小餓鬼族英雄譚:A story of an Goburin Lord .




其の漢、若しくは雄が其の店に脚を踏みれた時、やはり周りの者は目を細め嫌味に顔を背ける。
其の店の商品が所謂、奴隷で有り人身売買に類すると成れば、幾ら大型高級店といっても世間にははばかる冪でもある。
尤も此の地方では需要が多くも求められる人材は多伎にも渡る。
大抵は主に労働力として大規模な建設や公共工事から始まり貴族輩の従者もその類の中に含まれし
中には冒険者と言う少々厄介げ下劣な者が奴隷共を買い漁る事があると思えば、大規模な戦争の捨て駒兵士として買われる事もある。
尤も、悪い事ばかりでもなく人柄も良く金を余らせ、尚且つ優しさ胸に温める優しい主人も稀にいて結構幸せな人生を送る奴隷も多い。
要は運とめぐり逢いと金でもある。
兎に角、精霊人類学に照らし合わせなくも、それ人種人類の容姿と生活習慣も大きく外れて人生を送る小餓鬼族である。
我々、人種人類の其れとは全ての面で大きく違う種族である。
身長背丈と言えば大体に人類の半分前後。半黒肌巨人族の隣に並べて立たせれば背伸びしても大人と子ども差は歴然である。
背が低ければ筋肉質と言う程でもな癖に冒険者組み合いやり込める位の腕力もあるらしい。
一度に二匹以上で相手にするのは避けて通りたいと苦く嗤う。其の腕力で棍棒を振り回し冒険者共の脛を殴り
怯んで屈んだ所を又、棍棒で頭を殴って叩き潰す。きちんとした対策と経験を積めば割りと簡単に狩れる魔物ではあるが
小餓鬼族の依頼を受けた新米冒険者は防具屋のs主人に武器よりも先に脛に合う丈の脛当てを選んで貰うのが初めの一歩だ。
背が低くて痩せ姿で有ると知れは次は腹だろう。こちらは筋張ったと言うよりぽっこり出っ張る脂肪の塊である。
魔物巣食う魔の森。魔森での狩猟生活に置いて獲物肉は簡単に手に入っても野菜と雑草の区別がつかない。
大体にして野菜は人種人類が態々畑で栽培する物であり小餓鬼族にとってはその辺の雑草にしか見えないだろう。
樹の実、果物を食する事は有るようであるが、オヤツがわりと言うくらいなのだろう。
雨季と極寒気の間で獲物が少なくなった頃に非常食がわりに農園を襲う時がたまにあるくらいだ。
其れくらいしか知られてないし小餓鬼族の好物はやっぱろ動物か魔物の肉と人は知る。
問題は我々人種人類と激しくも卑劣悲惨な戦もどきの争いが先祖伝来続いて居る事だろう。
小餓鬼族達は故郷巣として確かに魔森の奥に拠点を持つが、習慣なのか本性なのか人里の近くに仮巣を作ったり
宝が眠るとされる洞窟をまるごと拠点にしてしまう事も多々にある。
人種人類が強欲に溺れ洞窟に潜れば、俺達の巣に勝手に入って来るとは何事だっと戦と争いに成るのは必須である。
数年間隔で大繁殖と呼ばれる厄災が起きる事もありかつては阿鼻狂乱地獄絵図の如くの厄災の結果
結構大きな貿易の街が全滅の憂き目に合った事もある。それ故に大繁殖が起きる頃合いより短い間隔を
考慮して人種人類共が小餓鬼族の巣城を襲い全滅するぎりぎりまで追い込む政策も取られては居る。
独自の生態系と宗教を信じ、赤くは無いはないか血を流す。言葉は違うし決して相容れるには難しいとはして
知能と知性を持つ動物、魔物と一括りに化物と呼んで差別するのは倫理上と学者が騒いでも
殆、机上の討論となるのはやはりその生殖方法であろう。
小餓鬼族に雌はいない。母親の腹出てくるのは必ず雄である。
では、母親と言うのは当然の如くに他種族の雌ということ有り。なぞれば大抵は人種人類の女性を示す。
戦に事欠かず、元々性欲の強い小餓鬼族は他種族の雌を生殖の相手として選ぶが
特に好むのが人種人類の雌、詰まりは女性である。
其の扱いは酷く粗暴で乱暴極まりなくも下品で下劣で暴食的である。
以上にまで強い勢力と強い腕力を極限まで振り上げ人種人類の雌を強姦し無理に子を孕ませる。
小餓鬼族にとっても子孫繁栄の為は元より生涯に置いてどれだけ多くの人種の雌を犯して孕ませたか
どれだけ美人でいい雌をどうやって犯して征服したかは一種のステータスと自慢の種になる。
一部の部族では美しくも可憐な人種の奥方をどれだけ周りに侍らせる事が出来るか
それ自体が部族での地位の尺度に成っている事もある。
差し替えれば小餓鬼族の妾にされた女性の大半は狂気と快楽の間で吾を失い気が狂う事も多く。
一度巣城に連れ込まれればほぼに帰って来ることはない。冒険者の救出が幸いに間に合っても
小餓鬼族の情事の快楽と見事な躾けの技に溺れ、旦那や家族と見限り元の巣城に飛んで帰る者も多い。
つまりは人種の漢雄にしてみれば、自分の妻や娘を拐かされ寝取られるだけでなく。
大金を冒険者に支払い、なんとか連れ戻しても結局逃げられて元に戻るのであれば
精々に最初から気を配って戦を仕掛けたほうが安全では有る。
まぁどちらにしても今日も明日も一年と数十年後も剣と槍鉾を向け合う相手である。
明らかに小餓鬼族の雄がこの街で二番目に繁盛している高級奴隷店に姿を魅せる。
当然の如く慌てるも腰の剣鞘にてを添えて大柄な店護衛の漢がズカズカと靴音蹴って走り寄る。
後で知ることになる情報ではあるのだが。其の小餓鬼族は他の小餓鬼族族よりも鼻た高く
背も本の少し高い。当人いわく其れがとても大事なチャームポイントであり自慢であると言うらしいが。
兎に角、他の小餓鬼族よりちょっとだけ背が高い事を自慢する小餓鬼族の雄は
戦の理とばかりに強面で詰め寄る店護衛の漢に対し、戦返しの返礼とばかりの棍棒を振り上げるのではなくも
片手を上げて独特の仕草を真似て店護衛の漢の顔をまっすぐに見上げる。
店護衛の漢は、こんな場所で其れを観るとは思わなかったとばかりに驚愕し口を噤んで身を固める。
ちょっとだけ背の高い小餓鬼族が示したのはどの戦場でも味方同士でよく使われる戦手話だった。
その意味を示すならば次のように成る。
(待ってくれ・・・戦いに・・・来たんじゃない・・・客として来た)と成る。
店用心棒と成る前は何度も刃を交わした小餓鬼族が自分達の戦手話を使うと言うのは驚きである。
もっとも人種とは違い人の喉をたやすくも引裂くかぎ爪の如く骨ばった指は数が足りない。
冒険者として数年前の大繁殖にも参加した事もある経験が有るこそになんとか足りない指の
稚拙な動きで合っても読み取れたのは幸いであった。
商売を営む店で有る以上、自分で客がと名乗る輩を無下に追い返せば評判に傷がつく。
其れにちょっと背の高い小餓鬼族は筋ばった左腕に括った白布に青と緑の線画入った腕章をも指差す。
意外な極まる事の如し、白地に青緑線の入った紋章が示すのは、他国・他種族・他民族の正式な賓客で
有ると此の地方州の州大使が認めた賓客であると示す。正式な特使と言っても良い。
「きゃ、客だと言うなら。店の仕来りに従って貰おう」
「ぎゃっ」歯並びがやたら悪い口を開け喉を鳴らして頷く。
店用心棒の漢は、別に意地悪をするつもりは無かったが周りの者からみれば一声かけるべきだとも思われる
其れとあとえ言われても其の瞬間は目の前の小餓鬼族が白腕章を括っている事が不思議で言葉足らずはしょうがない。
したがってぐいっと自分の頭と同じ位の高さに突き出された
編み細工の籠が失礼すぎるとはちょっと背の高い小餓鬼族は思わなかった。
特に抵抗する事も嫌がり拒む事もなく。腰に括っていたお気に入りのこぼん棒を手に取り
差し出された編み細工模様の笊の上に乗せる。次は石ヤスリで良く研いだ探検を笊に重ねる。
つまりは、奴隷と言う繊細な商品を扱い、時に喧嘩沙汰にもなりゆる場所であれはこそ
客に武器をもたせる訳にはいかないのである。当たり前であるといえばそうであるが。
武器を預かるとは良い損ねた物の、目の前の小餓鬼族は礼儀も仕来りも弁えて居るらしい。
問題は其の量である。
先に笊に載せた棍棒と良く研いだ短剣。外見から見れ取れる武器は確かにそれだけだった。
否然し、出てくるわ。出てくるわ。それでもやっぱり出てくるわ。
逆手用の短剣の其の刃は上と下で刃並びが違う。斬りつけるというよりは肉をえぐるのに適してる。
それから予備と言うかやたら鋭く尖る刃先は倒れた的に止めにつかうのだろ。
店用心棒も持たことが有る。極太刃の肉切り包丁。意外にも小餓鬼族は料理も得意であるから必需品であろう。
小弓に矢と其の材料。組み立て敷のぜんまい仕掛けのボウガンとその矢と掃除用具。
使い込んで居るようであるが手入れもしてある。大事な品に違いない。
吹き矢と液体を満たしたガラス瓶。色からして毒矢で冒険者の首を狙えば即死するだろう。
かぎ爪の付いた鉤縄と楔が付いた棒。捕まって檻の鉄棒を削るやすりと研ぎ石
小袋に詰めた火薬玉は特に危険でもある。殺傷用・目眩まし・眠り玉・麻痺玉。
燻製に薬を混ぜ込んだ見張り犬用の餌に逃亡用の煙幕が参種類。
仕舞にはのそりと手を回して取り外した腰帯には其れこそ有りとあらゆる道具が括りつけてある。
これで全部かと思うと、手をポンっと言って気づきぼろ木靴の靴底隠した人を殺めるには十分な
殺傷力をも鋭く尖る鉄の釘が参本も出てくる始末だ。
「どんだけだよっ。お前さん。戦でも始めようってのか?
州大使様の大使がこんな危ない者持ってちゃ駄目だろ。偉いんだからもっと堂々としろ。
上目遣いでもじもじしなくていいから。護衛の奴隷でも買えばいいだろ!戦奴隷を護衛にしろ
気づくな。そこでがつくな。もういい。観てるから俺が後ろで観てるからつ」
残った片方の靴から何か又、捻り取ろうとしてるちょっと背の高い小餓鬼族をなんとか制しする。
どことなくもはずかしい思いをしたとばかりに身を捩ると腰に付けた巾着袋から銀貨を取り出し
店用心棒に手を突き出して渡す。
客の好意と受け取れば良いのに、店用心棒の漢は一度は受け取ろうとしたが直ぐに手を返して
いらないと告げる。すると其れをみてちょっと背の高い小餓鬼族は腰の巾着袋に骨ばった指を
突っ込んで又、用心棒の顔前に背伸びして突き出す。
さすがに弐度目となると幾ら相手が小餓鬼族で或ろうとも失礼に当たるからと受け取り頭が下がる。
心付けを押し付けられば悪い気にもならない。店用心棒バンシムは頬を緩ませ
極太い手を突き出し周りの野次馬を乗せると振り返り小餓鬼族を客待つ店番頭の方へと案内してくる。
「おうっ。四番店番頭のニシュリウムさん。
先日の白蛇女の件は残念だった。だが此の御方が貴下を助けてくれるぞ。がはっは」
大酒飲みで参番目の子連れの妻にも先週逃げられて今日もしょげてばかりいた店用心棒バンシムが機嫌よく嗤う。
此処で白蛇女の一件を持ち出されるは嫌だったし
元より客の前であるその大声と腹をひっこめろと四番店番頭のニシュリウムは目を細め睨み返す」
「こんにちは。初めまして。小餓鬼族の御客様。どうぞ、こちらへ」
店用心棒バンシムが武器を取り上げても自分の所に連れてきたと言う事は、詰まりは客である。
小餓鬼族の癖に街でも地方でも弐番参番のどちらかと謳われる奴隷店に顔を出すとは
どうゆう了見なのかしらと訝しんでも客には違いない。
特に四番店番頭の位に甘んじてるニシュリウムにとっは少しでも売りあげが欲しくもたまらない。
半月前には無理をいって知り合いに勝手貰ったどれが大層な事件を起こし。其れは粗相と言うには酷すぎた。
詰まりは失態であり、大惨事でも合ったから弐番番頭の座を譲らざる負えなかっただ。
今日その日に運めぐりてパンシムが紹介する客が自分の境遇に何か影響を与えてくれるとは到底思わずとも
少しの銀貨と密かな楽しみに色を添えてくれるかもしれない。あまり期待は出来ないが。
「こん・・にちは・・・ばっ番頭さん。
ぼっ僕は、小餓鬼族のヒュッテンバロズユクユヌゲロウズピポンヌケンバロウス。
僕、人のこ・・・とば・・・・うまく・・・話せない」嗄れて耳障りな声音がなんとか耳に届く。
「ヒュッテンコロンブススズメノトンカチオモチハオイシイ?
あれ、ちがいますわね。えっと御客様。御客様とお呼びしますね。ほっ本日はどの様な子を・・・」
正直な話、もうこれだけで嫌になった。鷲鼻の下で頬まで避けた口から二枚に視える舌をうねうねと
動かし擦りわせて漏らす声であり聞き取りすらくてしょうがない
「意思の疎通がうまく出来ないお客様とのお取り引きはお受け出来ないこともありますの
其れに会員カードはお持ちですか?お持ちになって居なければ当店との取引出来ると言う
確かな証拠として預り金も必要となります。預り金の方は最低中程度の奴隷一人分となっておりまして
収めて頂いた後のご返金はいたしません。平たくいれば保証金で御座います。
私奴個人としては、是非に御客様との取引をよ思いますがと店主からきつく言いつけられてまして。はぃ」
此処まで早口で良い切ってしまえば背の高い小餓鬼族には何を言ってるかもわからないだろう。
こちらの言い分を理解も出ずに商売交渉も成立しなければ、後は店護衛の出番だ・つまみ挿せば良い。
例え既に店用心棒バンシムが小餓鬼族から心付けを貰っていたとしても、其れ以上に商いが成立しないと成れば
店仕来りにしたがって、この薄汚くもちょっと背の高い小餓鬼族を追い出して昼ごはんにもありつける。
半分は腹いせである。何しろ小餓鬼族の名前があんなに長い者とは知らなかったし
早口言葉を極めて聞き取れるところか繰り返すべきでも忌々しくと舌を噛む所であった。
こちらの言葉理解できず、意思の疎通が出来ない客を追い返すのは店に仕来りとしては確かに成り立つ。
四番番頭ニシュリウムの策に抜かりはない。普段から客を観ているからだろう。
自分でも観察眼鋭い鷹のごとくも・・・、その目利きは嘘であったと後に後悔する。強くにである。
空見たことかぐうの根も出ないだろうと睨むがちょっと背の高い小餓鬼族は容姿は別として
凛とした客姿とただずまいだった。
第一に最初にやり取りをした店用心棒バンシムとの会話は成立している。
店の仕来りよりも何かして貰ったら気持ちだけもの返礼として些細であってもそうでなくも
銀貨の数枚でもと気持ちを示す。
又然り、声を掛け勧めた椅子にきちんと腰をも沈めている。
もっとも人種人類に合わせた大きさお椅子であるから小餓鬼族西は多少背が高くも
床に脚が届かずぶらぶらと揺れてしまうのはしょうがないだろう。
それも又、四番番頭さんの所に背は低いけどお客が来たと知らされ薄い黄甘果物を絞った水杯を
携えた給餌奴隷がよってくれば。微笑んでいるのかそうでないか判断のつかない表情で
尚かつ、自慢の大きな鷲鼻が意外に邪魔に成るのを我慢しながら飲み干し
巾着袋から色の付いた銀貨を給餌奴隷の盆の上に心付けばかりと丁寧に置いている。
「おっ。御客様。困ります。困ってしまいます。
私奴は給餌奴隷で御座います。それが仕事で御座います。黄甘水一杯をお運びしただけで御座います。
そっ。それにこの金額は多すぎます。どうか、財布にお戻し下さい」
確かその給餌奴隷は普段から優しげな仕草でもあるが必要以上に腰の低い奴隷である。
それが盆の上に乗せられた銀貨におののきいらないとばかりに血相を変えている
「ぎゃっ。ぎゃん」と頬まで避けた口を開けて唸るが威嚇してるわけでないのだろう
一度盆の上の銀貨を指出し、これは自分の巾着袋からすでに取り出し
心つけとして盆の上に置いたものであるから戻せない。既に貴方の物だと給餌奴隷の鼻先をもしめす。
次に腰の巾着袋から銀貨と長い鉤爪の先で起用につまむと又、盆の上に置く。
今度は何を所望してるとばかりに顔をふり口を開けて二枚の舌をべろべろと振り回し
同時に大げさに降って目を回す。突然におどけて魅せたわけでもなく。
「どうしても収めて頂けないと言うのでしょうか?あまりに高こう御座います。
あっ。御客様。お酒を御所望なんでございますね。其れも強いやつですね。
承りました。えっと、でっかい鼻が邪魔で飲みにくいから吸い上げ棒をいれてほしいのですね。
つまみは猿顔牛の燻製の煮込み小鉢と野菜と果物の闇鍋詰め合わせのどちらが良いですか?
ふんふん。野菜は草だ?雑草だ?立派な食べ物だと思いますが
猿顔牛の燻製の煮込み小鉢をご用意を少しだけお待ちくださいませ。小餓鬼族の御客様」
うやうやしくも頭をさげどこか嬉しそうに足早に裏厨房にに小走りに消える給餌奴隷。
眼の前の小餓鬼族と給餌奴隷のやり取りは確かに人語でのやり取りではなくも
人語と濁唸音交じるやりとりであるが手振り身振りが混じれば互いの意思が通じる。
其処に仏語うはないだろう。
では、商売のやりとりはどうとなる?何せ奴隷の購買交渉だ。
求める奴隷の容姿と性格、其の目的と使用方法。詰まりは客の要望が伝わらないのなら
商売なんて到底成り立たない。やはり無理ではあろう。
だが然し。杞憂であったと言えば聞こえが良いがニシュリウムは自分の言った事を
詫びるところか撤回したい思いで恥ずかしくも近くてで睨むバンシムの視線が肌に刺さる思いであった。
此の店で奴隷を買い上げる取れば、それが話が通じず意思のとれない客に提示する無理なんだとしても
まず、店の会員証をもっているか?これは依然に店で奴隷を買ったことが有るかと言う実績を示す物であり
当然。その時の代金を払っていると言う証明である。
もし其れを持っていなければかわりに有る一定の銀貨を見せ金として奴隷一人分のり銀貨を支払う。
中程度と言っても曖昧であるも大手の奴隷店であるからそれなりの値段にもなる。
おまけにそれで奴隷が購入できるわけでもないのだから随分勝手な話でもあるだろう。
意思の疎通やできない輩とか悪党風情の嫌がらせに対抗する方法であるが
嫌な客を体よく追い払う手段でもある
他の者よりちょっとだけ背の高い小餓鬼族は、予めの手荷物検査で合格を勝ち取った
着物悪い文様が入った鞄に鉤爪の手を突っ込んであれこれとガサガサとやり
手頃な大きさに切って揃えた羊皮紙の束を抱え込みペラペラとめくっては覗きこむ。
何枚かめくって睨んでは羊皮紙を組み合わせてニシュリウムと自分の間に置かれた
商売宅の上に並べて自慢気に鷲鼻をフンっ鳴らしもする。
はてさて、古臭くもちょっと埃ぽい羊皮紙の上には何かが刻んである。
其れは、時に文字が間違っていて読みにくかったりもする。中には意味が通じかなかったりもある。
特に難しい言葉であればあるほど。時に人種人類にはあっても小餓鬼族のにはない言葉など。
羊皮紙自体に書かれる文字は現代略語のそれでなはなく四回ほど前の小餓鬼族の大繁殖の頃に
一部の社会で使われていた俗に帝国貴族語と呼ばれる比較的にも堅苦しい言葉である。
其れ所々、単語が抜けていたりするのだが其処には人種人類の姿を模した絵が書いてある。
小餓鬼族は人語を理解しないのではなくその口と喉の構造で上手く発音出来ないだけであると
世に知らしめたのが今日の出来事であったとも後世の人類は記録している。
「えっと、つまり貴方は商品奴隷を買いにきた客の私に、まず見せ金を用意しろと言っているのであろうか?
確かに店に初めてきたのは今日であるし、街に付いたのも昼すぎである。(未だお昼食べてないもん)
初めて来た客に保証金を払えと言うのは良からぬ来客を拒む術としてはまずまずでも合っても
本当に此の店で買い物したいと思い心楽しみにしていた客には嫌味であろう。
大体に、名乗った客の名前を一度で聞き取れぬところか復唱もろくに出来ないとは何様であろうな。
ともあれ例え少しの戯言紛いに言われても小餓鬼族と曲がり鼻と差別されるよりはましである。
生まれも育ちも戦さ場も人種人類からは嫌われる、これぞ正しく小餓鬼族であるが
州大公殿の印書もあるし特使の証の白腕章もここにある。
それから商店会推薦の福引判子冊子も持っている。此処で奴隷を買ったら判子貰えるのかな?
参等の温泉旅行も気になるが、残念賞の蜥蜴蛙の串焼き参本せっとも気になってしょうがない。
兎に角にも、客の見栄と意地もある。保証金位幾らでも払ってやるから覚悟しろ・・・」
意思の疎通が取れないところか埃くさくもインクがかすみ所々は擦って埃を削り退けなければなならない。
其れに口語ではないから堅苦しくも違和感もある。時々文字の間に絵柄あるから
其れも誤解を生みやすいだろう。それでも意味が通じるし意思疎通も確かに出来る。
「番頭さん。ニシュリウムさん。止めさせたほうが良いぞ?
流石にやりすぎだぞ。小餓鬼族の旦那。ぼっ、盆の上。丸器じゃなくて皮盆に上だよ?旦那」
「えっ?止めれるって何を・・・?」古びた羊皮紙にのたくう癖のある文字と絵を組み合わせ
なんとか読むのにニシュリウムは必死だった温泉旅行より串焼きの方が気になる小餓鬼族の振る舞いに驚愕する。
小汚い小餓鬼族を追い返そうと店の仕来りを振りかざしたニシュリウム。
それでもその意味を汲み取り嫌味としっても尚且つ払うと言い切った小餓鬼族の客。
机に並べられた羊皮紙の束に夢中になりすぎて小餓鬼族の客が保証金を払っていたのに気が付かなかった。
通常であれば見金・保証金の相場金額は多くいっても金貨参枚から五枚程度である。
大体にして見せ金であるのだから本来に購入する奴隷の金額より高い訳が有るはずもない。
そして其の金額は専用の会計皮盆の上に客が置く。一度、盆の上に置かれた金貨は店の物で返却はなされない。
だがもう一つ、園となりに丸い器が置いてあった。それは番頭個人の為の心付け用である。
詰まりはその丸い器は客が誠意を感じた時に気持ちがれたに恵んでくれる臨時の給金である。
その丸い器に金貨がうず高くも山になっている。黄金輝く金貨で山となっているのだ。
「おっ、おっ、おっ、御客様っ。小餓鬼族の御客様。
なっ、なっ、なっ、なっ、何をなさっているのですか?保証金と言えでもお支払いはこっちです。
其処は私個人の心付けで御座います。良いですか?こっちは私の。こっちがお店です。
すっ隙間に無理に金貨入れるの止めて下さい。重ねないで。重ねちゃ駄目ですっ。
ご、小餓鬼族って起用で御座いますのね。知りませんでしたわ。
山盛りですよ。金貨の山盛り。家建つから。一等地に家建っちゃうから。お止めになって」
怒声と言えても悲鳴も交じる。丸器を指出しては自分の顔を指し玄関の看板を示しては
皮盆をさして違いを示そうとするが上手くも伝わらない。この辺のやりとりは習慣の違いだ。
小餓鬼族には癖がある。賭け事もそうであるが一度何かに熱中するとなかなかそれから
頭がはなれない。周りが視えなくなると言ってもいい。悪い癖である。
「そう言えば。小餓鬼族の商売の取引は大抵が物々交換だそうだが
中にはちゃんと金銭代わりの小石を使う種族もいるそうだ。
小石だから転がらないように丸い器を支払い盆のかわりに使うそうだ。
小餓鬼族の旦那が支払いの盆を間違うのも仕方ないだろう」
「そうなんですか?初めに言って下さい。バンシムさん。
ちょ。ちょっと待って。指の隙間に金貨ねじ込むの止めて。お、止めになって。
豪邸建ちゃうから。貴族地区に豪邸建っちゃうから。お止めになって下さいましなてばっ」
丸い器の中に山とてんこ盛りに金貨を詰め込むと言う戯言にいつの間にか熱中してしまう背の高い小餓鬼族。
きゃぁきゃぁと唾を飛ばし丸い盆の金貨積みを邪魔しようと上から抑え込む指を
痛くない程度に鋭い爪で突き軽い痛みを退けてのければ、其の隙にとばかりに又、金貨を積んで魅せる。
「はっ・・・。はいっ。此処までぇ。むり、無理。これ以上は無理で御座います。
蔵建つから。蔵。貴族地区ところか。税務署飛んでくるから不正不労働とか言われて税金持っていかれるから
此の若さで蔵持ちの金持ちとか嫌ですっ。程々の幸せが良いのです。
おっ。御客様。商店会推薦の福引判子冊子に判子、押しましょう。押させて下さい。
是非、私に判子押させてくだい。御客様っ」
痛くない程度であっても鋭爪で指をつつかれ、怯めば隙をねらって又に金貨かが山になる。
これは堪らんとばかりに半べそで降参し、なんとか気をそらそうと声を上げる。
「ぎゃっ」とうなって小餓鬼族は吾に返り待ってましたとばかりの商店会推薦の福引判子冊子と聞いて
変な文様の鞄の奥から大切そうに皺を骨ばった指でつまんで皺をのばして机の上に置く。
これは屋台で串焼きを買った時とか店で何かとかったとかその数によってスタンプを押してくれるものであるが
正直、保証金と言うよりはニシュリウムへの心付けである。痛くなかっと言えば嘘であるがあまりの多さに山から
崩れた金貨を手で払って保証金の盆へと投げて放り上げ店の顔も立てる。
それでも何個押して良いかも分からずに適当にポンポンポンと三つ位押す
ギョロリと大きな目で卓の間近に顔を寄せて見つめる小餓鬼族の客しては珍しくも嬉しいらしい
「そっそれでは御座いますわね。
小餓鬼族のヒュッテンバロズユクユヌゲロウズピポンヌケンバロウス様。
改めて当店へのご来店有難うございます。本日はどの様な奴隷商品ご所望で御座いましょうか?
まずはご要望をお知らせくださいませ」
淀みなくもツラツラと小餓鬼族の名を述べて魅せるのは商人故の才能であっても
さっきは随分と失礼な事をしたと後悔もする。
家が立てば豪邸に、蔵が建つと思えば税務署の役員が鼻息荒く走ってくると成れば
気を引き締めて交渉する必要も有るだろう。舐めてかかると小餓鬼族は怖いのである。
「小餓鬼族の輩がこんなに芸達者だとはおもわなかったぞ。
確かに大戦の前の小一時間ほど踊り狂うのは有ると知っていたがこれほど芸達者だとわな」
「普段のお祭りでもお芝居とかやるそうですよ。
間伐の時に村にきた小餓鬼族さんとの交渉の時も大層なお芝居でしたよ」
「そうなのね。私もちらっと聞いた事あるけど冗談だと思ってたわ」
自分の机の上に山とか重なるさる心付けの金色の金貨をちらりとみてはどうしてこうなったとため息を
激しく付くも、目の前で一心不乱に自分の欲しい奴隷の要望を伝えようと奮闘する小餓鬼族の仕草が滑稽にも思える。
「まずは、何人程ご用意しましょうか?御客様」当たり前の事をきくが、精々にひとりか二人だろうと睨むと。
小餓鬼族特有の欲に目をギラリと輝かせて四本指の右手の内、三本を立てて参をしめし次に左手の指をおってから
壱と弐を示す。
「えっと参人程が確定ですね。それから四人か五人に成るかもということですね。
お金は大丈夫・・・ですわね。其の膨らんだ巾着袋が怖いです・・・。何枚入ってるのですかね
次はどの様な感じの子でしょうか?漢でしょうか。女かしら?」未だ指が小刻みに震えるのを我慢して説いてくる。
「小餓鬼族の旦那にとっては女と言うよりは雌だろう。強欲であるから雄はいらんだろうな」
いつまにかぐるっと回ってニシュリウムの後ろ背の位置に陣取り成り行きを見守ろうと
決める店用心棒バンシムが腕を組んででんと構える。
「おまたせしました。ご所望の小鉢とお酒で御座います。小餓鬼族の御客様」
優しくも腰の低い厨房囲いの給仕奴隷がうやうやしくも盆を掲げ持ってくると卓の上に
並べるが他の用があるかも知れないとその場に留まる。
彼等が最初の三人の客だともで言うのだろうか。給仕奴隷の女が置いた盆から
今度は大きな鷲鼻も邪魔にならないとばかりに嬉しそうにすすり棒を加え
頬を窄めて一気に酒杯の中身を啜り吸うと、ぶはぁと酒臭い息を吐き出すがそのまますくっと椅子から降りる。
これも又にとても大事そうに他の者には絶対触らせなかった背負子鞄を脚元に起きゴソゴソとやりだしたかと思うと
布切れらしき物を取り出す。人間の姿をもしているのだろうか。最初の服は胸元に何かを詰めた様な物と
腰巻きそれから手には手作りの棒みたいな物を握り、其れを振り回してさえも視える。
腕を構えその筋肉を誇示してるかのようにも視ええれば元々怖いそうに視える顔を歪ませ狂気にまみれても居る。
時に踵をぐいっと伸ばしてみたり時に棒切れを振り回してはうなっても魅せる。
「あの御客様。それは何の真似でしょう?何か人のマネとしてるのでしょうか?」
確かに荷物から扮装衣装を着込んでからペコリと頭を下げてから棒切れをふりまわしたから何かの芝居にも見て取れる。
「なるほど。小餓鬼族の旦那は良く我らの事を知っているのだな。云々。あれはきっと半黒巨人族の女を示しているんだ。
二の腕に布を丸めて力こぶを表現してるし。手に握るのは戦槌を示してる。なかなか上手く出来てるじゃないか。
詰まりは護衛だ。最初旦那を守る護衛を欲しがっているんだなっ。
おいっ。護衛に猛る奴を連れてこい。巨人族は居るかどうかわからん。適当に見繕ってこいっ」
店用心棒の立場で言うべき事ではないが口を出さないと肝心の店番頭は未だ頭が惚けてるようだ。
「えっ。ああ。なるほど。そう言われてみればと言うか。
あんなに踵突っ張って背の高さを表現してるですね。転ばないでくだいよ。御客様。
詰まりはあの扮装は御自分の欲望、否に要望を示しているのですね。なんて独創的な表現でしょう」
小餓鬼族から観て最初に世話をしてくれた大漢が腕を組んだままに自分の意図を理解してくれたとわかると
「ぎゃんギャン」と喉を鳴らして跳ねて喜び顎を深く落として頷いて手を叩く。
「なんかすごく可愛い小餓鬼族さんですね。なんか不思議です。
噂風に聞こえる容姿ともちょっとちょっと違いますよね。蒼い肌の小餓鬼族さんて初めてみました」
「そうね。言われて見ればこの辺の巣城の小餓鬼族は灰緑に指が三本よね。四本指でなかったはず。
あっ。次は何かしら?どんな子を御所望なのかし?」
最初の小芝居が終わり起用にも視えるが普段から余計な布を体に巻き付けてるわけでもないから手間取ってしまう。
まとわりつく布布を床に丸めて一箇所にまとめると客卓に近寄り小鉢料理をパクリと一口であおる。
一見、行儀が悪いとも視えるが食事の風習が違うだろうし小鉢では腹の足しにもオヤツにもならない。
当然、次に啜った酒杯にも残りは少なく眉もひそめる。それでも気を取り直すも2つ目の衣装を背負子から引張出してくる。
二度目にも成れば今度はわかりやすいだろう。先程に護衛と正解した時につかった棒に太めの千切った糸線が垂れる。
其れを地面に向けて何やら左右に控えめに振りまわす。其の動きはまるで掃除する女性を示しているように視える。
「はいっ!掃除するおばさんっ」まるで子供同士び謎当てかと言うようにしゅたっと手を上げてニシュリウムが手を上げて答える。
「ぎゃんちゃん」帰る言葉は肯定なのだろうか。
着込む衣装は先程よりも質素ではある。何か一枚物の布ではあるが前掛けと言うか腰巻きにも視えるが仕事着であろう。
掃除と言えば棒切れだったが、次に取り出したのは木の枝で造った輪っかを組んだ物体だ。
其れを振り回すが何か動きに特徴が有る。其の次は布切れを取らして何かを拭くような仕草にも視える。
「あっ。わかりました。私っ」盆を胸に掛け持ち給仕奴隷の女がこれもまたシュタっと手を上げる。
「えっ?何?なんなの?掃除のおばさんじゃないの?絶対そうよ」ニシュリウムが自分の答えに納得して頷く
「あれは、私のお仕事です。最初のは箒で庭を履いてるです。
二度目のやつお料理ですよね。御客様。あの木で作った輪っかはお鍋です。次が買い出しの籠になったし
最後には床を拭いてますよ。詰まりは給仕奴隷であって御主人様の世話をする係、世話係りですよ」
「ぐぎゃくぎゃん」おおきく頷いて小餓鬼族の客は頷くと腰の巾着袋から金貨を摘みポンっと
給仕奴隷の女に投げ来る。二枚はさっき正解したバンシムの分もと追加で飛んでくる。
どうやら小餓鬼族の扮装の正解を当てると金貨が貰える流れらしい。
「最初が護衛奴隷。二人目が、掃除、洗濯、料理が出来る世話係で
人数は一人、若しくはふたりっと。・・・掃除のオバサンにみえたのに・・・くそっ」
自分の卓の上には家が立つところか蔵も建つほどの金貨が山となっているのに。
小餓鬼族の扮装当てに外れたのが悔しいのニシュリウムは唇を軽く噛みつつも。
小餓鬼族が最後に指を一本立て、更に一人と追加したのを観てとり注文伝票に筆を奔らせる。
少し前、ちょっと前の頃合い。
その日、随分と珍しく又、面倒そう小柄な客に水杯を運んだ腰の低い給仕奴隷が
厨房に戻ってきて声を上げる。
「厨房親方様。これを観て下さい。金貨だと思いますが、異国金貨ですか?」
物腰は低いが実は結構、芯の強いヒビシヌが手の平に乗せた金貨を見せてくる。
奴隷が自分の手に握るっているのは心付けか給金であり店が取り上げる事はない
「心付けだろ?御前が懐にいれて良いお金だよ。
えっ?金貨だって?其れも異国金貨なんて珍しい・・・
あっ。其れは・・・・異国金貨じゃないよ?例の港町の壊滅の前後に発行された
記念金貨だよ。今の通貨に換算すれば・・・そうだね。この街の土地の半分はこれで買えるね」
「えっ?此の街の半分の土地が買えるって・・・どうゆうことですか?」
「貴下は今、この街の領主の半分の力を持ってるってことだよ。
おめでとうさん。もう此処は貴下の寝床じゃないよ。すきに生きると良いよ
所で其の金貨誰からもらったんだい?」領主の半分の力を握りしめるって実感もない。
ここが寝床じゃないと急に言われてもこまってしまう。
「十二番卓のニシュリウムさんの机です。
あそこに座ってる小餓鬼族の御客様が給仕の代金にって」やっと其れだけ答えるのが精一杯だった。
今日その時から奴隷でないっといわれてもどうしていいかもわからない
そんなヒビシヌをその場に置き去りに厨房番頭の叔母さんが声を張る。
「ほら。お前達。同僚のヒビシヌが手にした金貨は大繁殖防衛記念の黄金金貨だよ
一枚手に入れただけで街の半分の土地を買い占める事もできる大金だよ。
個人でで手に入れるのは運が良すぎるが、店の儲けに貢献するあんら見返りも大きいよ。
さっさと小餓鬼族の旦那に媚びうってくるだよ。
余計な衣服付けてないで、さっさと薄着になって腰振ってくるだよ。此のバカども。
こら、野菜は駄目だろ。小餓鬼族が野菜食らうはずないでしょ?肉だよ。お肉っ」
厨房で一騒ぎと親方が声を張っている頃。
2つ目の扮装が終わり追加された肉料理と麦酒が卓に用意される
うまそうに肉料理を食らうちょっと背の高い小餓鬼族が夢中になっている隙に
戻ってきた給仕奴隷ヒビシヌはニシュリウムに向かって背伸びして耳打ちする。
一瞬に其の顔が曇ると卓の上の丸杯に山と埋まる金貨をチラリと睨んでため息を付いて肩を震わせる。
「ごっ、小餓鬼族の御客様。
先程、給仕しました給仕奴隷のヒビシヌが御客様の元で働きたいと申しております。
他にもう一人の世話係と護衛と戦闘を行える者が控えております。如何で御座いましょうか?」
さっきよりも更に緊張した声でニシュリウムが告げてくる。
まず、一歩前に出て小餓鬼族の新たな従者として立候補したヒビシヌに顔を向けると
ゴクリと喉をならし口に含んだ肉料理を呑み込み麦酒を啜り棒からちゅう~と啜ってから
脂ぎった手を首に巻いている布で良く擦り油を落としてから骨ばった手を突き出して歪に顔を歪め微笑む。
きにってくれたと言うことだろう。聞き取りにくいぎゃんぎゃと言う声もどことなく嬉しそうであろう。
恥ずかしさの中に新しい主人がきまった嬉しさに顔を紅らめるヒビシヌの隣でずいっと影が現れる。
「今度の御主人候補は随分と小柄であるな。それに戦場では何度も顔みた曲がった鼻をしてるぞっ
大丈夫なのか?私は結構大食いで強欲なんだぞ?前の主人なんかちょっといい気持ちになって
ねだり過ぎて腹上死に至ったんだぞ。私の胸に顔を埋めて腹上死なんて極楽浄土驀地だなっ。がっははのは」
大地を揺するほどに大声で笑いあげると冗談も程々にと店番頭が慌て位な勢いで嗤い
おまけに大きな手で戦場で何度も潰した小餓鬼族の頭をなであげる始末である。
「シモンヌさん。やりすぎですよ。いくら小餓鬼族でも御客様で御座います。
これから養って頂く方に対して粗相はいけません。それに・・・。
私奴の御主人様はそこら辺のお馬鹿小餓鬼族ではございません。手指が四本と蒼肌で御座います。
これは本でも読んだ事も御座います。四つ指の小餓鬼族は稀有で有り、その指一つで下賤の小餓鬼族を統べると聞いております。
其れに、失礼ながら御主人様は小餓鬼族でございますよ?人の欲など及ばないのは当たり前です」
「あっ。それはそうだな。云々」半分黒くも濁る肌を持ち大きな体躯の女戦士奴隷が照れくさく嗤うのは訳があった。
戦場で幾度も潰してきた頭を冗談半分に撫で回しているといつの間にか馬鹿にしたはずの小餓鬼族が一歩と前にでて
シモンヌの下腹部をネッチョリと撫で回してる。シモンヌがいつでも潰してやれるぞと脅せば
主人ことちょっと背のたかい小餓鬼族のお客は幾らでも孕ませてやるぞと迎え打つ気満々である。
互いに一歩も引かぬとばかりの攻防に終止符を打ったのは割と背の高い世話係専門の奴隷である。
「はいはい。お姉さんも御主人様候補の御客様もその辺で。
大体、契約買い取りの義もすんでないのにいちゃつき始めてどうするですか?
日も高いですから宿とってからにして下さい。ほら、筋肉自慢と食べ比べもあとで良いですから。
あっ、御主人様っ、靴紐が解けてます。うぬ、駄目ですね。これは切れかけてるし。靴底も傷んでます。
誰か靴職人さんをよんでぇ~~。ちょっと身だしなみが崩れてますよ。御主人様。
お酒の泡つけたままで喋るの止めましょう、誰かお湯と顔布もってきてぇ~~。
申し訳有りません。御主人様の身なりと健康を保つ事に心を痛める奴隷ミチョンヌで御座います。お見知りおきを」
湯で温めた布で口の周りにこびり付いた酒の泡を拭着とってもらい。
修繕するにはあまりに酷い靴紐も職人が来るまでと別のものに取り替えて貰い。
心なしか嬉しそうに椅子からぴょんと跳ねると三番目の衣装をとばかりに背負子に手を入れてゴソゴソし始める。
三番目の衣装は比較的簡素である。
頭部に毛根のない小餓鬼族であるからかわりに布を細く刻んで糊で動物の皮に無理に貼り付けた鬘を冠る。
服に見立てた布は一枚だけであるが光沢の有衣装にも視える。
衣装は簡素でも条件の方を理解するのは難しかった。
長い髪鬘を鉤爪の付いた手ですけば鬘がずれかかる。
やたらと目をパチパチと指せると上目遣いで見つめてみたり口に手を当てて口づけのマネもする。
「女だっ」
「馬鹿っ。当たり前だ。小餓鬼族が漢の奴隷勝手どうするだよ」
「情婦だ。相手をしてくれる情婦だ」
小餓鬼族がくねくねと身を捩るのは不気味であるが見慣れてくると滑稽でもある。
「ぎゃ」と声が帰るが扮装芝居は尚も続く。
何時のまにかニシュリウムが担当する十二番卓の周りには黒頭の輪が出来て集って居る。
なにや珍しい客が来てるかと話が跳ねて、よく観れば其奴は戦敵の小餓鬼族である。
断じて此の場で直ぐに処罰すると騒ぐ奴も周りの者が殴って黙らせて客だと告げる。
其の証拠にニシュリウムの卓の丸器に山高くとなる金貨を指差し
あの小餓鬼族の要望を正しく言い当てたら金貨のいち枚も貰えるんだぞと怒声が弾けてる。
隠してニシュリウムと小餓鬼族の客の周りには人が集まってくるが前に出て囲むのは
何故か店の従業員である。あの金貨一枚で家が建つと分かれば鼻息も荒くなるのも容易いだろう。
一攫千金の影事に乗じる従業員の後周りを囲むのは騒ぎが大きくなって暇になった奴隷達だ。
小餓鬼族を主人とするのは抵抗があってもどうやら乗客と知れるとこちらも黙ってはいない。
扮装自体が客の要望であるなら自分が呼ばれるのかもしれないだ。気が気でないと皆が集まる。
だがその注文の見極めが結構わかりにくい。
朝早くにやたらと騒ぐ呼鳥の口真似は見事であるがそのまま自分は床に転がる。
寝転んだまま斜め上の空間を指出しては欠伸をしたまま眠りこむ。
「朝だよな?朝呼鳥が叫んでた。見事な声真似だな」誰かが告げる
「うまいって言うかそのままだ。実は冒険者時代にやられた事がある。
鳥の声がすると思って放っておいたら騙し打ちにあった。あの屈辱はわすれない。その時の傷が」
みなまで言うまでに隣のヤツが睨んで黙らせる。冒険者崩れの武勇伝を褒めて聞いてる場合でもないのだ。
宙を指差す鉤爪が丁度に真上を指すと伸びをして床から起き上がりそばに合った枝て作った鍋もどきを手に持ち
これも又、匙を模した茎を掴んで食事のふりをする。
「朝呼鳥が叫んでも寝たままだったぞ?上を指差したのはきっとお天道様だ」
「お天道様が上に来てる時にやっとおきましたよ?随分なお寝坊さんですわね。
奴隷共は兎も角、私だって昼間までねてませんわ。お化粧しないといけませんもの」
「おいおい。あんなに遅くまで寝てたのに飯食ったら又、寝たぞ。行儀も悪いぞ。
あっ。お天道様が斜めになったら目を覚ますのか?観ろっ。あの暇そうに惰眠を貪る淫猥な顔仕草を」
「随分と怠惰な生活を送る奴隷ですこと。あれで給金がもらえるなら奴隷墜ちしても構いませんわ」
日が高く登ると気だるそうに起きるが四肢は床に転がった儘で暇そうに欠伸したり
食べかけの鍋に匙を突っ込んで気だるそうな目つきで当たりを観たりと意外にも表情豊かだ。
やっと夕刻の頃合いが示されると今度は自分の顔面を指さし鬘をつまんで外し立ち上がり一度その場を
離れてから部屋に入ってくる小芝居となる。自分の顔示したのは本人役だとなれば
起用に演じる一人二役であり頭を傾けて椅子に座れば、さっと雌役にと鬘を被り体を切り替え位置を変え
色っぽい目つきで相手の顔を見つめては頭を撫でる。
ぱっと鬘を取って腰の位置を買えると無造作に牙が並んだ大口を開けると
また鬘もどきを頭に乗せて雌役を示し木枝で作った鍋から誰も居ないが底に居る主人に給仕をする。
又入れ替れ変わればご満悦にも耳の掃除をして貰う主人であり、ぱっと変われば耳を掃除する奴隷を演じる
もっとも一人芝居であるから忙しい。いつの間にか主人側なのに鬘もどきを被って居たり
前も後ろも逆であってりと妙に滑稽で笑みも溢れる。
「参食昼寝付き!」黒頭集りの向こう後ろで手を上げて奴隷女が声を上げる。
「朝鳥が鳴いても起きてな来ないですよ。お昼になってご飯だけ食べて又お昼寝。
さすがに一日中ねてても体に悪いから起きても鍋の底を搔き回す事しか無いんです。
む、寧ろそれが仕事なんです。日がな一日、寝台の上でゴロゴロしてるめんどくがりやさんで
一日中お昼寝とか羨ましい。それから御主人様の耳掃除とか軽い仕事しかしないんです。
寧ろそれが正しいお仕事なんです。羨ましい。なんて贅沢なお仕事ですの?」
目の前には背の高い漢集が居るからぴょんぴょんと放て手を精一杯に腕を伸ばし
奴隷落ちしで弐年の少女が本音を漏らして声を上げる。
「ぎゃんぎゃんっ」恐らくは大正解とでも言うのだろう。
声を上げお題に対する答えを見事に当てた奴隷少女に既に契約を終えたヒビシヌが賞金を届ける。
流石にポンポンと大繁殖の記念硬貨を投げて渡すわけには行かないから
金額は少なくなるが手渡した金貨は普通であっても数が二十枚を超えるとなれば
受け取る奴隷少女はわなわなと震え口から泡を吹いて卒倒する始末である。
もうこうなると奴隷契約の終了どころか街に家が建つのは当たり前
幼い頃に夢みた錬金術師の店も開ける位の金額である。
「参食昼寝付き!で一日中寝台の上でゴロゴロしてて
鍋の底をこねくり回して時間を潰し、たまに主人の耳かきを位して甘やかす仕事。
随分と怠惰な要望ですが、適任の子なんて居るかしら・・・・?
あっ。居たわね。いたわ。あの子なら苦痛を感じずこなせるわね。
何しろ本当にサボり魔だから。ヒルデオランデちゃん。ヒルデちゃんよ」
一度は注文票に詳細を書きこもうとしたニシュリウムであるが該当者が居るのを思い出すと
項目に上に筆を奔らせ無かった事にと修正する。
「何よぉ~~~。かったるい。未だお昼過ぎたばかりだし朝昼ご飯食べたばかりなの。
こんな漢臭い所に呼び出して何しろっていうよ。お肌あれちゃうでしょ。
ああ~~もう。面倒くさい。寝床帰っていい?」
其の店一番に怠惰な生活を誇る少女奴隷。その怠惰な性格からそろそろ適齢期だと言うのに
未だ漢肌の味も知らないところか寝床技も禄に覚えようとしない。
一応の仕事も有るが普段は床部屋から出て来るのも面倒だとばかりに部屋に籠もる。
但し銀髪の家系で漢の扱いには長け媚を売るのも果てしなく上手いとなれば
その大きな乳房と丸い尻で漢を雄を魅了し、其の肌観たさに食盆を週替り日替わりで部屋に届けてしまう
漢と雄の従業員が後を立たない。
「えっ?アタシ売れたの?はっ何其れ?嘘言わないで。
えっ。冗談じゃない?契約の義済んでるの?勝手に?好条件だから私が断るはず無いって。
何言ってるの。私は怠惰な生活が送りたいのよ。あれが御主人様?小餓鬼族?」
何かどうなってるのかと聞かされる話はあまりに突飛で耳に入っても頭の芯には届かない。
それも其のはずである。ヒルデオランデは下手物好きであった。非常に珍しくも。
世に言われる美男には全く持って興味をも持たず。尤も醜男などは持っての他
どれだけ美男子でも存外に扱い醜男なえあ尚に足蹴と袖を振る。
だが其れが異物紛いの下手物であればあればこそ其の恋心と執着心が焔と燃える。
一風変わったと言うか、一般人には無い独特の性癖である。
「きゃ~~~~。何これ。可愛い。超可愛い素敵。
御主様っ。御主様っ。私奴、ヒルデオランデ。可愛がって下さいませ。
ちょっと。貴方ときなさいよ。御主人の隣は私の席なの。挙げないから私の者だから
此の鷲鼻の曲がり具合なんて最高だわ。芸術の粋を超えてるわ。
ちょっ。触らないでしょ。私の御主人様なの。耳かきは私がやるんだからね
絶対、人にはやらせない。やばっよだれでちゃった。いひっいひっ」
廊下から白いドレスとトレードマークとも入れる羽入枕を抱きしめ連れてこられたヒルデオランデで
有るがちょっと背の高い小餓鬼族を見付けると話も禄に聞かずに飛び付き
世話をするミチョンヌの前に尻を突き出して退け小餓鬼族を抱きしめ曲がった鷲鼻を
擦り上げては頬ずりして仕舞にはヨダレも垂らす勢いである。
「適材適所って有るのねぇ。でもちょっとやりすぎよ。ヒルデちゃん。
御客様、引いてるわよ。程々にしなさいな。さて後のお一人はどんな方を御所望かしらね?」
仕事であるし客前でもあると少々きつめに言いつけるが物怖じ憚らないヒルデは
舌を突き出して侮蔑の表情を浮かべ尚更強く小餓鬼族の首に細腕を回して強く抱きつくもはなさない。
もう売れたとばかりとなれ奴隷が主人に媚びを売り甘えるのが当然であるが
最後の要望は難関であった。
仮契約が終わり小餓鬼族が正式に金銭を支払えば奴隷売買が成立する。
それには最後の客の要望を見極め注文に答えなければならないとニシュリウムが説得しても
満足にヒルデが言う事を聞かないのはまだ奴隷頭がきまってないからだ。
腕力自慢で自分の主人の頭を撫でる振りをして潰そうとした半黒巨人族の筋肉達磨ことシモンヌ。
因みに頭を潰して撫でたかわりに人前で下腹部を堂々と撫でられるというご褒美と羞恥を
御主人様事ヒュッテンバロズユクユヌゲロウズピポンヌケンバロウスに強いられている。
笑って誤魔化すが内心人前で四肢を嬲られる快楽がゾクリと背筋を泡立てたのは内密である。
最初に小餓鬼族に酒と摘みを盆で運んだヒビシヌ。
腰も低く物腰は柔らかいが芯が一本とった給仕奴隷は料理が得意で頭も回る。
気が利く少女という所であろう。
同じく世話係であっても洗濯掃除位は出来ても味覚に難が有ると厨房にいれて貰えないミチョンヌ
かわりの特技と言えば主人と成る人物の健康と見た目に異常なまでの執着心を爛々ともやす癖がある。
小餓鬼族を一件した途端に靴紐が切れかけ居ると見抜けばかわりを用意し
鼻舌に呑んだばかりの酒泡がついていると見つければ顔を脱ぐ習慣の無い小餓鬼族の顔に
無理矢理温ためた布を押し付けてこする。当人が嫌がっても抜群のチームワークを発揮し
目配せ一つで事を察したシモンヌが頭をがしっと掴んで動きを封じる始末である。
ちょっと静かであると思えば御主人様の悪疫はどこかしらと勝手に背負鞄に手を突っ込み
俗に言う小餓鬼族の噛み煙草の包を見付けるとニンマリと嗤い自分の乳房の谷間に仕しまい込む。
あとで当然、水に付けて駄目にしてから捨てるつもりだろう。
随分とそれぞれに個性豊かな奴隷が集まったわねっとニシュリウムは伝票を覗き込みが
自分でも所々読めない字でで刻んであるのはしょうがない。元々字は下手である。
問題は個性豊かな面々をまとめ上げて仕切る上司である。奴隷頭とも呼ぶのであるが
其れが未だ決まっていない。そしてその要望を見極めるのは難しい物である。
其の扮装は力作で有るとばかりに鼻息荒くも小餓鬼族は既に聴衆黒だかりとばかりに屯する皆の前で頭を下げる。
寸劇と言っても寧ろ演劇とも十分に視える衣装である。
それまでは使う衣装も洋服の前だけを作られた者であり比較的簡素な物であった。
今度のそれは随分と手間を金も掛かってるらしい。
まず。頭から黒い頭巾をすっぽり冠る。顔の肌はか視えるが髪を隠すのは一種の宗教の信仰心の深さを示す
「尼さんか?嫌。あれは黒色女神信仰の象徴だな」
額とは後ろ位置に白い印が刻まれているが小餓鬼族からみれば掴みづらい印なのだろう。
人が正確に描けばもっと綺麗でも或ろう。底は分かれば良いと言う事である。
黒い頭巾を被れば喉元に皮の首輪を嵌めるが其れは本物だ。一種奴隷の象徴でもある。
前後もちゃんと自分で縫った服を着込みやたらを大きくまるめた布を乳房に見立て
鉤爪の手で位置を調整する。
「言わ図もがな。巨乳ですわね。このスケベ小餓鬼族め。
あつ。小餓鬼族で皆スケベですから悪口になりませんわね」しとやかに女性従業員が呟く
「観ろ。あれは皮のこるせっとじゃないか?結構しっかりつくってるな。
小餓鬼族できようなんだな。そりゃそうだ。色々武器とか作るものな」
冒険者崩れの漢が関心するのは良いが。おとぼけも多い。
何せ凝って作ったのは良いがコルセットと言うのは自分一人では来られない。
背中側に止め紐が有るからだ。なんとか一人できこもうと奮闘するが背後は視えないから
上手くむすめないでジタバタしてるのは滑稽で愛嬌もある。
仕方なくもせっかくのこだわりと演劇の壇上であるから気を聞かせたヒビシヌがスカートの裾を
持ち上げ頭をたれてから挨拶として架空の壇上にあがるとコルセットもどきの紐を結んでやる
なんとも滑稽であり笑いを誘うが演劇の小道具と演出は大事でもある。欠かせないのである。
手作りの長袖と黒布の衣装を着込み皮のコルセットを嵌めるとその上から細い縄をぐるぐると四肢に回して縛る。
「これはむずかしいな。あれは特別な結び方だ。良く覚えてないは無いのだが」
黒頭屯の輪の中でボソリと漢が吐き出すと隣で女が補足する
「あれは特殊じゃなくて。結構見ますよ?好きな輩も多いですよ
亀甲縛りと言って。通好みの変態が好む縛り方です。時に自分を戒める宗教的な意味合いも合ったりしますね」
「詰まりは宗教への信望が強く自分を戒める事も厭わない。巨乳の雌か?
スケベ野郎にはかわりないな。やっぱりとっ捕まえて牢に繋ぐべきじゃないのか?」
これもまた正論であるとばかりに別の誰かが声を荒げる。
扮装は形を成す・・・。
本当の所はどうでありなんとなくにと表現する出で立ちは黒頭巾を被り全身を黒色で整え
肌の露出は殆ない。随分とお硬いイメージであるも其れが女性であれば妖艶でもある。
半身を縄でくくれば宗教的な意味合いで己を律する力を有すると示し
皮にコルセットもそれに類する。今までとは違い随分と真剣であり大掛かりだ。
衣装が整うと今度は身振りが混ざる。
小さい四肢を精一杯伸ばして宙に描くと其の中に座り込んだりウロウロとたって有るたり
頭巾をとって顔を指さして偉そうに腹を突き出して歩けば小餓鬼族を示してる。
頭巾を被れば一人二役と演じ女性は小餓鬼族におびえてうろたえる。
「これは、囚われの女性ですね。
過去に小餓鬼族に囚われて経験を持っている女性でしょうか?」
なんとなく察したニシュリウムに小餓鬼族の客がギャンと無く。
頭の上で輪っかを作って何度も動かせば月日がたったと示される。
そして物語宜しくす演劇が続く。
過去と昔にどこかの小餓鬼族の巣城に囚われた女性は悲惨な拷問と強姦の後に冒険者に救われる。
扱く幸いで幸せな事であるが既に汚れた未であり仕事もままならずも手に職とばかりに
お針子や勉学に励み、読み書きを覚えて数学を学びやがては会計の資格を取る。
それでも過去は消えてくれず奴隷墜ちを余儀なくされるも容姿よくても影は消えず
買い手貰い手に恵まれずに悲惨な日々を送るもやがて信じるに値する主人に出会うが
良くも悪くも見かけだけの漢であり小餓鬼族にも勝るも劣らぬ折檻が続く。
隙を観て逃げた先の修道員に心の希望を見出し修道女と暮らしてその時となる。
底までは演じると場面が変わる。
まずは其の先と自分が修道奴隷と契約した後の事なのだろう。
其れだけの過去があれば幾ら金を積まれても遺恨は残る。
此のとある事に主人である小餓鬼族を足蹴にけなし、文句をいっては説教を繰り返す
金で雇えれているから会計仕事も真面目にはやるが夜伽等は他人に圧しつけソッポをむく。
漢も小餓鬼族も大嫌いだと言っては愚痴を投げつけるのに暇を掛けない。
なんとも境遇も性格も悪そうな輩を示してる。
「わかったと言うとそうであるのだが・・・この注文は難儀ですわね。
頭巾と黒衣装に黒皮のコルセットが示すなら彼女等の事でしょう?
聖精霊刻魔主教会の信者を示すはず。尤もあの教会の信者は筋金入りの魔物きらいだわよ?
教会に属して居ても首輪をしてるなら奴隷だけども教会に申告すれば代金は支払ってくれるでしょうし
教会に信仰を捧げたままに首輪をしてるとか有り得るのかしら
神を夫に主人にするなら歓んで捧げるのでは無いかしらね。
資格は教会で勉強すれば良いから簡単だけど。
それにしても過去にあんな事されたら恨まれるわよ。自分を嫌う女を奴隷にしたいって変態かしら?」
皆が感じる疑問を言葉と形にしたのは夫と此の店を共同経営する女主人である。
「もの好きでもあるが事情があるのではないか?変態であっても小餓鬼族の旦那には必要な事なんだな
まぁ、嫌がる女を力と魅力で屈服させた時の達成感は扱くの味わいである。
寧ろ少々暴れる位がこの上なく良いのだ。此の変態小餓鬼族め」冒険し崩れが下品にわらう
自分の欲しい雌の事が伝わっかと無駄にはしゃぎ小餓鬼族は手を叩いて喜び歯をむき出しこっちも嗤う。
「なんか悪いね。私の立場で金貨もらっちゃうの。へそくりにしようかしらん
でもどうしようかしらね?条件に合う子って内にはいないわねよね」
言いづらい事でも口にしたのだからと店の女主人に褒美の金貨が支払わえる。
奴隷商人であるから大枚を稼ぐのは当たり前だから感覚も鈍ってる。
普通の商人が金貨五〇枚稼ぐのは何年も掛かると言うのに彼女には臍繰り程度なのだろう。
大枚を頂きながらも商売であるから一番の実入りの商品が手元にないのは残念である
「一応。他のお店とかと言わせてみますし、丁稚が回ってます。
教会の方にも問い合わせてみますが・・・なんとも」
いそいそと賞金の金貨を数えてる女主人の後ろ背にニシュリウムが告げるが聞いてない。
女盛を過ぎそうにも成れば化粧品や宝石で誤魔化すのを緩めてならないのだ。
歳幾らになっても漢や夫にちやほやされていたいと願うのはおんなの性であろう。
詰まりは金貨を数えるに夢中でニシュリウムの言葉など女主人の耳には全く持って届いてはかった。
「どうしたって言うんですの?何の権限を有し私奴を馬車に詰め込んで此処まで拐かすと
言うのですの?・・・ぐへっ。ご、小餓鬼族で御座いますの。街中に小餓鬼族がいるのですの!
ちょっと其の戦斧貸しなさい。曲がった鼻砕いて切り取り腐った魚と一緒に煮込んで缶詰にしてやりますの。
お貸しなさいってば。此の唐変木のウスラトンカチ。きゃ。犯されるぅ。小餓鬼族に視姦される!」
意外にも店の丁稚の脚ははやかったのだろう。程なくして女が一人連れて来られる。
未だ劇中の扮装のままで一息つくとばかりに麦酒を煽る小餓鬼族の前のその女性は姿を魅せる。
半ば無理矢理連れて来られたのだろう。護衛の漢の顔にも引っ掻かれた傷が何本か視える。
頬から滲み垂れる少量の血を指でこすりながら差し出した書状にニシュリウムが目を通す。
「えっと貴方が大奴隷帝国三号店所属の奴隷ですね。
お名前はシシヌルミルカ・アイゼンポークさんですね?」
「はい。確かにそうです。私奴がシシヌルミルカ・アイゼンポークです」
その日の午後も結構良い時間になって店も暇になったと欠伸を欠いたら屈強な店用心棒が
鼻息荒くも走り寄ってきて細腕をう掴まれ業務提携先で主人候補と面接だと告げられる。
面倒くさいし神に仕える身であるかこそ嫌だと言っても所詮は奴隷である。
したがって逆らってもしょうがないし業務提携席の係員が名を問えば答えるしか無い。
「シシヌルミルカ・アイゼンポークさん
貴方は聖精霊刻魔主教会に身を起きながらも大奴隷帝国三号店に登録もしてるんですね。
神を夫としてないのは何故ですか?奴隷からの開放は教会の趣旨でもあったかと?」
「ご、ご飯美味しくないんですの・・・。
教会の麺麭ってパサパサなんですの。神を夫に契と結んだら一生あの麺麭食べなきゃなりませんの
まだ奴隷のご飯の方がましで御座いますの。く、食いしん坊なんです。私」
世間様からみれば偏屈であったも美味しい御飯食べたいとばかりに上目つかいに
女性のニシュリウムに媚びでも効果は無いだろう。
「本日、当店に来店して頂いたこちらの小餓鬼族の御客様が貴方の様な人材をお求めになってます。
随分と面倒なご注文でありますが一応確認の意をこめてですね。
過去と昔に他の小餓鬼族の囚われた悲痛な経験があるも無事に救出され
読み書きや数え数字の心得があり器量良しの巨乳と丸い尻と靭やかな四肢を持つも
小餓鬼族は大嫌いで出来ることなら鷲鼻を閂で無理に千切り魚と一緒に煮込んで缶詰に支度とも
ああ~~。世間様の風は冷たく無情にも契約して嫁いでみれば漢運も主人に恵まれず
心と四肢に鞭撃たれ逃げた先の教会の麺麭はパサパサでお腹が膨らまにいとは、いと。悲しいで御座いますね
そんな貴方の好条件の物件がそちらの小餓鬼族の御客様です。・・・どうしますか?」
途中から妙に大げさに芝居かかった言いましなったのは先に観た演劇のせいでもあろう。
自分ながらそれっぽくて艷が乗ったとニシュリウムは胸内でほくそ笑む。
「お断りします。寧ろきっぱりと嫌で御座いますの。ご勘弁願います。係の方。
にっ西の丘の巣城に十日程つれこまれましたの。凄惨さとあの快楽は忘れ・・・コホン。
読み書きと数え数は当然の如く教会公認会計士の資格を持っておりますの。
銅貨銀貨を数えるならやっぱり金貨を数えて胸の谷間に挟みちょろまかすのが趣味で御座います。
得意技は使い込みで御座います。先日も教夫にばれそうになったのは愛嬌ですわ
娶られた人数は一人じゃなくて二人ですの。
漢嫌いの私の四肢を舐めるように視姦するのです。もう、嫌で嫌でしょうがなく。
小餓鬼族の世話をするくらいならぱさぱさの麺麭も我慢・・・無理っ
世間様の無慈悲な鞭は兎も角、嫌いではございませんが
平板のものより茨鞭の方が好みでありますの。肌に残る傷が染みって・・気持ちよく・・
あれ?これって性癖ですわね。世間様人前の前で私ったらお恥ずかしいですの」
今更の如くこんな美人が茨鞭で撃たれ悶えるのが隙だと告白されれば漢共の頭に姿が浮かぶ。
「それでも小餓鬼族を主人として仕えるのは嫌で御座います」
伏し目がちであるがきっぱりと黒頭巾を冠るシシヌルミルカが断言する。
だが然し。そこは奴隷店従業員の腕の魅せ所である。
「普通なら信じがたい事で御座いますが、お客様は貴方の様な境遇の方をお求めになっています。
ありのままの今のも其の先も変わらぬ貴方の境遇と立ち振舞その物を欲しているのです」
自分が羊皮紙に書いた注文票を指でなぞり確認しながら言い告げる。
「へっ。其れは懇意に尽くさなくても良いと言うことですか?
私のありのままって?悪口言っても良いのですか?」意外な条件に目を丸くする
「私達は今回の売買に置いて其れこそ入念な話し合いを済ませております。
悪口ではなくも。少々くらいなら罵倒しても許されるでしょう。
時には仕事をミスった御客様を説教して折檻するの貴方の大事な役目です。
御主人様を間違いを正すのならば多少の行き過ぎも許されるかも知れません。
少々傲慢我儘でもそれを制覇し手懐けるのが雄の極みとも仰っておりますし
何せ、あの財力で御座います。給金も無駄遣いも容易いで御座いますよ?」
「い、虐めても良いんですか?うぐっそれは魅力的なっ。
小餓鬼族の主人を苛める・・・。あの醜い鷲鼻をつまん靴脚で踏み潰してみたい。
ちょっとやりすぎて思わず逆上した小餓鬼族が鼻を押さえて喚きながら
あの細い腕で押し倒して来て襲いかかるところか尻肉の間に鼻をつっこみ
ブヒブヒと音鳴らして匂いを嗅がれて・・・・バチンとお尻を張られたりして・・・
嗚呼・・・じゅるじゅる。・・・はっ失礼しました。私奴としたら。コホン」
シシヌルミルカという女性も変態と言う線引の確実にこっち側に居ると言えるだろう。
それでも彼女は粘る。小餓鬼族との因縁は深いらしい。
「そのあの、御主人様を甚振る特権のほかは何がお仕事でしょう?
それにご飯は?う~~ん。やっぱり止めておきます。小餓鬼飯はまずいと身にしみてますの」
依然に取らわ割れた時に与えられた餌の記憶が蘇るのに違いない、端正な顔が歪んでいる。
「お仕事に関しては後で詳しくとなるでしょうが
先程の件も含めて既にお買い上げが決まった子達の纏め役と言えば奴隷頭ですね。
なかなか個性豊かではありますが、あの子達をまとめるのがお仕事ですが・・・
なにげに大変そうですわね。がんばってください。その分お給金はたかいでしょう。
お食事に関してはなんとも言えませんね。小餓鬼族の食事事情はなんとも・・」
なんとなくと言葉を濁すニシュリウムでも其れはしょうがない。
演劇芝居の中でに小餓鬼族の食事風景はでてこなかった。
奴隷頭の意味は変わるし、そうなれな上役として部下の様子を確かめる必要もある。
言葉に促され顔をむけると結構に阿鼻狂乱な姿で暴れる小餓鬼族が喚いてる。
「ぎゃんぎゃん」と声を上げてるのは少し嫌悪感を示してる。それはそうだ。当たり前である。
「動かないで。ご主人様。動くと鼻の毛ところかお鼻のてっぺん削ちゃいますよ?」
「ほらほら。今どき鼻ぼうぼうはやしてるのは領主様の薄らハゲくらいです。格好悪いのです」
「抵抗は無意味だぞ。大人しく鼻毛切ってもらえ。小餓鬼族の御主人」
まず。抵抗しちゃだめとばかりの銀髪の美少女が細腕でもがっしりと小餓鬼族の四肢を抱え動きを封じる。
顔の産毛を剃るのも嫌いなのに自慢の鼻の毛を切られると成ればパニックにも等しくも
その頭をやたらでかい巨人族の女性が無理に抑えで抑え込む。
涙まじりにギャンギャン唸っても壱ミリも頭は動かせないほどの剛力である。
脚をバタつかせようにも又別の娘が半身を重しかわりにのしかかってる。
「ほら~~。じっとしてないと手元くるいますよぉ~~。大人しくしましょうねぇ~~
ほらほらぁ~~~。直ぐ終わりますからねぇ~~~。御主人様~~」
まるで恐怖に覚える赤子をあやすの如くが否である。声の抑揚は異様にも怖く欲望さえ塗れる
節を付けて歌う背の高い娘は衣装部からく盗んで来たのだろうか
結構に刃先の分厚い裁ちばさみを握り其の目を爛々と嬉々として主人の儂鼻に迫る。
失態である。自分の面接が終わってなかったとは言え小餓鬼族と聞いて目を叛けたのがまずかった。
良くも悪くも小餓鬼族の生態に一番詳しいのは因縁を結んだ自分であるとシシヌルミルカは後悔に頭を垂れた。
「ちょっと。貴下達。何してるの。
小餓鬼族の鼻毛きっちゃだめでしょっ。そこが一番催事なのよ。鼻毛こそ命なの!
こう見えてもね。小餓鬼族は近眼なのよ。近眼。かわりに周りの匂いで判別するのよ
貴下達の顔が良く視えないかわり肌の匂いで判別するのよ。ぎょろりとした目玉は殆視えないほどの近視なの。
その鼻毛で匂いをかき分けてるんだから切りすぎはよくないの。
そこから雑菌がはいって風邪引くのよ。知らないの?小餓鬼族風邪よ。厄介な風邪で寝込むことになるわよ
えっ?風邪引かせても良い?看病のしがいがある?奴隷みよりに尽きる?
馬鹿な事言ってるっじゃないわよ。奴隷が主人病気にしてどうするのよ。兎に角、その辺にしなさい。
まんざらでも無い顔してるって?勘違いだからね。それちゃんと鳴き声聞き分けなさいってば
私?奴隷頭のシシヌルミルカよ。貴下達の奴隷頭よ。とりあえず鋏しまいなさい危ないからっ」
甲高くもいきり立つ雷鳴切り裂く声が吠えれば知らぬとは言えやりすぎたと皆も悄気る。
嫌々ながらも蒼肌の小餓鬼族の顔を覗き込み頬に手を添えて右と左と向かせて怪我の無い事を
確認するも嫌悪感が残る顔を隠しもせずに立ち上がりシシヌルミルカはぼやく。
「幾ら主人の健康を担うといってもこれからは先ず聴きなさい。
此のお方・・・・御主人様の事は知ってるし、苛めるのは私の特権よ
これでご飯惜しくなかったらどうしようかしら?恨んじやうわよ。係員さん」
「そんな心配はこれを観れば吹き飛ぶぞ。修道服の奴隷頭の女。
それにしてもその旨はけしからんな。詰め物でもしてるじゃないのか?其れそれでけしからんな」
「神と親がで恵んでくれた天然物で御座いますの。
随分と大きな籠笊でございますね中身はなんで御座いますの?」
小餓鬼族の素肌を触ってしまったとばかりに嫌悪にまみれ濡れ付近で細指を擦りならが
シシヌルミルカが問いかけた先には巨躯を反らし重い笊籠を出番の少ないバンシムが運んでくる。
後ろには何やら調理奴隷の輩も鍋と道具を持って付いても来る。
手近な場所で笊籠を下ろすと床に水飛沫が上がり貯まるが元より石作りであるから濡れるだけでも有る。
荷物を置いたバンシムは意外にも息を切らしたから其れ異常に結構重い物なのだろう。
ゴソゴソと細切れにきられた羊皮紙を睨んではめくって順番を並べ直すのに苦労もしてる。
「えっとだな。儂は戦で小餓鬼族とやり合った事もあるのだが知らぬ事も多くてな。
意外にも小餓鬼族と言うのは礼儀も正しいし祭り事も好きだし、宴会もだな。
旦那は随分と気を回す性格でも有るらしいぞ。自分の所望する奴隷を揃えてくれたら
祝がてらに振る舞ってくれとな。先程裏の調理場に馬車が横付けされてな。
まだ、料金の支払いは済んでないと思うだけども、まぁ良いだろう。
蒼宝石の大鋏蟹と赤色真珠貝の五右衛門茹でだ。
めったにお目にかかれない所が一生に一度歩かないかの珍味だぞ。楽しみにしろ。野郎ども」
最後までバンシムが言い終わる前に悲鳴と歓喜が吠えて唸る。奴隷や従業員も別け隔てもない。
「蒼宝石の大鋏蟹?赤色真珠貝の五右衛門茹?
そんな豪勢な食事ってあるの?貴族だってめったに・・・美食家が泣くわよ。喚くわよ?」
脱兎の如く一番最初に笊籠に駆け寄り覗き込んだシシヌルミルカが金切り声を上げて吠える。
「ありえないわ。これが御飯?こんな御飯を食べていいの?
もう、神なんかいらないわ。私のっ。このでかいの私が食べるの!挙げないから」
笊籠の縁をしっかと握りしめてて唾を飛ばしてシシヌルミルカは吠えて離れる気配がまるで無い。
先ず茹でるからと近づく料理人の顔に噛みつくかと小餓鬼族の声真似で威嚇するほどである。
その日の午後もおやつの時間を少しを回った頃。
その街で二番目に大きな奴隷店の入り口大扉の向こうから何やらいそいそと店輩が顔を出し
[本日臨時休業。御免なさい]となにやら急ぎの休業知らせの羊皮紙がぺたりと張られる。
「随分と急ではないか?予約を入れに来たのだが、困るんだよ。勝手に。
其れに何故かいい匂いがするのは何故だね?」張り出された看板を訝しげに睨み
扉を叩いた客に少しだけ扉を開けて顔を出した痩せた番頭が対応する
「本当に申し訳有りません。明日来て下さい。貸し切りです。ええ、貸し切りです」
大型店舗であればこそこうゆう時は信頼で大事であるのだが妙に愛想も悪い。
それもそのはずである。中では・・・・・
「はい。皆さん。起立!きょうつけ、小さく前ならえ!前の人とちゃんと間隔取るんですよ!
そのまま小餓鬼族の御客様に礼。・・・直れっ。はい休んで良しです。
順番に列に並んで下さい。横入りは駄目です。全員分ありますらねおかわりの分も。そこ割り込みは駄目ですよ」
店の従業員も奴隷たちも此の時ばかりは平等である。寧ろ掛け声に慣れている奴隷たちの方が行儀が良い。
その日の温かくも超豪勢な食事を恵んでくれるとなった小餓鬼族の御客の前を横切る時など
態々に頭を垂れる所か膝を付いて傅く者も結構な数である。
人の習慣に慣れていないのか礼儀と言うの物を最近知ったのか、誰かが頭を垂れる其の度に
自分も返礼すべきとでもうのだろう長椅子の上で甘やかし担当のヒルデオランデに抱っこされながらも
ヒョコリと頭を下げる姿は律儀でもあり滑稽すぎる。
「御主人様は良いんです。皆が勝手に頭下げてるんですから。同等の返礼はいらないの。
威厳を持ってく頷く程度が良いんだってばっ」口が悪いのは近くに奴隷頭が見当たらないせいだろう。
ヒルデに言われてそういう物かと知ったのか、次回から頭を下げらるもちょっと威張った感じに体を揺らし
四肢を大きく魅せる仕草で顎を下げる。にわか仕込の威厳であるから其れも又、妙に笑みをも誘って笑えてしまう。
「私奴があの小憎たらしい鼻の曲がった小餓鬼族野郎の御主人様の奴隷頭で御座いますの。
ですから一番最初に蒼宝石の大鋏蟹と赤色真珠貝の五右衛門茹でを頂く権利と義務かあるのですの。
勿論、あの変態腰振り小餓鬼族御主人ちゃんが腹痛を起こしては叶いませんから
これは立派な毒見と言う仕事ですの。本当に毒持ったら茨の鞭で滅多打ちにしますわよ」
一番奴隷と言い切らないのは小餓鬼族の客が集めた奴隷達は皆に器量良しで甲乙付けがたいからだ。
所謂、各付けは大事であるが、今は其れよりも蒼宝石の大鋏蟹茹でが優先事項である。
希少な珍味であればこそ鍋で茹でるのには時間も少しは掛かる。何個が用意された鍋の列に
我先にと並ぶシシヌルミルカの後ろ二弾手に澄まし顔で並んでいるのが此の店の共同経営者の女主人である。
いつの間にか凝った飾りのローブを脱ぎ捨て化粧さえも塗り直してる。
上客を相手にするとなれば確かにそうであるが、歳もそれなりに艷が乗る頃であるが夫と絆を結ぶ間でも有りながらも
奇妙にも肌の露出が多くも漢共が目線をどこに向けていいかわからくて困るくらいでもする。
「はいっ。鼻曲がりの小餓鬼族の旦那様の分よ。貴方達は自分で列に並びなさい。
その間くらいはみてるから。大きいのが私。ちっちゃいのが御主人様の分。
何よ?文句あるって言うの?私奴は奴隷頭よ。私が一番えらいの!頂きま~~す」
服を汚してはいけないと世話係のヒビシヌが皿の下に急いで白布を置いて準備する。
「ギャンちゃ」と一声上げるたのは食事前の掛け声だろう。小餓鬼族にも感謝の習慣があるのかも知れない。
大半の物は超がつくほどに高価な食材として有名な蒼宝石の大鋏蟹を実際に食べるのは始めてだろう。
茹でであっても硬い甲羅がくっついてるから食べるのにコツがいるのだが
食事の御作法と言う物を知るはずもない小餓鬼族はおもむろに鷲掴みのするとバキっと頭を二つに折って魅せる。
どぴゅっと独特の汁が顔に飛び散るが其れを長い舌でベロリと舐め味わってから
鋭い爪を起用に硬い甲羅と身の中に差し込みパキンと音を立てて身をむき出ししてから乱杭歯をむき出しにかぶり付く。
ジュワと滲み出る肉汁が蟹の肉身から滲み出ると噛んだ口に甘くも噛みごたえのある味も又、染みでて止まらない
舌の上でとろけて踊る十分すぎるほどに味わい深い塩海の恵みの幸である。
さて、頂きますと言った物のはてさてどうやって食べるべきかと感がえこむシシヌルミルカであったが
小餓鬼族の主人が無造作に食べる仕草に其れが蒼宝石の大鋏蟹茹の食べ方であってもか弱い自分には出来なそうだと
眉をしかめどうしようかとも悩むと
にゅう~~と鋭いかぎ鉤爪がシシヌルミルカの皿の上に伸びてくると無造作に蒼宝石の大鋏蟹をバキッと音がして
砕けて頭を胴体が砕けて二つになる。顔に汁が飛び散ったのはしょうがない。
乙女の顔に汁が飛べば恥ずかしくも醜態晒すと成るが、「ぎゃ」と声がしたので顔を上げてみると
顔についた汁を舐めてみろとばかりに自分の顔を小餓鬼族が手本を見せた。
言われた通おりにすべきかどうか悩んでも幸いに周りに誰もみてないと成れば
ちょっと位の恥はかき捨て。ベロンと舌で唇を舐めると声が漏れた。
「あっ甘~~い。なにこれ海の幸なのすごく甘いの。
うわっもったいない。此の汁拭き取るなんてもったいないわ。」
こうなるともっと舐めて観たくてしょうがない。舌で口周りをベロベロと行儀悪くも舐め回す。
そうであろうとでも言うように小餓鬼族特有の声をあげると嬉しそうにシシヌルミルカの皿に乗る
蒼宝石の大鋏蟹の殻の残りをバキバキと鉤爪を差し込み身を剝いてやって食べ方を教えてくれる。
要はコツがいるのだが上品に食べると言うよりは無造作に尻尾と掴んでかぶり付くというのが正しい。
時間を掛けて上品に食べると味が落ちると言うのも後で分かる。
茹でて甲羅を剝いたら直ぐにかぶり付く。其れが大事で一番上手いのである。
美味いものを食べると人は無言に成ると言うのは真実である。
普段は口煩くも何に付け文句を並べるシシヌルミルカであるが、此の時は寡黙を貫く。
蒼宝石の大鋏蟹の蟹肉の味を堪能し咀嚼音だけがむしゃむしゃと響く。
一度しゃぶりついたらそのまま最後までかぶりつき、蟹肉を食いちぎっては頬を膨らませ咀嚼し味わい
尻尾の先までたどり着いたらその中の汁と肉をチュウチュウと吸い上げ
それと同じくも今度は頭も鋏も噛みつき肉を引きずり出しては頬張り味わう。
最後は皿に溜まり墜ちた蟹汁をずずずと啜るのが作法であるとでも言うように遠慮なくも
無作法に頂き食べるのが蒼宝石の大鋏蟹の食し方で有る。小餓鬼族流とでもいうのがろうか。
「もう駄目。これだけで白米五杯はいけそう。寧ろお茶漬けとか食べたくなる。
鼻曲がりの小餓鬼族の癖に、こんな食べ方乙女に強要するなんて屈辱だわ
この変態小餓鬼族の御主人様ちゃん。おかわり言ってくる。私の大蟹ちゃ~~ん」
蒼宝石の大鋏蟹の一匹は実は結構な量である。其れを二匹参匹となれば大食い野郎を示す。
当人はそんなの淑女の恥と全く思ってないのだろうが。
「あの私の分も剝いて頂けないでしょうか?お手数をかけますが」
「私も。私のも」
「後で鼻毛抜いて上げますから私奴のもお願いします。御主人様」
長椅子の上に一人留守番かとも思えば他の奴隷も手に皿を抱えて戻ってくる。
可愛い奴隷のためなら仕方がないなと言うように鼻を鳴らすもその手間もまんざらじゃないと
筋腕に力を込めて蒼宝石の大鋏蟹の頭を割り鉤爪で甲羅を剝いて皿に戻す
「有難う御座います。御主人様」とヒビシヌが嬉しそうに頭をさげると
そのうしろからにゅうと皿を差し出すミチョンヌ。
か弱き乙女の助けを求められば蟹の甲羅割りなど容易いが
其の又後ろからシモンヌが皿を掲げで自分もと強請る。
苦しゅうないと古い言葉に頷いてみるのだが、さて自分もおかわりの二匹目でもと思えば
茹で上がった蟹を乗せた皿が突き出される。気づけばそれは顔に覚えない者であるのだが
店に奴隷で有るのは違いない。御名子であれば甲羅も硬い蟹を割るのには非力であろう
まぁまぁ其れくらいならご愛嬌と蟹を掴んで皿の上でバキっとおって甲羅を剝いてやる。
確かに其れくらい容易い事では有るのだが、その女の顔に汁がぺったりと飛び散ってしまう
所が其れを嫌がりもせずに寧ろご褒美ですっと妖艶に嗤いべろりと舌を舐めて色香に塗れる。
まるで夜伽でも強請る女雌の仕草であるがどうやら後ろがつかえて居るらしい。
次の女が皿を前に突き出してくる。これも又皿に顔が近いから汁が掛かる。
又妖艶にも嗤い舌で汁を舐めて魅せる。
どうやら彼女等は小餓鬼族の旦那に気にって貰うと媚を売ってるらしい
蟹を茹でてくれる料理人の前に並んで受け取るとそのまま脚で小餓鬼族の前に傅いて
剝いてくれと強請る。か弱き者の慈悲をとでも言ってみせるが其の目は欲望に塗れる牝である。
いつの間にか聞き覆えのある声が届く
「貴様等は自分で出来るだろ?漢のくせに情けなじゃないか?
私は甲羅剥きの達人ででも係でないんだぞ?皿に顔を寄せるな。汁を被ろうとするな。
極太眉の猪顔で汁被りを求めるな。美男子か雌の特権であろうがっ
私には小餓鬼族族の旦那君が居るんだぞ。訴えるな。上目つかいで訴えるな。猪豚の極太眉野郎」
頼まれば断れないのは一種の奴隷根性であろうが、それなりに腕力も有るはずの漢集共ばかりが
何故か小餓鬼族の主人の隣で蟹の甲羅を割っている。当然困惑しかりで愚痴も多い
蟹頭を割るのは兎も角に背甲羅をはいで剥くのは平鉄板の棒を使っている
半黒巨人族の大きな手には鉤爪も無いからであろう。
どのみち野暮ったい漢の蟹を剝いてやるのは面倒だし
其の度に顔に飛んだ汁を舐める厳つく漢の顔を見せられるのはシモンヌ然りにとんだ災難である。



人に何かの要求を飲んでもらう時、方法はいつくかとある。
有名なのは像の鼻を先に見せてから猿の尾っぽを握らせろの方法である。



ニシュリウム
ヒビシヌ
ミチョンヌ
シモンヌ
バンシム
ヒルデオランデ
シシヌルミルカ
ヒュッテンバロズユクユヌゲロウズピポンヌケンバロウス。
