声だ。これから何がおこるやもと其れと知ってるのかも知れない。
其れさえも知らぬ聞こえぬと部屋の隅で声が掛かるのを
待たねばならぬマリアーゼが驚愕と羨望の瞳をむけるのが蒼肌濁る小餓鬼族が腰をつける玉座である。
王として君臨する姿を示し支える玉座。
その姿こそ人の雌である。冷たくも硬い石床に膝を痛めるのはさもあらんと主人の気遣いなのが薄手の布が引かれてはいる。
其の布の上に膝をつくのは許されて居ても踏ん張る手は冷たく凍える石床に直接付けている。
「あっあれは・・・。人が四つん這いになりその背に魔物をのせて支えてる。
まるで椅子。人間の椅子の上にすわってる。・・・・。なんと羨ましい椅子・・・」
「お静かになさい・・・。当たり前の事でございますよ」隣で叱咤の声が響きマリアーゼは慌てて口を噤む。
蒼肌濁る小餓鬼族が丸い尻を床地面に手と膝を付き四つん這いになった人の雌の背上に置いている。
ぎゃぎゃとないては商談相手と口論してるようであるが其の尻の下では地面にと垂直に乳房を垂らし
よつんばいになった人の雌が身じろぎもせずに魔物の尻を支えている。
屈辱にも恥辱にも視える所業で有るかと思えば椅子と化す人の雌の顔は恍惚と目を潤ませ快楽におぼれている。
己が背中で魔物主人の尻を支える。背中に伝わる重さふぁ快楽の深さにそのまま繋がるのだろう。
時より悪戯紛いに尻を動かせば落としてならぬと腕を踏ん張って支え尻にかぎ爪を立てられば
商談の邪魔にならない程度に喘いで顔を歪め快楽と栄誉を貪っている。
(羨ましい・・・・。なんて羨ましい・・・あの方の椅子になれるなんて・・・)
心の中で本音をもらせば蒼肌濁る小餓鬼族がぎゃんとないて鉤爪手を振る。
どうやら気に食わない結果に商談はおわったらしい。
魔物と人種の見解の違いかどちらにしろ険悪な雰囲気のまま物別れとなり一同解散の運びとなる。
何処かで見かけた事のあるような姿が列を乱して控えの部屋奥に消えていく。
そして蒼肌濁る小餓鬼族はぎょろりと大きな目をこっちに恋とマリアーゼを呼ぶ。
マリアーゼの四肢をなにか物足りそうな目つきであるが蒼肌濁る小餓鬼族が視姦する。
呼ばれ促される儘に蒼肌濁る小餓鬼族の前にマリアーゼが進む。
此処で魔物小餓鬼族が自分を気に入ってくれなかれば全て終わりである。
人生一つに捧げた剣は御山男族の硬肌に傷の一本も付けられなかった。
鍛え積み上げた騎士道など化物魔物の一睨みの前に全くなんの役にたたかった。
若し此処で捨てられたなら行くところなんてない。すがるしかないのだ。縋るしか・
「わっ。私奴はマリアーゼ・フェミアール・オニクダイスキー。
先程の魔物に殺される運命の者で御座いした。その生命を貴方に救って頂きました。
同時に捧げた剣を恥水と一緒に流して捨てたのです。もう行くべき場所も御座いません。
・・・・責めて貴方のお側に居させて下さい。貴方様しか居ないのです・・・・」
声が上ずるも出てくる言葉は上辺ばかりのものであった。現にどうでも良いとばかりに小餓鬼族は鼻を鳴らす。
がちゃんと音を砕いて地面に肩当てが落ちて転がる。
ドズンと音を投げて胴あれが床にはねる。直ぐに肘当てもすね当ても捨てられる。
鎧下着が乳房に引っかかり不格好によりよろめくも体勢を立て直し全裸となっては肌を晒す。
何処かで感嘆のうめきが聞こええば、其れが先程の商談相手の人種の漢達の物としれる。
どうやら控室にはこもったな僅かな小窓に顔を押し付けてマリアーゼの四肢を舐めて視姦してるらしい。
観られている顔見知りの輩に此の肌とこの乳房と尻と舐め回すように観られてる。
ちらりと疼く羞恥の恥が火と灯す。
タッタとばかりに小走りに主人と決めた小餓鬼族の前ににじりよっては膝を折り傅いて哀願する。
「おっ。御飼いになって下さいませ。わっ私を犬と思ってお飼い下さいせ。
否に私奴を犬にしてく下さいませ。此の場所で最も卑しい犬として私奴をお飼い下さい。御主人様
どんな事でも受け入れます。どんな事でも逆らわずに全部けれいさせて頂きます。
私は貴方様の卑しい御犬で御座います。貴方の犬畜生で御座いますわんっわん」
これでもかと喉から勝手に溢れ出る言葉に自分が一番よいれ陶酔し犬畜生の声真似さえも歓喜が交じる
それでも足りぬとばかりに目の前にブラブラ揺れる脚に顔を寄せ口を開け舌を突き出してベロリと舐め挙げる。
べろりべろりと小餓鬼族の脚に舌を這わせて舐めれば涎が垂れる。
少しざらつき棘のある肌触りも心地よくもあり魔物の肌に甘い汗交じるとは知らなかった。
女神にも勝ると噂高い大きさと美を誇る乳房を揺らしたゆませて騎士団きっての美貌の持ち主が
全裸とっなって魔物如きの小汚い脚を乳房を揺らし尻と降って恍惚と顔を歪めて舌で舐めている。
わんっわんっと鳴き声を真似る淫猥な姿は一世一代一度っきりの見世物であろう・
控えの部屋の小窓には淫猥に下品な眼光鋭い中年老年の顔が幾つも並ぶ。
放っておくと何時までも止めずにずっと舐めているであろう人の犬畜生の雌の頭を
仕方ないとでも言うように一応は撫でてやってから圧して話す。
それでもまだ恍惚と強請る犬畜生の雌に鉤爪を立てて制しすると周りの物が寄って集って抑え込む。
「ああ・・それは・・・嬉しい・・」
最初に括られたのは安物の程度の悪い物であっても家畜用の首輪である。
革製であるがきつく締められば苦しい。慣れるまでは数日掛かるかも知れない。
次には逃走防止のやくには立たずとも少し重い鉛板の入った手枷と足枷。
その時には自分の名前も思え出せない位に犬とふるまい初めた雌の股ぐらに
これだけは知ったりとした作りの貞操帯が嵌められる。
むやみ勝手にはずして他者と交尾できないようにと決められた手順でしか開ける事が出来ない錠前が付属する。
マリーヌは一番これが嬉しかった。これから躾ける喜びと主人の許可が必要となる交尾。
その制約と主従関係に心が躍る。
一連の躾道具が四肢に括られると例え犬畜生と言えども聖堂に住む住人である。
最低限の身なりと美しさの維持は当たり前とばかりに二人の人雌がマリアーゼの四肢を洗い
身なりを整え聖堂広間の片隅の一角に小屋代わりにあつらえた一本の杭に鎖を繋いで止める。
犬畜生と振る舞うマリアーゼは満足げに喉を鳴らし柔らかい毛布に四肢を埋めて目を閉じた。
意外な事に蒼肌濁る小餓鬼族はマリアーゼを程々であってもく可愛がる。ほどほどであるが。
思う限りはもっと冷酷であり。そうでは確かにであってもだ。
当然に来訪し犬の如きにあつかってくれと強請っても適当にあしらわれて当然でもあろう。
ましてや餌代は掛かるし諸経費もかかる。犬畜生に観たてても大事な人雌には変わりない。
マリーゼにとっては聖堂広場に自分の小屋があると言うのを気に入っている。
与えられる試練と奉仕の時以外でも主人の姿を観てられるからだ。
遠目であってもじっと見つめていても咎められない。
時には小屋の中まで来て頭を撫でてくれたり自慢の乳房に鉤爪を立てて引っ掻いて切れたりもする。
赤く血を引く筋傷を自分で乳房を支え淫猥な仕草で舐めてみせると目を細めて主人は喜ぶのだ。
試練と奉仕を積み重ねていけば人雌として可愛がって貰えるようになると教えられるが
居間の儘の犬扱いが一番良いともマリアーゼは心底思っても居る。
試練と奉仕。
蒼肌濁る小餓鬼族に身を寄せる人雌共に課せられる絶対的な枷である。
それは聖堂の扉を自分で跨いだ時から誰隔てなく与えられる物である。
「ねぇ。百人騎士長どの
首桶通りの石塚当たりにすっげぇ美人の情婦が居るって知ってます?
すっごく胸が大きくて綺麗なんですって。其れが魔物専門の情婦らしいっすよ。
ちょっと今から言って観ませんか。ねぇってば」
自分より二つも年上であればそれとしって言葉使いも適当になってくる。
「勤務中なんだぞ?あの御山男族の解体作業の管理がまだのこってるんだぞ
幾ら乳がでかいって言ったって。まぁ興味が無いわけじゃないが
えっ?魔物専門ってなんだ?そもそも居ちゃいけない奴らだぞ?」
自分が今だに童貞であり女の乳房に対する欲望は人一倍強いと自覚してる。
なにしろあの乳神の如くの乳房の抱擁と慈悲を受け残っているのだ。執着するのは当然だろう。
軽口と文句ばかり口走る其奴が言うのは可笑しいことである。
確かに此の街に御山男族が現れる。其の被害は今だ収集がつかないくらいに甚大である。
それでもあれは敵襲であり普段から街中に魔物共が自慢げに徘徊してるとは認めてない。
剣を携えてもそうでなくても街家にかえる途中ともその朝も魔物らしき者を見かける事もない。
唯一に、あの御山男族を倒した小餓鬼族が、若し街に潜り込んで居たりもして
布頭巾の一枚でも深く被り裏通りに潜んで居たらどうなるだろう。
そうだっ。其奴等の仲間と言わずにとも似た輩も彼奴と同じ様に背も低く頭巾を頭から被り
醜い手の先の爪を長い外套の袖奥に隠していたらどうなるだろう。
そうそう丁度、ほら其処に同じ位の背丈の子供が歩いてる。云々其の屋台の影で薄く待ってる奴も良く似てる。
あっ、これはやばいぞ。やばい。なんてこった。彼奴等そこら中に居るじゃないか?
「ちょっ、ちょっと用事を思い出したぞ。
重大な任務だ。極秘の奴。付いてくるな。御前はまってろ。個々にいろ」
頭で考えるよりに先に声が出た。突然に弾けた考えはきっと正しい。
そして魔物専門の情婦とやらの正体はきっとあの人に違いない。
首桶通りの石塚前。
人通りも結構多いがこの辺は悪党と馬鹿のたまり場である。
見る前から胡散臭い奴らが屯してる。こんな所で騎士装具を付けたままでは直ぐばれるから。
手近な質屋でぶかぶかの頭巾付きの外套を羽織って人目を誤魔化す。
ばれたら厄介事間違いなしとわかっていてもどうしても確かめずには居られない。
偽装と言うには下手であるがやらないよりはましと屋台で三角林檎の棒を一本買い込む。
屋台の主人は確かに人種出であったが怪訝そうに差し出した三角林檎の棒はとても人種が食べる物じゃない。
一口齧るとベッタリとした甘い汁が喉に張り付いてとても飲み込める代物ではない。
つまりは屋台主人は知っているのだろう。この辺に屯するのが魔物であると。
其奴等の好む食い物を仕入れて商売して生活の糧にしてるなら、肩がぶつかりそうになった此奴さえ
有名名高い小餓鬼族じゃなくても別種の魔物やもしれないのだ。下腹がキュンキュンなって警告してくる。
二つほど先の角を曲がってみればそこが首桶通りの石塚前となる。
道が少し奥へと凹み何やら岩と鉄で作られた頑丈な扉と小屋らしき物が視える。
小屋と言ってもみすぼらしくも随分と狭い。人が何人も入れるわけでもなく大人が参人も入ればぎゅうぎゅう詰めだろう。
四肢を付きわせ話せば互いの息に咽る位の狭さの小屋である。
その姿を観た時。思わず脚を止めつんのめる。丁度良いと横にずれ貧民家の壁に背を預けて視線を泳がす。
その二人の立ち姿は確かに人の目にも異常に視える。正確には一匹と一人。
魔物の雄と、人種の女性。
だが然し、女性が首に嵌める首輪から垂れて伸びる細鎖の先が或ろう事か魔物の雄の手に握られている。
正確にもっと観てみれば首輪の鎖は伸びてたれ地面に撓むと魔物が手首の腕輪に繋がっている。
まるで大きな犬を子供の飼い主が鎖で繋いで居る風景に良く似てる。
深くも大きな頭巾を目深に被れば人種の女性の顔は良く視えない。
見覚えの有る様な下顎の線と形にも思えるが、何となくそんな気がするだけだ。
真っ黒な布地の長外套が四肢を覆いか隠すが其れこそ天に届くとばかりに突き出した乳房の張りは隠せない。
黒革の胸当てときつく締めた紐結びの胴巻き。四肢を覆う黒布の下巻きと覆い布。
全身真っ黒な布で完全に体を覆うがその美しさと隆起は隠しきれていない。
客が付かずも手持ち無沙汰なのか鎖の先を握る魔物らしき奴の頭巾に白細い指で摘んでちょっかいを出して遊んでる。
人種の情婦が悪戯すれば、真面目につったてろとばかりにその手を払いぎゃんとなく。
其れが観れて始めて魔物であると理解出来るが、大ききも小さいも関係なくあの御山男族の姿が目に浮かび
確かめる所か取り締まろうとしても脚が一歩棒のままである。
二人の前に影が出てくる。どうやら情婦の乳に引かれたらしい。頭巾もかぶらず奇抜な色に髪を染める若造だ。
自分とそんなに年も変わらないかも知れない。誰かに童貞野郎とからかわれたのかも知れない。
赤ら顔なのは景気づけに一杯引掛けでもしてきたのだろう。
値段交渉が始まるが、魔物専門と言うのは本当らしい。
「いっ、幾らだ?堪らねぇな。この乳。本物か?本物だよな。痛っ。何すんだよ」
「お触り駄目。商品。触るならお金払う。人種は駄目。おかえりはあっち」
「なっなんだよ。人種は駄目ってこと?魔物相手?此の女が魔物の相手するってのか?」
信じられないとばかりに思わず腕を突きだし勢いにまかせて女の乳房を嬲ろうとする
「お触り。駄目。お客さん。酒飲んでる?人種は駄目。
お酒禁止。暴力反対。ちょっと傷はおけぇ。お支払いは魔貨幣だけ。わかった?」
若者が伸ばした腕をぴょんぴょんと小餓鬼族が跳ねて鍵詰めで弾く。
「痛いだろ。この野郎。化物の癖に。何しやがるんだ。切り倒すぞ。この野郎」
腰に携えた剣柄を掴み抜刀一閃に引く後とするが。重い感触が伝わり鞘から剣が抜けないところか重い声が響く
「貴様。何してる?こんな場所で抜刀したら殴り殺されるぞ?何処の所属だっ。馬鹿野郎」
「へっ。百人騎士団長。どうして此処へ。じっ、自分は第参倉庫管理課所属で。巡回を」
「こんな所の巡回任務が有るものかっ。サボりやがって唐変木奴。消えろ。今日だけは見逃してやる」
勝手に体が動いたのは自分でも驚く。鍛錬の成果と言うよりは私欲がまじったかも知れない。
派手な色に止めた若者の頭を掴んで無造作に地面に転がすと慌てて尻尾を巻いて走り出す。
あの髪色と馬鹿面では、そう遠くまで行く前に誰かにぶつかって殴り倒されるにちがいない。
二度とこの辺には来れないだろし、当然あとで報告書を上に挙げるつもりでも有る。
「失礼しました。淑女様と雇人の御方。街の風紀を守るべき騎士団の者が不貞を働くとは言語道断。
この辺は何分、物騒な輩も多いと聞きます。十分に起きを付け下さい」
格式張った言い方でもあるし、此処は貧民街で魔物も多いらしい。袋叩きの憂き目にあうは自分も同じかも知れない。
「御客さん。雄気魅せたね。この雌たらしの変態・・・野郎。
サービスするから・・・遊んでいけよ・・・此のスケベ・・・」
「はっ?サービスってなんだよ?ちょっとまって。腕ひっぱらないで。
お金ないよ。魔貨幣ないよ?一枚も・・・待って下さい」
「嫌じゃないくせに。・・・雌犬もまんざらじゃないね。
お金・・いらないよ。・・でも、此方の皆と一緒ね。皆で楽しむ・・・・行ってらっしゃい・・・」
「え?一緒って此方さんと?一緒に楽しむ。あっ待ってまって。はぃ。行きます。入りますから
どうしてこうなるんだよ。輪姦ところか童貞なんだぞ?あっお先にどうぞ。よっ宜しくお願いします。はい」
シーン追加↑
「おい、バシム。俺の林檎くっただろ?冷蔵の一番上は俺の私物って言ったろ
御前のは棚は2番め。2番めのは御前が食べていいの。一番上はだめ。分かる?
こら、キシム。俺の財布からおやつ代ぬくな。其れは俺の個人資産なの。分かる?」
憧れの女性の尻穴に自分の竿を差し込んで始めて女性の味を知ったあの夜。
尤も、搾り取られたという方が正しい。しかも騎士団に身を起きながらも討伐すべき魔物と一緒に
狭い小屋で輪姦に及んだのだ。長いようで短くも狂気が交じる経験でそれでおわらなかった。
大きな乳房に魔物と一緒に吸い付きしゃぶり魔物と一緒に穴に突っ込んで悦に浸る。
これが女性の味であると知ったがそれはそれである。
憧れの元副団長は位の高い小餓鬼族の所有物であり、制限を課せられている。
それが貞操帯である。悪戯程度に動かすことはできないし工夫もしてあって強くすれば
内側の突起が牝壺の浅い部分と刺激するからもっと揺らしてと喘いで強請りはする。
でも肝心の竿をつっこむ事はできない。それが不満と言えば不満である。
その代わり彼女の口に絞り上げ吸い取られるのはあまりにも激しくも気持ちいい。
ひとしきりも一人と二匹で娼婦に落ちた彼女を犯し尽くした返りいつの間にか肩を叩きあい同じ雌の穴に
突っ込んだ旧知の仲だともで良いように気があう友とでも言うように腰に手を当てが当てながら裏道理を歩くと
「ぎゃっ。もう一軒行く?騎士の兄ちゃん。もう一件」
「えっ?もう一件行くって何処へ」
「ぎゃんぎゃ。さっきの雌乳でかい。でも壺だめ。穴だけ。どうせなら壺がいい」
「ああ。まぁ、そうだけど。俺は満足できたし・・・いいかな」
「うそつけ、此のスケベ。人種の雄。皆スケベ。変態。壺入れるの好き」
「若い子。ボインボイン。制限ない。好きにしていい・・・。変態スケベ。だからイク」
「よっ。良しっ。行こう。俺が奢る!行こう」
若気の居たりで有る。若いからそれで良いだろう。背丈の差があるから若者は小餓鬼族の頭を小突き
お返しとばかりに小餓鬼族は若者の腹を拳で殴り返す。
「げほっ、魔物って力強いんだな。しらかったよ。出来れば黒髪の娘がいいな」
「まかせろ・・・変態騎士のにいちゃん」
其れ以来、兄弟同然の付き合いを若者と二匹の小餓鬼族は送ってる。
毎晩下宿先の部屋に来るわけではないが、週末にはお互いに誘い合って夜な夜な歓楽街に突撃するのが恒例となっている。
潔癖極まり足る規則に則って目玉焼きを食する薬剤師。
随分とまぁ、長くのいい加減な字名と自分で名乗る薬剤師の漢。
潔癖症と言う悪癖も此処まで来るとなれば立派である。
好物である目玉焼きは三食必ずの主食であり、副菜には青山茸が二つと皿に乗る。
此の種の目玉焼きと青山茸と水。其れがこの薬剤師の惟一の食事である。其れしかないのである。
顔の作りや其の容姿は別の機会に述べるとして商売相手に名乗る時は実際の年寄り二つ上乗せして告げる。
意外にも童顔で有るためにもっと若く観られ舐められるからである。
いま正にも大皿に乗る二つ黄身の目玉焼きの一つは飽く迄も極めて固くに焼き上げ
もう片方は飽く迄も半熟の黄身に焼き上げられている。勿論一切に誰の手助けもさせず完全な自炊である。
一階は自分の薬剤店と工房であり二階が私室であり食卓もある。だが寝何処は工房の天上に釣り布寝袋を釣ってくるまる。
銀のナイフより真鍮の物を好み、先ず先に固茹での目玉焼きの白身と丹念に切り分けくり抜き
フォークとナイフで白身を畳んで口の中に入れる。それから固茹での黄身を4つに刻んで三口で食べる。
その間に青山茸のしいたけをフィークで一切れ指して口に運び咀嚼し呑み込んでから
自分で開発した蒸留濾過器で二回ほどきちんとした濾過した水をゴクリと呑んで水杯の半分は残す。
次は半熟焼きの目玉焼きであるが此方も黄身をくり抜き白身を先に食す。
最後のお楽しみの半熟黄身は真ん中から半分にきってからフォークで指して重ね一回で刺し大きな口を開けて放りんで咀嚼する。
此の時出来るだけ音を立てずにゆっくりと時間を掛けて味わうのが彼の鉄則である。
最後にのこった水を顔を天上に向け喉を真っ直ぐして一気に流し込む。
これで皿の上に残るのは青山茸一切れであるが、皿を傾けて床に落とすと何処からかゆっくりと足音が聞こえ
決して自分が飼ってるわけでもない近所の野良猫がおやつ代わりと勝手に食べれば直ぐにどっかに消えていく。
食事の間、その薬剤師は全裸である。実は結構長く後ろ頭に結える位の伸ばした髪の毛を帽子屋で特注した
皮の山高帽の中に無理に詰め込む。
白い皿と目玉焼きの上に自分の髪一本でも落ちれば神聖な食べ物を汚染したと恐怖におののくからだ。
食する目玉焼きと産み落とした親鳥に深い感謝を込めて黄色に染め上げた皮手袋をキチンと嵌める。
これはこれで規則と言うより彼の体質が外す事を許さない。嘔血病
手袋意外の衣服を身に着けないのは気持ちが良いからとか一種の健康法の其れとは違う。
飽く迄も食べ物を自分の体に付属する雑菌等が汚染するかもしれないと言う一種の脅迫観念からである。
そしてその脅迫観念は食事だけでは無く仕事でも家の中でも外の空気にふれざる負えない時でも
彼の心にざわざわと恐怖と怯えの疑念を植え付けている。
自分の体に付着する菌が食物を汚染するならば、周りに漂う菌は僕自身を汚染するかも知れない。
愛情深める愛しい人、縁を結ぶ友人、道で行き交う見知らぬ人、極めつけは魔森生まれの魔物共
手を握れば汚染され、話をすれば唾から感染し、愛を営めば汚れてしまう。魔物に至っては近寄るのも恐怖である。
最初はこんな感じでは無かったはずであるが、一度其れにとりつかれれば後はない。
最初は手拭き布で口を塞ぐだけであったが其れが顔覆いの布となり、直ぐに革製のごつい仮面となる。
布の手袋は皮になり。出来る事なら騎士の小手と同じの鉄製でも構わない。
長丈の外套を夏日でも着込み、汗でじっとり四肢を湿らせても気にしない。
しゅうしゅうとごついマスクから息を吐き出すも頭髪も隠したいから一回り大きな山高帽を手はなさい。
人との距離を取りたいし邪魔な魔物を小突いて退けたいから、銀飾りの付いた柄杖を付いて歩く事に成る。
黄色目玉の黒仮面とも山高帽の薬剤士と呼ばれるのは未だましで、山高帽の黄色目怪人と陰口さえも叩かれる。
潔癖極まり足る規則に則って目玉焼きを食する薬剤師
潔癖極まり規則に則って目玉焼きを食する薬剤師
規則に目玉焼きを食する薬剤師・・・・。どれも長すぎるので、其の薬剤師は嘔血病を生まれながらに患っている。
父母の聞けば祖父母達もそうであり祖々父母、祖祖々父母も同じであると言うのだから血統に違いない。
嘔血病。正確には人種が好む食物を腸が受け付けずも嘔吐を伴うがその時に全身の血液が沸騰するです症候群である。
この症状を緩和するには家系伝来の薬液を一定期間にて服用する必要があるが、言ってしまえば乙女の血液である。
乙女の血液と言っても間違いではないが要は同胞人種の血液か魔物の血のどちらかで有る。
正し粗々父母までの時代とは違い同胞と魔物血液を堂々と手に入れる事は人道的な見解からから現在は許されて居ない。
其れに人種性や魔物性の血液成分の中には暴力性を誘発する因子が多分に含まれて居るために長期間の接種は
心身共に凶暴化の一途を辿り理性を損失し手遅れとも成れば完全な嘔血鬼となってしまう。
尤もかれらは普段でも半分以上か若しくは限界に近い段階まで嘔血鬼化してると言って構わないだろう。
潔癖極まり・・・其の薬剤師は比較的その症状を抑える事に性交もしている。
幼くも少年から青年へと達しようとする頃、自分の境遇を疑問にも思い呪ったのが其の先の道を形作る。
其れが錬金術を基礎とした薬剤師である。
だが幾ら研究に没頭しても自分の体の体質の改善抑制する薬剤がは調合に至らない。
その代わり過程で生み出された薬が一財産作ってくれる。余り贅沢をしなけば生活にこまる事もない
其の源が此の街でも最近噂の薬である。
少々効力が強いために必ず水か湯で希釈して述べば気分スッキリ。多少の傷にも有効でもあり
傷薬として重宝されれば、騎士団には用法を守る事を厳守さえすれば其れなりの怪我でも立ち所に完治すると
評判も高くも、魔物との戦場には大量に生産されて納入されている。
非常に高価の高い治療薬として評価され大量生産の為の工場さえも街中に現在建設中の勢いでもある。
薬剤師はその薬が劇薬である事を知っている。
自分の工房薬品店では客が用法を厳守しない事を考慮して何倍にも希釈した物を最初から商品としてるのである。
自分が作って管理しているから正しい効能をはっきしてるが、若し工場が稼働してその原液や濃度の濃い物を
横流しでもする輩がいればどうなるだろう。立ち所に大詐欺になるに違いない。
そういう懸念を抱えるために薬剤師は工場の稼働には及び腰である。
では、何故に其処まで強く懸念を表するのかと問われれば、その薬は魔物がつくった薬で有るからだ。
言わずもがな。代々も何代も血の病を抱える血統の一族など、人種の世界に存在するはずはない。
そりゃあ何代も幾代も前なら自分の家系の先祖は多分普通の人種であったのかも知れない。
それでも何代めかの母が魔物と交わったのだろう。それから嘔血病が生まれたのだ。
人種と魔物の血が交わって半人種、半魔物なれば半人魔とでもいうのだろうか?
その半人魔の自分が作った薬であるならばそれはやはり魔物が作った薬だろう。
一見安全に見える薬品であっても元々自分の病の改善を目指して調合した物である。
目的とする検体の対象が魔物に近いとなれば、幾ら希釈したとしても人種の四肢に与える影響は大きすぎる。
だからこそ、人種の人体には大きな効能を生み出すのだ。これは一種危険な賭けであるとも言える。
若し、用法容量を守らず。規定以上の量を服用すれば何が起こるかわからないのである。
そして其れはその内必ず起きる事である。



眼鏡当たりに黄色いく丸い縁取りの有るマスクを被りしっかりとその上から大きめの山高帽を被せ
膝下挙げ句まで届く丈の長い外套を着込む。銀燭飾りの柄杖をコツコツと長革靴をなるべく高くあげすり足で
有るかないようと常に繊細な足運びを進める薬剤師。
外套の右ポケットにしまい込み生活の基礎と正しい目玉焼きの食べ方と題名を自分で付けた独自の規則手帳に乗っ取り
出来るだけ何時も道路の左側を歩く。これは依然右側を歩いていて、街の公安秩序憲兵隊の輩にしつこくつきまとわれたからである。
其れ以来、道路を歩く時は左側を歩くと規則手帳に書き留めているが、この街の大変の人種は何となくの規則として
右皮通行を常とすることが多い。となれば当然に人の流れに逆らう事になるのだが幸いな事に銀燭飾りの気杖と
魔物以上に目立つ出で立ちのお陰で意外にもスムースに歩く事も出来る。
勿論にどうしても右側を歩かないと目的にたどり付けない事も多々にある。
その時は首と状態を本来歩くべき方向に結構な角度で傾け自分は今左側を歩いているんだと自分に言い聞かせて我慢して歩く。
その日は仕方なく外出しなかればならない案件があった。
其れのお陰で自分の治療薬の開発治験の作業を中断しなかえばならないのが煩わしいが致し方ない。
集金日である。
薬剤師は副業を幾つか変えている。自分の才能を生かしたものが多いが大抵は委託業務だ。
工房にこもってあれこれと治験してる方が勉強にも成るし人々の為にもある。
嘔血病の治療が最大の目的であるが、常に新しい発見と驚きに満ちており新薬の発見にも事欠かない。
薬剤師自身は薬を作る事にしか興味も才能もないから、其れを世に出すとなれば誰かの手を借りなければならない。
人々に感性の可能性も有るかも知れない嘔血病を抱えても居るから自分で売り歩くより誰かに任せたほうが効率もいい。
自分の薬品工房よりも結構遠い貴族街と呼ばれる区画の裏とその裏路地。
いつもと同じに道路の左側を歩き其の反対にある目当ての建物の入り口と向かいあう。
薬剤師とその建物の入り口にはそれなりの幅がある道路がある、当然に馬車が雑多に行き交っている。
目指す建物は一種独特な雰囲気に塗れる社交舞台の店である。政府庁商業管理課にもそれと正式なと届けが出てる。
つまりは紳士淑女と振る舞う貴族達が夜な夜なに集い、歌い、嗤い、時にはその肌を撫でて蜜を啜る店である。
通り向こうで社交舞台の店専属の用心棒が道路の此方側で銀燭飾りの柄杖を携える薬剤師を見付けると
店の扉をバンバンバンと叩いて手を降ってよこす。業務委託をしてるので直属の上司と言うわけじゃない。
それでも毎朝贔屓の情婦に石鹸泡を塗りたくって貰い綺麗な卵型をした頭を剃らせる癖を日課とする
用心棒にとっては特別な客である。綺麗な卵型をした頭をした用心棒が口笛を拭くと店戸口から
わらわらと数人の手下共が巣に酢液をぶち巻かれた蟻の様にわらわらと飛び出てくると
通りを跨いて横切り邪魔だとばかりに騒ぐ人と馬車を身振りと恫喝と恐喝で即席の横断歩道を作る。
単純な仕事に見えても結構、体を張る仕事でもある。黄色眼鏡の薬剤師が通りを渡る為だけに
勢いよく奔る馬車の前に飛び出して止めるのだ。此の半年だけで参人が馬車馬に蹴られ半殺しの事故となっている。
因みに店の所有者からは一切の治療費はでない。精々見舞い金として自分の店の割引券が二枚配布されるくらいである。
別に急いで居るわけでも無いし、其処までしくても自分が遠回りしてくればとも思うのであるが
まぁ、誰かが身を挺して作ってくれる横断歩道を無下にするのは失礼だろう。
「なるべくゆっくり渡ってくだぇ。背筋を伸ばして威厳持って歩いてくださいよ。
そうじゃないと体を張って歩道を作る若造がつけあがるので。お願いします」
疾く渡ってしまえば楽なのであるが、綺麗な卵型頭したを用心棒に耳打ちされているから
マスクの下で壱と、弐と、参と、四と、と数を数え本来は結構な小心者の癖に偉そうに歩いて魅せる。
数える数が二十五を超えれば店の前だ。
ゴソゴソとポケットをあさり紐で丸めた札束を卵型の頭の用心棒の前に突き出す
「お子さんは元気かい?女の娘だっけ?可愛い盛りだろ。大事にしたまえよ」
「へぃ。来月には三つになります。目に入れても痛くないです。仰る通りに大事に育てます」
ペコリと卵型頭したを用心棒は頭を下げて丸めた札束を受け取り太い腕を掲げ黄色眼鏡の薬剤師の為に店の扉を押し上げる。
黄色眼鏡の薬剤師の旦那は金銭感覚が可笑しい。
半月の一度の集金日だけにか顔を合わせもしないだが。来訪を店の者に知らせる為にドアを参回叩く。
手下を呼んで歩道を作らせる。そしてちょっとした雑談戯言に言葉を交わす。それだけである。
だが然し、感謝と言われても金額が多すぎるのだ。只でさえ悪党稼業に身を染めればそこら変の奴らよりも実入りがいい。
その自分の手に毎回乗せられる駄賃は店の給金より多い。自分はこの商売組織の幹部でも上役でも幹部でもない。
なのに、今日の駄賃だけで貴族が見せびらかす馬車も楽に買える金額である。
「将来の為に貯蓄したまえ。何なら良い投資先を僕が紹介してあげよう」
そうと言われれば確かにそうである。今ではその気になれば貴族地区に家と蔵が立つくらいの貯蓄もある。
組織のボスよりも金はあるやもしれん。それに今の立場が自分にはちょうどいい。あの旦那は恐ろしい。
荘厳であるも威厳久しく寧ろ禍々しい装飾と黄色眼鏡の薬剤師が調合した独自の御香の煙が漂う。
今日の其の日も店は繁盛しているらしい。こんな悪趣味な店に夜な夜な通う貴族と政府の厄神共は
よっぽど暇でしょうが無いのだろうか。マスク越しでも耳に煩い太鼓楽器と高音交じりの悲鳴が轟く。
「御父様。御父様っ。来てくれたのね。今日は何人?」
「嬉しい。御父様ぁ~~。お仕事終わったら遊んでよ~~」
「あっ。ずるい。私が先なの。私と遊んでよ。御父様ぁ」
舞台では殆、全裸の踊り子が四肢をくねらせ乳房を揺らす。座席で貴族の股間に顔を埋める女が性を絞る取る
魔女と醜漢がまぐわう天国の様な店内で直ぐに参人の女が黄色眼鏡の薬剤師を見つけ囲んみ外套の袖を引く。
「御父様って、もう無愛想。でも其処が良いの」
「御父様だもの。私の御父様」むき出しの乳房を強引に押し付けてくる女達
そのうち二人は同じ顔である。乳房の大きさも乳首の色もまったく同じである。
参人目も他の二人と良く似ている。否っ、同じじゃなくても似すぎている。
まるで先の二人の姿をちょっと幼くした位のちがいである。三姉妹であるのやもしれない。
二人が双子の姉妹であば残り一人が思うであれば良く顔つきが似てるのも納得は行く。
次の疑問となればそれなりに若い容姿であるし、人に聞かれれば弐才サバ読み年を告げる。
其れなのにも自分のさほど変わらず位の女に御父様と呼ばれているのは何故であろう。
それに当たりを観たわせば舞台の上で尻を振る女の顔も姿と姉妹に似てる。
皮作りの豪勢な椅子で政府役人の股間に顔を埋め性を絞って顔をあげまとわり付いた汁を
美味しいのと舐めて啜る女のかも何処無くあの姉妹に似てると思えば
私しも舐めたいと隣から頬に残った汁を綺麗に舐め取る女のはふたりとも全く持って同じである。
さてはもしかして此の店で妖艶に四肢をくねらせて踊る女も。
座席で乱暴に頭を抑え込まれて咽るその女も。
丸く太った役人の手に隙あらばと尻の肉を掴まれまんざら模なくせにピシャリと弾くあの女も
何処か似ている顔と四肢。皆姉妹なのか。親類だとでも言うのだろうか。五十人入るはずの女どもの顔は同じと良く似てる。
正義感と悪を憎む警官役人がある日店に踏み込んで聴取がてらに女共を壁に立たせてて似顔でも欠いて記せば
大体五人も掛けばすむだろう。後は全員同じである。
「御父様っ。御父様」と煩く纏わりつかれるのお黄色眼鏡の薬剤師はなれているのだろう。
さっきとは別の用心棒が密室事務所の扉を背後ろで締めてくる。
其れが完全に閉じる前にスルリと滑り込で悪戯ぽく嗤って魅せるが
その内二人は同じ顔出し、次の女もちょっと姉達より幼いだけでも良く似てる。
悪戯好きなのは上の姉妹なのだろう。観てていいわよとでも言うように茶色皮のソファの身を落としして絡み合う。
末妹は一番体躯の太い用心棒の漢の腹を叩いてから下腹部に細い指を絡めて嬲りだす。
「こっ。今晩は。黄色眼鏡の薬剤師殿。遠い所ご苦労さまです。
昨今は役人の締め付けもきつくなってますが、なんとか今日も盛況で。
これも薬剤師殿の薬のおかげです。いやぁ~~。本当に才能豊かでいらっしゃる・・・・」
ついさっきまで自分が此の場所のボスであると頭の上の鬘毛を櫛で必死に整えならが
鏡を覗いていた漢が必死で機嫌を取ろうと揉み手する。
ほっておけば毎回十分くらいは平気で褒めちぎって来る鬘頭のボスをマスクの奥からじっとじっと睨む。
ふと。何かみつけた子供の様に手に握る銀燭飾りの柄杖を宙に傾けると凝視しなくても高価と分かる
卓の上の家鴨の形の瀬戸物を其の先でちょんと突く。閉まったとばかりに鬘頭のボスは目を見開く。
ちょんちょんとつつけば家鴨の瀬戸物はその勢いで卓の隅まで動いてる。かろうじて卓の上に鎮座してる。
「僕が居る場所、其の部屋で黄色を見に付けて良いのは僕だけだ・・・」
最後にちょんと柄杖の先で家鴨の貯金箱を付いて蹴る。
中身をぶち撒けて黄色い家鴨の貯金箱が床に粉々にと砕ける。
「しっ、しっ、しっ、しっ、しっ、失礼しました。つい片付けるのを忘れちまって」
多々が黄色の貯金箱である。その色が黄色いと言うだけで黄色縁取りのマスクからふしゅ~と息を吐き出し壊してしまう。
同時に鬘頭のボスよりも、終わった。彼奴、終わったぞと心の中で恐怖するも何知らぬ顔でいちゃつく姉妹から身を遠のける。
「まぁ、いいさ。誰にでも忘れる事はある。人種の悪い欠点だ。物覚えが悪いのはけってんだよね」
「ええ、ええ。私はもとから馬鹿でして。記憶力など小餓鬼族よりも悪いんですよ。あはは。
こ、こ、此方が今回の上納金と帳簿で御座います。確認してください。どっどどうぞ」
意外な事に失態はあっても命は繋いだらし。部下の野郎共の目には情けなくも見えるだろうが
此処を乗り切るのもボスの腕のみせどころではある。
「小餓鬼族は馬鹿じゃないだろ?物覚えは寧ろ良いほうだし。創意工夫も怠らない。
客観的な視点で総合判断すれば、魔物の中でも優秀な小餓鬼族と何百年も進化もろくに出来ていない人種。
その差は歴然だと僕は思うがね。これは正しい見解で有るし異論はみとめないよ。そうだろ?」
「はいっ。仰るとおりです。黄色眼鏡の薬剤師どの。
我々、人種は小餓鬼族より劣る種族です。はぃ」学術的にもそれは正しい。
世に魔森があり魔物が巣食う以上、平で比較安全ば場所でしか繁栄出来ない人種は本来下位種族であってもおかしくない。
但しその殆一年中いつでも繁殖行為が可能で有ると言う特徴が魔物の其れよりも多く結果一番個体数がおおいと言うだけである。
黄色眼鏡の薬剤師の持論が正しくはあっても、其れに同意しかねるのは人種の奢りと傲慢さが起因する。
「あれ?計算がちょっとあわないぞ?
帳簿と実際の金額にずれが有るぞ?はてさてどう言うことだろう。
それと販売目標をたっせいしてないじゃないか?1号薬品より2号薬品の方が売れてるぞ?
それは違うだろ?僕は1号薬品をうってほしいんだよっ2号はどうでもいいの。おまけなんだよ。
なんで1号が売れてないの?君言ったよね。言ったよね?具語こそは販売目標を達成しますって。
僕の顔まっすぐ見ていったよね。なんで約束したのにできてないの?努力してるの?
朝起きて歯磨いたら。よし今日は1号を一万本うってやるって思わないの?思うでしょ。普通。
説明してくれるかな?ちゃんと説明してくれる」
最初こそ声に癖があっても紳士的に話していたはずだがだんだんと興奮して抑揚の差が激しくなるととまらない。
最初こそ黄色い縁取りの眼鏡マスクの奥で書類と売上金をにらみ比べていたが
書類に目を通して行き販売目標に達してないと知れると態度が変わる。
「そっ、そっ、そっ、そっ、其れは1号の方は魔物用です。
2号の方は人種用です。1号は魔物用ですが需要がないんです。ほとんどないんです。
最初は興味本位で客も買ってくれるんですが。所謂、味がしないとか効果がないとかで
返金を求められるです。其れに先週からあの蒼肌濁る小餓鬼族が内の薬は危険物で役に立たないと
言い出しまして街の店も売人も仕入れてくれないんです。
あの小餓鬼族が一つ言えばみんな言う事聞くんです。
そっ、そっ、そレに比べて人間用の2号はすごく売れるんです。何せ健康的な麻薬ですからっ」
ズドンっと音が轟き、ど頭をぶち抜き銀燭飾りの柄杖が中年用心棒の四肢を後ろ壁に植え付ける。
閃光の如きの光景はなんども観た光景だ。
弐ヶ月前も丁度其の位置に立っていて頭蓋骨に銀燭の柄杖を指して絶命した奴の体液血がまだ染みになってもいる。
激奥して勢いで杖を用心棒に投げつけた薬剤師は最先端のお洒落だと自分で決める山高帽を脱いで卓の上にそっと置き
手でかちゃりかちゃりと留め金を外しずるりと汗を飛ばし黄色眼鏡のマスクを剥いで脱ぐ。
左に首を曲げてふれば帽子から垂れて流れる美しも長い白銀の髪が揺れて流れる。
日に何時間も薬剤工房でガラス瓶相手に目を壊せば視力も悪いのあろう。
長外套下の燕尾服のポケットから真っ黄色に染めた太縁眼鏡を鼻に乗せたと思うと
獣腕一閃の如くに鬘頭のボスの視界が揺らぐ。
豪華な特注品の卓の上に黄色眼鏡の怪人に頭を強く押し付けられジタバタと手を振って退けようと足掻いても動かない。
その視界に白銀髪の惚れ惚れするような顔つきで鼻上に派手な黄色い眼鏡を乗せた美青年が睨み悔しそうに唇を歪める。
「契約だろ。契約しよな?
1号と沢山売るから2号をおまけにちょっと売っても良いよっだったよね?
なんで2号の売上が多いんだよ。馬鹿な人種が沢山買うからだって?金が儲かるからだって?
そうじゃないんだよっ。僕は1号を売って欲しいんだよ。蒼肌濁る小餓鬼族がどうだって?
奴を狩りたいからヤッてるんだよ。奴を混乱させるためにヤッてるんだよ。この惚け茄子」
激昂という事ばで示すのは足りないだろう。
結構幅のある卓の向こうにすわっていた鬘頭のボスの頭を鷲掴みにし怒気に任せて
ガンガンガンッっと卓に打ち付ける。余りの勢いに鬘毛が滑ってつかみそこね揺らぐ襟首を掴み直して
もう一度ガツンっと慢心の力で卓に叩きつける。
「いいか?契約は厳守すべき約束なんだぞ。御前自身で指印おしたんだぞ
なんで守れないんだよ。守ろうとしないだよ。努力たないなんだよ。
売れないなら売れるように企業努力しろよ。約束まもれってば。
守れないなら血肉よこせ。餌にしてやるっ」
黄色眼鏡の薬剤師は歯並びは良い方である。
否然し、其れはマスクを被っていても居なくても。殆全裸で目玉焼きを食べる時だけである。
目玉焼きは大好きなのは飽く迄、好物であると言うだけであり。本当に四肢が欲しがるのは人種の血肉と汁である。
ガッと見開いた瞳が血走り鬘毛が脱がた禿頭を掴んだ指が頭蓋骨にグイグイ食い込む。
とても人種の口の開け方では思えないほどにガバリと大きく口が開けば乱杭歯は蠢き吠える。
新鮮な血肉が目の前にあれば我慢することも特にない。
力任せに頭を引き寄せ正にガブリッとを喉に齧り付く。
ぐぃっと喉に食らい込む乱杭歯が喉肌に食い込み、鼻息あらく唸れば血が溢れて口と喉を滴り満たす。
何が旨いって問えば、骨を砕いて吸い上げる人種の脊髄液であると満面の微笑を浮かべるだろう。
事実、今も自分の喉に噛み付つき鼻をから息をすい上げその勢いのまま骨まで達した牙から
ちゅう~~~と脊髄液を吸い上げて行く。恐らくはその時くらいまでは絶え絶えであったも意識は
残ってるかも知れないが次にばきっと万力の力で首骨が粉砕されればそこで絶命に至るに違い。
空気を欲しがる肺襞も血を吸い上げられば縮まり何も残らない。
人種の生命活動を司る心の臓も噛まれた瞬間は動き血液を送り出せよと鼓動激しく動いていても
直ぐに心の臓に貯まる血液も吸い上げられる。びくんびくんと筋肉が痙攣し手足がばたついて止まらない。
ぢゅうぢゅうぢゅうと血液と汁を吸い上げる音が鳴り響く中、惨劇はその手を周りに伸ばす。
ボスと居座る机の上でさっきまで生きて動いていた骸が只の肉塊になっても未だ血と汁吸い上げられて居るあいだ。
「御父様。食べて良い?食べていいの?」
「もう我慢できない。御父様だけずるいの」
「私これがいい。ずっと目を付けていたの」
追々、今さっきまで股間を弄っていた幼顔の女がその手に圧力をかける。
圧迫と言うほどに生安いものではない。半立ちに固くなった竿と袋を纏めて握った女の手は万力の如くか鬼の握力か。
一瞬の後にぐちゃりと形を砕いて漢の竿と袋は潰れて血肉が飛んで跳ねて滴る。
「うげっ」と白目を剝いて嗚咽を漏らし痛みに耐えかね四肢を前に倒せば
其れを待っていたのよばかりに幼顔の女が下から大きく口をあけ喉食らいつく。
いつか昔の悪魔崇拝の宗教画が描く阿鼻叫喚の様とは正に其れだろう。
幼顔の女が漢の股間を握りつぶし喉に食らいつけば残る姉妹も漢達に遅い掛かる。
互いにいちゃつく革張りの寝椅子から飛び上がると思うと
油断していた顎髭の漢の喉に噛みつきその儘、壁に押し付ける。欲張りなのだろう。
逃げようとしたて漢の頭をがっちり潰せば運悪くも目玉に細指が突っ込まれて潰される。
頭が潰される恐怖に必死に足掻いて抵抗すれば順番を待ってろととばかりに女の手首がぐるりと回転し
頭も一緒に動きがぼきりと首骨が折れて砕ける。
黄色眼鏡の薬剤師と彼を御父様と呼ぶ姉妹と末妹は化物である。
普段は客と自分等に媚びを売り乳房を押し付け脚を開く女達が自分達の血肉を啜り食らう化物だとは思わなかった。
確かに彼女等全員が肉が好きだとは食事の皿を観れば良く分かる。肉と果物は嬉しそうに食べるが野菜は必ず残していた。
今更、彼女等が肉食女子だとわかっても自分の腹肉を割いて中に顔を突っ込み臓物を直接喰らい付いてるとなればこそ
納得はしてももう遅い。ぐりっと心の臓が掴まれぶちゅっと潰れれば直ぐに意識が闇に溶ける。
逃げるにも逃げられないのは誰でも解る。何故なら最初に末妹が叩き付けた場所は此の部屋の惟一の扉で有るからだ。
窓の一つもないのなら重い扉が一枚あるだけだ。逃げようとすれば扉を塞ぐ娘の手が伸びてくる。
残りの一人は彼女等の中で一番行儀が悪いと言えるやもしれない。
月に弐回の集金日には結構な人数の漢達が其の部屋に集う。
運が良ければ何も怒らずも。黄色眼鏡の薬剤師が激昂の果に食事を始める。分かったいても給料は良い。途轍もなくも。
既に参人目の餌の血と臓物を喰らって啜ってる癖にも飽き足らず覚え震える漢達の頭を掴んで軸として
そのまま手腕を引き脱いでしゃぶり喰らい付き、直具に別の奴の頭を掴んで腕をずぼっと引き抜き味見する。
腕を引き抜かれた奴らは激痛に悶え苦しみ床に転がり喚くも其の目の前にドサリと別の漢の腕が落ちて来る。
嘔血鬼共の餌場と化した社交舞台の裏事務所。
時に人は奇行に奔る。自分でも何がなんだかわからない行動でも有る。
余りに酷い惨劇を間の当たりしてその漢は喉が乾いたと気づく。何故そう思ったかなんて後になってもわからない。
悪行働く輩の事務所であるから当然に高価な酒を収めた酒が有る。
どうせ持ち主は黄色眼鏡の嘔血鬼の餌となっている。確かに自分が呑んでも文句は言わないだろう。
其れも名案であるが何か違う。次か其の次か、自分の腕は轢き散られるか頭を齧られるかのどちらかだ。
確か此の部屋の何処かにはポットとティーセットがあったはずである。
卓の上で既に四肢中の血液を黄色眼鏡の嘔血鬼に座れ肌がしぼみ始めた鬘頭のボスの二人前のボスが
酒を一切飲まない輩だったのでそのかわりに好んで呑んでいた態々大陸の向こうから取り寄せた紅茶葉も有るはずだ。
そう思いつくと人生の最後に紅匂い香る茶が飲みたくてたまらなくなってしまう。
別に逃げ出そうとしたわけでもない。別に死が怖いわけでもなかった。
ただ、無償に紅茶が飲みたくなり朧げな記憶の中で其処にティーセットが有ると知る場所にむかって歩き出す。
不思議な事にティーセットの棚の前にたどり着くまでに嘔血鬼達は食事に夢中であり自分の順番に回ってこない。
「ちょっと、御免なさい。直ぐすみますから」と湯沸かし筒に水を汲むために部屋を横切った時に
誰かの腕から滴る血を垂らし呑む女と目があってもぱちぱちと目を丸くして瞬きするだけで道をも開けてくれる。
往復する時に床に伏せくちゃくちゃと肉を咀嚼する女の頭を脚を上げて跨いでも特に気にする様子もない。
戻ってくると湯沸かし筒で湯を沸かし祖母に習ったとてもとても正しい紅茶の入れ方を頭の中に思い浮かべ
それをなぞって出来るだけ丁寧に時間を掛けて紅茶を入れる。
思い出の中の台所で祖母が紅茶を入れる時に必ず口にする鼻歌を自分もいつの間にかまねている。
それ偶然か、やっぱり偶然でもあろう。閉まってあったティーカップは5つ有るとある。
真面目に生きてきたつもりでも人様の命を奪ってしまえば地獄行きだろう。
冥土の土産に紅茶の一杯喰らいは許されるやもしれないが、其れを一人で楽しむのは忍びない。
結局思いあぐねも五杯の紅茶を入れて銀盆に乗せる。
「み、皆さん。紅茶を入れましたよ。食後の一服と洒落込みませんか?」
人の血肉と汁を喰らう嘔血鬼等がぴたりと動きを止めて顔をあげる。
「その紅茶の葉は何処産かね?」鬘頭のボスの四肢から血を殆ど吸い上げた黄色眼鏡の嘔血鬼が問い詰める
「東亜協湾帝国産って箱に描いて有りましたね。随分と珍しい葉の様です」
「なんだと、彼の国は食に拘る民が多いんだ。上手い紅茶に違いない」
「クッキーある?卵クッキーがいいの」
「今、手元に有りませんが直ぐ用意しましょう」
卓の上に乗った鬘頭のボスの遺骸を肘で退け銀盆を置いてから呼び鈴を摘んで鳴らす。
呼ばれて走り込んで来た若い手下が驚愕に目を開き胃袋から逆流するのを無理に我慢する。
「三丁目の菓子屋さんの卵クッキーを箱で買ってきて下さい。
今直ぐにですよ。疾走っていきなさい。卵クッキーですからね」
柔らかい物腰と言いましでは有るが体中に他人の血飛沫と肉片を被れば其れこそ恐怖だ。
「角砂糖は何個入れていいの?参個?四個個?」
「角砂糖は御一人様、2個までです。砂糖の過剰摂取は肥満の原因ですからね。
でも、行儀を良くなさるなら。特別に甘~~い蜂蜜を入れる事を許可してあげます」
「蜂蜜?紅茶に蜂蜜入れていいの?太らない?」末っ子妹が誰かの血濡れた腕を床に落として目を丸くする
「ええっ。角砂糖より気品の良い甘さに成るのですよ
黄色眼鏡の薬剤師殿には、当別にブランディを注いで上げましょう。大人の味で御座いますね」
「なんだと。紅茶にブランディだと?抹茶ひまわりの種油ではなくてブランディだと?新しい組合わせだぞ。
云々、私は父親だからな。云々、大人の特権だ。どれ頂こうとしよう。
お前等座れ。行儀よくしないと蜂蜜もクッキーもなくなるぞ」
「嫌っいやっ。其れはいやなの。お行儀よくするのよ。妹達」
三丁目の角の菓子屋から息を切らして帰って来た若い手下が卵クッキーを新しいボスに手渡す。
勿論、死に間際に紅茶を飲みたかった漢はそんな事は微塵に一つも考えてなかった。
ただ、卓の上に置いた銀盆からティーカップにブランディを垂らし進めると接客用の椅子には
威厳したたかに血汁が突いた長外套を脱いでくつろいだ黄色眼鏡の薬剤師が陣と構える。
待ちきれないとばかりに次女で或ろう女が結構重い寝椅子をヒョイと片手で持ち上げ卓の四角に寄せれば
疾く紅茶に蜂蜜垂らしてと幼女のようにキラキラと目を輝かせて刷り込む。
長女が男勝りに胡座を掛けば次女は女座りでしとやかに末妹は可愛らしくと膝を抱えれば
顔と四肢が似て同じでも性格はばらばららしい。
「それで君はどう思うかね?今後、我々はどうやって事を進めて行くべきだと思うかね?」
明らかに自分に向けて投げられる言葉であるとしれると動揺が隠せない。
何せ相手は顧客であり魔物化物である。散々食い散らかした同僚の骸が未だ転がっている。
自分だけ立ったままで上から見をろして話をするわけには行かないだろう。
「そうですね。色々問題はあると思いますが・・・。
発想の転換は必要ですね。ふむ、こう考えるてみるのはどうでしょう?
新たな行動指針を立案するのです。提案が御座います。黄色眼鏡の薬剤師殿」
仕方がないから卓をぐるりと回って前任のボスが愛用した高価な椅子に浅く腰をおろして発言する
「聞こう。紅茶職人殿の君の意見を」
興味深いとばかりにも優雅な仕草で紅茶に香るブランディの香りを黄色眼鏡の薬剤師が頷き促す。
勿論、その場しのぎのでまかせではなかった。其の日から紅茶職人と名を冠する新たなボスと成る漢は
大人しくも目立たぬが思慮深くも計算も得意で用心深く妄想好きでもあった。
金の亡者であった前のボスの利益至上主義にも辟易していた。目立たないから特に大きな仕事も
任されずに暇な時間も多かったら自分だったらこうするだろうなと胸の内で練った計画がある。
順を追って端折理もせず計画を話していくと黄色眼鏡の薬剤師が云々と頷くと父を真似て姉妹足しも頷く
途中。次女が卵クッキーのおかわりを強請れば呼び鈴を鳴らして買い出しに行かせ
黄色眼鏡の薬剤師がもう少しブランディを垂らしてくれと所望すれば新しく鼻歌を歌って紅茶を入れる。
事業と約束を守れなけば、即刻彼等の餌になるのが当たりまえの日常の世界で
時に懶怠者同士の喧嘩ですまぬ相手との戦長引きその後までも
紅茶職人と黄色眼鏡の薬剤師と参人の姉妹達の友情と絆、ずっとずっと後までも良好な関係を築く事になっていく。
幾度目にも社交舞台の店の経営を担う悪の秘密結社は、その前を新しく蜂蜜紅茶商会と変える。
トップが入れ替わったのだから当然そうなるのだろうし大きく経営方針を含め色々と変容する。
「おいっ、御前明日の休みどうすんだ?贔屓の売春婦の寝蔵まわりか?そっちの御前は?」
ちょっと年配の宙管理職の漢が羊皮紙の束を握って背の低い眼鏡の若い漢の顔を覗き込む
「何言ってるですか?明日は休みじゃなくて個人勉強の研修休暇ですよ
娼婦の寝床めぐりは次回の休みです。新しい店の会計補佐の研修に出ます。
将来、あの店の主任会計士なって乗っ取るのが目下の夢なんです。遊んでる暇なんてないんですよ」
「ええ、俺もそうです。拳闘教習訓練と大型荷車免許の教習会に出席します。
免許持ちは特別手当がつくんですよ。そういう貴方はどうなんです?
もう、年功序列の時代じゃないんですよ?」腕っぷし自慢の奴が顔を上げて言い返してくる
何だとくそ餓鬼の若造奴と眉を潜めても無駄である。
あの物腰の柔らかい紅茶職人の筆頭は大人しくも目立たない癖にやる事はえげつない。
組織改革の最初の業務執行が構成員の意識改革と福利厚生の充実であった。
先ず、若手を初め大抵の者はこの業界の労働時間はあって無いようなものだ。
今も其れは殆かわらない。ところが平日の勤務時間は変わらなくても
かわりに週三日の休みが確実に貰えるようになった。その内一日は個人の意識と技術向上の為の勉強日と定められる。
下っ端から幹部まで個人のやりたい事やるべき事に順次て有るものは腕っぷしを磨く為に拳闘教習所に通う。
興味が有る者は一定の期間の他職業の見学修行も認められている。社会勉強はとっても大事と悪の社訓にも謳われている。
手に職を付けて専門分野の知恵と技術を得て組織の繁栄に助力せよと言うのが組織の運営方針の一つだ。
若い者は大歓迎であるが、ある程度年配や幹部達の間には不満が貯まる。
それまで経験と腕っぷしだけでのし上がって来た輩には随分と甘っちょろい戯言だと鼻でも嗤う。
だが半月も立つと自分達も一日増えた休みを無駄に過ごすのは極めて身の危険であると悟る。
馬鹿だっ馬鹿だとばかり思っていた店に籠もる同じ顔の人雌達。
皿の上に乗った野菜を尽く残し、肉と果物を喰らうか客の股間に顔を埋めるか跨るかしか出来ない人雌。
確かにその彼女等、一見本当に馬鹿だと思っていたが其の年齢を聞かされて驚愕する。
平均して参才。年長でも五才。一番下は一才と九ヶ月だと言うのだ。そして大好物は人の腸の肉と知らされる。
噂はあった。
それまでは比較的中規模級のしがない悪の秘密結社であったが、あの黄色眼鏡の薬剤師と業務提携すると様が変わる。
貴族地区の駅前通りに社交舞台の店を開くと殆、同じ顔の女達を雇入れ、浮世離れの桃源郷如くと別世界を作り上げる。
快楽を求めて集う規則と政府庁の役員共に健康的な麻薬と四肢くねる人雌達が快楽を提供する。
店の経営は繁盛していくのだが、黄色眼鏡の薬剤師への見返りが上手く行かない。
舞台と資金が膨大に注ぎ込まれたが彼の求める物は目標の三割りにも達しってなかったらしい。
当然、トップの挿げ替えが余儀なくされるが、それは幹部全員皆殺しである。
文字どおり頭をすげ替えてしまえと言う事だ。
最も其れは惨劇地獄であっても当初は黄色眼鏡の薬剤師一人の仕業と皆が考えていた。
彼が魔物化物とは想像は出来ても毎日顔をあわせ、声を掛けて言いつければ歓んで脚を開く人雌が同じ穴の狢ところか
好きあらば咥えた一物の棒肉を咥え千切りたいと其ればかり考えている魔物化物であったと成ればおちおちともしてられない。
逃げ出す事もできるやもしれんと試みる者もいるが、所要と偽って脱走する前に皆の前で頭から人雌に齧られる。
本当にその店は浮世離れの桃源郷と極焔地獄そのものの場所ある。
「君は家族持ちだと聞いたが本当かね?
世界征服を目標とする悪の組織に有るまじくも政府庁大陸人結婚管理課に正式な書類を提出してるとも。
うむ。大陸飛びの御夫人と縁を結んで国際結婚するとは小洒落た趣向を持ってるな
お子さんもそれなりの年だと聞いたがそうなのかね」
「へぇ。否、はい。そうです。
屋台でぼったくらそうになって困っていた大陸飛びの女に声を掛けたのが縁ですが、
随分昔の事でして。あっという間に腹が膨らんだらぽんぽんと子が生まれ
今や十と八を筆頭に三つ年までの六人の子持ちの悪党で御座います。
なっなので首切りは勘弁下させぇ。若い奴らと違って潰しがきかねぇんです」
急に筆頭に呼び出され流行りの首切りの宣告かと思って慈悲を期待に長々と喋ってしまう。
閉まったとばかりに頭を描いて下を向く
「ふむ。思ったより苦労人とも言うわけだ。そんな苦労人の君に朗報だぞ。
禄人子持ちの苦労人の小父様さんの君を我が社の財産であり主力武器人雌人形ちゃん達の教育係に任命する。
頑張りたまえ。お~~い。人雌共。入ってこい。新しい小父様さんだぞ。お前たちの面倒を見てくれるのだ」
「えっ?なんですかそれ?教育係って?人雌共の?
えっ?ちょっと待って下さいよ。あっ。こらっなにするんだ。毟るな。髪の毛を毟るな。
髭を引っ張るな。朝の手入れが大変なんだぞ。服を脱がそうとするな。腰巻きに手を突っ込むな。
そっ、其処はいかん。いかんのだ。中年漢の絶対領域であるぞ。むやみに御開帳してはいけないんだぞ。
ちゃんと奥様殿の許可がいるんだよん。あんっ駄目。其処は駄目。臍穴を舌でほじくるな。
どうゆう性癖をしてるのだ。御前はっ。やんやん。そっちはもっと駄目。新しい世界が開けちゃうの
・・・。ひっ。筆頭。何、微笑んでるですか?紅茶のおかわりしてないで助けて下さいよ。あん。エッチ。
幼稚園で子供と戯れる保育教師じゃないんですよ。此方は貞操が掛かってるです。犯されるぅ。人雌に犯されるぅ」
同じ顔の人雌共にとって家族と呼べる者は少ない。故に自分を慕ってくれる者への絆は深く刻む。
愛情の表現方法が歪んでいてもそれは最初に与えられる情報の少なさに起因する。
因みに黄色眼鏡の薬剤師を御父様と認識し尊敬と愛情を注ぎ尽くすが
この時彼女らは小父様さんと言う言葉の意味を良く知らず自分達の新しい玩具とかしか認識していない。
「やぁだぁ~~。お野菜嫌いなの~~~」舞台袖の脇横の其処まで広くない休息室で声が上がる
「お肉が良いの。お肉。貴方のお手々片方頂戴」
「葉っぱの塊は苦いの。ぺっぺっのぺっ」
「そんな事言うなよ。我儘は職無いんだぞ。食べろってば」
少々荒っぽくも喧嘩早い若い漢が憮然と言い張る。
彼奴は自分の腕だけで悪童の世界をのし上がれると思い込んでいるタイプの輩だ。
「なぜ、蜂蜜をかけてやらん。其処にあるだろうに。
それから何故、布圧手袋を嵌めておらん。安全施行基準違反だ。罰金銀貨参枚だぞ」
「えっ。蜂蜜はありますよ?此奴等が勝手にかければいいでしょ?
あんな分厚い手袋嵌めるなんてダサいんですよ。娼婦共に嘲笑われるし。
大体、上役さん達はわかってないんですよ。悪党覇道を目指すならかっこよさ・・・」
ガツンと思い拳骨が落ちて瞼にお星様が弾け飛ぶ。
「御前はなっとならんな。教育実習中なんだぞ?それも結構な危険業務なんだからな。
まずは安全施行基準の手法をしっかり遵守する事。それが大事だ。
それから此の子達はだな。野菜と言うものを好まないのは確かであっても食べないわけではないのだ。
蜂蜜をかければ食べてくれるのだが。ここが大事なんだぞ。
野菜は嫌いだが、誰かに目の前で蜂蜜を掛けて貰うのが嬉し恥ずかし楽しいのだ。
ほらほうやってだな。」
家に帰れば六人の子供。仕事場では何人かの部下の手を借りるとはいえ、五十と四人の年頃の人雌達ちの父である。
「良いか。レムヌ。モレヌ。キキヌ。
此の蜂蜜は態々峰向こうの農場に月に一度契約養蜂農家に買付に言ってる貴重なんだぞ。
其れこそ貴族だって安々と手に入れられない商品なんだ。
美味しくて甘くてとってもお肌に良いんだぞ。ほら、とろとろ~~~とろ~~ん」
眉間の眉を繋げて睨めば憲兵隊の大牙鬼族さえも背を向けるほどの強面の教育係の漢は
子を甘やかすのと同じ様に声に拍子つけ野菜の上にとろりとろりと蜂蜜を掛けていく。
その様をこれでもかというくらいに満面の笑みを浮かべレムヌと呼ばれた人雌が覗き観てる
「おっ小父様さん。小父様さん。私にも私にも。疾く疾くぅ」レムヌの妹モレヌが強請る。
「髭の小父様さん。私は二往復がいい。たっぷりにしてっ」上の二人と同じ顔のキキヌが騒ぐ。
「ずるい。キキヌだけずるい。もう一個たべるからたっぷりが良い」長女らしいレムヌがはしゃぐ。
「私もたっぷりたっぷり。あと、其の子嫌い。脚食べて良い?」彼女等の中では特に肉を好むモレヌが目を輝かせる。
「ふむ・・・。
脚を食わせるのは出来んが、此の職場には向いていないな。御前は首だ。帰って宜しい。
・・・えっと解雇の手順と届けは・・・担当じゃないかならな。・・・・人事課に。
あぁ~~、御前。安全施行基準違反五階目か。其の内弐回は人雌人形に手を上げる暴力行為を実行してる。
云々。反省の色がないってことだな。君達、食べて良いぞ。お肉の食事を楽しんで良しっ」
「えっ。そんな・・・お肉の食事って・・・俺っ?」
其れまで楽しそうに蜂蜜がたっぷり掛かっている青野菜の塊をフォークで突く人雌人形の顔が歪む。
ぎょろっと目玉が以上に開くと頬の上間で裂けた口から乱杭歯が生えて蠢く。
脱兎の如くに飛び抱え場阿鼻狂乱とばかりの三日前と同じ魔物の人肉を喰らう惨劇食事が繰り返される。
「又、人員補充せねばならん。今度は職業斡旋庁にでも脚を運んでみるか
んっ。其処の若いの。掃除課に連絡入れといてくれるか?店が開く前に片付けて下さいって言っといてくれ」
がぶりぐちゃりと姉妹達が肉の塊を貪るのも最早成れた光景である。
やたら高額な賃金に引かれ雑用係を引き受けたのは良いが魔物の世話係だったと知った青年は
こわごわと背筋を強張らせるも、自分は安全施行基準は絶対守ろうと近い伝言を掃除課の詰め所に届ける。
散々に四肢の穴の全てまで弄られ舐め回された鼻髭立派な教育を押し付けられた漢は
疲労困憊と気恥ずかしから卒倒してしまう。
額に冷たさを感じて瞼を朧に開けてみると可愛く妖艶な顔が三つ心配そうに見つめていた
「ひゃっ。近い近い。顔が違い。ちょっと離れてくれ」思わず声を挙げれば
同じ顔をした姉妹がさっと離れて距離をとる。
その時何か親しい者への愛情と絆を示す光が彼女等の瞳に宿るのも感じる。
どうやら自分は此の子等にとって世話をしてくれる小父様さんと認められたらしい。
上役頭領に任されたなら責任もある。
まずは相手の事を知るべきだと思いその日は舞台に参人を上げすじっくりと話してみることにする。
吃驚仰天無知こそ己の恥としれ。魔物界隈にも通じる諺にも有るように世話係の鼻髭小父様さんは
自分の経験と知識の狭さとあの黄色眼鏡の薬剤師の錬金術の手腕の凄さと所業の酷さを改めて知識と蓄える。
悪の組織、蜂蜜紅茶商会が経営する新旧共にの舞踏社交の店。
其処に巣食う。正に巣食うと言う言葉しか当て嵌らない人の雌の女達。其の数。数えて五十と四。
皆、乳房も尻も大きく容姿端麗、綺麗な顔立ちであるが。其の顔つくりは皆良く似てて似すぎてる。
並べて比べ比較すれば違いも確かに有るのだが真面目に分類するとだいたい10種類である。
およそ50人の人数であるが皆良くにてるし最初から最後まで誰も互いを姉妹とも呼ぶ。
生活の基本的な事は四肢が覚えて居るので差し支えないので或ろうが仕事として
認識してるのは人種人類との性行為である。それは極めるべきかなと技を知識が豊富でもある。
そうしろ言えば大概は素直に言う事聞いて脚も開くが、逆にちょっとした事の知識がない。
鏡を嫌いもする。尤も自分と同じ顔がいつも側にあるのがからそれで良いと嗤いもする。
肉食であるが果物も食す。野菜を嫌うが最近蜂蜜を掛けて食べると言う技を覚えてもいる。
そして人種の肉が大好物有る。正確には人種の血と肉と汁。そして脊髄液。
其れは自分達の片親から引き継いだ本能だと言う。
飽く迄も片親である。御父様と言う言葉を理解するが御母様と言う言葉は概念にも知識もない。
つまりは本当に方親から生まれたという事である。それも父親からである。
例えそして真実としても黄色眼鏡の薬剤師が魔物であり雄であっても
体一つから五十と四人の姉妹を産み落とすのはむりが有る。
其れこそ脾腫の女を拐かし巣城で犯し強姦し子を孕ませるのを本性とする小餓鬼族でも
五十を超える子供を皆同じ顔にするのはあり得ない。
其処まで聞けば察しも付くだろう。
五十と四人の姉妹達は黄色眼鏡の薬剤師が己の四肢の細胞を検体として錬金術の技を駆使し
生み出し作った人造人種の雌である。
後の世界で人造人種人形と学会で命名される自然界には存在を許可されていない人工生物である。
それと知った時は驚愕に腰を抜かすが、だからと言って欠勤しても居られなかった。
何せ家に帰っても嫁も子供も煩いし、仕事場に出勤すれば五十と四人の子持ちである。
しかも甘えたがりやで我儘で人種の肉を平然と喰らう。
幾つもの疑問と扱いに困り恐恐と黄色眼鏡の薬剤師に羊皮紙を束ねた手紙を送ってみたが。
(任せた・・・・僕は忙しい)とでっかい羊皮紙の真ん中に汚い字で小さく一文描いて有るだけだった。
「何が任せただっ。い、育児箒でないかっ児童管理庁に駆け込むぞ。訴えてやるぞ」
店の真ん中で恫喝を上げても周りで服袖を引っ張る人雌人形がつぶらな瞳でおやつを強請る。
こうなればせめて一般常識位教え込まないと親代わりの立場が危ない。
其の日から鼻髭の小父様さんの育児業務が慌ただしくも可憐に繰り広げられる。
「ほら。大丈夫。大丈夫だから。
えっ。怖い?無理。やっぱり怖いって。仕方ないな。抱っこしてやるから。
こら。髭を掴むな。胸を押し付けるな。其れは無理だな。しょうが無い。約得である。
そうそう。手すりを掴め。云々。脚を台に乗せるんだそ。よっこいしょ。
てか、尻でかいな。アルキューレ。太ったな。このおでぶちゃんめ。
えっと次はモルヌキューレか。なっなんだ。そのへっぴり腰は。可愛いな。どれどれっと」
舞台社交の店の業務勝手口の通り道。
鉄製の大型運用馬車が横付けされている。
四馬立ての大型にもなると当然特殊免許扱いである。前の後ろの見える所にでっかく仮免許と看板が括られてる。
馬車を操車する従者が実地試験の前という事であり周りに注意を言う促す為だ。周りもそれなりに気もつかう。
店の戸口でモルヌキューレと呼ばれた人雌人形ががたがたと膝を鳴らし中腰で有りながらも
精一杯に両手を前に突き出して恐恐と鼻髭の小父様さんに抱っこを強請ってる。
「御前もか。モルヌキューレ、土塊だぞ?只の土なんだぞ?
それが怖いってどういう事なんだよ。人の頭は齧るくせに土の上が怖いってどういうことなんだ?」
「おっ小父様さん。抱っこ。私も抱っこして。
土の中には土蟲がいるの。踏むとぴょんと飛び出してお股の大事な所パクって噛みつくの。
怖いのこわいの。小父様さん。抱っこしてん」ガクガクと膝を震わせて顔面蒼白に染めれば
戯言嘘迷信だ。子供だましの迷信だと言い聞かせても
生まれて始めて土の上に脚をつけると成れば怖いのだろう。可愛い子どもに見えても姿は色香漂う年頃の女である。
やっとのことで説き伏せ、よっこらせと抱っこに抱え馬車に送り入れるが周りの屋から観れば変態である。
大層大きな体躯の立派な鼻髭を蓄えた強面の懶怠者が年頃の色香薫る人娘を太い腕で抱え込めば
娘のほうもぎっちりと腕を回してしがみつく。落とされて成るものかと股脚を平いてでっぷり腹に回してる。
新種の遊びか拐かしかと注目をあびるのは仕方ない。
「えぇ~~。ちょっと腹痛です。
お昼に食べた饂飩がちょっと賞味期限が切れていたのです。
集団中毒かって?いえいえ。ちゃんと当店は保険庁の規則通りに運営します。
この子たちは。お格様の差し入れをたべちゃったのです。だから大丈夫ですよ。
はい。真っ直ぐお医者様に見て貰いますのでご安心を」
人手不足で無理に小父様さんの助手に任命された若い漢が普段出さない大声で誤魔化す。
「シュキューレも抱っこ。おんぶは嫌いなの。抱っこがいいの。小父様さんのケチ」
気恥ずかしさから最後の一人はおんぶでごまかそうとすれば頬を膨らませて睨まれる。
上の姉妹と同じに様にしてやらないと平気で腕に指を立てて傷を付けてくるのがシュキューレである。
要は我儘な末っこである。
人雌人形共の感覚は人種とも魔物のそれとも随分違う。
五十と四人全部を姉妹と呼べば、いつも大体そばにいる参人か四人を姉妹とも言う。
何回がしつこくも黄色眼鏡の薬剤師に送った文の羊皮紙の束にも記載がある。
自分の検体を基本とし錬金術で生成した人造生物であるが全部を一気に生成したわけではない。
順次でもあっても少し間隔をあけて一度に参~四人と分けて作業を行った結果らしい。
つまりは全員が姉妹であるが同じ時期に一緒に生成された者を特別な姉妹と認識しているらしい。
因みに雄はいないのか?ときいたら
(僕に雄のあれを作れと言うのか?この変態野郎。減給処分だ)
っとおこられ実際に弐ヶ月減給の処罰を受ける。相当起こされてしまったらしい。反省然りである。
それと段々に人種人形の事を知識として自分がわかってくると親心も湧いてくる。
どうやって其の店に来たかは良くわからないが彼女らは店の外の世界を知らなかった。
どんな世界で有るか何があるのかと知識と経験もない。
それでは世界征服ところか黄色眼鏡の薬剤師の計画にも支障が出るだろう。
いざ、その時に土の中の蟲が怖くて計画が失敗するのは不味いし責任を取るのは自分である。
そういうわけで本日は社会見学の日である。
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